1.令和3年度当初予算案について
2.新型コロナウイルス感染症対策について
(1) 強靱な医療体制構築に関して
(2) 新型コロナワクチン接種に関して
(3) 中小企業支援策に関して
(4) 若者の就労支援に関して
(5) つながりあえる社会を目指した孤立対策に関して
3.向日が丘支援学校の建て替えに伴う仮移転について
4.その他
議長(田中英夫君) 日程に入ります。日程第1、代表質問を行います。通告により、順次発言を許します。
まず、堤淳太君に発言を許します。堤淳太君。
〔堤淳太君登壇〕(拍手)
◯堤淳太君 府民クラブ京都府議会議員団の堤淳太でございます。
質問に先立ちまして、議長のお許しをいただき一言申し上げます。
去る2月13日に、福島県沖で震度6強の地震が発生いたしました。幸い、死者は確認されておりませんが、負傷者は160名を超え、大規模な停電も発生しました。寒空の下で大変御苦労されている被災者の方々には心からお見舞いを申し上げ、一刻も早い復旧をお祈りいたします。
また、いまだに収まらない新型コロナウイルス感染症の流行によって、京都府においては約9,000人の方が罹患し、147名の方が亡くなられました。亡くなられた方々へ心よりお悔やみを申し上げますとともに、現在療養中の皆様方のお早い御快癒をお祈りいたします。また、府民の生命・健康を守るために最前線で奮闘している医療従事者の皆様方に心から感謝を申し上げます。
私たち府民クラブ府議会議員団も一丸となって、安心して暮らすことのできる京都府づくりに邁進してまいります。
それでは、通告に従いまして質問いたします。理事者の皆様におかれましては、どうぞ積極的な答弁をよろしくお願いいたします。
初めに、令和3年度当初予算案とコロナ禍における京都府財政の見通しについてお伺いいたします。
14か月予算として編成された令和3年度当初予算案と令和2年度2月補正予算案は、当然のことながら、いまだに私たちの生活に様々な悪影響をもたらしている新型コロナウイルス感染症への対策として、医療提供体制や検査体制の充実、厳しい状況に置かれる中でも懸命に府民の健康と生命を守ってくださっている医療機関や医療従事者への支援、そして緊急事態宣言下にあって疲弊が色濃くなっている地域経済への支援など、新型コロナ対策を中心に編成をされています。
これに加えて、コロナ禍で厳しい状況にある独り親家庭の支援や子どもたちの見守り、職を失った方々へのきめ細かい支援などを展開するとともに、子育て環境日本一の実現をはじめとして、西脇知事が策定された総合計画に基づく事業も着実に推進されるなど、押さえなければならない点にしっかりと手の行き届いた予算案となっており、その充実ぶりを会派として高く評価いたします。
西脇知事は就任以来、府政の推進に当たって、「現場主義の徹底」「前例にとらわれない」「連携にこだわる」の3点を重視するよう、職員の皆さんに繰り返し伝えてこられました。それによって、この間、本府の施策を見ておりましても西脇カラーが年々色濃く反映されてきているのではないかと感じます。
そこでまずお伺いしたいのが、令和3年度当初予算案において、西脇知事が重視するこれら3点の施策はどのように盛り込まれているのでしょうか。代表的な施策とともに、知事が当初予算に込めた思いをお聞かせください。
令和3年度当初予算案の規模は、京都府として初めて1兆円の大台を超える1兆350億円余りとなり、積極的かつ力強い施策の展開が期待されるところです。その一方で、こうした施策の財源的な裏づけに目を向けますと、まさに新型コロナウイルスの影響もあって、不安の大きい状態となっております。
国が年末に予算に先立って策定する令和3年度の地方財政対策によると、47都道府県1,700余りの市町村を総体として捉えた地方財政全体において、自主財源の最たるものである地方税は前年度比で2.8兆円も減少することが見込まれております。
本府におきましても例外ではなく、来年度の当初予算案における府税収入は、いわゆる法人二税を中心として、前年度から260億円の減少、さらには特別法人事業譲与税や地方消費税清算金収入の減少などを加えると、前年度から約485億円も減少することが見込まれており、新型コロナが社会経済に及ぼす影響の大きさを改めて感じるところであります。
そこでお伺いいたします。
令和3年度の予算編成に当たり、近年はわずかながらも増加傾向にあった府税収入が大幅に落ち込むことは、歳入と歳出の均衡を図る上で大きな痛手であったと考えますけれども、府税収入の落ち込みの分析及び今後の回復に向けた対策や展望についてどのようにお考えでしょうか。御所見をお伺いしたいと思います。
また、本府では、2019年度から2023年度までを計画期間とする行財政改革プランを策定し、限られた財政の有効活用や施策の重点化、税源涵養や府債残高の適正管理による持続可能な財政構造の確立などを目指しているところであります。持続可能な行政運営を実現し、将来世代に負担を先送りすることがないよう、約300億円の収支不足解消を図りつつ、京都の未来づくりのための約100億円の財源を生み出すため、施策の新陳代謝を促すプログラムの実行をはじめ、徹底した行財政改革に取り組む矢先に発生したのが、今回のコロナ禍です。
そこでお伺いいたします。
新型コロナウイルス感染症という予想だにしなかった要因が発生したことにより、府税収入が落ち込むなど、将来を見通すことが難しくなったと感じておりますが、そのような暗中模索とも言うべき状況の中で、今後どのような財政運営を行っていかれるお考えなのか、御所見をお伺いしたいと思います。
まずは、財政についてお伺いいたします。
◯議長(田中英夫君) 西脇知事。
〔知事西脇隆俊君登壇〕
◯知事(西脇隆俊君) 堤議員の御質問にお答えいたします。
堤議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして、今回の予算案に対しまして高い評価をいただき、厚く御礼を申し上げます。
令和3年度当初予算案についてでございます。
来年度当初予算案におきましても、「現場主義の徹底」「前例にとらわれない」「連携にこだわる」の3点については、特に意を用いて予算を編成したところでございます。
3つの視点の代表的な施策を申し上げますと、まず「現場主義の徹底」では、子育てにやさしい職場づくりを進めるために企業訪問をする中でいただいた貴重な御意見を踏まえ、テレワークや時間単位有給休暇の導入などを支援する「多様な働き方推進事業費補助金」を拡充し、現場の声を子育て施策に反映させたいと考えております。
次に、「前例にとらわれない」では、これまでの離職者中心の雇用対策を一歩先に進め、人生100年時代をとらまえ、在職中のミドル・シニア層がその技術や能力を今後、様々な分野で発揮できるよう、産業界や大学と連携し、リカレント研修を実施する生涯現役クリエイティブセンターを開設したいと考えております。
「連携にこだわる」では、けいはんな学研都市に民間企業や行政等が連携して「スマートシティ連携協議会(仮称)」を設置し、新たに参画する中小企業等の技術力を生かして、スマートけいはんなプロジェクトを発展させるなど、コロナ禍にも対応したスマート社会の実現を推進してまいりたいと考えております。
今後とも、3つの視点を大切にして、前例にとらわれることなく、現地現場に生じている一つ一つの課題に新たな発想で挑戦していくことにより、POSTコロナ社会において夢や希望が持てる京都府を実現してまいりたいと考えております。
次に、府税収入の状況についてでございます。
来年度の府税収入は、2,530億円と前年度に比べ260億円の大幅な減収を見込んでおります。特に法人二税については、コロナ禍でも増益を見込む企業もあるものの、全体としては厳しい企業業績になると考えており、213億円の減収となっております。今後、税収を回復させる上でも、まずはこの感染症を一日も早く収束させ、あるべき生活と経済活動を取り戻すことが重要であります。
このため、高齢者施設等に対するPCR検査の集中実施など、検査体制を強化するとともに、国や市町村と緊密に連携して、ワクチン接種に向けた準備を着実に進めるなど、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に最優先で取り組んでまいります。
また、特に深刻な打撃を受けている、観光、伝統、食関連産業への緊急支援などを通じて、中小企業等の事業継続と雇用維持に全力で取り組むとともに、危機克服会議の議論を踏まえた、商店街・小売業、ものづくりなど5分野の新事業を積極的に展開するなど、経済活動の活性化を図り、府税収入の回復につなげてまいりたいと考えております。
次に、今後の財政運営についてでございます。
京都府の財政状況につきましては、税収の落ち込みや社会保障関係費の継続的な増加により、今後も一層厳しい状況が続くものと考えております。
こうしたことから、国に対しましては引き続き地方一般財源の総額確保を求めるとともに、新型コロナウイルス感染症対応をはじめ臨時的に必要となる経費については、国において十分な財源を確保するよう強く求めてまいりたいと考えております。
加えまして、平成31年3月に策定した行財政改革プランに基づき、ネーミングライツ、未利用地の売却などの歳入確保に努めるとともに、新陳代謝促進プログラムをはじめ、府民ニーズや事業効果を踏まえた施策の見直しをさらに徹底し、持続可能な財政運営となるよう努めてまいりたいと考えております。
◯議長(田中英夫君) 堤淳太君。
〔堤淳太君登壇〕
◯堤淳太君 御答弁ありがとうございます。
コロナ禍という未曽有の事態で、大変財政に対して御苦労されていることが伝わってきました。今は財政出動を絞るべきでない時期だと考えておりますが、その先を見据えた財政均衡を図っていくということも重要であると考えております。
まずは、生活を守っていく。その先に、POSTコロナ、AFTERコロナを見据えて、どの産業に対して力を注いでいくのかを見据えながら、財政出動も図っていくべきではないでしょうか。今後のめり張りある施策の構築及び民間と連携をしながら、京都経済を活性化させていく取組を行っていただきますようにお願いしたいと思います。
次に、新型コロナウイルス感染症対策のうち、医療体制の構築と現在進められているワクチン接種に関してお伺いいたします。
新型コロナウイルス感染者数は、本府において1月17日の1日当たり154人をピークとして以来、緊急事態宣言発出の下で府民の皆様の甚大なる協力を得て、昨日の2月16日には17人にまで低下しており、胸をなで下ろしております。しかし、この間に、新型コロナウイルス感染者を受け入れるための720床を準備していると発表していた病床数が、実態に即したすぐに使える病床の数では330床であったこと、同じく86床と発表していた高度重症病床は30床であったことが明らかになり、府民の皆様に不安を与える事態を引き起こしています。
特に、準備をしていると発表していた病床数が実態として半数以下であったことは、病床の使用率が4割弱から8割強にはね上がり、病床使用率の逼迫を示す指標もステージ3からステージ4に移ることにつながり、正しい政策判断、補助金等の支出にも悪影響を及ぼすことになります。
また、府民との危機意識共有の面でも悪影響を与えていたことは間違いなく、当初より実態に即した数値で危機意識を共有できていたならば、府民も、より慎重な行動を選択されていたものと思われます。これからの信頼される京都府の施策遂行のためにも、今後はこのような問題が生じないように強く改善を求めます。
一方で、本府は2月3日に、実態に即したすぐに使える病床数を330床から350床へ増床すること、並びに入院確保病床を416床、医療支援病床を111床確保することを示し、実態に即した中で、府民の健康を守り、医療崩壊を防ぐ施策を打ち出しました。府民の不安を取り除く観点からも、引き続き病床確保に取り組んでいただきたいと思います。
これら入院病床に関して、1月末の報道によると、330床のコロナ病床のうち公的病院の病床数は180床で55%、民間病院は150床で45%と、京都府では公的病院の割合が低いことが指摘されました。また、ステージ4・5の患者を受け入れられる高度重症病床は、1月中旬の時点で30床でした。1月の初頭には高度重症病床30床のうち21床が埋まり、非常に切迫した状況に追い込まれる中で、京都府は、高度重症病床患者に対応する病床を30床から38床に増床いたしました。
府民の生命・健康を守るためにも、公的病院がより積極的に病床確保に取り組んでいただきますようによろしくお願いいたします。
また、京都府の北部において、人工呼吸器やECMO(エクモ)対応など、重篤化した患者を治療できる医療病院は限られています。入院待機中に容態が急変してしまい、尊い命を失ってしまった女性の事例もございます。容態の急変が新型コロナの特徴としてありますから、短時間で搬送が可能な、地域バランスを考慮した病床確保が必要になると考えます。
まずは、病床の確保に関して2点お伺いいたします。
一つ、公的病院の担うべき責任をどのように考えているのか。一つ、府北部においても高度重症病床の確保が求められていると考えますが、どのようにお考えでしょうか。御所見をお伺いいたします。
京都府では、入院医療コントロールセンターを立ち上げ、病床の状況などの情報共有や入院先の調整などを行っているとされています。一方で、昨年の12月18日に「重症新型コロナウイルス感染症による医療の逼迫について」という声明を発表した、新型コロナウイルス感染症重篤患者受入医療機関の14病院では、毎週ウェブ会議を行って情報の共有を行ってまいりました。
京都府もオブザーバーとしてこの会議に出席していたにもかかわらず、現場での逼迫度の把握が遅れ、今回のような状況に至ったことは、病床の状況などを確認する入院医療コントロールセンターの重要な機能の一つが果たせなかったことが表れています。
そこでお伺いいたします。
今後、入院医療コントロールセンターの体制を見直す必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。
医療従事者の疲弊とともに、地域で新型コロナ感染者の発生の際に対応している保健所職員の疲弊も問題となっております。保健所職員は日々の業務に加え、陽性患者が発生した際には、濃厚接触者の追跡調査、PCR検査受診の連絡、陽性者の健康観察など、業務で忙殺されています。
例えば、学校に通う生徒が感染した場合、どのように数日間を過ごしたかを聞き取ることを皮切りに、周囲の人間との接触した状況で誰が濃厚接触者に該当するのかを判断し、濃厚接触者の方には一人一人、PCR検査受診の連絡を行い、自宅療養中の陽性者には療養期間が終わるまで、毎日健康観察のための電話調査をしなければならず、本当にいっぱいいっぱいの状態になっています。
地域のハブ機能を担う保健所の負担軽減のためにも、例えば濃厚接触者に該当する方への連絡を学校や施設に肩代わりしてもらったり、健康観察を市町村に肩代わりしてもらうことも必要になってきているのではないでしょうか。そこで、保健所機能を守るための業務負担軽減策についての御所見をお伺いいたします。
次に、新型コロナワクチン接種に関してお伺いいたします。
本年1月に入り、ワクチン接種に向けて、過去に例を見ない短期間のスケジュールが示され、現在、実施に向けて国、府、自治体職員及び医療関係者の皆様方が一丸となって鋭意作業を進められています。関係者の皆様方の取組に深く敬意を表します。
国が示したスケジュールである、4月1日以降65歳以上の高齢者へのワクチン接種開始までに、都道府県が主体となって今月の末までに保管のための冷凍庫の配備、市町村が主体となって同じく2月中に接種会場の確保及び3月中旬以降にワクチン接種券の郵送を行うという作業が、急ピッチで進められています。
また、高齢者への摂取に先立ち、医療従事者や救急消防隊員、保健所及び保健環境研究所職員等に対して優先接種を行う段取りが組まれています。新型コロナウイルスのワクチン接種に関して社会的に急務の課題であるため、準備に向けて走りながら同時並行で検証を行わなければならないということは、大いに理解をいたします。
しかし、安全性に関しては万全を期さなければなりません。現在、接種が予定されているファイザー社のワクチンは、2月14日に承認されたばかりのワクチンであり、臨床試験も国内では十分に行われていないワクチンであるということは、十分に留意しなければなりません。
そもそも、ワクチン接種は体内に人為的に異物を注入し、それを排出しようとする生物の防衛機能を活用して免疫を構築するものです。ですから、ワクチン接種は人体にとって好ましいものではなく、インフルエンザワクチンでも接種によって体調を崩すこともありますし、皆さん御承知のとおり、子宮頸がんワクチンでは接種後に重篤な症状を発症し、日常生活もままならない状況になってしまった事例もあります。
もちろん、それらのリスクと新型コロナを抑え込むことをてんびんにかけて、メリットのほうが大きいと判断されたために、ワクチン接種に向けて進められているということは十分に承知しています。
しかし、ワクチン接種によって健康を害し、場合によっては命を落とすなどマイナスの影響が生じる人は必ず発生してしまいます。新型コロナウイルス感染症を抑え込むという社会全体の利益と、ワクチンが体に合わない個人の健康や生命のリスクを限りなく下げることの両立が求められています。
現在の計画では、高齢者に先行して医療関係者に対して接種されることになっていますが、万が一、日本人の体にワクチンが適応せずに副反応等が多発してしまった場合、医療が切迫している現状で人為的に医療崩壊を引き起こす引き金になってしまうかもしれません。また、高齢者の方は抵抗力も弱く、日常的に薬を服用されている方も多数いらっしゃいます。ノルウェーなどでは、接種後に高齢者の方が死亡する事例が多数報告されています。
このようなワクチン接種によって健康への悪影響が確認された場合には、国へ報告を上げて判断を仰いでいる間に健康被害を拡大していくことにもつながるため、即座に府としてワクチン接種を一時停止する基準も事前に考えておいて、府民の健康・生命を守る必要があると考えます。
まずは、ワクチン接種に関する安全確保について3点お伺いいたします。
一つ、ファイザー社の新型コロナワクチンの安全性は、どのように確認されていますか。一つ、ワクチン接種に伴うリスクを医学的な知識を持たない方へどのように告知し、どのように理解してもらおうと取り組まれるのか、お考えをお聞かせください。そして、一つ、健康被害が多発した場合、安全性が再確認されるまでワクチン接種を一時停止する等の処置をどのような基準で行うのか、御所見をお伺いしたいと思います。
ワクチンが日本国内に入ってきて個人に接種されるまでの間に、都道府県が配備する超低温冷凍庫までの搬送はメーカーが責任を持ち、そこから医療機関での接種までは各医療機関が、集団接種会場での接種は各市町村が責任を持つと、役割分担が示されています。
この役割分担の中で、メーカー及び各医療機関は医療的ノウハウを保持していますために、保管・搬送に関して一定安全が担保されていると判断されます。一方で、日常業務の中で医療部門を持たない市町村に関しては、保管・搬送・廃棄までの取扱いを十分に説明する必要があります。
また、ワクチンの接種場所として病院・診療所・集団接種会場などバリエーションが多いほうが効率的に進めることができますが、管内に病院を持たない自治体が、大山崎町、笠置町、和束町、南山城村、井手町、宇治田原町、伊根町の7自治体あります。これら病院を持たない自治体に対して、京都府の手厚い連携が求められます。
そこでお伺いいたします。
ワクチンの保管・搬送・廃棄に関するマニュアルの作成と指導の徹底をどのようなスケジュールで行っていくのでしょうか。また、病院を持たない自治体の支援、連携をどのように行う予定なのか、御所見をお伺いいたします。
去る1月27日に神奈川県川崎市において、大規模なワクチン接種の訓練が執り行われました。この訓練では、受付から問診、接種、経過観察の待機所に至るまで、最短では13分、問診が長引くなどして最も長かった事例では26分という結果になりました。
これを受けて、接種を行う医師1人当たりが1レーンで1日に接種できる人数は、午前60人、午後60人ずつの120人程度であると計算されています。接種会場に関しても密を避け、受付、問診所、接種場所、副反応等の有無を観察する経過観察所などにも広い空間を用意しなければならないために、必然的に体育館のような広い場所を準備しなければなりません。
一人一人区切られた空間で30分程度経過を観察する場所を含めて用意すると、標準的な学校の体育館でも2レーンしか準備ができないと計算されています。1レーン120人なので1日240人、学校の体育館の使用を想定するならば、平日は授業がありますので土日のみの使用で週に1会場当たり500人程度と計算されます。また、接種回数は、ファイザー社のワクチンで3週間を空けての2回接種となっていますので、1回目の接種と並行しながら2回目の接種も行わなければなりません。
これは、人口約8万人の長岡京市を例にすると、長岡京市では14の小・中学校がありますので、土日に各2レーンずつ準備できたとしても週に7,000人、月で2万8,000人しか1回の接種を行うことができません。
一方で、接種を行うには、1レーン当たり1名の医師と経過観察の医師に加えて、必要数の看護師を配置しなければなりません。2レーン確保できた会場では3名の医師と看護師が必要になります。会場を増やすと、医師、看護師の手配も必要になるので、疲弊している医療現場の負担がさらに増すことになります。
先ほどと同じく長岡京市で想定すると、14会場で3人ずつの医師を配置すると52名もの医師確保、それに加えて看護師の確保が必要となり、週に7,000人に対してワクチン接種することも、現実に不可能な対応であるということは明白でございます。そのため、府民に速やかな接種を行うことは、平日も使用できる広い会場確保のために自治体への協力とともに、医師・看護師の確保を行わなければなりません。
そこで、速やかなワクチン接種に向けた会場確保のために、自治体へどのような協力を行っていくのか、また接種会場の医師・看護師の確保の見通しがついているのか、さらにはワクチン接種の完了の時期のめどの3点について、御所見をお伺いいたします。
ワクチン接種に関して非常に懸念されることが、ワクチン接種をめぐっての詐欺の横行です。容易に思いつくだけでも、保健所や医療機関を詐称した電話で、優先的にワクチン接種を行える権利の購入を勧めたり、自分のワクチン接種の権利と称するものをフリマアプリで販売したりとか、あるいは闇ルートや海外からの直輸入で「ワクチンを購入できる方法をお金を払ったら教えますよ」といった手法であったりとか、さらには廃棄ワクチンの横流しなど枚挙にいとまがありません。
金銭だけでも悪い影響があるんですけれども、実際に得体の知れない薬品のようなものが家に届いて、それをワクチンであると信じてしまった人が自分の体内に接種してしまうと健康被害まで生じてしまいますので、そのようなことが発生しないように厳重に監視しなければなりません。
そのような詐欺行為に信憑性を与えないためにも、ワクチンを取り扱う際にはワクチンが外部に持ち出され悪用されないようなワクチンの管理・廃棄の徹底や、現物の写真を撮らせて詐欺行為に信憑性を与えないような工夫も必要になると考えます。
府民の健康・生命・財産を守るためにも、詐欺行為を防ぐための取組及びワクチンの管理体制に関して、御所見をお伺いいたします。
ワクチン接種に関して最後にお伺いしたいのは、ワクチンを接種しないことを選択した方への不当な待遇や、ワクチン接種強制への取締りです。
今回の新型コロナワクチン接種は、あくまでも任意です。また、先日承認されたばかりで、国内では十分に臨床が行われていない医薬品であるということも注意しなければなりません。自分の健康・生命を守る行為を自分で判断する権利は、当然に守られてしかるべきです。これに対して、ワクチン接種を強制させる、接種済証を提示しなければ仕事を外される等の行為があってはいけません。このような行為には厳重な対応を取っていただきたいと思います。
最後に、ワクチン接種の強制や接種しないことを選択したことへの不当な待遇を防ぐための啓発、並びに発生した場合の対応に関して御所見をお伺いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
◯議長(田中英夫君) 西脇知事。
〔知事西脇隆俊君登壇〕
◯知事(西脇隆俊君) 公的病院の責任についてでございます。
公的病院につきましては、地域で必要な高度先進医療をはじめ、救急医療、災害医療、僻地医療などの政策医療を担っていただいており、地域の中核病院としての役割を果たしていただいているところでございます。また、民間病院においても、救急医療のほかリハビリなど、公的病院とともに地域医療を担っていただいております。
そのような中、京都府では、新型コロナウイルス感染症の入院受入病床につきましては、公的、民間を問わず、患者を受け入れるための施設設備、人員を備えた病院に協力依頼を行ってきたところであり、すぐに使用できる病床として350床を確保しているところでございます。
今後とも、公的病院、民間病院と十分に協力し、感染症患者を受け入れる医療機関と地域医療を維持する医療機関の役割分担をしながら、新型コロナウイルス感染症の入院受入病床の確保を図ってまいりたいと考えております。
次に、北部地域における高度重症病床の確保についてでございます。
府北部地域の重症患者につきましては、設備や人員が整っている感染症指定医療機関において、人工呼吸器装着患者を受け入れていただいているところでございます。しかしながら、ECMOや人工呼吸器を装着すると入院期間が長くなることから、地域において必要な救急医療等、他の医療提供に影響を及ぼすおそれがあるため、京都市内をはじめ府域全体で調整を行っているところでございます。
今後とも、関係団体や医療機関と連携し、北部地域の重症患者に対しても的確に対応できる体制を整備してまいりたいと考えております。
次に、入院医療コントロールセンターの体制についてでございます。
入院医療コントロールセンターでは、受入医療機関と空床数や入院患者の重症度等の情報を日々共有しているほか、定期的にウェブ会議を開催し意見交換を図るなど、常に連携しながら円滑な入院調整を行ってまいりました。
今回の第3波では、入院患者の増加が続き病床の逼迫が見込まれたことから、12月2日には各受入医療機関に重症・中等症患者の受入拡大につきまして、12月8日には医療体制が手薄になる年末年始の受入体制について、協力要請を行ったところでございます。
しかしながら、12月14日から21日までの1週間でECMO、人工呼吸器を要する重症患者が2.5倍となるなど、想定を超える速度で病床の逼迫が進行し、入院調整に時間を要することとなりました。
このような事態を今後発生させないようにするため、入院医療コントロールセンターを増員し、個々の患者の療養方針を決定する総括班、入院調整を行う病院調整班、宿泊療養施設との調整を行う施設療養班の3班体制に体制を強化したところでございます。
今後とも、入院医療コントロールセンターを中心に、陽性判明から勧告解除までを的確に調整するとともに、関係団体や医療機関と連携をし、全ての患者が安心して療養できる体制づくりに努めてまいりたいと考えております。
次に、保健所の業務負担軽減についてでございます。
新型コロナウイルスの感染が急速に拡大する中で、母子保健対策等に加え、感染症の積極的疫学調査や陽性者の健康観察などの感染症対策を担う保健所の業務が増大し、その負担が非常に大きくなっているところでございます。
京都府では、感染が拡大する中でも保健所が業務を円滑に実施できるよう、これまで、電話相談や入院調整機能の本庁への集約、搬送業務の外部委託、振興局全体で各保健所を支援する体制の整備、さらには市町村保健師による応援などにより、保健所業務の負担軽減に取り組んでまいりました。
また、クラスターが発生した学校や施設では、例えば学校のクラス全員に対してPCR検査を行う場合に、生徒への連絡を学校側で行っていただくなど、保健所の指示の下、個人情報の取扱いに十分配慮し、問題のない範囲で御協力いただいております。
今後とも、市町村、関係機関等との協力も得て、保健所の業務負担の軽減を図りながら、京都府が担うべき役割をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。
次に、新型コロナワクチンの接種についてでございます。
今回のワクチン接種はこれまでにない大規模な接種事業であり、京都府といたしましても円滑な実施体制が確保できるよう準備を進めるとともに、府民の皆様が安心して接種いただけるよう、常に正確な情報収集を行い、丁寧に提供・共有させていただくことで、ワクチン接種に御理解いただけるよう努めてまいりたいと考えております。
ファイザー社のワクチンにつきましては、国際共同の治験データや国による国内外の臨床結果のデータを基に審議会による検討を経て、先日、承認されたところでございます。この中で、主な副反応は、接種による腫れ、痛み、頭痛などの症状があるものの、おおむね2日以内に回復しており、まれに重度の事象も確認されておりますが極めて低い頻度でございます。一方、発症や重症化の予防効果が95%と高い有効率を示しているなど、安全性と有効性が確認されたところでございます。
ワクチン接種のリスクの情報発信につきましては、今後行われる国による先行接種の結果などを含め、来月京都府が設置する予定の相談センターにおきまして、府民の皆様に具体的に分かりやすく説明するとともに、ホームページやパンフレットで情報を発信するなど、丁寧に対応してまいりたいと考えております。
また、ワクチンによる健康被害については、京都府において重篤な健康被害が発生した場合には、即座に全ての接種機関と情報を共有するとともに、接種の一時停止について医師会や国と協議することといたします。併せて、国に対しまして、安全性に関する調査を行い、しかるべき対応を速やかに行うよう求めてまいりたいと考えております。
次に、ワクチンの保管・搬送等についてでございます。
ファイザー社製のワクチンは、メーカーから超低温冷凍庫の設置場所に直送され、市町村でさらに接種場所まで分配されることとなっております。この配送や保管、残液の廃棄に当たっては、温度の管理やワクチンの特性を十分理解した上で適切に取り扱う必要がございます。このため、マニュアルを作成いたしまして、市町村への研修を徹底してまいります。
次に、病院のない市町村等への支援についてでございます。
病院のない市町村や医療施設が少ない市町村からは、人口規模と医療提供体制を考慮した接種計画を検討する中で、「近隣市町村の医療施設の広域利用などができないか」との要望を受けております。このため、地域ごとの担当を決めまして、地域事情を考慮した摂取方法を提案するとともに、近隣市町村の病院や集団接種会場の相互利用ができるよう、病院や地区医師会等と調整を進めているところでございます。
次に、集団接種の会場と医療人材の確保についてでございます。
集団接種につきましては、短時間でできるだけ多くの方に摂取することが求められており、その会場につきましては、接種後の待機場所を設けなければならなず、3密を防ぐ観点からも一定規模の広さが求められております。しかしながら、こうした条件に合致した地域の学校の体育館や交通アクセスのよい公共施設などの適当な施設が少ないという課題もお聞きをしております。このため、地域の病院や診療所での接種を増やしていただけるよう、医療関係団体や病院関係団体等と調整を進めているところでございます。
また、医療人材の確保につきましては、地区医師会との協議により医師の確保が進む一方で、看護師の確保に苦労する市町村が多い状況でございます。そのため、看護師確保に向けましては、国が示すモデルでは医師1名と看護師2名で接種を行うこととされておりますが、医師2名体制での実施や、薬液充填を薬剤師にお願いするとともに、看護協会の看護人材バンクに協力を求めることとしております。
こうしたことを踏まえ、京都府及び市町村と京都府医師会、京都府看護協会、京都府薬剤師会や病院関係団体で、新型コロナワクチン接種の円滑な実施に向けた協定を締結することとし、診療所・病院における接種の推進や医療人材の確保について、相互に協力し接種体制を構築していくこととしております。
また、ワクチン接種の完了時期につきましては、ワクチンの確保を行う国において具体的なスケジュールが示されていない中ではありますけれども、京都府といたしましては速やかなワクチン接種が行えるよう、市町村とも連携して接種体制を整えてまいりたいと考えております。
次に、ワクチン接種に係る詐欺行為についてでございます。
全国では今年に入り、役所や保健所の職員を名乗り「ワクチンを優先接種できる」などと言ってお金を要求する手口の不審電話が確認されており、京都府でも同様の手口による被害の発生が懸念されますので、京都府防災防犯情報メールや「くらしの安心ネット・いろいろ情報便」においてメッセージを配信するなど、府民に注意喚起を行っているところでございます。
次に、ワクチンの管理体制についてでございます。
ワクチンを適切に管理していくことが極めて重要であり、ワクチン保管管理者の登録やワクチン分配管理台帳への記載、またロット番号の確認、残液の廃棄も含め、管理に関するマニュアルが国から示されております。このマニュアルにより、こうした作業が確実に行われ、適切にワクチンが管理されるよう、市町村や医療機関に求めてまいりたいと考えております。
次に、接種の有無による不当な待遇への対応についてでございます。
ワクチン接種は本人の意志を尊重した上で行うことが基本であり、接種の有無により不利益を受けることがあってはならないと考えております。こうした観点から、府民の皆様にワクチンに関する正しい情報と知識をしっかりと持っていただくことが重要であり、今後とも周知・広報に一層努めてまいりたいと考えております。
◯議長(田中英夫君) 堤淳太君。
〔堤淳太君登壇〕
◯堤淳太君 御答弁ありがとうございます。
行政としても、ウイルスという目に見えないものに対して、本当に手探りで対応しているということがよく伝わってまいります。一方で、府民の方も目に見えないものだから余計に心配になってくるということにつながりますので、府民の安心構築のためにも十分に取り組んでいただきたいと思います。
また、ワクチンに関しましてですけれども、ノルウェーにおける事例では4万人接種したのに対して30名程度の死亡者が出ているということが、報道ベースでありました。もちろん、日本と医療の質であったりとか、延命に対する考え方が異なるのは十分承知していますけれども、仮に京都府民40万人に接種してこの数字どおりということになってしまうと、300名の方が亡くなってしまう可能性があります。この数字というのは、今までの死者数が147名でしたから、倍の数字になってしまいます。十分に安全管理を施していただいて、府民の生命を守っていただきますよう、お願いいたします。
また、ワクチンの残液に関しましても、当初、国が考えていたよりも残液が残ってしまうという事態になりますので、それを集めていくとかなりの量になってしまって、それが流れてしまうと、また非常に大きな問題になってしまうので、十分に保管・管理体制を行って講じていただきますよう、お願いします。重ねて、自分の命とどう向き合うのかは、本人の選択であるということに留意を置きまして、ワクチン接種を進めていただきたいと考えます。
次に、新型コロナウイルス感染症のうち、中小企業支援、若者の就労支援、孤立対策についてお伺いいたします。
新型コロナウイルス感染症との闘いはもうはや1年が経過し、いまだ収束の見通しが立たない中で2度目の緊急事態宣言が発出されて、持ち直しつつあった京都経済の先行きに再び暗雲が立ち込めております。緊急事態宣言の効果は、1日当たり150人を超える感染者を出していた状況から、わずか1か月で20人を切るレベルまで感染者を低減させることができる強力な効果があり、府民の命と健康を守る上で必要不可欠な対策です。しかし、その一方でやはり、いつまで続くのか、将来はどうなるのかなど、府民の生活や雇用、経済に対する不安が大きくなっているのもまた事実です。
西脇知事は、これまでの間、府民の命と健康を守ることを最優先に医療・検査体制を充実させるとともに、中小企業の事業継続や雇用を徹底して守ることを基本姿勢として、特に中小企業対策では疲弊する事業者に寄り添って、実質無利子・無担保・無保証の融資制度を創設されました。この融資制度は、本府の緊急応援補助金や再出発支援補助金、国の雇用調整助成金などとも相まって、中小企業の事業継続に大きな効果を発揮しております。
一方で、多くの事業者は、コロナ禍がこれほどまで長期化するとは思いもしていなかったのではないでしょうか。本府は中小企業が多く、経済的な影響を受けやすい構造となっており、今は経営努力や本府の様々な施策によって何とか持ちこたえている事業者も、これ以上コロナ禍が長引くと耐えられないのではないかと不安は募るばかりです。
西脇知事は、京都経済を守り抜くため、昨年の2月定例会を皮切りにさきの1月の専決処分に至るまで9度の補正予算を編成し、新型コロナウイルスに必死で立ち向かってこられました。
そこでお伺いいたします。
この1年を振り返って、その施策の効果をどのように分析されているのでしょうか、御所見をお伺いいたします。
さらに、これまで講じてきた施策の課題や、新型コロナウイルスの状況変化による新たな課題も見えてきたことと考えますけれども、こうした京都経済が抱える課題をどのように分析し、今回の当初予算に反映させたのか、知事の思いを聞かせていただきたいと思います。
新型コロナによる深刻な経済的影響により、京都府内の昨年12月の有効求人倍率は、前年度から0.66ポイント下がって1.06、季節調整値では0.97と1を割り込んでしまい、1人に対して1つの求人がない状態となっております。
また、大卒・短大卒の内定率も12月1日現在の状況で、大卒が前年の81.1%よりも6.0%下落して75.1%、短大卒に至っては69.2%から17.3ポイントも減少して51.9%となっております。昨年度は最終的に大卒で96.9%、短大卒では94.0%の内定率となりましたけれども、本年度は1月から再度の緊急事態宣言を挟んでおり、内定取り消しなどが発生する可能性が大いに考え得るので、大卒で85%、短大卒では80%になってしまうのではないかと危惧をしております。これは仮に60人の母集団がいるとすると、大卒では9人の方が、短大卒では12人の方が職を得られないということになってしまいます。
冒頭で申し上げましたように、全体の求人が冷え込んでおりますので、パート・アルバイト、非正規の職も厳しい見通しとなります。さらに、前年度の所得がない新卒では、内定が決まらなかった場合、現在、国が支援している雇用調整助成金や新型コロナウイルス感染症対策休業支援金給付金の対象外になり、収入の見通しが立ちません。
この状況に対して本府は、第二の就職氷河期を生み出さないという強い決意とともに、「STOP氷河期・学生就職応援事業」に5,800万円を計上いたしました。一方で、菅総理大臣は国会で、生活苦への支援策に対する質問に対して、最後のセーフティネットとしての生活保護の存在を示唆されました。
しかし、私は、学校を卒業したての若者に対して、生活保護で状況をしのぐことは非常に好ましくないことであると考えております。なぜなら、社会に進出した直後の若者にとって何よりも大切なことは、働くという経験を蓄積することにあるからです。働く経験を幾ばくかでも蓄積しているならば、次にも応用することができます。しかし、全く経験がなければ応用することもできません。
私は去る6月議会で、行政における雇用の拡大を提案いたしました。今、働きたくても働く先のない若者の深刻な雇用の実態が、改めて浮き彫りになっております。働く能力と働く意志がある若者には、仕事を確保しなければなりません。働く意志と能力のある若者には、行政が生活保護を支払うよりも、行政が雇用して給与を支払ったほうが、若者にとって、そして社会にとってより有意義であるのではないでしょうか。
親元を頼ればいいという意見があるかもしれません。しかし、コロナ禍の状況で親世代も逼迫をしております。何より、社会全体で経済がどんどん、どんどん縮小傾向にある今、需要を掘り起こしていくことが必要な施策であると考えております。次年度は、本年度よりもさらに民間採用が冷え込むことも予見されます。
そこでお伺いいたします。
第二の就職氷河期世代を生み出さない取組に関する思いというものをお聞かせいただきたいと思います。また、京都府庁における2021年度の新卒採用者の増加に関して、改めて御所見をお伺いいたします。
緊急事態宣言の発出に伴い、不要不急の外出を自粛するように呼びかけてきました。府民の皆さんも、本府の呼びかけに積極的に応じて、不要不急の外出を控えていただいております。私も8時以降外出は控えておりますけれども、何分一人暮らしなもんで、誰もいない部屋に明かりをともして、冷えた部屋に暖房をともして独りで食べる食事を用意していると、えも言えぬそこはかとない感慨が湧き上がってきます。幸いにして私は、府民の生活の向上という尽きることのない仕事を頂いておりますので、日々、多忙に過ごすことができておりますけれども、一人暮らしの高齢者の方などと話していますと、これまでよりもたくさんお話しされる機会が多くなり、もしかすると私と同様の感慨を毎晩味わっているのではないのかなと考えることが増えております。
孤立は健康に悪いと言われます。定量的に分かりやすく例えると、1日たばこ15本分の健康を損なっているとも言われています。これまでサークル活動に活発に参加されていた方も、コロナの影響でメンバーの集まりが悪くなってしまってサークルから足が遠のいてしまったり、仲の良い友人の家に訪問することも何となく申し訳ない気持ちになったり、あるいは飲食店で声を上げて話すことがはばかられたりして、一日中、誰とも会わずに誰とも話をせずに家で過ごしている方も増えているのではないかと心配しております。
豊かな生活の質という観点から考えると、新型コロナへの感染リスクよりも、誰ともつながっていない、誰ともつながり合えないと感じる精神的なストレス、外出を控えることによって身体が弱まってしまうリスクのほうが高いようにも感じます。
そこでお伺いいたします。
コロナ禍の自粛の下でつながり合える社会づくりをどのように行っているのか、御所見をお伺いしたいと思います。
孤立にあえいでいるのは、高齢世代だけではありません。コロナ禍の下で妊産婦の自殺が増えていることが問題となっています。昨年9月に、厚労省の補助金を受けて横浜市立大学産婦人科の宮城教授が行った、今年妊娠・出産した全国8,000人の女性を対象とした調査では「約3割の妊産婦が鬱の恐れがある」と日本産科婦人科学会の記者会見で公表されました。WHO(世界保健機関)では、妊産婦のうち1割ほどが鬱を発症する可能性があると注意を呼びかけてまいりましたけれども、今の日本においては、新型コロナの影響で妊産婦の鬱発症が実に3倍にはね上がっていることが明らかになっております。
自殺者対策のみならず、子育て環境日本一を掲げる西脇府政においては、次年度当初予算案で妊産婦包括支援事業に1億1,300万円を計上し、子育ての最も基本となる妊産婦を孤立させない、新生児を抱える母親の目線に立った育児相談の取組を始めようとしております。妊娠中、出産後の女性の求める育児相談では、ママサークルのような同じ環境にある者同士や悩みを共有できる場とともに、助産師のようにたくさんの方の子育てや出産を見守ってきた専門家のアドバイスをもらえる場を求めているとも伺います。妊娠期から産後1年間の女性の死亡率で一番高い原因が自殺であるという大変つらい現状を改善させるために、ぜひとも妊産婦の産前・産後支援を定着させる取組を講じていただきたいと思います。
そこでお伺いいたします。
妊産婦の自殺対策への取組、並びに助産師などの専門家による育児訪問支援や相談の場の充実に関して、御所見をお伺いいたします。
社会的な孤立とは少し離れる話になってしまいますけれども、本府における令和2年の1月から10月の婚姻の数は8,530件で、前年同期の9,959件に対して14.3%も大幅に下落しております。新型コロナの流行により、経済的な先行きが見通せないことも原因と考えられますが、やはり、出会う場やつながる機会が少なかったことが、この結婚される方が少なくなっているということの大きな要因にあると考えるのが自然です。
西脇知事が子育て環境日本一を目指す背景には、全国でも特に低い出生率の向上という課題があります。出生率向上のためには、婚姻数の増加が求められます。もちろん、婚姻によらない出産や子どもを持たないことを選択した夫婦、さらには婚姻を選択しない個人の自由を大いに尊重するべきではあります。一方で、婚姻と出産にはやはり相関関係も認められますので、出生率向上のために出会いの場創出の取組を充実させる必要もあるのではないでしょうか。
新型コロナの流行の下で出会いの機会の創出は難しいことですけれども、少子化対策は我が国が直面している大きな課題であり、また解決には時間のかかる取組であります。大きな問題で、かつ時間のかかる問題にこそ優先的に取り組まなければ、いつまでたっても解決することはできません。
そこで、コロナ禍における出会いの場創出に向けた取組に関する御所見をお伺いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
◯議長(田中英夫君) 西脇知事。
〔知事西脇隆俊君登壇〕
◯知事(西脇隆俊君) 中小企業支援についてでございます。
この1年は、新型コロナウイルスの感染拡大の防止と経済の回復の両立を図るという非常に難しい対応が求められました。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、国の持続化給付金や雇用調整助成金に加えて、累次にわたり補正予算を編成し、無利子・無担保・無保証料の融資制度、事業再出発支援補助金などを創設するなど、あらゆる施策を総動員し、中小企業の事業継続と雇用維持に取り組んでまいりました。
具体的には、無利子・無担保・無保証料の融資制度につきましては、昨年末時点で約3万3,000件、事業再出発支援補助金につきましては約4万件の活用をいただいております。その結果、令和2年府内倒産件数は前年の240件に対して253件となっており、また府内有効求人倍率につきましても、リーマンショック時の0.48に対して昨年12月の時点では0.97となっており、厳しい状況の中ではございますけれども、何とか踏みとどまっている状況ではないかと考えております。
今後は、売上が減少し融資の返済が難しい事業者が出てくることが懸念されることから、金融と経営の一体的な支援によって中小企業を下支えできるよう、必要な予算案を今議会に提案しており、時宜に応じた支援策を講じることとしております。
一方、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、心が折れるという経営者の声をお伺いいたします。POSTコロナ社会において府内事業者がこの厳しい状況を乗り越え、夢や希望が持てるよう、社会経済情勢の変化を踏まえた産業戦略について議論するため、昨年6月、危機克服会議を設置したところでございます。この会議の議論を通して、京都の持つ高い文化やすぐれた技術を十分に生かせていないこと、従来の生産や販売方法からの転換が図られていないこと、デジタルトランスフォーメーションへの取組が弱いことなど、各分野におけます課題も見えてまいりました。
このため、コロナ禍を契機にこうした課題を解消し、京都の高い文化や技術力を活用した商品開発への支援、人と人との絆の力を生かしたものづくりシステムの再構築、デジタルトランスフォーメーションを活用し、ビジネス環境の変化への的確な対応など、社会課題の解決につながるイノベーションを分野ごとに推進していくための予算案を今議会に提案しております。今後とも、未来に向けて夢のある京都府産業を再構築できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
次に、新規学卒者への就労支援についてでございます。
バブル崩壊後に高校・大学を卒業した就職氷河期世代の方々については、令和元年11月にジョブパークに専門窓口を設け、きめ細かなカウンセリングやセミナーを通じて、これまでに708人の正規雇用につなげてまいりました。しかしながら、失った自信を取り戻してもらい、正社員に必要なリーダーシップなどのスキルを習得してもらうためには、多くの時間がかかるなど、正規雇用に結びつけることの難しさを痛感しております。
コロナ禍において二度と就職氷河期世代を生まないためには、前途ある若者が、最初に社会に出るときに安定した就業機会の確保が図られることが何よりも重要でございます。このため、高校や大学とも連携し、入学後の早い段階からの職業観の醸成や企業研究の場となるインターンシップの推進に取り組むとともに、卒業年次の学生向け企業説明会ではオンライン開催を充実し、年度後半になっても未内定の方向けに就職フェアを実施したいと考えており、必要な予算を今議会に提案しているところでございます。
京都府職員の採用についてでございます。
令和3年度の新規採用につきましては、今年度末に退職する職員が引き続き多いことに加えまして、新型コロナウイルス感染症対策や子育て環境日本一の推進をはじめとする行政課題に対応した強固な執行体制を確立するため、積極的に採用を行うこととしており、大学卒業程度の採用試験においては、今年度の134人に対し既に176人の採用内定を行ったところでございます。そのうち、新卒者につきましては128人と7割を超えており、新規採用を抑制しておりました平成11年度から21年度までの間の平均4割程度と比較いたしますと大幅に増加している状況でございます。
また、現在、保健師や薬剤師などの専門的な資格免許職種の採用試験を実施し、必要数の確保を図るとともに、今後とも、民間の雇用情勢や大学などの新卒者の就職状況を踏まえ、雇用の安定と優秀な人材の確保に引き続き努めてまいりたいと考えております。
次に、つながり合える社会づくりについてでございます。
少子高齢化や核家族化が進み、地域のつながりが低下する中、一人暮らしの高齢者や独り親家庭、ひきこもりなど、様々な孤立が課題となっております。
京都府では、これまでから、民生児童委員による訪問や、地域全体で高齢者の見守りを行う「絆ネット」の構築、生活困窮世帯や独り親家庭などを幅広く受け入れるこども食堂の開設支援、ひきこもり状態にある方への地域支援団体と連携した電話相談や訪問支援など、地域のつながりを生かして、配慮を要する方を孤立させない取組を進めてまいりました。
コロナ禍においては、これまでの対面による活動の自粛を余儀なくされ、一層の孤立が懸念されておりますが、民生委員による電話での見守りや換気・消毒を徹底したサロンの開催、リモートによる地域の交流など、感染予防に配慮した新しい活動により、これまでの取組が途切れることがないよう工夫しているところでございます。
こうした取組を続けることにより、コロナ禍の下でも誰一人孤立させない、つながり合える社会づくりをしっかりと進めてまいりたいと考えております。
次に、妊産婦の自殺対策及び専門家による支援の充実についてでございます。
国の調査によりますと、妊産婦の死亡要因で一番多いのは自殺であり、子育てへの不安やストレスから起きる産後鬱など、産前産後の不調が原因の一つと考えられております。特にコロナ禍では、人との関わりが制限され、妊産婦の孤立が心身の不調につながることが懸念されるため、行政が積極的に支援し孤立化を防ぐ必要がございます。
京都府では、市町村と連携し、オンラインの活用や感染防止対策の徹底により、「子育てひろば」や保健師による産前産後の訪問支援等を継続するなど、必要な支援を途切れることなく提供してまいりました。また、ゴールデンウイークや年末年始には、京都府助産師会による24時間対応の相談窓口を開設し、妊産婦の心身の不安に対応してきたところでございます。さらに、初産の方など出産・子育ての不安を抱えやすい妊産婦を中心に、産後ケア事業の利用を促すとともに、ケアプランに基づき助産師等が訪問し、育児相談や家事・育児支援を行うなど包括的な支援に必要な予算案を今議会に提案しているところでございます。
妊産婦の皆様を産後鬱等の心身の不調につなげないよう、支援を一層充実させてまいりたいと考えております。
次に、コロナ禍における出会いの場の創出についてでございます。
京都府において、未婚化・晩婚化が急速に進む中、結婚を希望する男女が希望をかなえられるよう、京都婚活応援センターを拠点に出会いの場の創出など婚活支援に取り組んでまいりましたが、今年度は地域における婚活イベントが中止されるなど、従来の活動では継続が難しい状況になりました。
このため、京都婚活応援センターでは、婚活アドバイス動画の配信や婚活マスターによるオンラインを活用した婚活イベントの開催を支援するなど、新たな形で婚活サービスを提供することにより、出会いの場づくりに努めてまいりました。また、婚活団体同士の情報交換を促すことで、地域においても感染防止に配慮した形で屋外でのイベントが再開されるなど、取組の工夫が広がりつつあります。
今後、コロナ禍においても出会いの場を充実させるため、京都婚活応援センターが地域の婚活団体やボランティアに巡回支援を行い、オンラインを活用した婚活支援の実施、地域の観光資源を活用した婚活イベントの開催や、移住・定住促進の取組との連携といった新たな取組のサポートを充実するなど、多様な出会いの機会を創出してまいりたいと考えております。
◯議長(田中英夫君) 堤淳太君。
〔堤淳太君登壇〕
◯堤淳太君 御答弁ありがとうございます。
京都府は様々な施策を講じまして、コロナ禍における経済的な不況の止血処置を行ってまいりました。これは大変に効果があったと考えておりますけれども、一方で、国全体の話ですけれども、帝国データバンクの情報によると、1月度の倒産件数というのが、1位が飲食部門、2位が建築関係となっています。これが12月末だったら1位が飲食、2位がホテル・旅館業ともろにコロナの影響を受ける産業だったのが、今、コロナの影響を受ける産業から、そこから派生する業態に浸透しつつあります。これからも、経済対策を充実させていただきますようにお願いしたいと思います。
それでは最後に、私の地元の課題でもあります向日が丘支援学校の建て替えに伴う仮移転についてお伺いしたいと思います。
乙訓地域にある向日が丘支援学校は、府下初めての肢体不自由児の養護学校として、昭和42年に設立されました。その校舎も50年以上の年月が経過して、老朽化に伴う建て替えが取り組まれています。
現在の計画では、ここで向日が丘支援学校ともう一つ移転計画中の京都府済生会病院も関係してくるのですけれども、来年の令和4年の秋に済生会京都府病院が現在の場所とは離れた地域に移転した後に、この空いた済生会病院の建屋を改修して、向日が丘支援学校が令和5年の夏休みの期間中に仮移転をさせる。そして、その後に現在の校舎を立て壊し校舎の新築を行って、令和9年に再度移転して開校するという予定で行われております。
済生会病院の移転が令和4年の秋のいつになるか、まだ明示されておりませんけれども、病院の移転が完了してから病院機材の撤去などを行い、翌年の令和5年の夏休みの終わりまでに学校として改修を完了させてから、支援学校の引っ越しを行い、8月の下旬に仮移転の校舎での授業をスタートさせるには、なかなか時間がありません。まして現在は、新型コロナウイルス感染症の影響で様々なことに予想できない影響が生じております。さらには、移転先が乙訓地域の基幹機能を担う病院の跡ですから、仮移転の予定に影響が生じていないか、大変懸念しております。
そこでまず、向日が丘支援学校の仮移転に向けた全体的な進捗状況に関してお伺いいたします。
新校舎の建設に向けての計画は、昨年に設計業者が決まり、教室等の配置計画の案も上がってくるなど着々と進行しておりますが、その前段階としての仮移転に関しては、どのような教育環境になるのかなど具体的な内容が十分に見えてこないことから、児童生徒を通わせることになる保護者の方から質問を受ける機会もあります。
令和5年の仮移転から令和9年の新校舎の開校まで約4年の時間がありますから、仮移転の校舎で丸々3年間を過ごす中学部・高等部の生徒も出てきます。もとより、1年1年の学びの時間は誰にとっても貴重なものですから、仮移転といえども十分な教育環境を京都府として整えなければなりません。
現在の仮移転計画では、病院の建屋を改修して使用することになっていると仄聞しております。複数人部屋の病室として使われていた中規模の部屋が多いことであったりとか、あるいはバリアフリー化がなされていることなどは、支援教育と相性がよい造りになっているとも伺う一方で、病院施設であることから、グラウンド、体育館、プールなどの運動施設がありません。特別支援教育において体を動かす学習は非常に重要ですから、確保すべきことであると考えます。
そこでお伺いいたします。
グラウンドや体育館などの運動施設の整備に関してはどのようになさる予定でしょうか。
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、特別支援教育においてもICTを活用した教育やウェブでの会議も一気に進展しました。ICTの活用は、支援教育と相性がよく、学びが充実していると現場からも高い評価が上がっております。特に新型コロナの影響で学校への来訪が自粛された状況での学校祭のウェブでの動画配信を行い一般公開することで、遠方に暮らしているおじいちゃん、おばあちゃんも孫の成長を見ることができたと好評を得ております。学校側の取組だけでなく、京都府としてもタブレット端末の台数整備を積極的に行っていると伺っており、感謝をしております。
しかし、通信環境においては若干の課題が生じており、例えばウェブ会議を行ったとしても、10人程度の規模の参加者であっても通信環境がダウンする事態が発生することがあると伺っております。仮移転によって、学びの環境の質を落とすことなく、反対に仮移転を契機として質を向上させるよう、取組をお願いしたいと思います。
特別支援学校には、スクールバスや保護者の送迎によって通学している児童生徒が多数います。しかし、仮移転先となる済生会病院には、現在のように安全にスクールバスに乗降できるバスプラットホームがありません。病院の玄関にバスを乗りつけて乗降することは可能ですけれども、複数台の大型バスで短時間で安全に乗降するには、現場での工夫とともに安全な動線確保のハード的な整備も必要になってまいります。
また、保護者や福祉車両による送迎の車両待機場所も必要になります。済生会病院の建屋の横には比較的広い駐車場もありますけれども、駐車場への動線は坂道となっており、車椅子等での移動には支障を来してしまいます。さらに、近隣には地域の小学校もあり、その目の前の交差点は道幅も非常に狭くて、ふだんからの安全確保に力が注がれています。支援学校と小学校の下校時間が重なることもありますので、安全確保には十分注意していただきたいと思います。
そこで、スクールバスや送迎車両から仮校舎までの安全な動線の確保と、周辺の交通安全に向けた取組に関して御所見をお伺いいたします。
最後に、向日が丘支援学校は、福祉避難所として指定されております。一義的には利用者の受入れになりますけれども、大規模災害の発生時などには、場合によっては地域の方々も受け入れていただかなければなりません。最後に、仮移転期間中の向日が丘支援学校における福祉避難所の指定についてどのようにお考えか、御所見をお伺いいたします。
◯議長(田中英夫君) 橋本教育長。
〔教育長橋本幸三君登壇〕
◯教育長(橋本幸三君) 堤議員の御質問にお答えいたします。
府立向日が丘支援学校の改築整備の進捗状況についてでございますが、昨年度策定した京都府立向日が丘支援学校改築基本構想に基づき、長岡京市が整備する共生型福祉施設等と連携し、一体的に整備することとしており、現在進めている改築工事基本実施設計において、教室等の配置計画などが固まりつつあるところです。
一方で、議員御指摘のように、改築工事期間中においても向日が丘支援学校の児童生徒が充実した学習を行うことができるよう、教育環境づくりを進めることは京都府として重要な責務であると考えております。このことを踏まえ、改築工事に際し、学校敷地に出入りする多くの工事車両と児童生徒の動線が錯綜することや、工事に伴う騒音が予想されることから、児童生徒の安心・安全を確保し、豊かな教育活動を保障するため仮移転を行うこととし、令和4年に移転計画のある済生会京都府病院を仮校舎の候補として、社会福祉法人京都府済生会及び長岡京市と昨年度から調整を進めてきたところでございます。
済生会京都府病院の新しい病院は、令和4年6月の開業に向け工事が進められており、新病院完成後の既存施設の借用につきましては、去る2月15日に同社会福祉法人の支部理事会において、令和4年夏からの借用について承諾をいただきました。既存施設は、管理諸室や教室等を確保するために十分な規模ですが、今後、学校施設としての利便性を高める改修を行う必要があるため、今議会に、改修設計に必要な予算案を提案しているところでございます。
改修設計に当たりましては、学校現場の意見も聞きながら、充実した学習環境が整備できるよう努めてまいります。
まず、運動施設についてでございますが、議員御指摘のように、特別支援教育においては身体を動かす教育活動が極めて重要であることから、児童生徒が日常的に利用できるプレイルーム等を施設内に整備したいと考えております。また、グラウンドや体育館などの体育施設につきましては、近隣の施設の借用も含め、地元長岡京市の協力も得ながら学校と連携し、必要な施設が確保できるよう鋭意取り組んでまいります。
さらに学習環境につきましては、議員御指摘のように、向日が丘支援学校において既にICTを活用した様々な教育活動や取組が行われておりますので、今後、学校の意見も聞きながら、通信環境など必要な整備を行ってまいりたいと考えております。
また、児童生徒の通学に利用するスクールバス、保護者や事業所の送迎車両については、借用する済生会京都府病院の第一駐車場と第二駐車場を活用させていただきたいと考えておりますが、これも議員御指摘の点も踏まえ、児童生徒の安全な動線を確保できるよう進めるとともに、近隣地域や小学校等とも連携し、通学時の交通安全にも万全を期してまいります。
最後に、仮移転中の施設の福祉避難所としての指定についてでございます。
避難所指定は、地元長岡京市において判断、決定されるものでありますが、福祉避難所として指定された場合には、その役割が果たせるよう地域と連携し取り組んでまいります。府教育委員会といたしましては、長岡京市をはじめ関係機関と連携し、府立向日が丘支援学校に在籍する児童生徒が、改築工事期間中におきましても、安心・安全な教育環境の下で豊かな学びが保障できるようしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
◯議長(田中英夫君) 堤淳太君。
〔堤淳太君登壇〕
◯堤淳太君 御答弁ありがとうございました。
仮の移転とはいうものの、4年間というのは本当に長い期間になります。また、様々な体験ができるというのが学校教育のメリットでありますので、先ほどグラウンドとか運動施設の民間の活用ということもおっしゃいました。プールも、建設するのは非常に困難ですけれども、近隣には民間のプールもございますので、これを活用しながら子どもたちにこれまでどおりの、そしてこれまで以上の学びの環境を整えていただきますようにお願い申し上げたいと思います。
今、コロナの下で本当に府民は苦労しておりますけれども、我々府民クラブ京都府議会議員団一同も新型コロナウイルスの影響を乗り越えて、力強い京都府、そして安心して暮らしていくことができる京都府づくりに邁進していくことをお誓い申し上げまして、代表質問を閉じさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)