1 脱炭素社会を加速させる取組について
2 大規模災害における防災拠点について
3 その他

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◯議長(菅谷寛志君) 日程に入ります。日程第1、一般質問を行います。
 まず、梶原英樹議員に発言を許可します。梶原英樹議員。
   〔梶原英樹君登壇〕(拍手)

◯梶原英樹君 府民クラブ京都府議会議員団の梶原英樹です。
 さきに通告しております数点につきまして、知事並びに関係理事者に質問いたします。よろしくお願いいたします。
 初めに、昨年11月議会で我が会派から代表質問をさせていただきました「脱炭素先行地域」についてお尋ねいたします。
 2020年10月、我が国は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、いわゆる2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言し、2021年4月には、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指すこと、さらに50%の高みに向け挑戦を続けることを表明いたしました。
 西脇知事も、2020年2月11日に行われた「KYOTO地球環境の殿堂」の御挨拶の中で「2050年までの温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す」ことをいち早く宣言し、本府は環境省の「ゼロカーボンシティ」に登録されています。
 脱炭素社会の機運が高まる中、国・地方脱炭素実現会議が設置され、地域が主役となる地域の魅力と質を向上させる地方創生に資する地域脱炭素の実現を目指し、特に2030年までに集中して行う取組・施策を中心に、工程と具体策を示す「地域脱炭素ロードマップ」が昨年6月9日に策定されました。
 地域脱炭素ロードマップでは、地域脱炭素が意欲と実現可能性が高いところから、そのほかの地域に広がっていく「実行の脱炭素ドミノ」を起こすべく、今後5年間を集中期間として施策を総動員するとされ、環境省が2022年1月の「脱炭素先行地域」の募集を開始いたしました。
 昨年度の11月定例会でも御紹介させていただきましたが、改めて脱炭素先行地域とは、2030年度までに民生部門の電力消費に伴うCO2排出実質ゼロを実現するとともに、運輸部門や熱利用等も含めて、そのほかの温室効果ガス排出削減についても、我が国全体の2030年度目標と整合する削減を地域特性に応じて実現する地域のことであります。
 初回の募集には全国102の自治体から79件の応募があり、同年3月17日から6回にわたり開催した脱炭素先行地域評価委員会の評価を踏まえ、関西では、滋賀県米原市、大阪府堺市、兵庫県では尼崎市、淡路市、姫路市をはじめ全国で26件が第1回先行地域として4月26日に選定されたと発表がありました。
 本府内では京都市と亀岡市が応募し、京都市内の学校跡地を脱炭素化に向けた住宅街区に活用する提案や、亀岡市の提案は残念ながら選ばれませんでした。
 1997年、世界各国の政府代表者が京都に集まり、国連気候変動枠組み条約のCOP3を開催し、採択された京都議定書発祥の地が選ばれなかったことに、とても残念だという声を多く耳にしております。
 そこでお尋ねいたします。
 脱炭素先行地域への応募について、昨年度11月定例会において「積極的に応募を検討してまいりたい」との御答弁がありましたが、第1回の選定結果等を踏まえて、今後どのように検討を進めるつもりか、本府のお考えをお聞かせください。
 また、脱炭素先行地域の選考については、2025年度までに少なくとも100か所を選定するとして、年2回程度の募集を行う予定を耳にしておりますが、選定された各自治体の提案を見ると、そのほとんどは基礎自治体が主たる提案者となり、地域課題の解決にもつながるような提案が評価されたように感じております。
 全国の各地域では、少子高齢化に対応し、強み・潜在力を生かした自律的・持続可能な社会を目指す地方創生の取組が進み、地域脱炭素の取組も、産業、暮らし、交通、公共等のあらゆる分野で地域の強みを生かして地域創生に寄与するように進めることが重要であると考えます。そのためには、特に地域における再生可能エネルギーの導入拡大が鍵となります。地域で利用するエネルギーの大半は、輸入される化石資源に依存している中、地域の企業や地方自治体が中心となって地域の雇用や資本を活用しつつ、地域資源である豊富な再エネポテンシャルを有効利用することは、地域の経済収支の改善につながることが期待できます。
 これらの目標の達成のためには、本府が主たる役割を務め、協働・共創による取組を各市町村と進めていき、2050年を待たずして府内の多くの地域で脱炭素を達成し、地域課題を解決した活力ある次の時代の地域社会へと移行することが重要ではないでしょうか。市町村との連携について、本府が果たす役割はどのように考えているのか、御所見をお聞かせください。
 次に、官民施設の脱炭素化についてもお尋ねいたします。
 前述した脱炭素先行地域に選定された提案内容を少し御紹介させていただきますが、例えば佐渡島で有名な新潟県佐渡市では、離島特有のエネルギーの災害脆弱性等を踏まえ、佐渡市全域における官民の防災・観光・教育施設(125施設)について、屋上を活用した太陽光や蓄電池、耕作放棄地等を活用したオフサイトの太陽光、木質バイオマス発電、10地区の主要防災拠点に大型蓄電池を導入するとともに、再エネ管理システムにより一元管理等を行う取組を、また神奈川県川崎市では、アマゾンジャパンや富士通などの民間50施設、川崎市全ての公共施設1,067施設に太陽光発電や蓄電池を導入することを目指す提案をされ、見事に今回の脱炭素先行地域に選定をされています。
 今定例会に提案されている6月補正予算において、市町村や事業者等と一緒に再エネ導入を推進するための協議に要する費用や、府有施設の再エネ導入量を調査するための費用が盛り込まれているところですが、この補正予算が可決された暁には、どのような手法で再エネ導入量を調査し、本府が将来どのような構想を描いているのでしょうか。
 また、前述したほかの地方自治体の取組のように、府有施設だけでなく民間施設においても産官学連携を本府が先導し、脱炭素先行地域を対象とした「脱炭素先行地域づくり事業」や全国各地の意欲的な取組を支援する「重点対策加速化事業」といった国の支援制度を活用しながら、脱炭素地域づくりを進めることが重要かと考えますが、本府のお考えをお聞かせください。
 まずは、ここまでお願いいたします。

◯議長(菅谷寛志君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 梶原議員の御質問にお答えいたします。
 脱炭素先行地域についてでございます。
 国が選定する脱炭素先行地域につきましては、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた地域での取組を促進する施策であることから、京都府といたしましても関心を持って検討を進めてきたところでございます。
 先行地域の第1回募集で採択された26件の提案を見ますと、都道府県単独での提案はなく、市町村を主体として地域の民間企業や金融機関が参画するなど、継続的に事業を実施するための体制や資金が確保されているものが評価されており、実現可能性や熟度が重視されたものと考えております。
 京都府といたしましては、第1回の選定結果を踏まえ、まずはゼロカーボン宣言をしている市町を中心に、先行地域への応募に向けた検討や関係者との調整などを積極的に支援していくこととしております。
 さらに、複数の市町村が共同で先行地域の選定に向けた取組に着手されたところであり、京都府におきましても、こうした市町村との連携を図り、事業の具体化や体制づくりに向けて検討しているところでございます。
 このほか、地域共生型の再エネ設備の導入や、府有施設への太陽光発電設備の導入などに向けては、議員御紹介の重点対策加速化事業も積極的に活用してまいりたいと考えております。京都府といたしましては、国のあらゆる施策を活用し、脱炭素の実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 また、市町村との連携についてでございます。
 カーボンニュートラルの実現に向けては、2030年までの取組が非常に重要であることから、省エネの一層の推進とともに、再エネの積極的な導入を進める必要があると考えております。京都府におきましては、これまでから市町村との連携を図りながら、家庭用太陽光発電設備と蓄電池の同時設置への支援や、より安価に太陽光発電設備を購入できる共同購入制度などにより再エネ導入を促進してまいりました。
 また、地域の課題解決につながるような地域特性に応じた再エネ導入も重要な観点であることから、今定例会に提案している予算案に、耕作放棄地等の未利用地に営農型の太陽光発電設備を導入し、発電事業と農業を両立させることで地域の活性化を目指す地域共生型の再エネ導入を進めるために必要な経費を計上しております。
 京都府といたしましては、市町村をはじめ多様な主体と連携し、地域課題解決型の再エネ導入を進めるなど、引き続き、脱炭素地域の創出に取り組んでまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁をさせていただきます。

◯議長(菅谷寛志君) 益田府民環境部長。
   〔府民環境部長益田結花君登壇〕

◯府民環境部長(益田結花君) 官民施設の脱炭素化についてでございます。
 昨年12月に策定した「府庁の省エネ・創エネ実行プラン」では、府庁自らが2030年度までに達成すべき温室効果ガスの排出削減量について、京都府地球温暖化対策推進計画の目標を上回る50%以上の削減を目標といたしました。本プランに基づき府有施設への太陽光発電設備の導入を進めるため、議員御案内のとおり、今定例会に提案している予算案に初期費用が不要なゼロ円ソーラーの府有施設への導入可能性調査に必要な費用を計上しております。
 この調査では、府有施設の構造や屋根面積、築年数などを基に太陽光発電設備の導入に適した施設を抽出し、さらに事業採算性を評価した上で優先度の高い施設を選定する予定でございます。
 また、軽量で柔軟性の高い太陽光パネルなどの先端技術の活用により、これまで導入が困難であった施設への導入可能性についても検討を行うこととしており、こうした調査結果を踏まえ、府有施設への太陽光発電設備の導入を計画的に進めるとともに、民間企業や市町村への波及も図っていきたいと考えております。
 一方、民間施設の脱炭素化につきましては、今定例会に提案している予算案に、営農型の太陽光発電設備の設置の推進に向けて、市町村と連携して適地調査や地元との協議を行うための検討に必要な経費を計上しており、こうした取組を通じて地域特性に応じた再エネの導入にも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 京都府といたしましては、2030年までに少なくとも100か所の脱炭素先行地域をつくり、全国に波及させていくという国の動きも踏まえ、引き続き、市町村や地元の方々と連携し、地域の脱炭素化を推進してまいりたいと考えております。

◯議長(菅谷寛志君) 梶原英樹議員。
   〔梶原英樹君登壇〕

◯梶原英樹君 御答弁ありがとうございました。
 我々がいつも通っている南門のところに、「地球環境京都宣言」の看板が立てられています。お帰りとかお時間のあるときにぜひ御覧いただきたいんですけれども。そこには、「自然とともに生きてきた先人たちの知恵や工夫を改めて思い起こし、今こそ一人一人の生活や社会を見直さなければならない、母となる地球をしっかりと未来に引き継ぐことは私たちの責務」と書かれています。たくさん前向きな御答弁をいただきました。ぜひとも脱炭素社会に向けて推し進めていきたいと思いますし、西脇知事やみんなの思いが地域を越え、そして国を越え、世界の人々の心に通じるとともに、行動できる社会の実現を切に願い、次の質問に移らせていただきます。
 防災拠点を念頭に置いたまちづくりについてお尋ねいたします。
 今年の3月末以降、京都府南部を震源とする最大震度4から3の地震が4回起きました。地震の規模を示すマグニチュードは4.1から4.4で、内陸型の群発地震と見られていますが、府内でマグニチュード4クラスの地震が短期間で頻発するのは珍しく、現時点では活断層の影響や巨大地震につながる現象なのかは分かってはいません。
 南北に広い京都府内では、京都市から府南部にわたる花折断層帯、亀岡など中部に影響する西山断層帯、京丹後市など北部では郷村断層帯など22の断層が存在し、おととい、昨日と発生した石川県での地震も含めて、相次ぐ地震に不安を感じていらっしゃる方も多いと思います。
 今回は、これを機に大規模災害発生時における初動や活動に重要な防災拠点について質問をさせていただきます。
 防災拠点とは、災害時に防災活動の拠点となる施設や場所のことを指し、平常時には防災講習・訓練や地域住民の憩いの場として活用されており、我が国の防災体制における防災拠点の位置づけは、各自治体が個別に策定する地域防災計画において地域の状況に合わせて定義されています。
 災害時には、防災活動のベースキャンプ機能や、住民の避難地となる防災拠点の整備が全国各地において進む中、道の駅やパーキングエリア、サービスエリアなど既存の施設に対する防災機能を追加するなどの工夫をしている自治体が相次いでいます。
 例えば、1993年に制度が始まった道の駅は、2022年2月現在で1,194駅と拡大する中で、休憩機能・情報発信機能・地域連携機能を提供し、地域とともにつくる個性豊かなにぎわいの場として発展してきましたが、2011年に発生した東日本大震災や、2016年熊本地震、2020年7月豪雨のときには、道の駅を自衛隊の被災地救援の最前線基地への活用や、支援物資の集配基地、災害復旧車両の中継基地として有効活用した好事例が幾つもありました。
 そうしたことから、道の駅を「道路利用者へのサービス提供」「道の駅自体が目的地」というステージを超えて、「地方創生・観光や防災を加速する拠点」として第3ステージに位置づけ、国土交通省は2025年に向けて整備に取り組んでいます。
 自由な発想と地元の熱意の下で防災機能強化が社会全体で進んでおり、2021年6月に「防災道の駅」として全国39駅が選定されていて、近畿ブロックでは、滋賀県甲良町、兵庫県朝来市、奈良県奈良市、和歌山県すさみ町、福井県大野市が登録をされています。
 また、2022年3月25日には防災拠点自動車駐車場として道の駅だけでなく、サービスエリアやパーキングエリアなどを含む計478か所が全国で指定され、本府内では、「京丹波味夢の里」「和(なごみ)」「お茶の京都みなみやましろ村」の自動車駐車場が登録されています。
 防災拠点自動車駐車場は、災害時に道路機能等の復旧の拠点となることに加え、自衛隊も活用する広域災害応急対策の拠点となり、指定された道の駅・サービスエリア・パーキングエリアは、災害時に防災拠点としての利用以外を禁止及び制限ができます。
 また、民間による通信施設・非常用発電施設・防災情報発信施設等の占用基準を緩和でき、道路管理者が隣接駐車場等の所有者と協定を締結し、災害時には一体的に活用でき、防災拠点として重要な役割を発揮すると思われます。
 そこでお尋ねいたします。
 大規模災害が発生した際に、警察・消防、自衛隊、医療機関等を受け入れる防災拠点として、本府は丹波自然運動公園、山城総合運動公園、京都御苑、そして昨日、小原議員の質問の中でもありました京都舞鶴港の計4か所を広域防災拠点として指定していますが、現地対策本部機能を含む活動拠点機能として十分に機能するのか、全国からの救援や救護が効率的に、そして効果的に被災地へ派遣できるように、本府はどのような工夫をされているのか、御見解をお聞かせください。
 また、全国初の防災拠点化されたサービスエリアである茨城県常磐自動車道守谷サービスエリアでは、2014年のリニューアルで首都圏直下型地震など広域災害が発生した際の防災拠点化が行われ、フードコートはレイアウト変更をして電源やモニターなどを備えた災害対策室となり、スタッフ休憩室は収納ベッド8基が内蔵されており救護スペースにもなります。屋上には太陽光パネル、自家発電装置など72時間稼働でき、断水時の備えとして井戸も設置されています。
 東名高速道路が横断している静岡県では、平常時・災害時を問わず、滞りのない対流を形成することを目標とし、陸・海・空の多様な交通モードと道路の結束機能を高め、道の駅は南海トラフ地震における静岡県広域受援計画で進出拠点として位置づけ、物資の中継・分配機能と広域支援部隊のベース機能を持たせるとともに、感染症対策も含めたBCPを作成しています。
 これらをはじめ、他の自治体では、道の駅や高速道路のサービスエリア、パーキングエリアなどに防災拠点機能を設けている事例が多く存在しますが、本府として取組状況はどうでしょうか。
 有事の際には、広域防災拠点とも連携して活動拠点として機能させることができるのか、停電時の電源確保など、さらなる機能強化について各市町村や民間とも連携し、防災拠点の充実を図るべきかと考えますが、現時点での取組と課題について御所見をお聞かせください。
 また、地震の場合、京都府には前述したように幾つもの断層があるため、被災箇所が南部であったり中部、北部であったりしますが、例えば、大きな被害が想定されている花折断層帯地震の場合、これらの防災拠点をどのように活用し、活動できる体制をつくるのか、具体的な被災地域への支援の方法と課題をお聞かせください。
 最後に、実際の大規模災害等に市町村や消防・警察・自衛隊・医療機関・報道機関などの関係機関と連携し、一つ一つの防災拠点等をうまく活用しながら災害対応していくためには、日頃からの十分な打合せや訓練が必要であります。
 京都府総合防災訓練において、昨年コロナ禍の影響で中止をされましたが、防災については日頃の訓練や備えが重要であると考えます。私も会社員時代に大規模災害における訓練の企画をした経験がありますが、数千人、数百人を動員する訓練は本当に大変で、心中察するに余ります。
 大勢の人を動員した大がかりな訓練も定期的には必要ですが、図上訓練であれば回数も増やし、俯瞰的に課題を捉えることにもつながると思います。自治体によっては、ブラインド訓練の実施、図上と実動訓練を組み合わせたハイブリッド訓練もされているところもあると耳にしています。時代が進化する中で形骸化することがないよう、生々しい訓練が必要かと思います。
 本府で工夫されている取組や、将来考えている効果的な訓練の実施に向けて検討されていること、防災にかける思いをお聞かせください。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

◯議長(菅谷寛志君) 壺内危機管理監。
   〔危機管理監壺内賢一君登壇〕

◯危機管理監(壺内賢一君) 大規模災害における防災拠点についてでございます。
 京都府では、大規模災害時の初動体制として府庁に知事を本部長として指揮を執る災害対策本部を、現地の振興局には被害状況の迅速な把握や市町村との連携強化を図る災害対策支部を、さらに広域防災活動拠点に現地連絡本部を設置し災害対応に当たることとしています。
 このうち広域防災活動拠点は、山城総合運動公園など府内4か所で設置することとしており、消防・警察・自衛隊などの応援隊の集結や、全国からの救援物資の集配などが円滑に行えるよう現地活動拠点として効率的・効果的に機能を発揮させる必要があります。
 このため拠点の設置場所は、災害時にも優先的に道路交通が確保される緊急輸送道路との連絡がよく、また陸路だけでなく海路や空路を活用できること、さらには関係機関の施設との連携が容易であることなどを考慮した配置としております。
 具体的には、拠点の一つである京都舞鶴港は、海上保安庁や海上自衛隊の港湾・ヘリポートと、丹波自然運動公園や山城総合運動公園は陸上自衛隊の駐屯地や演習場と、京都御苑は京都市内の拠点といたしまして警察や病院などと近接し連携が図れる場所としております。
 また、拠点の機能といたしまして現地調整本部機能のほか、ヘリポート機能や救援物資の集積・集配機能、宿泊などの活動維持・継続のための機能等を持たせることとし、面積については、4つの拠点を合わせまして応援隊1日約1万人、大型車両400台以上の受入れが可能であり、東日本大震災時の支援拠点となりました岩手県の1日約1,700人、車両約400台を上回る収容能力を確保しております。
 さらに、救援物資の集配についても、山城総合運動公園、丹波自然運動公園、それぞれ約2,000平米の体育館を活用できるほか、京都府トラック協会や京都倉庫協会との協定締結によりまして、円滑な物資の集配が行える体制を確保しております。
 次に、道の駅などの防災拠点としての活用についてでございますが、広域防災活動拠点をバックアップする拠点として、道の駅やサービスエリア、パーキングエリアを災害時の防災拠点として優先的に利用できる「防災拠点自動車駐車場」の制度を活用し整備する取組を進めているところでございます。
 道の駅などを防災拠点として活用するためには、十分な駐車場規模を有するなどの条件があり、府内で条件を満たす道の駅は6か所であります。このうち、京都舞鶴港と丹波自然運動公園の間にあります「和(なごみ)」、京都縦貫自動車道のパーキングエリアでもある「味夢の里」については、防災機能を持たせるための調整ができましたため、昨年の京都府防災会議において地域防災計画を改定し、「広域的な防災機能強化を図る道の駅」として位置づけたところでございます。
 現在、山城南部の道の駅「お茶の京都みなみやましろ村」についても、停電時の電源確保など、防災拠点としての設備の強化・充実に向けて、南山城村や民間の施設管理者と調整を図っているところであり、地域防災計画上の道の駅として登録できるよう進めてまいります。
 次に、花折断層帯地震が発生した際の防災拠点の体制についてでございます。
 本地震の被害想定区域は京都市から京都府南部であるため、4つの防災拠点のうち山城総合運動公園に現地対策本部を設置することが基本となります。ただ、この地震による最大震度の想定は、阪神・淡路大震災や東日本大震災に匹敵する最大震度7クラスという非常に大きな予測となっており、山城総合運動公園だけでは十分な機能が発揮できないことも想定し、府内の複数の拠点で補完できる仕組みを構築しておく必要があります。
 このため、丹波自然運動公園や先ほどの道の駅で拠点機能を補完あるいは代替するほか、京都舞鶴港は海路からの応援隊や物資輸送の中継地として、また京都御苑は被災者を府外の病院などに広域搬送するための広域医療搬送拠点のヘリポートとして機能分担させるなど、各防災拠点を状況に応じて効果的に連携させる防災体制を取ってまいります。
 次に、訓練についてですが、コロナ禍の約2年間は感染症の影響もあり大人数での実動訓練が困難な状況であったため、図上訓練やリモート訓練などを中心に防災関係者の知識やスキルの維持を図りました。この間、実働訓練での実施が困難なシナリオを伏せたブラインド訓練や、比較的少人数で実施できます京都御苑でのヘリポート開設等の実施訓練を行うなど、コロナ禍における訓練方法について工夫をしながら進めてまいりました。
 今年度は9月上旬に2年間中止となっておりました総合防災訓練を精華町で実施する予定としておりまして、広域防災活動拠点の山城総合運動公園に集められた救援物資を各避難所のニーズに応じて配分・輸送するシステム操作と実動を組み合わせたハイブリッド訓練を行うなど、防災拠点の活用訓練に取り組んでまいります。
 大規模災害が発生した場合には、防災拠点を効果的に活用し、国や市町村、消防、警察、自衛隊などと連携し、迅速で適切な災害対応に当たることが重要であると考えており、今後とも関係機関とともに広域防災活動拠点の運用訓練を積み重ねるなど、防災対応力の向上に向けた取組を進めてまいります。