1 103万円・106万円・130万円の壁と人手不足について

2 持続可能な河川管理と維持について

3 北陸新幹線の敦賀延伸に伴う京都が活性化できる交通政策について

4 その他

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◯梶原英樹君 府民クラブ京都府議会議員団の梶原英樹です。さきに通告しております数点につきまして、西脇知事並びに関係理事者に質問いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、103万円・106万円・130万円の壁と人手不足についてお尋ねいたします。
 主婦がパートで働くときに一体幾らまで働くのが得なのか、よく耳にするこの数字の壁。一体本当はどれが一番得なのでしょうか。そもそも何の壁なのでしょうか。この3つの数字は税金と社会保険の両方が入り混じった数字になっており、大変難しい制度なので、まずはそれぞれについて説明をいたします。
 最初に103万円の壁についてです。
 103万円を超えると、所得税の納税義務が生じます。増えた所得に対して課税されるため、夫婦の手取り額がマイナスになることはありませんが、気になるのは配偶者の会社から出ている扶養手当が103万円を超えたら支給されなくなるというケースです。仮に月1万5,000円支給されているとすると、1年で18万円になります。被扶養者の収入が103万円以内に収めたら18万円もらえるのに、104万円であれば家族の手取りが17万円減ってしまいます。これは大きなマイナスです。
 次に、106万円と130万円の壁です。
 一定規模以上の会社でパートをすると、年収106万円以上で社会保険に加入することになります。仮に該当する会社で年収108万円、月額にすると9万円の給料だとすると、健康保険・介護保険料が5,100円、厚生年金の保険料が8,052円となり、合計で1万3,152円、年間約16万円の負担になります。収入108万円に対して約16万円の社会保険料を引くと、手取りは92万円になってしまいます。一定規模に当たらないところでパートをし、年収が130万円以上になると、自分で国民年金と国民健康保険に加入することになり、一月当たり約2万円、年間にすると約24万円の社会保険料の負担になります。130万円未満なら扶養者の範囲なので、この約24万円は支払わなくてもよい金額です。131万円の収入だと、手取りが107万円になり、かなり損をした感じがします。
 これらを「103万円・106万円・130万円の壁」と世間でよく言われています。
 さて、今年の10月から京都府では最低賃金が31円引き上がり、968円となりました。それに加え、10月以降、短時間労働者に係る被用者保険(健康保険、厚生年金保険)が企業規模501人以上から101人以上に適用拡大になるため、週20時間以上、月額にすると8万8,000円、年収で約106万円以上働く労働者は保険料負担が生じることになりました。被用者保険の拡大により、月収8万8,000円以上の所得があり、国民年金保険料を月約1万7,000円納めている非正規雇用の方は、厚生年金に移ると、労使折半になりますので、本人負担は月8,000円余りで済みます。それに加え、将来の給付は基礎年金の1階部分に厚生年金の2階部分が上積みされるので増え、また障害年金や遺族年金も手厚くなり、健康保険もセットで加入するので、傷病手当金など、医療の保障も充実することになり、大変よい一面もある一方で、公務員の夫または妻に扶養される主婦(主夫)パートでは事情が異なり、保険料を負担しなくても老後に基礎年金が受け取れますが、厚生年金に入れば新たに保険料が生じます。
 このように制度が複雑で分かりにくく、私が住む山科区内のパート労働者の方や働く者の立場に立つ連合京都の組合員の皆様からも「最低賃金は上がっても所得の壁が変わらないから年間所得は上がらない」「今は子育てや教育にお金がかかるので、保険料の負担で所得が少しでも減るのはつらい」「もっと働きたいけれども、制度が複雑で損をする気がする」などの声をお聞きしており、制度の周知が行き届いておらず、多くの労働者が不安を覚えていると思われます。また、パート労働者を多数抱える企業の経営者からも「最低賃金が上がるため、保険料負担が発生しないように月収8万8,000円を超えないようにしている」「103万円・106万円・130万円未満に抑えるパート労働者が多くて人手不足に陥った」などの声も寄せられています。
 そこでお尋ねいたします。
 非正規雇用の女性の方々は、男女共同参画白書によると、全国で1,404万人、そのうち有配偶女性は907万人いらっしゃると言われています。直近のシンクタンクの調査では、有配偶パート女性の6割以上が年収を一定以下に抑える就業調整をしておられ、そして就業調整をしておられる方々の8割近くが働き損にならないなら今より多く働くことを希望されておられます。就業調整に係る年収の壁について労働者の理解を促すことが不安感を解消し、選択肢を増やすことにつながることから、労使一体となって制度の周知をする機運醸成が必要かと考えますが、本府の御所見をお聞かせください。
 また、企業の人手不足の対策や労働者が働きやすい環境整備が一層必要になると考えますが、本府はどのように取り組んでおられますか。また、会社などに出向いてアウトリーチ型の支援が必要かと思いますが、どうでしょうか。
 そして、特に女性の就業調整に係る年収の壁が女性の社会進出を妨げ、労働力不足の一因とも指摘されておりますが、本府としてどう対応されますか。御所見をお聞かせください。
 次に、先ほどから河川関連の質問が続いておりますが、私からは持続可能な河川管理と維持についてお尋ねをさせていただきます。
 国交省の資料によると、直轄河川の維持修繕費は2010年に約740億円でありましたが、年々増加しており、2020年には1,000億円を突破いたしました。維持修繕費のうち8割以上が維持費で、3分の1が除草費用となっております。
 国土交通省の河川砂防技術基準に除草についての基本的な考え方が示されています。「堤防のり面等に草丈が高く根が深い雑草が生い茂ると、土壌の緊張力低下や腐植土化により堤防表層が弱体化して、のり崩れ、ひび割れ、陥没等の誘因になる場合があることから、堤防の強度を保持し、雨や流水等による浸食やのり崩れ等の発生を防ぐため、堤防点検等の環境整備とともに堤体の保全のために必要な除草を行う」とされ、大河川では年2回を基本に除草を行い、中小河川では大河川の考え方を参考に頻度を設定するとされています。
 また、国交省は、河川の維持、河川環境の保全など、河川管理につながる活動を自発的に行っている民間団体等を「河川協力団体」として法律で位置づけ、河川管理者と河川協力団体がコミュニケーションを図り、地域の実情に応じた河川管理の充実を目指す取組が近年進んでおります。河川事務所、自治体、河川協力団体の三者協定による取組も加速度的に進んでいます。
 新潟県燕市分水町のNPO法人「分水さくらを守る会」は、信濃川河川事務所長、燕市長との三者協定に基づき、ボランティア・サポート・プログラムとして住民参加型の河川管理である除草ボランティア活動を行っています。青森県八戸市の「水辺の楽校まべち」では、馬淵川の環境保全を行う河川協力団体として登録され、三世代が協力して川の文化を次世代に継承することを目的に、川沿いの親水空間で児童・親子を対象に水辺の自然と触れ合う体験学習などを行い、河岸の整備・清掃・草刈りなどを実施するなど、総合的な環境学習と川での災害対応や安全対策を進める活動がなされています。そのほか、愛知県は2005年から愛知コミュニティーリバー推進事業として地域住民団体等への草刈り作業を委託、富山県は1970年代から沿川の町内会などに県管理河川の堤防等の草刈りをお願いし、その活動に対して報償費を支払う堤防草刈り制度を設け、約600団体が登録をされ、住民2万9,000人が参加して草刈りを行い、環境美化のほか、社会が明るくなる取組につながっているとのことです。
 そこでお尋ねいたします。
 本府の中丹東土木事務所ではシルバー人材センターへ除草作業を委託、南丹土木事務所では地元自治会等が実施する環境事業と河川の除草を一体的に行う効率的な地域の環境整備が図られているところですが、ほかの自治体の取組を参考に、NPOや団体の支援、町内会、自治会等の地域団体による草刈りを支援し、河川の維持修繕費の抑制だけでなく、地域への愛着が醸成され、近所付き合いが深まるような取組が今後重要になると考えますが、いかがでしょうか。
 続いて、刈り草の有効活用についてお尋ねいたします。
 国交省は、全国の直轄河川で堤防除草により発生した刈り草を畜産農家へ提供する取組を行っています。例えば新潟県立高田農業高校では、ヤギとヒツジを利用した堤防除草試験として電気柵で囲った縦30メートル・横15メートルの区画で1日6時間放牧し、草を食べ尽くしたら区画を移動させていく取組が行われ、刈り草を家畜の飼料としての有効利用と家畜を使った除草を実施されています。
 河川堤防の草は農薬や化学肥料の散布が行われていないため、天然資源として有用とされています。刈り草を堆肥などの資源として利用し、持続可能な社会をつくるための取組を進めていく必要があるのではないでしょうか。本府の御所見をお聞かせください。
 最後に、北陸新幹線の敦賀延伸に伴う京都が活性化できる広域的な交通政策についてお尋ねいたします。
 北陸新幹線は、東京から北陸を経由して大阪までの間、全長約700キロを結ぶ整備新幹線で、現在は東京から金沢間が開通しています。今回の質問では、2023年度末の完成に向け、工事を進めている金沢から敦賀間の開業に伴う広域的な交通政策について質問をさせていただきます。
 先日、京都から北陸を結ぶ在来線特急サンダーバード号に乗車をしてまいりました。車窓からは着々と進む工事現場が見えてきて、関係者からも順調に進んでいると耳にしており、ようやく1年半後の2024年春に金沢から敦賀間が開業する予定となっています。福井県や石川県の住民をはじめ、関係者から大変心待ちにしているという声が新聞やメディアで報じられ、北陸圏と交流が深い本府としても期待が高まっています。
 ただ、敦賀延伸に伴う懸念事項もあります。我が府民クラブ京都府議会議員団は、北陸新幹線延伸に伴う京都と北陸圏の連携について福井県議会議員の方々と意見交換をさせていただきましたが、特に話題になったのは特急サンダーバードの行き先と北陸新幹線の乗り継ぎです。
 これまで福井県は、敦賀駅で乗換えになることによる利便性低下が懸念されることから、JR西日本に対して敦賀延伸後も従来どおりに特急列車を大阪・京都から北陸線に乗り入れるように要望してきたところですが、2021年6月11日、福井県知事は定例会見で、敦賀延伸後、北陸線での特急列車の存続断念を発表いたしました。
 現在は、大阪、京都や名古屋、米原から福井、金沢へと特急サンダーバードや特急しらさぎで結ばれていますが、北陸新幹線が敦賀まで延伸されれば、敦賀より北の北陸線はJR西日本から分離されるため、敦賀が終点となり、そこからは北陸新幹線に乗り換えることになります。敦賀延伸により京都から金沢間が約25分も大幅に短縮されるとはいえ、今まで乗換えなしで京都駅まで来れていただけに、のんびり列車に乗って京都まで行きたい、あるいは乗換えがあると不安に思う方も多いと耳にしております。北陸の方は京都や大阪に対して心の距離が遠くなり、乗換えなしで行ける甲信越や首都圏に需要が流れ、関西方面からの観光客誘致にはマイナス面もあると、意見交換をした福井県議会議員も述べていたところです。
 そこでお尋ねいたします。
 北陸地方から京都に来てくださる観光客が、北陸新幹線の敦賀延伸に伴い、一部に乗客の需要が減るという声がある中、開業後の京都-北陸間の利便性確保についてどのようにお考えでしょうか。
 京都の観光需要を守ることや関係人口を伸ばすためには、関西で広域的な連携も重要かと考えます。
 半年後、2023年の春には大阪駅の一部となる「うめきた(大阪)地下駅」が開業をいたします。この駅の開業後は、関西空港へのアクセスが大きく強化されるとともに、この駅を通るルートでサンダーバードを関西空港まで運行させることが可能になります。つまりは、敦賀から京都・大阪経由、関西空港行きの特急列車が実現可能となるわけです。敦賀から関西空港を結ぶ特急列車ができれば、北陸の方は、小松空港があるとはいえ、中部セントレア空港ではなく、関西空港を選択する方も増えると思われ、関西全体での発展につながると考えます。
 また、京都市内中心部の観光地では、観光客でバスの車内が満員になり、住民や学校に通う子どもが乗車できない事例がコロナ禍でも起きていると耳にしております。これらの問題を解決するには、鉄道で最寄り駅まで向かっていただく導線をつくることも大きな効果が出る対策だと考えます。
 山科駅は地下鉄東西線、京阪京津線、JR琵琶湖線、路線バスが出発するターミナル駅であります。山科駅にサンダーバードが停車すれば、京都観光の第二の玄関口となり、観光客の分散化を図ることができます。もっと多くの方に京都の魅力を知っていただきたいですし、もっと多くの方に、ストレスなく、コロナ禍でも安心・安全な旅行をしていただきたいと考えます。
 そこで御提案ですが、北陸新幹線の敦賀延伸を契機に、サンダーバードを関西空港まで延伸することを鉄道事業者に求めるとともに、山科駅にサンダーバードを停車させることを要望し、京都観光の第二の玄関口にしてみてはどうでしょうか。
 さらに、敦賀延伸に伴う開業効果を高める取組として、2024年秋から新たな観光列車として敦賀から京都北部を経由して兵庫県の城崎温泉までのルートを結ぶ列車の運行が予定されています。
 11月24日、我が会派は西九州新幹線開業に伴う地域活性化の取組を調査してまいりましたが、西九州新幹線の駅からは、有明海や大村湾の風景や、地域のおいしいものが車内で食べられる特急「ふたつ星4047」や島原半島の魅力が堪能できる「カフェトレイン」の運行が開始され、利用者の増加、地域のにぎわいも大きなものとなり、大成功していると関係者からお聞かせいただきました。
 西九州新幹線開業に伴う観光列車の事例をお聞きになればお分かりのとおり、敦賀延伸に伴う新たな観光列車が走れば、京都北部の魅力をより多くの方に知っていただく大変よい機会になることは間違いなく、公共交通の維持の観点からも本当にすばらしい取組になると期待をせざるを得ません。新しい観光列車は地域に夢を与え、人を運ぶだけでなく、心も運ぶでしょう。舞鶴市、宮津市、京丹後市、主要駅にはぜひ停車をしていただきたい、地域の発展につなげていただきたいところですが、西九州新幹線の好事例を踏まえてどのように本府は関わっていくのか、御所見をお聞かせください。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

◯議長(菅谷寛志君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 梶原議員の御質問にお答えいたします。
 年収の壁と人手不足についてでございます。
 年収が一定の基準を超えると、税や社会保険の支払いにより実質的な収入が減少するため、働く時間や日数を調整する、いわゆる年収の壁による就業調整が女性の活躍を妨げている要因の一つとなっております。
 全国知事会でも、就業者の多様な属性に配慮しつつ、働く女性の意欲を促進し、働き方やライフスタイルの選択を阻害しない制度となるよう、不断の見直しを行うことを国に要望しており、現在、国において社会保障制度や税制等の検討が行われております。
 現行制度は、世帯主・扶養者の収入や社会保険、税金、家族手当などが関係しており、複雑で分かりにくいものとなっていることから、働き方の選択肢を増やし、安心して働いていただくためには、誰もが正しく制度を理解できるよう、労働者・使用者双方に正しい知識を持っていただくことが重要でございます。このため京都府では、労働者向けに年収の壁や配偶者扶養の仕組みを分かりやすく解説するセミナーを開催いたしますとともに、使用者に対しても、社会保険の適用拡大への理解を促進し、適切に対応していただくためのオンライン講座を開催しているところでございます。
 今後は、SNSなども活用して、大学生など若い世代も含めた幅広い年齢層への広報に努めますとともに、例えばパート労働者の多い業界や労働団体とも連携して、社会保険労務士による出張相談会や事業所訪問を実施するなど、より積極的な制度周知を行ってまいりたいと考えております。
 企業の人手不足対策につきましては、平成23年に中小企業人財確保センターを創設し、中小企業の魅力発信やマッチングの場の提供などを通じて中小企業の人材確保を支援してきたところでございます。さらに本年度から、「府民躍動 雇用応援★夢プラン」に基づき、マッチング支援や求職者のスキルアップを図り、企業が求める人材を育成・提供することで人材確保を支援しているところでございます。
 今後、少子高齢化や人口減少によるさらなる人材不足に対応するためには、女性や高齢者、障害者などの多様な人材がそれぞれの能力を存分に発揮し、活躍できる職場環境を整備することも必要となります。
 京都府におきましては、子育てにやさしい職場づくりは誰もが働きやすい職場づくりにつながるものと考え、主に女性に働き続けていただくためにアウトリーチ型支援を実施してまいりました。具体的には、子育て企業サポートチームが企業を訪問し、働きやすい職場づくりに向けた意識づけを行いますとともに、「中小企業人材確保・多様な働き方推進センター」や社会保険労務士等が多様な働き方を推進する補助制度の活用を企業に働きかけ、職場環境の整備を促進しているところでございます。
 今後とも、企業が必要な人材を確保できるよう、アウトリーチ型支援を含め、誰もが働きやすい職場環境の整備を全力で推進してまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。

◯議長(菅谷寛志君) 益田府民環境部長。
   〔府民環境部長益田結花君登壇〕

◯府民環境部長(益田結花君) 女性の就業における年収の壁についてでございます。
 本年6月3日に決定された「女性活躍・男女共同参画の重点方針2022」において、女性の視点も踏まえた社会保障制度・税制等の検討として、1点目に就業調整を選択する人を増やしているのではないか、2点目に配偶者の経済力に依存しやすい制度は、男女間賃金格差も相まって、女性の経済的困窮に陥るリスクを高める結果となっているのではないか、3点目に分配の観点から公平な仕組みとなっていないのではないかという主に3つの観点から、内閣府をはじめ、関係府省において検討を行うとされております。
 国においてこうした検討が始められておりますが、京都府といたしましては、例えばマザーズジョブカフェにおいて、子育てをしながら働きたい女性など、それぞれのニーズやライフスタイルに応じた就業支援を行っているところでございます。
 今後とも、多様化している女性の人生や家族の姿、働き方を踏まえつつ、在宅ワークや時差出勤などの導入によりワーク・ライフ・バランスを推進し、誰もが自分の希望に応じた働き方が実現できる環境を整備してまいりたいと考えております。

◯議長(菅谷寛志君) 濱田建設交通部長。
   〔建設交通部長濱田禎君登壇〕

◯建設交通部長(濱田禎君) 河川の維持についてでございます。
 京都府では、京都府河川維持管理計画に基づいて河川の維持管理を行っており、堤防などが適正に機能を発揮しているかを確認するため、年1回を標準とした除草を実施しております。一方、沿川地域の方々からは生活環境面からの除草の実施について数多くの要望をいただいており、できるだけ多くの声にお応えするため、地元自治体やシルバー人材センターの方々などの御協力も得て、効率的な除草に努めております。
 また、全国各地で行政と協働した住民参加型の河川愛護活動が行われております中、京都府におきましてもNPOや自治会などの団体と協働した事業を進めているところでございます。
 京都市域を除く各土木事務所におきましては、市町村とも連携しつつ、平成17年度以降、「山城うるおい水辺パートナーシップ事業」や「南丹ふるさとの川愛護事業」などを通じて、ボランティアによる除草などの取組に対して用具・資材の提供やボランティア保険への加入などを支援してきているところでございます。また、京都市域につきましては、これまで「鴨川を美しくする会」をはじめとするボランティア団体の方々が河川美化に取り組まれてきたところでございますが、京都市域を担当いたします京都土木事務所におきましても、本年8月にボランティア活動を支援する京の魅力向上パートナーシップ事業を開始いたしました。
 このように河川愛護活動を支援する京都府の事業は府内全域に展開されておりまして、現在、111団体4,000人を超える方々に参画いただいているところでございます。
 今後とも、より多くの団体に参画いただけるよう広報活動に力を入れてまいりますとともに、こうした取組により、地域の方々の交流が活発化しつつ、より効率的な河川管理が実現するよう努めてまいります。
 次に、河川の除草により発生する刈り草の有効活用についてでございます。
 現在は刈り草の多くを一般廃棄物として処理しておりますが、一部を資源化する取組を進めているところでございます。除草業務を発注する際の業務仕様書において、可能な場合、刈り草の有効活用を求めております。例えば乙訓土木事務所では、刈り草を肥料に加工できる処分地を搬出場所に指定しております。また、南丹土木事務所では、刈り草を農家で受け入れていただき、堆肥などとして御利用いただいているところでございます。
 このように刈り草を廃棄することなく利活用することは、環境負荷の低減に寄与するとともに処分費の軽減にもつながることから、引き続き環境に配慮した河川管理に努めてまいります。
 次に、北陸新幹線の敦賀延伸に伴う広域的な交通政策についてでございます。
 まず、敦賀延伸後の利便性の確保についてでございます。
 北陸新幹線の敦賀延伸後、京都、大阪と北陸を結ぶJR特急サンダーバードが敦賀発着となります。敦賀駅では新設される北陸新幹線のホームの真下に在来線の特急車両が乗り入れる「上下乗換え」で整備が進められており、乗換時間を短縮する構造になると伺っております。
 また、敦賀延伸後の敦賀-大阪間の鉄道利用につきましては、国の交通政策審議会の需要予測において、新幹線の時間短縮効果等により、敦賀駅での乗換えが発生しても利用者数は1割強増加すると予測されているところでございます。
 京都府といたしましては、引き続き、JR西日本に対しまして、乗換えがよりスムーズとなるダイヤ編成など、利便性の向上を求めてまいりたいと考えております。
 次に、サンダーバードの延伸と山科駅停車についてでございます。
 この春に開業する「うめきた地下駅」をはじめといたしまして、今後、北陸新幹線の敦賀延伸、さらに「なにわ筋線」の開業が予定されており、これらの開業効果を京都府を含め関西全域に行き渡らせることが重要でございます。
 北陸新幹線の敦賀延伸に伴うサンダーバードの運行区間や停車駅といった運行計画の変更につきましては、現時点では決まっていないとJR西日本から伺っております。
 議員御提案の敦賀から関西空港までのサンダーバードの延伸はこれまでの人の流れを変化させ、またJRや京阪、地下鉄が結節する山科駅への停車につきましては、速達性への影響といった懸念はあるものの、京都駅の混雑緩和や京都府南部地域などへのアクセス性を向上させる可能性があるのではないかと考えられます。
 京都府といたしましては、府民の利便性向上が期待されるものであることから、サンダーバードの延伸と山科駅への停車をJR西日本に対して要望してまいりたいと考えております。
 次に、敦賀と京都府北部を結ぶ新たな観光列車についてでございます。
 北陸方面への観光列車につきましては、京都丹後鉄道においても「丹後くろまつ号」のJR小浜線への乗り入れを実施しております。予約開始直後に満席になるコースもあり、乗車された方からは「日常から離れ、特別な時間を過ごすことができた」との声をいただくなど、大変好評を得ているところでございます。
 JR西日本の新たな観光列車につきましては、列車名や停車駅、運行ダイヤ等の具体的な運行計画は検討中と伺っておりますが、京都府北部の魅力をより多くの方に知っていただく大変よい機会になるものと考えております。今後、沿線自治体や地域住民、海の京都DMOと連携し、停車駅のホームでの地域特産品の販売や歓迎イベント、観光スポットや御当地グルメ巡りといったツアーの企画など、訪れた方に京都府北部の魅力を堪能していただき、再度訪れたくなるようなおもてなしができるよう、準備を進めてまいりたいと考えております。
 京都府といたしましては、この観光列車の運行を、北陸方面のみならず、北関東・長野方面からの新たな広域周遊観光ルートを形成するチャンスと捉え、交流人口の拡大や地域振興につながるよう取り組んでまいります。