1 広域防災の取組について

2 京都産業の発展について

3 電動キックボードについて

4 その他

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◯北川剛司君 府民クラブ京都府議会議員団の北川剛司です。通告に基づき質問させていただきます。
 まず初めに、防災関連に関して質問させていただきます。
 私は、阪神淡路大震災を神戸市東灘区で経験しています。東灘区だけでも約5,000人近くの死傷者がおられました。何人の死傷者を崩壊した家屋から出したことか。このときの経験は忘れることができません。震災はいつ起こるか誰も分かりません。そのためにも、震災に対するリスクマネジメントが必要だと経験を通して痛感しています。都市伝説ですが、予知夢によって予言された方が本を出版されています。そこでは、2025年7月に大津波が発生し大きな被害を広範囲で引き起こすと話題になっています。そこで言われていますが、「信じるな。でも、疑うな」というように、万が一に備えて準備をしておかなければなりません。
 内閣府の中央防災会議は、科学的に想定される最大クラスの南海トラフ地震が発生した際の被害想定を実施しています。また、文部科学省の地震調査委員会は2022年1月、南海トラフ地震の40年以内の発生確率を90%としています。南海トラフ地震では、地震や津波による大きな被害が広範囲に予想されています。90%ですから、南海トラフ地震はいつ発生してもおかしくありません。今日、明日に発生する可能性もあります。いま一度、南海トラフ地震への備えを見直す必要があると思っています。
 今後40年以内の発生確率が90%とされている南海トラフ地震で、未曽有の巨大地震が起きたとき、西日本の太平洋沿岸部は広範囲で最大震度7の揺れと大津波に襲われ、東日本大震災をはるかに上回る被害が想定されています。最悪のケースでは、京都に他府県からの支援は来ないとされ、自衛隊や消防、緊急医療支援は、甚大な被害を受けた東海・九州の沿岸部に向かうことが予想されています。よって、相対的に被害が小さい京都や滋賀に、他府県からの応援は来ない可能性があります。西日本の物流は麻痺し、京都や滋賀でも食料や水、生活必需品が深刻な欠乏状態になるとされています。
 また、京都府内に関する発災のおそれが大きいのは、南海トラフ地震だけではありません。花折断層もそうです。花折断層は京都市を南北に走る活断層で、京都大学の辺りに存在するのは花折断層帯の南部の断層ですが、この断層の詳しいことはあまりよく分かっていません。平均活動周期──直下型地震が起こる周期は、数千年に一度程度ではないかと見られていますが、想定死者数約7,000人以上に上るとされ、30年以内の花折断層の発生確率はほぼ0%から0.6%とされていますが、リスクマネジメントに鑑みても、南海トラフ地震と併せて準備をしておく必要があります。
 そこで、南海トラフ地震による広域津波での災害に対して、関西の広域的な支援として京都府が実施できる効果的な物資分配方法に関し、お尋ねいたします。
 関西広域連合においても質問しましたが、関西広域連合においては、南海トラフ地震など大きな津波で広域災害が発生した場合、支援物資の集積分配については兵庫県の防災拠点において物資支援を行うとされていました。私としては、京都府の山城地域が広域的にもベストな防災拠点だと思っています。
 そこで、京都府としては、関西広域連合での役割として防災拠点をどう捉え、どのように貢献されようと考えておられるのか、お伺いします。
 次に、京都市において令和4年10月29日に花折断層での災害時における防災訓練を実施されましたが、花折断層が発災した場合、府庁も相当な被害が考えられ、防災本部も被害が想定されます。
 東日本大震災において岩手県では、ハブ方式で遠野市を防災拠点として、宮古市、山田町、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市などに対する広域支援部隊の一次集結・ベース、支援物資の集積・分配、災害医療支援、災害ボランティア活動支援などの役割を果たしたと聞いています。
 東日本大震災を参考に、交通の利便性が非常によい京田辺市の防災広場を移動式防災本部にするなど、太陽が丘運動公園での防災拠点を否定するものではありませんが、山城地域の道路網が整備されている中で、京都府の防災拠点を見直す時期に来ていると思うのですが、前の質問も鑑みて、京都府の防災の観点からどのように考えておられるのか、お伺いします。
 また、関西広域連合において、構成団体の防災担当職員の災害対応能力の向上を図るため、専門的な研修を実施しておられます。そこで、京都府としての受講者数などの現状はどのようになっているのでしょうか。また、災害時において、研修を受けた職員が効果的に配置され、発災時に機能するのか、効果性を検証されているのか、お伺いいたします。
 まずはここまでの答弁をお願いします。

◯議長(菅谷寛志君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 北川議員の御質問にお答えいたします。
 支援物資の集積・分配についてでございます。
 災害の規模が甚大で、国や全国各地から多くの支援物資が送られてくる場合などには、市町村に代わって府県が準備している1次物資拠点で受入れを行い、市町村や避難所に搬送することとなりますが、東日本大震災や熊本地震では、県の1次物資拠点が被災したことで支援物資の搬送が混乱し、被災者への供給が滞る事態が生じました。
 この教訓を踏まえ関西広域連合では、府県の物資拠点の代替拠点として基幹的物資拠点、いわゆるゼロ次物資拠点を設置し、迅速な市町村への物資供給体制の確立を目指すこととされております。このゼロ次物資拠点は、一定以上の規模・施設を有し、大規模広域災害時にも使用の可能性が高いことや、交通の利便性がよいことなどの要件を満たすことが必要で、現在、兵庫県の三木総合防災公園が選定されております。関西広域連合としては、連合議会で「京都府の山城総合運動公園など他の府県の拠点も追加的に候補地に加えることについて、調整・検討を行っていきたい」と答弁されるなど、物流供給体制のさらなる充実を図るため、ゼロ次物資拠点を適宜追加していく方針が示されているところでございます。
 京都府といたしましても、大規模広域災害時には、近隣府県への物資供給などの支援に努める必要があると考えており、物資拠点の追加などの体制強化について、関西全域の広域的な視点に立って検討してまいりたいと考えております。
 また、防災拠点の見直しについてでございます。
 京都府では、大規模災害時の体制として、府庁に災害対策本部を、振興局に災害対策支部を、さらに広域防災活動拠点に現地連絡本部を設置し、災害対応に当たることとしております。このうち広域防災活動拠点は、全国からの応援隊の集結地や1次物資拠点としての機能も有することから、緊急輸送道路などとの連絡がよいことも考慮し、山城総合運動公園など府内4か所を選定しております。
 しかしながら、京都市及び山城地域で最大震度7の可能性がある花折断層帯地震などの場合には、山城総合運動公園や災害対策本部である府庁や振興局などの防災拠点のほか、周辺道路なども含めて十分な機能が発揮できなくなることも想定し、対策を練っておく必要がございます。
 このため京都府では、花折断層帯地震が発生した場合の被害状況をシミュレーションした上で、複数の防災拠点で互いの機能を代替・補完できる体制を検討することとしております。この検討の中で、先ほどの物資拠点も含めた大規模災害時の防災体制の在り方について、具体的な検証と見直しを進めてまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。

◯議長(菅谷寛志君) 壺内危機管理監。
   〔危機管理監壺内賢一君登壇〕

◯危機管理監(壺内賢一君) 防災担当職員等に対する研修についてでございます。
 危機管理体制の強化には、職員の災害対応能力の向上が不可欠であり、関西広域連合が開催する研修にも、令和2年度から今年度までの3年間で、防災全般の知識・技術を習得するための防災基礎研修を36名が、家屋被害認定業務を習得するための研修を12名が受講しております。
 この研修では、災害時に即戦力となる危機管理部や振興局防災担当、保健所の職員などを対象にし、受講後も府の総合防災訓練など各種訓練に参加させ、習得した知識を生かした災害対応能力の向上に日々努めることで、災害時における市町村の支援などに常に備える体制が整ってきているところでございます。
 災害時は、部局を超えて府全体での対応となりますことから、今後はさらに、防災部局以外の職員も迅速・的確な災害対応を行えるよう、広く人材育成に努めてまいりたいと考えております。

◯議長(菅谷寛志君) 北川剛司議員。
   〔北川剛司君登壇〕

◯北川剛司君 御答弁ありがとうございました。
 時間がありませんので次の質問に移りますけれども、災害を想定して準備することは大事なことです。ただ、想定外のことが発生した場合は、柔軟なリスクマネジメントも意識して、府民の安全・安心を確保していただきたいと思っています。よろしくお願いします。
 次に、京都産業の発展についてお伺いいたします。
 京都府総合計画の中で、将来像と目標の実現に向けて京都府が当面重点を置いて取り組む戦略を策定されています。その中で次のように記載されています。
 「20年後の京都府社会はどうあるべきか、この命題に答えることは容易ではありません。着実に進む少子高齢化と人口減少やIoTなどの技術革新による社会のスマート化は、府民の暮らしをはじめ社会保障や経済活動などに対し、私たちの想像を超える速さで変化をもたらすでしょう。ここ京都には、長い歴史の中で紡ぎ受け継がれてきた豊かな文化をはじめ、多彩な観光資源や大学・研究機関の知恵、多様な企業の集積など、京都ならではの『力(ポテンシャル)』があります。府民の皆様と手を携え総力を結集し、経済の量的拡大だけを追い求めるのではなく『豊かさ』の価値を再創生し、高い理想と夢を掲げた『京都モデル』で日本、世界をリードする、そして、府内全ての地域が活力あふれ、誇りの持てる新しい時代の京都を築き上げたいと考えています」と示されています。
 そこで、京都府総合計画を推進する上で、人材の確保や育成は極めて重要な問題であり、とりわけ関西全体において生産年齢人口の大幅な減少が見込まれており、そこで京都府経済の持続的成長のためには、人材不足の状況に対応した人材の確保が喫緊の課題です。私も、関西経済が発展するためには人材の確保が重要だと思っています。
 そうした中、東京圏域に就職される若者が多い、特に男性で20歳から39歳までの人が特に多いことを残念に思っています。また、産業組織論が専門の中央大学名誉教授・細野助博氏の講演を聞く機会がありました。細野名誉教授は「近畿の問題は産業問題にある」と言われていました。特定産業に突出するより、様々な業種を集積させることでリスクヘッジも、多様な人材確保も可能になると言われていました。産業多様性こそ、地域の魅力をつくり上げると私は思っています。
 そこで、お伺いします。
 中央大学名誉教授・細野助博氏いわく、「日本を活性化するには関西が活性化しなければならない、そのためには多様性を持った産業構造にすべきだ」と言われています。産業の発展において多様性が重要であると言われている中、京都府として、京都府の産業構造をどのように捉え、今後どのように発展させようと考えておられるのか、お伺いします。
 内閣府においても、多様性と競争が産業の集積を促進すると報告されています。そこで、「地域創生は地域を活性化させることであり、若者を獲得することでもある」と細野名誉教授は言われているが、京都府として、京都府内においてどのように若者を引きつける環境をつくろうとしているのか、お伺いします。
 また、関西では、20代の人材が東京に流出していることに加え、女性や高齢者などの就職率が全国と比べて低い状況にあります。こうした人材が関西で存分に活躍できる環境を整えることができれば、関西経済全体が浮上のためのポテンシャルとなり得るでしょう。今後、短時間勤務や在宅勤務、テレワークなど多様な働き方が可能となる環境づくりや、京都に戻ってくる人材をさらに増やすための取組が求められています。そのために、京都府として今後の取組をどう考えておられるのか、お伺いいたします。
 次に、先ほど田中健志議員、そして決算特別委員会において梶原議員も質問されていますが、次世代モビリティーである電動キックボードに関して、質問させていただきます。
 私は、今のところ京田辺市内だけですが、電動キックボードを利用して移動しています。電動キックボードに乗っていると感じるのは、非常に便利です。そして、安全性に関しては問題が多いと実感しています。
 京都府においては、京都市及び宇治市において電動キックボードの通行に関する安全性等について検証する特例措置で実証実験が行われています。特例措置の概要は、道路交通法施行規則の特例として小型特殊自動車と位置づけること、ヘルメットの着用を任意とすること、自転車道を通行できるようにすることとなっており、実証実験においても同様の取扱いとなっています。
 一方で、私が乗っている電動キックボードは原付一種扱いです。何が違うか。大きく違うのは、片側3車線での右折ですが、実証実験で行っている電動キックボードは自動車扱いとなるため、小回り右折を行いますが、私の乗っている電動キックボードは、原付一種ですので2段階右折をしなければなりません。また、私が乗っている電動キックボードは、ヘルメット着用が義務でありますが、実証実験のキックボードはヘルメット着用は任意となっております。
 ちなみに、我が国の交通事故件数は減少が続いています。2021年は約30万件で、ピークだった2004年の3分の1以下になりました。他方、事故件数に占める自転車による事故の割合は、5年前から増加しており、全体の2割超と悪化しています。免許不要で誰でも運転できますが、自転車は道路交通法上の軽車両で、運転者の責任は車と変わらず、事故の過失者は行政上、刑事上の責任、さらに民事上の責任を負うことになります。
 そこで、持ち運び可能でおもちゃのような外観でも、電動キックボードは現行法上、原動付自転車で、走行に運転免許が必要です。ナンバープレートや方向指示器などの装備はもちろん、ヘルメット着用も義務、走行できるのは車道のみで、歩道を走行することはできません。
 ところが、少し前のデータですが、この電動キックボード利用者の交通違反は、2021年9月から12月までの3か月間で約304件、京都府は全体の6%が警察庁に報告されています。その内訳は、整備不良が37%、無免許運転が23%、歩道通行など通行区分違反が22%とあり、整備不良といった走行のための前提すら満たしていないケースが多数見られます。また、自動車並みの深刻な人身事故も起きています。歩道を走行して歩行者に衝突、重症を負わせた大阪府の事故では、加害者が逃走し、後に過失運転致死傷及び道交法違反の疑いで逮捕されています。
 今後、道路交通法の改正によって定められる基準を満たした車体は、特定小型原付となり運転免許が不要、ただし16歳以上の年齢制限を満たす必要があります。かつ、歩道の走行も一部で可能になります。改正法の施行は2年以内の見込みです。それまでに、義務である保険への加入はもちろん、交通ルール遵守を徹底させるべきです。
 そこで、警察本部長にお伺いしますが、改正法の施行が2年以内の見込みですが、それまでに義務である保険への加入はもちろん、交通ルールを守ることを徹底させるべきです。そこで、現在実験を行っている電動キックボードと原付登録の電動キックボードにおいて、事故、違反などの状況はどのようになっているのか。
 電動キックボードは、京都市内での若者、観光客や学生に普及すると思っています。その前に適切な対応を行い、安全で安心なルールの意識づけを行い、また環境を整える必要があると思います。そこで、私としては、ルールが浸透する当面の間、特に今、実証実験が行われている京都市内において、自転車と同様に取締りを強化する必要があると思うのですが、府警本部として今後の対応の考えをお聞かせください。
 理事者にお伺いしますが、次世代モビリティーの電動キックボードは非常に便利です。京都市内の観光地を巡るには申し分ない移動手段だと思っています。私も京田辺市内で移動するときには電動キックボードを使って移動してます。非常に便利で、どこでも止められるので、いろんな活動に対して有効だと思っています。また、ふだんの生活において、先ほど言いましたように短距離の移動手段として、本当に重宝しています。
 そこで、私としては電動キックボードにとらわれず、これから次世代モビリティーを普及させる必要があると思います。先ほども述べましたとおり、京都市内では非常に便利な移動手段として必ず普及すると思います。また、京田辺市のような学生のまちでも、次世代モビリティーは普及するでしょう。そのために、次世代モビリティーの環境整備が必要だと思うのですが、京都府として、電動キックボードにとらわれず次世代モビリティーをどのように捉えて、今後どのように環境整備などの対応をしていこうと考えておられるのか、お伺いいたします。御答弁をよろしくお願い申し上げます。
 これで私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)。