1 産後ケアの充実について
2 耕作放棄地対策と担い手支援について
3 災害時の避難道路の整備について
4 その他

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◯議長(菅谷寛志君) 次に日程第2、一般質問を行います。
 まず、小原舞議員に発言を許可します。小原舞議員。
   〔小原舞君登壇〕(拍手)

◯小原舞君 府民クラブ京都府議会議員団の小原舞です。よろしくお願いいたします。
 まず、産後ケアの充実についてお伺いいたします。
 産後ケア事業が法制化され、母親の身体的回復、心理的な安定を図り、母子の愛着形成や生まれてきた子どもが幸せになるための仕組みをつくることの重要性が問われています。
 日本では、令和2年度に実施された調査において、1歳未満の乳児を持つ母親の約24%に産後鬱の可能性があることが示されており、急に涙が出てきたり、いらいらする、過度の不安、不眠、気力の減退などの症状が現れ、産院退院後の悩みや孤立からもたらされる育児不安等は、第2子以降の出生行動に影響を与え得るといった指摘や、自傷行為や自殺、児童虐待の問題にも関わっているとの指摘があり、退院後の母子にできる限り早期の接触を図り、必要な支援につなげることが必要であると言われています。
 先日、舞鶴市内にて「ひろば会」に参加させていただきました。ひろば会とは、舞鶴の子育て支援を担う発起人によって平成21年に設立され、産前から子育て環境について考え、よりよい働きかけのできる子育て支援者としての資質の向上に努めるための研さんし合う場として活動し、「支援者がつながることが子育て環境向上につながる」として、多職種の支援者の顔の見えるつながりづくりを実践されています。子育て支援基幹センター、保健所等の行政職員や助産師会、子育て支援団体、理学療法士、産後指導士など、約30名のメンバーで2時間かけて自己紹介のワークをすることでお互いの子育て支援の活動内容や現場での課題等を共有化し、現場で支援に関わる方々から現状を伺う機会を得られました。
 妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を提供する中で、特に出産直後の母親に対するケアが不足しており、支援を必要とする母親を産後ケアにつなげるには、多職種連携によるきめ細やかな支援が必要ではないかと思われます。現在、産後ケア事業は市区町村の努力義務として全国展開されてきていますが、支援を必要とする全ての産婦を確実に拾い上げて、必要な支援に結びつけていくためのシステム構築が必要だと言えます。
 産後の母親は、ホルモンバランスの乱れや生活環境の激変、慣れない育児のストレス等によって不調を起こしやすく、長野県須坂市では、医師、看護師、保健師等多職種の連携で妊娠中の母子健康手帳交付時から退院時、保健師による家庭訪問時や新生児健診時等に、全ての妊産婦に繰り返し「エジンバラ産後うつ病質問票」に答えてもらい、産後鬱を防ぐ取組が行われ、そこで抽出されたハイリスクな妊産婦について、多職種間での検討会を設けて、必要な支援につなげています。この須坂モデルでは、母親の精神の安定が期待でき、産後鬱リスクを低下させることが実証されており、長野県では同様のシステムを全市町村展開する取組を進め、他県にも広がりを見せているところです。
 また、産後鬱予防や新生児等への虐待未然防止を図るため、平成29年以降、産後2週間、1か月など2回まで産後間もない時期に産婦健康診査が公費補助されるようになり、本府では22市町村が導入しています。要支援産婦を必要な支援につなげるには、産婦健康診査事業の普及が効果的とされ、行政と医療の情報連携や多職種によるきめ細やかな支援を行うために、保健所や都道府県による実態調査や市町村への伴走支援が必要かと思われます。
 産後の女性を包括的に支援できるよう、医師、助産師、保健師、看護師、保育士、栄養士、薬剤師、理学療法士、臨床心理士、産後ドゥーラ、育児支援サポーター、企業等の様々な地域の支援者の連携が求められ、子育てのスタート期である産後のケアの充実が、ひいては母子ともの長期的な社会的・心理的健康につながっていきます。
 そこで、本府においては、産後ケアにおける多職種連携の必要性についての御見解と今後の取組についての御所見をお伺いいたします。
 また、昨年の9月定例会の一般質問では、「市町村の産後ケア事業の取組は広がってきているが、サービスを提供できる医療機関が限られるなど、市町村ごとの状況に差があるため、京都府としての産後ケアの土台となる環境整備と人材確保を図る必要がある」と御答弁をいただいています。その具体的策として、「ホテル・旅館を活用した産後ケア事業の受け皿整備を進めるとともに、事業実施に必要となる助産師等の専門職の派遣体制やサービス提供内容を定めた運営マニュアルを整備するなど、妊産婦を支援する体制を強化する」とのことでしたが、これらの事業の進捗状況と課題についてお伺いいたします。
 今後の展望として、産後ケア事業の条件緩和により、ローリスクでも産後ケアが受けられたり、妊産婦のニーズや状況に応じた多様なケアの提供など、母親の心と体のケアの必要性が周知され、出産した女性が産後ケアに気軽にアクセスできる環境づくりを期待いたします。
 また、今回の補正予算で、「子育て環境日本一推進条例(仮称)」の制定に向けた子育て環境に関する実態調査の実施等条例の検討に要する経費が上げられていますが、子育てのスタート期である産後期における実態や支援ニーズについても調査いただくよう要望いたします。
 次に、耕作放棄地対策と担い手支援についてお伺いいたします。
 日本の将来推計人口では、65歳以上の高齢者人口は、団塊ジュニア世代が高齢者になった後の2042年にピークを迎え、2050年には全国の約半数の地域で人口が2015年対比で50%以上減少し、うち2割が無居住化すると言われています。人口減少は国力の衰退の元と言われますが、昨今のコロナ禍の影響に加え、ロシアのウクライナ侵攻の長期化が日本の農業や食料安全保障にもさらなる危機感を与えています。
 このような中、今年、京都府総合計画の見直しが行われますが、京都府の農業を取り巻く環境や農山村をめぐる情勢変化や施策の評価についても、新たに地域の実情を反映した施策展開なども必要になってくるのではないかと思われます。
 令和元年に策定された京都府総合計画を踏まえた「京都府農林水産ビジョン」によると、京都府の農業の特徴として、耕地面積約3万ヘクタールのうち約8割を水田が占め、府域の約7割が中山間地であるため、1集落当たりの耕地面積や1経営体当たりの耕地面積が小規模であることが挙げられます。
 このたび国において、地域の農地利用の将来像を描く「人・農地プラン」が地域計画として法定化される農地関連法が、参議院本会議で可決されました。地域計画の策定には、市町村が中心となって集落に入って人と農地の問題を解決するために役割を果たしていくことになり、アンケートの実施・調査や話合いを通じて地図による現況把握を行い、中心経営体への農地の集約化に関する将来方針を作成することになりますが、人・農地プランの作成支援において、現地の推進役となる市町村等には多大な労力が必要となり、マンパワーが不足していることが課題に挙げられます。地域計画策定の詳細は決まっていないものの、長期間かかる話合いの経費補填なども必要になってくるのではないかと考えます。
 国の「人・農地将来ビジョン確立・実現支援事業」では、集落・地域における話合いをコーディネートする専門家の活用等の市町村による取組の支援策がありますが、人・農地プランの実質化に係る市町村のマンパワー不足に対する本府としての支援策や、農地中間管理事業を実施する京都府農業会議とどのように連携して農地を集積し活用していくのかについて、御所見をお伺いいたします。
 また、府内の荒廃農地は令和2年時点で3,129ヘクタールであり、この5年間で136ヘクタール増え、年々増加傾向にあります。先日、里山整備の活動のため集落に入り、耕作放棄地対策として中山間地域等直接支払制度を活用して耕うんやあぜ道の草刈りなどを行い、作付けはしない農地を管理しておられる方から現状を伺うと、高齢化が進んで、あと数年もすれば管理できなくなり、荒廃した土地がさらに増えていくことを危惧されていました。
 基盤整備がなされず条件不利地においては、今後さらなる土地の荒廃が見込まれる中、短期間で伐採ができる早生樹などを木材を搬出しやすい荒廃農地などに植栽し、バイオマスとしての活用を検討するなど、荒廃農地の活用策も考えていく必要があります。このように緩衝地帯(バッファゾーン)をつくり、人が定期的に入ることによって、鳥獣被害対策にもつながると思われます。
 また、小規模であっても農地耕作条件改善事業等を活用して農地集積を進めるために、暗渠排水や区画拡大などの生産基盤の整備支援がありますが、姻戚関係でもない担い手のために、出し手である農家が自腹で費用負担をすることはあまり考えられず、小規模であっても集積化や圃場整備が必要な集落・地域においては、出し手の自己負担がゼロになるような制度を国に求めるか、府が上乗せして支援するような事業によって農家、担い手支援を行うなどの事業があれば、集積化が進み、農地が生かされるのではないかと思います。
 京都府が目指す方向として、「次代の担い手に府内の農地の過半が集積・集約されるような農業構造をつくり、中山間地域が多く、担い手不足の深刻化が予測される地域において法人化や周辺組織との広域化を進め、持続可能な農業経営を図る」とありますが、一方で、法人化や広域化、共同化、6次産業化等というリスクを取らず個人事業主として中山間地で頑張って農業をしたいという担い手にも支援が欲しいという声も上がっています。
 また、南丹市のように、今年の5月から、小規模農業を始めたいなどというニーズを踏まえ、農地取得面積を1,000平方メートルから1平方メートルに緩和し、全国で初めて空き家を条件から外し、耕作放棄地対策や移住者誘致に取り組まれるなどの新たな試みも出てきております。京都府の農業就業人口は、直近10年で4割が減少し、全国と比べても高齢化が進行しており、また2010年には2万3,049人だった基幹的農業従事者数は、2030年には7,329人となり、20年で約7割もの減少となると言われています。
 このような状況の中、中山間地が多く耕作面積が小規模という本府の地域特性を踏まえて、今後、どのように耕作放棄地対策や担い手支援を行っていくのか、現状認識と今後の展望についてお伺いいたします。
 まずは、ここまでの御答弁をよろしくお願いいたします。

◯議長(菅谷寛志君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 小原議員の御質問にお答えいたします。
 産後ケア事業の多職種連携についてでございます。
 出産直後の女性は、ホルモンバランスが急激に変化しやすいことに加え、核家族化の進行、地域のつながりの希薄化により気軽に相談できる人が周囲におらず、育児に関する不安や悩みを抱えやすいことから心身の不調が起こりやすい状況にございます。このため、妊産婦の身体的な回復と心理的な安定を図る産後ケア事業の実施が重要となってきており、市町村が行う母子保健事業の主要な柱となっております。
 産後ケア事業の実施に当たり、多様化する妊産婦のニーズに適切に対応するためには、議員御指摘のとおり、医師、看護師、助産師、保健師などの専門職と地域の子育て支援団体等が連携して、妊娠期から子育て期まで切れ目なく支援できる仕組みをつくることが重要でございます。京都府といたしましても、地域の子育て環境の向上を図るため、人材育成や子育て支援団体の活動支援などにより市町村の取組をしっかりと支えていきたいと考えております。
 具体的には、助産師、保健師などの専門職や育児経験者等を対象に研修を行うことにより、妊産婦一人一人の事情に応じたケアプランの作成を担う「産前・産後ケア専門員」や、子育て家庭へ訪問支援を行う「産前・産後訪問支援員」を独自に養成しております。併せて、医療機関や学校、さらには企業等の異業種団体と横断的に連携し子育て支援に取り組む団体の活動を支援するなど、地域において様々な職種の人材が一体となって妊産婦を支える仕組みづくりを進めてきたところでございます。
 今後も、こうした取組により地域の様々な職種の人材や子育て支援団体等と連携した妊産婦への支援を行ってまいりたいと考えております。
 また、妊産婦への支援強化の進捗状況についてでございますが、昨年度、京都府助産師会と連携し、ホテル・旅館を活用した産後ケア事業の受け皿の整備と運営マニュアルの作成に取り組みました。その結果、府内全体で12か所のホテル・旅館に協力いただくことができ、またこれまで産後ケア事業を実施できていなかった市町村で新たに事業が開始されるなど、妊産婦への支援の充実に一定の成果を上げました。
 また、産後ケア事業の利用についても、令和3年度に始めた利用者自己負担額の軽減の効果もあり、利用者数が前年比で1.4倍になるなど、利用の裾野は広がってきております。一方、産後ケア事業を利用された方からは、「これまで一人で悩んでいたが、他の人を頼ってもいいんだと考えられるようになった」との声もいただいているところであり、支援を必要としながらも事業を利用されず一人で悩んでいる方が他にもおられるのではないかと考えております。そのため、妊産婦健診などの機会を活用し、事業の内容をお知らせするなど、引き続き周知に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、産後ケア事業が可能となるホテル・旅館を複数の市町村で広域的に利用できるように調整するなど、出産後の母親が産後ケアにアクセスしやすい環境づくりを進めてまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。

◯議長(菅谷寛志君) 水口農林水産部長。
   〔農林水産部長水口裕一郎君登壇〕

◯農林水産部長(水口裕一郎君) 耕作放棄地対策と担い手支援についてでございます。
 京都府では、農業者の減少と高齢化が急速に進む中で、将来の展望が描けない地域が増えていることから、農地を次代の担い手に引き継ぐための「人・農地プラン」の作成が急務になっております。人・農地プランは、地域において将来の農地利用に関するアンケート調査や農業者等による徹底した話合いを通じて、就農者や後継者の確保状況を地図上で把握し、おおむね5年から10年後に地域の過半の農地を中心経営体に集約化する方針を定めるものでございます。
 プラン作成に当たっては、市町村のマンパワーが不足しており十分な対応ができないこと、複数地域にまたがる耕作者や出入作者が多く、地権者の意見聴取に時間を要すること、地域を牽引するリーダーや農地を受け継ぐ担い手がいないことなどの課題があり、平成24年度から開始した京都府におけるプランの作成状況は、令和3年度末時点で府内全集落の55%に当たる934集落にとどまっております。
 また、今後さらに農業者が減少し、耕作放棄地の拡大が加速することを懸念し、さきの国会で農業経営基盤強化促進法等が改正され、人・農地プランを市町村が策定する地域計画として法定化することとなっており、今後、関連する施策の充実が図られるものと考えております。
 こうした状況を受け京都府では、まずは、議員御指摘の市町村のマンパワー不足への対応につきまして、京都府農業会議に設置しております「現地推進役」の増員を検討しているところであり、併せて国に対しては、市町村への専門的人材の配置にかかる経費の支援などを要望しているところでございます。
 また、複数地域にまたがる耕作者や出入作者が多いことへの対応につきましては、昨年度、府農業会議や関係機関・団体が連携した「集落営農100ha農場づくり推進チーム」を創設したところであり、今後は広域での支援体制を強化してまいりたいと考えております。
 さらに、将来の担い手を確保するためには、地域外から人材を確保することが重要なことから、農業大学校の卒業生や定年帰農者、就農を希望する移住者等が地域に定着する仕組みづくりを行っているところでございます。具体的には、担い手の受入れを希望する地域に対しまして、小規模な基盤整備等により農地を集約化し、高収益作物等を導入するとともに、担い手養成実践農場の制度により、住居の準備や技術指導など受入れから定着までの一貫したサポート体制を提供しているところでございます。
 次に、地域リーダーの確保につきましては、地域を牽引するリーダーの育成を目的とした京都農業経営塾に取り組んでおり、引き続き研修活動を強化するとともに、京都府生涯現役クリエイティブセンターとの連携により、地域外からも幅広い人材を確保してまいりたいと考えております。
 今後とも、市町村とともに普及センターや現地推進役などが協力し地域が抱える課題にきめ細かく伴走支援することで、耕作放棄地対策と担い手支援に取り組んでまいります。

◯議長(菅谷寛志君) 小原舞議員。
   〔小原舞君登壇〕

◯小原舞君 御答弁ありがとうございました。まさに御答弁いただいたように、母親が一人で悩むことがないように、産後ケアにアクセスしやすくなるよう、また周知のほどよろしくお願いいたします。
 まさに、子育て家庭が孤立しないように、社会全体で子育てをする風土をつくっていく必要があると思っております。子育ては大変だけれども、いろんな人に支えてもらって楽しかった、よかったと言えるようになることが、これからの世代に対しても子育てのイメージをよくしていくことにつながると考えます。今後も、産後ケアについて取り組んでいきますので、よろしくお願いいたします。
 農業についてでございますけれども、先週の土曜日に、舞鶴の多門院という地域で中山間地域等直接支払制度及び多面的機能支払制度による休耕地の維持管理作業の現場に入らせていただきました。草刈り機を使わせてもらいましたけれども、本当に数分間で汗だくになるほどの重労働で、草刈りから草寄せ、焼却、耕起作業、トラクターによる荒起こし作業とかは、6月中旬から7月中旬にかけて行われて、今回は約20人の方が3班に分かれての作業でした。参加者の方からは、「あと5年もすれば高齢化で作業もできなくなるだろう」「田んぼも畑も赤字になっても農地を守るという使命だけで何とか続けているという状況だ」と伺いました。改めて、地方の美しい田園風景は、このような地域の方々の汗と努力によって成り立っていることを実感いたしました。引き続き、担い手支援も含め、よろしくお願い申し上げます。
 最後に、災害時の避難道路の整備についてお伺いいたします。
 地元舞鶴市は、府県境に原子力発電所が立地し、府県境を越えてPAZ(高浜発電所からおおむね5キロ圏内)を有する全国で唯一の自治体であり、令和4年4月時点でPAZ内は494人、発電所からおおむね30キロ圏内のUPZには舞鶴市内がすっぽりと入り、7万7,934人が暮らしています。万が一、原子力災害が起こったときは京都府の避難路については、福井県からの流入車両による渋滞対策のほか、UPZ内住民の舞鶴市、福知山市、綾部市、宮津市、南丹市、京丹波町、伊根町は、京都府内及び兵庫県、徳島県において避難先を確保することになっており、その輸送手段は75%がバス、自家用車が25%で想定されています。住民避難計画のさらなる実効性向上のため、狭隘(きょうあい)箇所の解消など、避難路の整備が急務となっています。
 そこで、電源立地地域対策交付金等を活用した原子力災害時避難道路整備事業の府道舞鶴野原港高浜線、府道田井中田線、PAZ内に入る松尾地区の府道松尾吉坂線と市道松尾杉山登尾線の進捗状況と効果についてお聞かせください。
 平成28年の舞鶴市にて開催された9月定例会にて、史上初となる京都府議会北部開催での代表質問において防災対策について質問いたしましたが、京都府議会の北部開催は、30年以内に70%の確率で起こると言われている南海トラフ巨大地震、花折断層など、京都市内部の震災という有事を想定した本会議でありました。
 舞鶴が海軍鎮守府として開庁して121年になりますが、その選ばれた理由は、湾口が狭く防御に適し、湾内は波が静かで通年の平均の干満差が30センチ以下の天然の良港であるからです。また、舞鶴は地理的に地震発生の確率が少ない地域として知られ、平成28年の地震調査研究推進本部の調査によると、30年以内に震度6弱以上の地震発生率はおおむね0.1%から3%未満とされており、南海トラフ巨大地震等が起こったときの避難場所として、関西圏からの流入車両による渋滞対策や日本海側国土軸の一翼を担い、災害時の代替ルートとして機能を果たすための機能強化が求められます。
 また、関西経済圏における日本海側ゲートウエーとしての京都舞鶴港は、貨物取扱量の増加や航路の拡充を見据えた、舞鶴国際ふ頭の第2バース及びII期整備や大型クルーズ船の寄港に対応できる第2ふ頭などを整備し、京都舞鶴港から高速道路へのアクセス機能強化のため、国道27号西舞鶴道路、臨港道路上安久線の整備等が進み、海自関係機関としては海上自衛隊舞鶴地方総監部、舞鶴航空基地、第八管区海上保安本部がある唯一の都市であり、京都北部には福知山市に陸上自衛隊、京丹後市に航空基地がある国防の拠点として、広域的な災害対策支援拠点となり得ます。
 さらに、本年5月には、5市2町による京都府北部地域連携都市圏形成推進協議会は、災害発生時の相互支援協定を結び、北部地域の防災機能の強化を図っています。
 このような中、舞鶴若狭自動車道は、日本海側拠点港に選定されて以降の京都舞鶴港からの物流の伸展や東日本大震災を受けての原子力災害時の広域避難路としての観点から、2018年に綾部パーキングエリアから舞鶴西インターチェンジ4車線化、2021年には福知山インターから綾部インターの4車線化が完成しましたが、いまだ舞鶴西インター・舞鶴東インター間は、暫定2車線のままで本来の高速道路機能を十分に発揮できておらず、優先整備区間にも選定されていないのが現状です。この区間の早期の全線4車線化は、圏域全体の国防・防災機能の強化が図られることはもちろんのこと、人流・物流が促進されることによる地域経済の活性化の側面でも重要であると言えます。広域避難の観点から、舞鶴若狭自動車道全線4車線化の早期実現についての本府の御見解と得られる効果について、お聞かせください。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手)

◯議長(菅谷寛志君) 壺内危機管理監。
   〔危機管理監壺内賢一君登壇〕

◯危機管理監(壺内賢一君) 災害時の避難道路の整備についてでございます。
 議員御指摘のとおり、舞鶴市はほぼ全域が原発から約30キロ圏内で、避難計画策定義務のあるUPZに含まれ、さらに市の一部は高浜原発から約5キロ圏内で、放射線が放出する前の段階から予防的に避難等を行うPAZとなっております。
 そのため、緊急事態に備えた本地域の避難路整備は大変重要であることから、避難路整備の財源確保を国に強く要望してまいりました結果、平成29年度から電源立地地域対策交付金が増額され、またモデル事業であった緊急時避難円滑化事業が令和3年度から恒久化されたところであり、これらの事業を活用した避難路整備を進めているところでございます。
 まず、府道舞鶴野原港高浜線及び府道田井中田線については、緊急事態が発生した場合、PAZに準じた避難体制を取ることとなる大浦半島の野原地区や田井地区等の避難路となりますが、離合困難な箇所がございますため、これまでから早期解消に向けた整備を行ってまいりました。現在、両路線合わせて約1キロの区間で拡幅工事を完了したところであり、引き続き用地買収等を完了した箇所から整備を進めてまいります。
 次に、PAZ内にある松尾地区などから国道27号までの避難路となる府道松尾吉坂線についてでございますが、狭隘区間が多いため、現在、解消のための拡幅整備に向け用地買収等の準備を進めているところでございます。
 さらに、この府道に接続する地区内の舞鶴市道松尾杉山登尾線についても、離合困難箇所があるなど避難路としての整備の必要性が高かったところ、昨年度から国の緊急時避難円滑化事業の新規採択を受け、狭隘部分の拡幅や避難時の誘導看板の設置などを行うこととしています。
 今後とも、舞鶴市と連携・協力しながら、避難路整備を急いでまいりたいと考えております。
 次に、舞鶴若狭自動車道につきましては、京都府をはじめとする関係自治体が強く要望を継続してきました結果、平成26年に全線開通、その後、福知山インターチェンジから舞鶴西インターチェンジ間約16キロが4車線化されるなど、NEXCO西日本により着実に整備が進められているところでございます。
 京都府域で残る舞鶴西インターチェンジから舞鶴東インターチェンジ間の4車線化につきましては、災害時の緊急輸送道路でもあり、避難や物資輸送の大動脈として機能するとともに、原子力災害時においても円滑な広域避難に必要不可欠であるため、引き続き関係自治体と連携して要望活動を行うなど、早期実現に取り組んでまいりたいと考えております。