1 新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行について
2 熱中症死亡者数ゼロを目指した取組について
3 通園バスにおける安全対策について
4 その他

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◯梶原委員 府民クラブ京都府議会議員団の梶原英樹です。よろしくお願いいたします。
 まず最初に、新型コロナとインフルエンザ同時流行の懸念についてお尋ねをさせていただきます。
 新型コロナウイルスの新規感染者数は下げ止まりつつある一方で、水際対策が緩和され、全国旅行支援も始まりました。この中で専門家が懸念しているのが、これから冬にかけて新型コロナとインフルエンザが同時に流行する可能性であります。「10月から来年3月の半年間に新型コロナの流行拡大と季節性インフルエンザの流行が発生する可能性は極めて高い」と、今月5日、新型コロナの対策に当たってきた専門家が連名で厚労省の専門家会合に提出をいたしました。これを受け、「限りある医療資源の中でも、高齢者、重症化リスクが高い方に適切な医療を提供するための保健医療体制の強化、重点化を進めていく」と厚労大臣が述べておられます。
 日本とは季節が逆のオーストラリアでは、今年、コロナが拡大する前と同じ程度のインフルエンザの流行が2年ぶりに起きています。新型コロナもインフルエンザも発熱やせきなどの症状や関節痛などの症状も似ており、検査をせず、症状だけで両者を判別することはかなり難しいと見られます。
 政府は、13日、発熱など体調不良のときにどう受診すればよいかの考え方を示しました。重症化リスクがある人の場合、小学生以下の子どもや妊婦、基礎疾患のある人や高齢者といった重症化リスクのある人は速やかに発熱外来やかかりつけ医を受診、その後、検査を受け、診断に応じて治療薬の処方を受けるなどの対応を取ります。一方、若い世代など、重症化リスクが低い人は、自宅などで医療用の抗原検査キットを使って新型コロナに感染しているかどうか確認。コロナ陰性の場合は、電話やオンライン診療、かかりつけ医などを通じてインフルエンザかどうか診断を受け、必要に応じて抗インフルエンザ薬の処方を受ける。コロナ陽性の場合は、健康フォローアップセンターを通じて登録し、自宅療養。ただ、症状が重いと感じるなど、受診を希望する場合には発熱外来やかかりつけ医を受診することとしています。
 そこでお尋ねいたします。
 昨年度、第4波から第6波のときやこの夏の第7波も含めて、発熱外来を設置している医療機関に患者が殺到し、医療機関や保健所にも連絡がつかないケースがあったとお聞きしております。また、確保した病床の使用率が上がり、多くの地域で入院が難しくなったほか、重症化リスクのある人でも救急搬送が難しい状況になりました。新型コロナとインフルエンザの同時流行の懸念については大きく報道もされ、府民の間では、症状が出ても医療機関が逼迫して受診や検査ができない不安があると思われます。こうした事態に陥らないよう、京都府としてどのような体制を整えるのか、お教えください。
 次に、熱中症死亡者数ゼロを目指した取組についてお尋ねをさせていただきます。
 気候変動の影響により世界中で1年平均の気温は年々上昇し、京都市内の年平均気温も100年間で約2度の割合で上昇をしております。また、真夏日も10年ごとに約1.3日増加していることから、気候変動の影響により熱中症の発症者は今後ますます増加していくことが懸念されています。
 府内の熱中症による救急搬送人員は、2013年以降、2018年を除いて1,000人から2,000人。ちなみに、2018年は2,709人であり、直近の2021年は1,054人でありました。また、死亡者数は、2018年は31人、そのほかの年は1桁から20人となっており、残念ながら、先日、私の地元である山科区でもお一人の方が熱中症でお亡くなりになられました。
 熱中症対策は府民の命や健康に直結する重要な課題であり、本府は2020年12月に部局を横断する熱中症連絡会議を立ち上げ、2021年10月には市町村や有識者から成る熱中症対策会議を立ち上げ、熱中症対策について取り組んでいただいております。
 そこでお尋ねさせていただきます。
 昨年度の新事業として、環境省が地域における効果的な熱中症予防対策を推進することを目的としたモデル事業に京都府は都道府県で唯一採択されましたが、モデル事業で実施した内容とその成果を教えてください。
 また、今年度の熱中症警戒アラートの情報発信の実施結果とアラートの課題についてどのようにお考えか、御所見をお聞かせください。
 まずはここまで御答弁よろしくお願いいたします。

◯田中健志委員長 西脇知事。

◯西脇知事 梶原委員の御質問にお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行への対応についてでございます。
 新型コロナ対策につきましては、受入病床の確保、診療・検査医療機関の拡充、保健所の体制強化などに継続して取り組んでいるほか、9月26日からは、発生届出対象外の陽性者が安心して療養できるよう、生活支援物資の配送や、症状が悪化した場合に適切に医療につなげる機能等を持つ健康フォローアップセンターを設置するなど、全ての患者が適切に療養できるよう、体制の確保に努めているところでございます。
 しかしながら、御指摘がありましたように、この冬は新型コロナウイルスとインフルエンザが同時に流行し、ピーク時には新型コロナの患者が一日45万人、インフルエンザの患者が30万人、合わせて一日最大75万人の患者が全国で発生し、この夏の新型コロナの最大感染者数一日約26万人を大きく上回るとの予測が国から示されております。
 同時流行となった場合には、新型コロナとインフルエンザによる多数の発熱患者が混在して発生をし、医療機関にこれまでにない数の患者が殺到することや、両方の感染症の検査キットが不足することなどが想定され、これに対応できる体制を整えておくことが必要であると考えております。そのためには、重症化リスクの高い高齢者はもとより、若い世代に対するオミクロン株対応ワクチンの早期接種やインフルエンザワクチンとの同時接種を希望する全ての対象者が受けられるよう、接種体制を整備するほか、基本的な感染防止対策の再徹底、発熱患者等の診療を行う医療機関のさらなる拡充、健康観察・相談体制の強化、検査キットや治療薬の十分な確保などが必要であると考えており、現在、京都府医師会をはじめとする関係団体と連携して外来診療等の体制について検討しているところでございます。
 今後とも、府民の皆様の不安を解消し、命と健康を守るために万全の対策を講じてまいりたいと考えております。
 次に、熱中症死亡者数ゼロを目指した取組についてでございます。
 昨年度のモデル事業では、発生場所、年齢等の属性によるリスク評価や有識者からの意見を踏まえ、在宅の高齢者への対策や学校等での対策の強化等を柱とする京都府熱中症対策方針を策定いたしました。この方針に基づき、今年度は、薬剤師会や地域包括支援センター等と連携した高齢者向けの啓発や、教職員やスポーツ指導者向け研修などを実施したところでございます。
 また、今年は京都府内で熱中症警戒アラートが昨年の約1.7倍の20回発表されました。京都府といたしましては、熱中症警戒アラートの発表を受けて、防災情報提供システムを活用した市町村等への一斉発信や、防災・防犯情報メール等による府民への直接的な情報発信を行っているところでございます。
 一方、今年は熱中症による救急搬送者数も昨年の約1.7倍となっており、この減少のためには熱中症警戒アラートの一層の周知や適切な予防行動の促進が課題であると考えております。
 京都府におきましては、熱中症死亡者数ゼロに向け、引き続き市町村や関係団体と連携し、高齢者への声かけや身近な広報により熱中症に対する府民の一層の理解が進むよう、取り組んでまいりたいと考えております。

◯田中健志委員長 梶原委員。

◯梶原委員 御答弁ありがとうございました。
 コロナとインフルエンザの同時流行の懸念に対する準備として、検査キットの整備について今お話しいただきました。それを前々から考えていただいていること、心強い御答弁に感謝申し上げたいと思います。
 感染拡大期は、特に検査キットの不足について耳にしておりました。それだけに過去の課題を踏まえて早め早めに御準備いただいていること、安心をいたしました。また、年末年始の外来診療の拡充ということで御検討いただいていると御答弁いただきましたので、安心して必要な医療が届けられるようにどうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 また、8波は来ないと言う方も中にはいらっしゃると一定耳にしていますが、やっぱり危機感を持つというのは大事だと思いますので、府民の命、健康を守るためにリスク側に立った危機管理を引き続き実施していただきますよう、要望させていただきます。
 熱中症対策についてもアラートとかシステムのほうでいろいろとカバーをしていただけると思いますけれども、やっぱり家族や地域の方々のフォローも必要だと思いますので、そちらの点もよろしくお願い申し上げ、熱中症死亡者ゼロを目指して引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。
 それでは、最後に安心・安全な通園バスについてお尋ねをさせていただきます。
 今年の9月5日、静岡県牧之原市の認定こども園に駐車していた通園バスの車内で5時間程度にわたり置き去りになった3歳女児の園児が亡くなる悲惨な事件がありました。改めて、お亡くなりになられた園児の御冥福を心よりお祈り申し上げます。
 決してあってはならない事件でした。通園バスは18人乗りの中型バスで、運転手を含む2人の職員と6人の園児が乗っており、この日はふだんの運転手が休みだったため、ふだんは乗務しない70代の園長が運転し、車内点検をしなかったことをはじめ、決められたルールを遵守されず、様々なミスが重なり、事故に至ったと報道がなされています。
 この事件を踏まえ、政府は、来年4月から全国の保育所や幼稚園などの送迎バスおよそ4万4,000台に安全装置の設置を義務づけることを盛り込んだ再発防止対策を緊急対策としてまとめました。それによると、来年4月から、誰が運転や乗車をしているかにかかわらず、バスの乗り降りの際に点呼を行うなどして子どもの所在を確認することや、全国の保育所や幼稚園、認定こども園などの送迎バスに子どもの置き去りを防ぐための安全装置を設置することを義務づけるとしています。
 そこでお尋ねいたします。
 今後、送迎バスを有する全ての保育所や幼稚園などへの実地調査を行い、現状把握を行うとともに、国の緊急対策の内容を踏まえ、ほかの自治体においても対策を進めていく報道がなされていますが、本府の対応策はどのように進めていくのでしょうか。お聞かせください。
 また、政府は、費用20万円を上限に、設置費用の9割を公費で負担する方向で調整してきましたが、事業者の負担が実質的にゼロになるよう財政措置を講じて普及を加速していく形で進める一方で、センサー付の安全装置は高額になることも踏まえ、補助額の上限は設けると報道されています。
 先日、山科区内のある保育園や、10月24日には決算特別委員会の委員の皆様で亀岡のこども園で視察を行い、園バス関係者からお聞きをいたしましたが、保育の現場は、子どもが泣いたり、けんかをしたり、突然体調が悪くなったり、トラブルが多く、いつもと違う状況が生じるそうです。安全装置の導入はもちろん有効な対策だと思いますが、安全装置を導入して対策完了となさず、イレギュラーなことが多発する現場において安全装置が正しく使われるのか、また省略行為が行われないのか等のチェックが必要かと思います。
 今回の事件から、多くのヒヤリ・ハットの声が各自治体から上がってきています。ルールの遵守は最も大切なことでありますが、ミスが起きやすいシチュエーションを把握するとともに、安全装置には穴がないのか検証するためにヒヤリ・ハットを本府がまとめ、他山の石として関係者への情報共有をする仕組みが重要かと思いますが、いかがでしょうか。
 また、人間はミスをする生き物です。ヒューマンファクターの分野を取り入れ、ソフト面における安全対策研修や教育を本府がフォローし、人がどのような状況で失敗をするか学び、個人責任追及ではなく、原因追及により、あってはならない事故・事件をゼロにする取組にしませんか。御所見をお聞かせください。
 よろしくお願いいたします。

◯田中健志委員長 西脇知事。

◯西脇知事 通園バスにおける安全対策についてでございます。
 京都府におきましては、今回の事故を受け、速やかに通園バスによる送迎に当たっての安全管理の徹底について保育所や幼稚園等の関係施設に周知を行いますとともに、京都府保育協会と連携して緊急研修会を開催し、送迎時における子どもの見落とし防止対策の徹底を求めたところでございます。
 また、国からの通知を受け、府内の全ての保育所や幼稚園等の関係施設に対し、乗車時・降車時の子どもの人数確認や当日の出欠状況の確認などの実施状況について書面による緊急点検を実施し、現在、通園バスを保有する全ての施設に対し、当該点検結果の内容を現地で確認をしております。その際に、国が新たに策定した安全管理マニュアルの運用状況についても確認・徹底を求めているところでございます。さらに、今後、通園バスへの安全装置等の導入や安全管理マニュアルの理解を深める研修の実施など、事故防止対策を一層徹底してまいりたいと考えております。
 次に、ヒヤリ・ハットの把握や情報共有等についてでございます。
 置き去り事故の防止を徹底していくためには、安全装置の導入に加え、委員御指摘のとおり、「人間はミスをする」という考えを前提に安全対策を実施することが重要となります。そのためには、重大事故等の背景にあるヒヤリ・ハット事例をできるだけ多く収集し、分析・検証を行った上で、いわゆるヒューマンファクターを念頭に置いて二重三重の事故防止対策を講じていくことが大切であると考えております。
 今後、国において必要なヒヤリ・ハット事例の収集・共有方法等について有識者等を交えて検討されることとなっており、京都府といたしましては、国の対策も踏まえながら、最新のヒヤリ・ハット事例を関係者間で共有し、検討する機会を設けてまいりたいと考えております。
 さらに、引き続き関係団体や市町村と連携し、ヒューマンファクターを取り入れた効果的な研修を行うなど、痛ましい事故を未然に防ぐための安全対策の取組を進めてまいりたいと考えております。

◯田中健志委員長 梶原委員。

◯梶原委員 ありがとうございました。
 ヒヤリ・ハットを集約してヒューマンファクターを導入していただけるという御答弁をいただき、ありがとうございました。また、人はミスを犯すものだということも御答弁の中に盛り込んでいただき、いろんな対策がこれからいろんな角度で進めていただけるのかなと思っております。
 園バスの関係者からお聞きいたしましたけれども、ソフト対策とハード対策をできる限り導入していきたい。そして、職員に負担をかけない方向でいろいろと導入をしていきたいと。保護者からも安心してもらいたいし、職員が安心して働けるように、そしてこういった事故がないように徹底をしていきたいんだとおっしゃっていました。そのためには、例えばアプリとかAIとかセンサーとか、そういったありとあらゆる対策を実施して園バスの安全性を向上させていきたいんだというお話をいただきました。その安全対策を徹底するにはソフト対策とハード対策も必要で、この上限金額を超えてしまうかもしれないと園バスの関係者はおっしゃっていましたので、今まさしく耳を傾けていただいているところですけれども、これからもぜひ園バス関係者と意見交換をしていただいて、この助成の在り方、支援の在り方について御検討いただきたいと思います。
 昨年度は保育等子育ち環境充実事業等で園児の安全対策のために実施できる補助事業を本府でも実施していただいているところですが、安全対策を実施する経費は今から新しくできる国の支援事業と併用できるようにしたりとか、今は補助率が2分の1であったりするんですけれども、補助率が上がれば上がるにこしたことはないんですけれども、できるだけ事業者の負担をかけないようにお願いを申し上げたいと思います。
 今、申し上げましたように、いろんな角度で安全対策を徹底していただいて園バスの安全性を向上させ、こんな悲惨な事故がないように子育て環境日本一を目指す本府としてできることの全てを実施していただき、本府も積極的に関わっていただいて通園バスの安全性を向上していただきますよう要望させていただきまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。