1 スタートアップ支援と太秦メディアパーク構想の今後に
  ついて
2 医療的ケア児を取り巻く環境の整備について
3 その他

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◯岡本和徳君 府民クラブ京都府議会議員団の岡本和徳でございます。
 通告しております数点について質問をさせていただきますので、積極的な御答弁をよろしくお願いいたします。
 まず、スタートアップ支援と太秦メディアパーク構想の今後について、お伺いさせていただきます。
 スタートアップ関連の質問をさせていただきましたのは、たしか令和元年の9月議会が私にとっては初めてだったかと思いますが、その頃はまだまだ支援体制も今よりは不十分でございました。当時の経産省は、JETROとNEDOとともに「J-Startup」というスタートアップ育成支援プログラムを開始し、世界で戦える企業を選び出し、政府による集中支援を実施することなどにより、上場ベンチャー企業など2023年までに20社創出するという目標を掲げていました。内閣府では、スタートアップ企業育成のための総合戦略をまとめ、世界に伍するスタートアップ・エコシステム拠点都市の形成を打ち出し、京都府も拠点都市に選ばれたところでございます。
 スタートアップ支援の拠点として、京都府では、京都府、京都市、商工会議所、工業会による京都知恵産業創造の森の設置、経済センター3階のKOIN(コイン)の設置、京都スタートアップ・エコシステム推進協議会などの推進体制の整備、けいはんなロボット技術センターの設置などのほか、高校生向け、学生向けのピッチを開催、京都発スター創生事業、アクセラレーションプログラムの実施、エンジェル育成機関も京都に定着するなど、スタートアップを取り囲む環境は整備されつつあります。そして、さらには国内最大級のスタートアップイベント「IVS」の開催とつながり、京都がスタートアップやベンチャーキャピタルの集積地となりつつあります。
 しかし、東京の起業家などとお話をしますと、京都はスタートアップの拠点として確かに魅力があり人気が出てきてはいるが、東京などに比べるとまだまだその環境は足りず魅力には劣ると伺います。また、若い起業家にお伺いしますと、コミュニティーはできつつありますが、特に住居やオフィスへの補助、運営補助など経済的な支援のほか、開業、起業の財政的支援、マッチングの場が少ないのと出会いのための拠点がよく分からないので、どこに行けばベンチャーキャピタルやアクセラレーター、起業家などと出会うことができるのか分からないというような声を聞くことがあります。
 例えば、東京にはCICのベンチャーカフェがあり、そこに行けば投資家、起業家、大企業の人材、弁護士、会計士、スタートアップなどと常に出会える場所がございます。そして、東京都ではクラウドファンディングを活用して資金調達をした企業に対して、クラウドファンディングにかかる手数料を補助する事業を始めておられます。この事業を使えば、資金調達をするスタートアップは、手数料を必要とせずクラウドファンディング上で資金調達ができるようになるということで、起業家にとっては大変な魅力となっているそうです。
 そこでお伺いいたします。
 これまで本府においても様々な取組を実施していただいておりますが、首都圏のスタートアップが京都に不足していると感じている住居、オフィスへの支援のほか、京都府もベンチャーキャピタルと連携をし、スタートアップに投資をする取組を行ってはいかがでしょうか。このような取組は、京都府においても首都圏などから起業家を集めるための呼び水となりますし、京都が本腰を入れてきているという大きな宣伝にもつながるかと思いますので導入すべきと考えますが、お考えをお聞かせください。
 また、世界を渡り歩きながらITを活用してソフト開発、ウェブデザインなどの仕事をする人であるデジタルノマドと呼ばれる人材に専用のビザを発給する制度は、ヨーロッパで導入が広まりつつあります。我が国においても導入が検討をされており、世界中の高度IT人材が日本に集まり、京都に集まることが期待されていることから、高度人材や起業家が京都府で活躍してもらうための環境づくりに向けて取り組むべきだと考えますが、知事の所見をお聞かせください。
 次に、太秦メディアパーク構想の今後についてお伺いいたします。
 産業創造リーディングゾーンは、「未来を切り拓く」京都産業の実現を目指し、国際的なオープンイノベーションを展開することで、次代を担う企業や産業を生み出すことを目指して実行されていることと認識しております。
 その中の一つであるクロスメディア産業については、映画・映像、ゲーム、アニメ、漫画などの関連企業が集積する京都の強みを生かしたコンテンツ産業の育成を目指しておられます。私の地元右京区には映画の都である太秦があり、撮影のノウハウが集積されていることから太秦メディアパーク構想に取り組んでいただいております。
 日本のハリウッドと言われた太秦は、すばらしいノウハウや技術、人材を保持していますが、時代劇などの衰退に伴い、今、それらの資源を維持することが困難となっています。しかしながら、スタートアップ企業は、こうした課題をビジネスチャンスに変えることを得意としており、太秦にも多くのビジネスチャンスが眠っています。
 一方で、現在IT技術を駆使して制作されるアニメ、ゲーム、映画などにおいては、制作過程のその9割までが同じ工程であり、ゲームにするのか、映画にするのか、アニメにするのかは、最後の1割の工程であるとお伺いしております。
 お伝えしましたように、太秦には映画・映像に関する技術、人材、ノウハウは日本一と言っていいほど集まっておりますことから、当然、ゲームやアニメなどの制作においても適地であります。太秦に立地する東映株式会社には、スラムダンク、ドラゴンボール、仮面ライダーなど世界的な有名なコンテンツもあります。
 先般、東映株式会社が中期ビジョンを発表され、今後10年をかけて投資、基盤の確立、創造発信をすることで国内、国外においてもコンテンツの創出、販売の拡大を目指すことが示されており、グローバル展開、人的投資の拡大、チャレンジと成長といったキーワードが見て取れ、太秦全体における今後の発展にも期待を持てるところです。
 そこでお伺いします。
 これまで本府においては、太秦メディアパーク構想において様々な取組を進めてきていただいておりますが、10年前よりもIT、AI、DX、XRといった技術がさらに進化し、東映も今後10年の中期計画を立てられた今こそ、この太秦メディアパーク構想にさらに力を入れるべきだと考えます。
 企業や大学、スタートアップとの連携なども含めて、リーディングゾーンの一つである太秦メディアパーク構想の今後の展開について、お考えをお聞かせください。
 まずは、ここまで御答弁をお願いいたします。

◯議長(石田宗久君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 岡本議員の御質問にお答えいたします。
 スタートアップ支援についてでございます。
 京都府では、世界に伍するスタートアップ・エコシステム拠点形成に向けて、国内外から起業家や投資家を呼び込むための環境整備に取り組んでいるところでございます。
 まず、オフィスに関しては、既にけいはんなベンチャーセンターなどのインキュベーション施設を整備しており、産業創造リーディングゾーンにおいてもオフィス・ラボの整備を進め、アート&テクノロジー・ヴィレッジ京都では企業の入居が開始をされました。
 また、スタートアップ企業への資金供給も極めて重要であり、行政よりも金融機関や大企業、大学等においてファンドが造成されている京都の強みを生かし、スタートアップ企業と投資機関のマッチングも進めてまいりました。
 さらに、国際的なエコシステムを構築するため、今年6月に1万人規模のスタートアップカンファレンス「IVS2023KYOTO」を開催し、起業家だけではなく、推計でございますが国内外から1,000人を超える投資家を京都へ招聘した結果、その場で数千万円の資金調達が決まったとの声も聞いております。
 今後は、府内のスタートアップの多くを占めるディープテック企業の成長を一層促進するため、長期的な資金支援の仕組みづくりも進めてまいりたいと考えております。
 また、高度人材が京都で活躍するための環境づくりについてでございます。
 国内外の高度人材や起業家にも参加いただき、京都産業の国際競争力を持続・発展させるため、オープンイノベーションを展開する産業創造リーディングゾーンづくりを進めております。海外からの参加を促進するため、リモートも併用したハイブリッド方式により研究会やピッチ会等を開催しているところであり、去る3月に開催をいたしました「ZET Summit」では世界10か国から3,000名以上の参加者があったところでございます。海外の高度人材の長期滞在を進めるため、国が骨太の方針で決定しているデジタルノマドの呼び込みに向けた制度も活用しながら、海外の高度人材が京都でこれまで以上に活躍できる環境づくりを推進していく必要があると考えております。
 さらに、京都に定着いただきたいことから、海外人材の誘致からビザ取得、起業、定着の支援までをワンストップで行う京都インターナショナルスタートアップセンターを今年7月に開設し、オール京都体制で「英語で暮らせるまちづくり」に向けた取組をスタートしているところでございます。引き続き、高度人材が京都で活躍できる環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。

◯議長(石田宗久君) 上林商工労働観光部長。
   〔商工労働観光部長上林秀行君登壇〕

◯商工労働観光部長(上林秀行君) 太秦メディアパークについてでございます。
 太秦メディアパークは、コンテンツ企業やDX企業等のクロスメディア産業を創出するオープンイノベーション拠点であり、情報関連産業に特化した都市型のリサーチパークを目指すものです。これまで国内外で評価が高い映画、ゲーム、アニメ、関連企業が集積する京都の地の利を生かし、専門分野を超えた人材育成やワークショップ、インディーゲームの国際展示会である「BitSummit」等の開催を通じてクロスメディア産業の振興を推進しており、太秦メディアパークへの関心も高まっております。
 また、こうしたクロスメディア産業は、教育、医療、観光など様々な分野と連携が期待されること、メタバース、Web3.0、生成系AIなど、急速に進化する新技術への対応が不可欠となっていることから、異分野連携と人材育成をさらに加速させる必要があります。そのため、クロスメディア産業とスタートアップ企業や投資家とのマッチングを図る「太秦 NINJA PITCH」を初めて開催したところ、世界中のクリエーターとのマッチングや、人間の創造性を高めるAI教育プログラムなど優れた提案があり、継続開催の要望もいただいたところです。
 さらに、同日、太秦メディアパーク構想における拠点形成の最初の動きとして、東映の中期ビジョンに基づく映画村のリニューアル計画が発表され、人的投資や映像制作設備への投資の拡大等、再開発の具体的な取組も始まっております。
 今後こうした太秦地域の再開発計画とも連携し、多様な分野の企業やクリエーターが集うクロスメディア産業の集積地として、世界をリードする新産業創出拠点の形成を図ってまいりたいと考えております。

◯議長(石田宗久君) 岡本和徳議員。
   〔岡本和徳君登壇〕

◯岡本和徳君 御答弁どうもありがとうございました。お伝えいただきましたとおり、私もこのスタートアップの支援、まだまだ十分ではないというふうには申し上げておりますけれども、ここまでの成果については、本当に高く評価をさせていただきたいというふうに思っております。
 けいはんなでのオフィスの入居、それからアート&テクノロジーも始まりましたし、ワンストップ拠点も7月に設置をしていただいて、これから海外の方々が京都に定着をする取組というのも、5年計画の中で、あと1年、2年ですかね、ある中でしっかりと進めていただきたいというふうに思っております。
 デジタルノマドというあまり聞き慣れない言葉も申し上げましたけれども、これが導入をされることで高度人材がどんどんと日本にやってきやすくなってまいります。もちろん、その方々は京都を目的地としてやってこられるということもありますでしょうし、商工部では古民家の再生をベンチャー企業向けにやったりとか様々な広範囲な取組をやっていただいていますので、ぜひそうした高度人材が京都市内だけではなくて京都府全域にわたって、その技術を使った仕事を京都でやっていただいて、また世界に発信できるような仕事のしやすい環境の整備に努めていただきたいというふうに思います。
 また、ディープテックというお話がありましたけれども、今日は質問できませんでしたが、先日の報道では、ロームと東芝が提携をして半導体に力を入れていくというような記事がございました。これは国策ですので、非常に日本としても力を入れていくものですけれども、熊本ではTSMCとか、北海道ではラピダスが半導体に力を入れていくということですが、やっぱり内陸の京都でもロームが京都にあるわけですから、京都でもそうした半導体産業にこれからどんどんと力を入れていっていただけたらいいのではないかなというふうに思っております。
 では、次の質問に移らせていただきます。
 次に、私がライフワークとして取り組んでおります医療的ケア児を取り巻く環境の整備について質問をさせていただきます。
 医療的ケア児は、科学技術の進歩により呼吸器などの機器が小さくなり、病院を出て在宅で専門的ケアを受けながら生活することが可能になってきたことから、在宅で生活する医療的ケア児が急激に多くなり、10年前の2倍になっていると言われております。
 急激に在宅で過ごす医療的ケア児が増えたために、法律と制度が追いついていない状況が続いています。
 医療的ケア児が通う保育園、学校などの体制のほか、災害における行政の体制・対応など、子どもたちと家族は現実と法律、制度のはざまに陥り、サービスや認識が不十分なまま地域で生活をしており、様々な分野で困難を来している状況が続いております。
 こうした状況の中、国会では議員立法による全会一致で2021年6月に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が成立し、国及び地方公共団体では「医療的ケア児が在籍する保育所、学校等に対する支援」「医療的ケア児及び家族の日常生活における支援」「相談体制の整備、情報共有の促進、広報啓発、支援を行う人材の確保」、保育所、学校設置者等については、保育所における看護師または喀たん吸引等が可能な保育士の配置、学校でも看護師等の配置が責務とされています。
 また、本府においては、京都府医療的ケア児等支援センター「ことのわ」が設置され、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関等への情報提供及び研修が行われ、大いに貢献していただいております。
 さらには、京都府においても第1期障害児福祉計画に続いて、令和3年から5年度にかけての第2期の障害児福祉計画が策定され、医療的ケア児をはじめとする障害児の環境整備が図られてきました。
 そこでお伺いします。
 これまでにも、医療的ケア児に関する取組は加速していただいておりますが、来年春には第3期障害児福祉計画策定となりますので、これまでの課題と反省と調査されてきた結果をどのように次期計画に生かしていくのかをお聞かせください。
 また、第2期の計画の目標とされていた、これまでセンターの設置がされてこなかった乙訓圏域、山城南圏域における児童発達支援センターの設置は計画されているのでしょうか。
 さらに、重症心身障害児を支援する児童発達支援事業所及び放課後等デイサービス事業所については、各市町村に確保できるよう整備を促すとありますが、その進捗はいかがでしょうか。
 次に、災害時における医療的ケア児と家族への支援体制の充実についてお伺いいたします。
 災害時において、医療的ケア児を取り囲む環境はまだまだ整備が充実しておらず、今極めて重要な課題となっております。自ら避難することが難しい独り暮らしの高齢者、要介護者、障害者等の避難行動要支援者がどのような避難行動をすればよいのかについては、あらかじめ本人や家族と確認し、一人一人の状況に合わせた個別避難計画を作成することが市町村の努力義務となっています。
 しかしながら、一部の医療的ケア児が避難行動要支援者に含まれておらず、個別避難計画をつくってもらえない自治体が本府においてもございます。そもそも小児慢性特定疾病や指定難病の療養支援などは都道府県及び政令指定都市等の業務となっているため、京都市以外の市町村は医療的ケア児の実態を把握しておらず、対応できていないことが想定されます。
 そこでお伺いします。
 医療的ケア児について個別避難計画をつくってもらえない自治体もあるため、小児慢性特定疾病や指定難病の療養支援などを行う広域自治体である京都府の役割として、医療的ケア児の個別避難計画作成をより一層促す必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。お考えをお聞かせください。
 次に、災害時における医療的ケア児の受入れと看護師確保についてお伺いいたします。
 医療・福祉の場を問わず、あらゆる場で看護師不足が叫ばれています。特に医療的ケア児を受け入れる事業所、病院などでは、小児に対応できる看護師の確保・育成が急がれているところです。災害のないとき、いわゆる平時においては保育園や学校、通学支援などにおいて看護師確保が課題となっております。この場合、各保育園や学校などが単独で看護師を探す必要がありますが、小児の医療的ケアが可能な人材の確保は困難となっています。
 また、1人の看護師では十分なケアができないため、複数人の看護師を確保する必要もあり、1人で勤務することの不安、孤立感、休みの代替人材の確保などの課題がある中、園児が突然転園することや支援学校への転校することなどもあるため、突然看護師が不要となる学校、保育園などもあることなどから、継続的な雇用が難しい状態となっています。
 さらには、在宅の場以外への訪問看護師派遣は医療保険の適用外となっているため、訪問看護は在宅以外の場では柔軟に利用できない状態であります。
 また、災害時において避難場所の確保に加えて、避難した場所での看護師の確保が重要となっております。緊急時に必要な看護師を確保する重要性を鑑みても、災害時の体制の構築は平時から行っておく必要があります。
 そこでお伺いします。
 コロナ禍における教訓からも、限られた看護人材を柔軟に活用することは重要であり、平時と災害時における拠点確保と人材の活用・確保と派遣調整は医療的ケア児と家族にとっても重要です。例えば、平時から地域の拠点となる病院と訪問看護ステーションなどとが災害時の連携協定を結び、日常業務を進め、有事の際には拠点病院が受け入れる、あるいはニーズに応じて派遣調整を行い連携先の訪問看護ステーションなどから必要なところに看護師を派遣するシステムの構築などが望まれるところです。
 医療的ケア児とその家族にとって、平時から災害時に備えて看護師を確保するなどの体制の構築も必要かと考えますが、どのようにお考えでしょうかお聞かせください。御答弁をお願いします。

◯議長(石田宗久君) 長谷川健康福祉部長。
   〔健康福祉部長長谷川学君登壇〕

◯健康福祉部長(長谷川学君) 医療的ケア児を取り巻く環境の整備についてでございます。
 京都府では、令和3年度に第2期障害児福祉計画を策定し、障害のある子どもと保護者が地域で安心して暮らしていただけるよう重症心身障害児や医療的ケア児に対する支援体制の整備等に取り組んでいるところです。
 令和4年4月に開設した「京都府医療的ケア児等支援センターことのわ」では、当事者や支援者からの相談を受けながら多岐にわたる制度・サービスや地域資源等に関する情報を提供するほか、必要に応じて保健所を中心とする地域の関係機関等と一緒に対応を協議するなど、支援体制の強化を進めているところです。
 これまでの取組の課題等を把握するため、「ことのわ」では「京都府医療的ケア児者及び重症心身障害児者基本情報調査」を実施し、当事者の方から日常的に必要とする医療的ケアの内容、利用されているサービス、困っていることや将来に向けて不安なこと等について回答をいただきました。
 調査結果からは、日々のケアの大半を担う保護者のための一時預かりなどレスパイト支援、呼吸器などの医療機器を使う方が多いことから災害時や長期停電等に対する備え等が当事者の方から求められており、これらの取組についてはこれまで必ずしも十分とは言えず、今後対応を強化する必要があると考えているところです。
 引き続き、重症心身障害児者や医療的ケア児に対する支援体制の整備を進めるとともに、身近な地域におけるレスパイト体制の充実や、災害時等における支援体制の強化について、次期障害児福祉計画に位置づけ、市町村や関係機関と連携して取組に向け検討を進めてまいります。
 次に、乙訓圏域及び山城南圏域における児童発達支援センターにつきましては、現在、地元市町村において設置に向け計画されていると伺っているところでございます。また、重症心身障害児を支援する事業所につきましては、児童発達支援事業所は7市町、放課後等デイサービスは8市町で設置されております。引き続き、地域の実情を踏まえ、事業所に対する助言等に努め、市町村と連携を図りながら整備促進を図ってまいりたいと考えております。
 次に、医療的ケア児の個別避難計画についてでございます。
 議員御指摘のとおり、保健所では小児慢性特定疾病や指定難病等事業を担う中で、医療的ケア児等の情報をタイムリーに把握ができる一方で、市町村では実態の把握が難しい状況です。また、市町村によっては医療的ケア児の数が限られているため災害時における対応ノウハウが蓄積されにくく、人工呼吸器等の医療機器への十分な電源供給や喀たん吸引や胃ろうによる経管栄養等の医療提供体制の確保が難しいことから、医療的ケア児等の個別避難計画の策定が進みにくいという課題があります。
 京都府といたしましては、市町村へ丁寧に情報提供を行いながら、医療的ケア児の災害対応に関するノウハウの収集や事例の共有等を行うとともに、災害時における医療提供体制の確保について、地域の中核的な病院に参画をいただきながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 今後とも、市町村における個別避難計画の策定を支援し、地域で暮らす医療的ケア児とその家族の安心・安全の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、災害時に備えた看護師確保の体制についてでございます。
 医療的ケア児等は、人工呼吸器の管理等をはじめとする高度な医療的ケアを日常的に必要とするため、ケアを担う看護師等の確保が必要となっております。そのため、平時から医療的ケア児をよく知る看護師、医療的ケア児等コーディネーター、ヘルパー等の支援者を一人でも多く増やすことが、いざというときの安心につながると考えており、平時から支援者の確保と災害時の対応力の強化を併せて検討することが必要と考えております。
 今後、保健所を中心とする関係機関との協議の場において、地域の中核的な病院や訪問看護ステーション等の医療機関に参画をいただきながら、災害時に備えた看護師確保の体制について具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。
 こうした取組につきましては、京都府子育て環境日本一推進戦略の重点プロジェクトに位置づけており、今後とも、医療的ケア児と保護者が平時においても災害時においても地域の中で安心して暮らすことができるよう、市町村や地域の関係機関と連携しながら、より一層取組を強化してまいります。

◯議長(石田宗久君) 岡本和徳議員。
   〔岡本和徳君登壇〕

◯岡本和徳君 御答弁どうもありがとうございます。
 障害児福祉計画に関しましては、レスパイトの充実ということで御答弁もいただきました。御承知いただいておりますとおり、医療的ケア児、重心児を囲むレスパイトの環境、特にショートステイが非常に不足をしているということでございます。京都市内においてもほとんどないと、京都府全域でもほとんどないというような状況ですので、何とかこのレスパイトの充実に努めていただきたいというふうに思います。
 それから、個別避難計画ですけれども、御答弁の中では、電源の確保もなかなか難しいので各自治体の中でも難しいんじゃないかというような御趣旨の答弁だったかというふうに思いますけれども、まず「ことのわ」で調査をしていただいたその結果をぜひぜひ自治体のほうにも共有をして、いろんなアドバイスといいますか連携を自治体でやっていただきたいなというふうに思っております。その連携を進める中で、この個別避難計画を自治体の中でもつくっていただくためには、電源の確保等も必要になってくるわけですが、これは、こども家庭庁のほうで避難マニュアルというのをこれから今年度中に多分つくっていくということになっているかと思います。
 四、五年前に北海道で大きな停電があったときに、医療的ケア児がなかなか避難できないということで大きな課題となって、こども家庭庁がそれを機に今年度中にマニュアルをつくっていこうということでやっているはずです。その中でも非常用電源の確保とかポータブル電源の確保ということが大きな課題となっておりますので、これは遅かれ早かれといいますか、いずれやらないといけないことだというふうに思います。大きな病院では非常用電源というものが必要でしょうし、学校や保育園、そうした事業所においては、ポータブル電源の確保、そのための補助なども必要なのではないかなというふうに思っております。
 ともかく医療的ケア児と重症心身障害のある子どもたちの生活環境の改善をしっかりと求めていただきたいというふうに要望をさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
 御清聴どうもありがとうございました。(拍手)