1 リハビリテーションの充実について

2 都市農業の振興について

3 教育環境日本一に向けた今後の施策展開について

4 その他

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◯平井斉己君 府民クラブ京都府議会議員団の平井斉己です。通告に基づき質問をさせていただきます。
 最初に、リハビリテーションの充実について質問いたします。
 我が国では、総人口が減少に転じている一方で、2025年にはいわゆる団塊の世代が75歳に到達して後期高齢者が急増し、さらには団塊ジュニア世代が高齢者となる2042年には高齢者人口は3,935万人となりピークを迎えることが見込まれます。
 このような超高齢化の進展に伴い、病気やけがで心身機能に障害を持つ方も増加することが予想されます。多くの府民が住みなれた地域で安心して暮らしていくためには、介護予防や日常生活の支援及び医療・介護・住まいが一体に提供される地域包括ケアシステムの構築が必要とされているところですが、中でも、心身機能の回復や維持を通じて介護予防や日常生活の早期復帰に大きな役割を担うリハビリテーションの提供体制を充実させることが重要でないかと考えております。
 また、「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」に基づき、京都府においては「京都府循環器病対策推進計画」が策定され、府内のどこにいても発症後早期から専門的な医療及びリハビリテーションを受けることができる体制を整備し、機能回復のみならず社会復帰という観点も踏まえつつ、日常生活の向上、生活の質の向上などを図るため、急性期、回復期、維持・生活期までの再発防止を含めた切れ目のない継続的なリハビリテーション提供体制を構築することが掲げられているところです。
 リハビリテーションには、急性期医療を担う病院における治療と併せて行う早期のリハビリテーションから、回復期のリハビリテーション病棟を有する病院における日常生活の向上による寝たきり防止や在宅復帰、社会復帰を目的としたリハビリテーション、退院後に機能や活動の低下を防ぎ、身体的、精神的かつ社会的に最も適した生活を獲得するため提供される生活期リハビリテーションまで切れ目ない提供体制が必要であり、それぞれの段階において体制の強化、リハビリテーションを受けられる方の情報を適切に引き継いでいくための連携強化が重要とされていますが、こうした取組の中でも、少子高齢化による現役世代人口の減少が危惧される中で、私はリハビリテーションを担う人材の確保や育成に係る取組を強化すべきと考えております。
 京都府では、2019年度に策定した「京都府総合リハビリテーション連携指針」に基づき、人材の確保・育成、施設の拡充、連携体制の構築、総合リハビリテーション推進体制の構築の4つを施策の柱として、理学療法士などの養成校の在学者に対する修学資金の貸与や、理学療法士等のリハビリテーション専門職と府内のリハビリテーション提供施設とのマッチングの場を提供する就業フェアへの支援、看護・介護職を対象としたリハビリテーション研修、リハビリテーション専門職による高齢者施設への訪問指導や地域包括支援センターへの助言など、人材の確保・育成に取り組まれているとともに、訪問リハビリテーション事業所の新規開設などの支援によるリハビリテーション提供体制の充実に取り組んでおられます。
 こうした中、西脇知事におかれましては、府内のリハビリテーション施設をさらに推進するため、昨年12月に策定された京都府総合計画においては「1.京都府南部における障害者・高齢者等の治療から地域生活まで包括的なリハビリテーション支援拠点の整備計画の策定」「2.府全域のリハビリテーション人材や地域生活に向けたリハビリテーションの提供体制の充実」「3.在宅におけるリハビリテーションの充実に向けた研修の充実」などを具体的な方策として位置づけられ、現在、支援拠点の基本構想の策定を進められていると伺っております。
 そこで知事にお伺いいたします。
 地域共生社会の実現に向けて、リハビリテーションの果たす役割が拡大している一方で、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、その役割も変化しているのではないかと考えますが、今後のリハビリテーションの充実についてどのようにお考えでしょうか。
 また、これらの課題への対応を踏まえ、現在策定中の総合リハビリテーション拠点基本構想において、拠点施設の整備についての御所見をお伺いいたします。
 次に、都市農業の振興についてお伺いいたします。
 都市農業は、生産地が消費地に近い利点を生かして、新鮮な農作物を提供する機能のほか、雨水の保水や生物の保護といった「国土・環境保全」としての機能、住民の生活に安らぎや潤いをもたらす「緑地空間」としての機能、都市住民の身近に存在することから「都市住民の農業への理解醸成」としての機能、災害時における延焼の防止や地震時における避難場所といった「災害時の防災空間」としての機能など、多様な公益的機能を有しています。
 加えて、京都府においては、京料理をはじめとする京の食文化を支える京野菜や京たけのこ、宇治茶など伝統ある高品質な食材の提供について、都市農業が一翼を担っています。
 こうした都市農業の役割が近年、再評価され、国では法整備も行われ、2015年に都市農業振興基本法が策定され、都市農業の重要性が法的に位置づけられるとともに、翌年に同法に基づく都市農業基本計画が策定され、都市農業の位置づけを「宅地化すべきもの」から「都市にあるべきもの」ヘと大きく転換されました。
 都市農業は、農業経営の面では消費地に近いという条件を生かし、消費者ニーズを把握しつつ野菜などを中心に多種多様な作物を栽培し、安定した販路を確保できるという利点がある一方で、住民と共存するため、農作業時の騒音や農薬の散布、農機具に付着した泥による道路の汚れなど、より配慮した農業活動が求められています。
 さらに、担い手の減少に伴う後継者不足や近年頻発する自然災害、長期化するコロナ禍への対応、今般の燃油・肥料等の価格高騰など、農業共通の課題にも直面しています。中でも、燃油・肥料等の価格高騰は、都市農業の特徴である施設栽培による農業経営を圧迫している状況も見受けられます。都市農業では、限られた農地面積で収益を確保するため、ビニールハウスなどを使用し作物を生産する施設園芸が多いですが、冬場も出荷される農業者はハウス内の加温に重油や灯油を燃料として使用されており、その影響が大きいと伺っております。
 これまでから京都府は、国の事業も活用しながら対策を講じていますが、農業者へのきめ細やかな支援が必要ではないでしょうか。
 燃油価格高騰対策としては、価格高騰時に補填金の交付を受けることのできる国のセーフティーネット対策があります。補填金は農業者と国で負担する基金を財源としますが、補填が発動しない年は農業者に負担金が戻ってくる上、農業者と国の負担割合が1対1で国が半分を負担する制度となっているため、農業者にとってもメリットの多い制度と言えます。しかしながら、農業者からは、「個人でも加入できるようにしてほしい」、また「申請などの事務が煩雑である」といった声もよく伺います。
 そこでお伺いいたします。
 燃油・肥料価格の高騰が生産コストを押し上げ、施設園芸をはじめ都市農業に大きな影響を与えている中、農業経営が継続されるよう京都府としても農業者に寄り添った支援の充実をさせる必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 また、中長期的な視点として、都市部の農地の維持や活用についても懸念する状況があります。具体的には、生産緑地の指定が切れ、農地を相続された方が相続の問題に直面するなどにより農地を手放さざるを得ない状況となり宅地化が進むといういわゆる「2022年度問題」については、特定生産緑地制度により約9割が農業利用を継続されたことになったものの、従来から顕在化している後継者不足の問題や厳しい情勢がある中で、都市農業の維持についても課題があります。
 さらにお伺いいたします。都市農業が持つ多様な公益的機能を維持し、持続的にその機能を発揮させるためには、都市農地を守り活用していくことも重要と考えますが、この観点で今後の都市農業対策の展望についての御所見をお伺いいたします。
 まずはここまでの御答弁を求めさせていただきます。

◯議長(菅谷寛志君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 平井議員の御質問にお答えいたします。
 リハビリテーションの充実についてでございます。
 高齢化が急速に進展する中で、病気、けがなどにより身体機能に障害が生じる方が増加する傾向にございます。こうした方々が住みなれた地域で安心してその人らしく生活していただくためには、リハビリテーションの提供体制を一層充実させることが重要だと考えております。
 リハビリテーションの充実に係る課題につきましては、病気やけがなどによる運動障害からの機能回復に加えまして、重症心身障害のある方や医療的ケア児の生活支援等に係るリハビリテーション、失語症などの脳機能の障害からの機能回復や生活就労支援に係るリハビリテーション、加齢やコロナ自粛等に伴う外出機会の減少により身体機能が衰えるいわゆるフレイルの予防など、社会情勢の変化等に伴うリハビリテーションニーズの多様化に的確に対応していくことが重要となっております。
 また、議員御指摘のように、少子化により現役世代の人口が減少する中、リハビリテーションを支える人材の確保・育成、発症直後から退院後の在宅生活の支援までを継続して行うための病院と施設・在宅との連携体制の構築なども、重要な課題であると考えております。
 京都府におきましては、これらの課題に幅広く対応できるよう総合リハビリテーション支援拠点の整備を検討しており、今年度は、拠点に求められる機能の方向性を基本構想として取りまとめることとしております。
 拠点に整備する機能につきましては、多様化するリハビリテーションニーズなどを踏まえまして、高齢者や障害のある方の在宅生活の支援等につながるリハビリテーションの提供、市町村の介護予防事業への支援、医師やリハビリテーション専門職、看護師等の医療従事者に対する卒後教育、先進事例を府内の各機関に情報提供し取組の横展開を図るなどの府内リハビリテーション提供施設への支援などの機能が必要だと考えているところでございます。今後は、施設の規模や機能などをより具体化し、基本計画として取りまとめたいと考えており、今定例会に策定のために必要な予算を提案しているところでございます。
 引き続き、住みなれた地域での生活を希望される高齢者や障害のある方などを支え続けられるよう、リハビリテーションの推進を図ってまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。

◯議長(菅谷寛志君) 水口農林水産部長。
   〔農林水産部長水口裕一郎君登壇〕

◯農林水産部長(水口裕一郎君) 都市農業における施設園芸の振興についてでございます。
 都市農業で多く見られます施設園芸は、施設整備や燃油等の生産コストが高い一方、作物の生育に適した環境を整えることで高い生産性を実現できる特徴がございます。府内におきましても、トマトやイチゴ、花卉などの高収益品目が1年を通して栽培されております。
 こうした施設栽培では、加温などの環境整備を行うことから、生産費に占める燃料費の割合が高く、中でも出荷期間の延長や冬季の高単価での出荷を目的とする加温栽培においては、燃油を多く使用するため、今般の価格高騰による影響を大きく受けております。
 こういった加温施設農家の経営安定を図るためには、国と農業者が折半で原資を積み立てた上で、価格高騰分を補填するセーフティーネット制度の活用に加え、価格高騰を克服できるよう栽培システムの省エネ化等の推進が必要と考えております。
 京都府といたしましては、府内の加温施設農家のセーフティーネット制度への加入が約3割にとどまっている状況を踏まえ、課題となる3戸以上の組織で申請することとされている加入要件の緩和や事務手続の簡素化を国に要望するとともに、改めて農業改良普及センターが制度の有利性を丁寧に周知し、加入促進を図ってまいります。
 栽培システムの改善につきましては、施設内の保温効果を高めるための二重カーテンや空気循環用の送風機の活用、さらには省エネ化のためのヒートポンプなどの導入が効果的であることから、こうした取組を支援するための予算案を今定例会に提案しているところでございます。
 併せて、資材全体の価格高騰が長期化する中、経営の安定化を図るためには、販売力の強化も重要であることから、ブランド力の向上やECサイトを活用した販路の多角化などの取組も支援してまいります。
 次に、都市農業における農地の維持・活用についてでございます。
 都市農業における農地は、農産物の生産に加え、環境、教育、福祉などの共生社会の実現に向けた多様な機能を有しておりますが、高齢化や後継者不足などにより、農地を維持・活用することが難しくなってきております。都市農業を持続的に発展させるためには、若い担い手や新規就農者など次世代へ農地を継承していくとともに、農産物の生産・販売だけでなく、観光や体験農園など農地活用の多様化を進めていくことが重要と考えております。
 先般改正されました生産緑地法等では、自ら農業を行うだけでなく農地を貸し付けた場合であっても税制の優遇措置が受けられ、農地の流動化を進めやすくなったことから、今後は関係機関と連携してマッチングを進め、後継者に加え、新規就農者や規模拡大を目指す農業者に農地を集積し、都市農業の活性化を図ってまいります。
 また、都市近郊は交通の便などの利便性が高く集客が見込めることから、農業生産に限らず他産業からの参入も促進し、市民農園などのビジネスモデルの構築や福祉農園などの農福連携による地域共生の実現に向けても支援していまいりたいと考えております。
 今後とも、都市農業の利点を生かした収益性の高い農業の推進と他産業との連携等による農地の有効活用を図ることで、都市農業を次世代に継承してまいりたいと考えております。

◯議長(菅谷寛志君) 平井斉己議員。
   〔平井斉己君登壇〕

◯平井斉己君 御答弁いただきました。
 まず、リハビリテーションのコメントをさせていただきます。いわゆる福祉や介護を地域に返していこうということが国の方針で、これは大切なことなんですが、一方で、やはり抱える地域であったり家族というのは、なかなかその態勢が整っていない現状とどうすり合わせていくかということがあります。そこにはリハビリを手伝える人材育成がまだまだ足りないということで今回質問させていただき、知事のほうも総合計画の中でしっかり位置づけるということで、これから策定をしていただくんですが、その状況もしっかり見ていただきたいと思います。
 さらに、都市農業の関係でありますが、これもよくお聞きさせていただくのはいわゆる2022年問題で、国も調査をすると約8割から7割ぐらいの国民が、実態調査では「農地があったほうがいい」という答えはするものの、実際に営業される方、事業される方というのは、やはり後継者をどうつくっていくかということ、このまま、続けられるかという不安を抱えておられます。その辺りであえて質問させていただきましたので、今後もそのあたりは十分御支援いただきますよう、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、時間の関係がありますので、質問を続けさせていただきます。
 最後に、「教育環境日本一」に向けた今後の施策展開について、教育長にお伺いいたします。
 去る12月定例会におきまして、今後の府政運営の羅針盤となる京都府総合計画が改定されました。「安心」「温もり」「ゆめ実現」の3つの視点に基づく「あたたかい京都づくり」に向け、本年4月から新たな府政運営が始動しようとしております。
 総合計画の将来構想で掲げた将来像の実現に向け、8つのビジョンとそれらを支える基盤整備に基本計画を推進するとされていますが、今回、私もその8つのビジョンの中でも特に「子育て環境日本一・京都の実現」の視点から、大きな柱とも言える「教育環境日本一」に向けた今後の取組の展開についてお伺いいたします。
 さて、この間の私の議員活動を振り返りますと、教育分野の活動を重点的な柱と位置づけ、誰一人取り残されることなく全ての子どもが明るい未来を手にすることを目指し、施策の充実を訴えてまいりました。IRT・CBTの活用をはじめとする学力向上に向けた取組、時代の変化に応じて社会を確かに生き抜くための非認知能力の育成、学校・地域・NPOと連携した協働教育の充実、人権教育の充実、インクルーシブ教育の充実など、本会議をはじめ所管の委員会などあらゆる機会において数多くの質問、要望をさせていただいたところです。
 こうした中、京都府教育委員会におかれましては、2021年3月に第2期京都府教育振興プランを策定され、プランの中でもこうした要望事項を数多く盛り込んでいただき、府立学校におけるコミュニティースクールの全校導入や2023年度からはIRT・CBTの本格実施をはじめ、様々な教育施策の充実・実現をこれから求められることに感謝申し上げたいと思います。
 さて、冒頭に申し上げましたように、本年4月からは新たな総合計画が始まります。深刻な少子化、いじめや不登校の児童生徒の増加、子どもの貧困、コロナ禍で急速に進展したデジタル社会への対応、さらには急激な物価高騰に伴う家計の負担の増加など、子どもたちを取り巻く環境が変化する中で策定された総合計画には、教育振興プランの記載にもなかった新たな取組も盛り込まれ、時代の変化に対応した新たな教育施策が展開されることを期待するところです。
 また、府教育委員会におかれましては、今年度から懇話会を設置し「府立高校の在り方ビジョン」の具現化を着手されました。子どもたちが、京都で学びたい、府立高校で学びたいと思えるような未来に向かって生き生きと学ぶことのできる高校づくりを目指して、その魅力づくりにぜひとも取り組んでいただきたいと思います。
 西脇知事が掲げる「子育て環境日本一」を目指す上でも、教育分野はまさに本丸であり、欠かせない柱であり、教育振興プラン、そしてその上位計画にある総合計画、この2つの計画が相乗効果を発揮し、それらを進捗させていくことが、京都府の未来をつくり上げる源にもなると考えます。
 そこで、教育長にお伺いいたします。
 第2期京都府教育振興プランは、今後、「目指すべき人間像」として「めまぐるしく変化していく社会において、変化を前向きにとらえて主体的に行動し、よりよい社会と幸福な人生を創り出せる人」。「はぐくみたい力」として、「主体的に学べる力、多様な人とつながる力、新たな価値を生み出す力」を目指し策定されております。このプランの策定後、約2年が経過し、今、振り返っていただき、代表的な成果と今後の取り組むべき重点的な課題について、教育長の御所見をお聞かせください。
 また、教育委員会におかれましては、よりよい環境づくりに向け、これまでから子どもの目線で子どもたちを中心の様々な施策を展開されてこられましたが、この2年間で見えてきた課題に対応していくため、そして今回の総合計画の策定を踏まえて、「子育て環境日本一」「教育環境日本一」の実現に向け、今後、どのように取り組んでいこうとされているのか。今後の展望も含め、2023年度から具体的な重点的に取り組む施策の思いをお聞かせください。
 子どもたちは社会の宝であり、未来を創り上げる、かけがえのない存在です。親だけではなく、学校や地域をはじめ社会全体で子どもたちを育て、支える社会づくりが必要です。子どもたちが、親の収入や生まれた環境に左右されず、誰もが安心して教育を受け、成長でき、また未来に希望の持てる社会の実現に向けての取組についてお答えいただきたいと思います。

◯議長(菅谷寛志君) 前川教育長。
   〔教育長前川明範君登壇〕

◯教育長(前川明範君) 平井議員の御質問にお答えいたします。
 教育環境日本一に向けた今後の施策展開についてでございます。
 議員御紹介のとおり、第2期教育振興プランの「目指す人間像」に「めまぐるしく変化していく社会において、変化を前向きにとらえて主体的に行動し、よりよい社会と幸福な人生を創り出せる人」と掲げ、どんな状況の中でも前向きに力強く学校生活を送ってほしいとの思いを込めたところでございます。
 また、初めて学校の長期休業を経験する中で、非常時にあっても子どもたちの学びとつながりを保障することについて、プランを牽引する「教育環境日本一プロジェクト」に位置づけ、この間、様々な取組を進めてまいりました。
 その主な成果といたしましては、まず、コロナ禍において様々な制約がある中、学校現場での創意工夫ある指導に加え、スクールカウンセラーやまなび・生活アドバイザー等の設置によるケア体制の充実により、子どもたちの学びとつながりを継続することができ、総体として全国と比べ学力が高い水準を維持することができました。
 また、児童生徒の1人1台タブレット端末の整備を進め、非常時においても学びとつながりを保障できる体制を構築するとともに、「京都府デジタル学習支援センター」を開設し、ICTを活用した学習の支援や人材育成を進めたことにより、授業におけるタブレット端末の活用率は全国上位となっているところでございます。
 そして、府立高校を取り巻く状況変化を踏まえ、その目指す方向性や将来像を示す「府立高校の在り方ビジョン」を昨年3月に策定し、その具現化に向け、現在「魅力ある府立高校づくり懇話会」で各方面から御意見を伺うと、新しい時代を見据えた府立高校づくりに向けスタートしたことでございます。こうした成果については、外部委員による教育振興プランの評価会議におきましても、高い評価をいただいているところでございます。
 一方で、新たな課題も浮き彫りになってきており、コロナ禍が長引く中、不登校児童生徒が増加傾向にあることを大変危惧しており、また全国的に教員不足が叫ばれる中、特に府北部地域においては深刻な状況にございます。さらに、昨今、教育を取り巻く課題は複雑化、多様化してきており、これまで以上に個々に応じた柔軟な対応が求められているところでございます。
 このため、令和5年度におきましては、地域課題に柔軟に対応する市町村を支援する「子どもの教育のための総合交付金」の創設、ICTを活用した新しい「京都府学力・学習状況調査」の本格実施、不登校児童生徒に対するスクールカウンセラーの派遣回数の拡充やオンラインによるカウンセリングの導入、北部地域の教員確保に向け、北部勤務を条件に大学時代の奨学金返済を支援する制度の創設等の新規施策について、今定例会に提案している予算案に盛り込んだところでございます。
 府教育委員会といたしましては、市町村教育委員会をはじめ保護者や地域の方々、NPOや外部人材としっかりと連携し、京都で学んでよかったと思ってもらえるよう「教育環境日本一」を目指して全力で取り組んでまいります。

◯議長(菅谷寛志君) 平井斉己議員。
   〔平井斉己君登壇〕

◯平井斉己君 御答弁いただきました。
 まず、教育振興プランですけれども、とりわけ2023年度、来年度からIRTやCBTを。いわゆる設問を多角的に判断するIRT、さらにはCBTというのはインターネットを通じて試験をするということで、これはこれでいいことなんです。ある意味では、教員の方の技術、あるいは時間的な問題も含めてサポートできるのならいいんですけれども、あくまでもそれはツールでなければならないと思っています。学校や子どもたち、生徒を判断あるいは評価するための一つのツールであって、そこで乗り越えていただくために、私はこの間お伝えさせていただいている力、生き抜く力であったり自分で判断できる力の子どもをどう育てていただけるかというところを一番の視点に置いていただきたいと思います。これが、教育で力を築くことが必ず府民の生活向上にもつながりますし、教育委員会の大きな使命だと思います。
 とはいえ、デジタル社会は避けられない話でどんどんさらに進んでいきますけれども、我々もついていかなければならないんですけれども、その辺りの力というんですかね。例えば外国ではインターネットを判断するのは、まず疑いから始まると。どうしても我々もすぐ調べてしまうんですけれども、ここが間違っているかどうかも調べることで自分の能力を高めるという教育があります。これも大切なことだと思いますので、疑うことがいいというのではないんですけれども、こういう力をやっぱりつくっていただくことが、これから目指していくための教育だと思いますので、さらなる取組をお願いしたいと思います。
 いろいろと質問させていただきましたが、今期、私も最後の質問になりました。今後とも私たちは、西脇知事に寄り添いながら京都府民の生活向上に向けて取り組んでまいりたいと思います。
 これで質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)