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◯議長(田中英夫君) 

次に、山本篤志君に発言を許します。山本篤志君。
〔山本篤志君登壇〕(拍手)

◯山本篤志君 

府民クラブ京都府議会議員団の山本篤志です。
質問に先立ちまして、議長のお許しをいただき一言申し上げます。
現在も緊急事態宣言が延長され、特に飲食店をはじめとする多くの皆様に大変な御苦労をおかけしているところでございます。そして、昨年末から急速に感染が広がり、多くのお亡くなりになられた皆様には、心から哀悼の念を捧げますとともに、今も療養されている皆様に対し心からお見舞い申し上げます。
早期の収束、そして安心した社会活動が送れますよう、京都府議会議員としても精いっぱい取り組んでまいります。

では、通告に従い質問いたします。よろしくお願いいたします。
私は、PDCAサイクル、P・計画、D・実行、C・評価、A・改善、特にC・評価とA・改善の視点にこだわって質問させていただきます。3点ございます。

1、デジタル改革に向けた京都府の役割におけるC・Aについて、2、学校休業に伴う子どもの居場所確保におけるC・Aについて、3、相楽東部でのMaaS(マース)におけるC・Aについてでございます。よろしくお願いいたします。

まず1点目、デジタル改革に向けた京都府の役割におけるC・Aについてお尋ねいたします。
国の2021年度の当初予算において、デジタル社会の恩恵を高齢者など多くの住民が実感できるためのデジタル活用支援等を目的とした予算が計上されています。その中には、自治体の行政手続のオンライン化も含まれ、2022年度までにマイナンバーカードを利用して行うことが想定される手続、31手続ございます、のオンライン化が計画されているところでございます。
本府においても、本定例会に上程されております14か月予算の中で「デジタル改革の推進」として、まずは納税証明書の発行等について、申請から支払いまで行政手続をオンライン化するための行政手続利便性向上推進事業費等を提案されておられます。
DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が現在のキーワードとなっており、直訳するとデジタル変化、「ICTの浸透が人々の生活にあらゆる面でよりよい方向に変化させること」と言われています。加えて、コロナ感染防止対策のためにも、このDXが急速に求められ、今後の社会生活を営むためにも最も対応が必要とされる一つであるとも考えられています。
しかし、ICT技術が勝手に世の中をよくしてくれるものではなく、また特定の産業や分野だけを指すものでもありません。あくまでも人がデジタル技術やデータをどのように有効活用するのかという仕組みをつくり上げてこそ、よい方向への変化が実現されます。
象徴的だったのが、昨年春の特別定額給付金の支給の際に、マイナンバーカードを使えば早く受け取ることができるとされたものの、オンライン申請の不備に対する確認作業に時間を要するなど、申請受付から給付までの事務作業が考慮されておらず、逆に混乱が生じました。また、テレワークに判こ、印鑑の押印が障害になる。また、学校におけるオンライン授業の早期実施にも機材や教材が用意できないなど、いずれも現在の状況をC・評価した上でA・改善を行わなかった結果であると考えています。つまり、まずは現状の仕組みや業務洗い出し、ICTを活用するための最善の方法への改善・再構築を行わないとDXは成り立たないと考えており、本府におけるDX実現のためには知事の強いリーダーシップが求められます。
そこでお伺いいたします。
本府におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)、デジタル改革の推進について、どのようなことを目指し、その実現に向けてどのように取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、自治体情報システムの標準化・共通化についてお伺いいたします。
昨年12月25日、総務省による自治体DX推進計画が公開され、業務改革、推進体制整備、デジタル人材の確保・育成、都道府県による市区町村支援が求められ、重点的に取り組む事項として、自治体の情報システムの標準化・共通化が明記されました。
都道府県及び市町村の情報システムの歴史は、自治体ごとに開発され、新しい技術や多くの制度改正に個別で対応する必要があり、多額の開発コストや専門人材が必要となることから、20年以上前から全国統一システムの導入が求められてまいりました。しかし、現在に至るまで進んでこなかったのは、自治体が長年かけて独自に工夫をして改善を図ってきたこと、そのシステムを標準化・共通化により捨てられないとの思いがあったからです。
本府では、京都府と市町村で構成する京都府自治体情報化推進協議会を平成20年度に立ち上げ、いち早く情報システムの標準化・共同化に取り組み、統一されたシステムを使用することで事務・業務の標準化も可能になるとして京都地方税機構が立ち上がりました。この2つの事業により、府内市町村での開発・運用コストの削減、運用開発人材の削減、さらに業務の効率化、税収増等の大きな効果を上げてまいりました。
効果について、もう少し分かりやすく申し上げますと、昨年の特別定額給付金について、府内市町村では非常にスムーズに支給することができました。これは、府内で統一された情報システムを使用したことにより、共通の事務処理ができたこと、また過去の経験を生かし給付金の第一報が報じられた段階から準備に着手したことが大きな要因でありました。これらは目立たない後方作業でありますが、しっかりと府・市町村が一体になって取り組んだ成果であると言えると思います。
そこでお伺いいたします。
自治体DX計画による自治体情報システムの標準化・共通化事業は、「2025年度を目途に基幹17業務システムについて、国の策定する標準仕様に準拠したシステムに移行する」とされておりますが、国の動向や進捗状況についてお答えください。
さきにも述べましたように、自治体の情報システムの標準化・共通化に当たっては、それぞれの自治体で工夫された機能、ノウハウが帳消しになる可能性が考えられますが、本府では自治体DX計画を十数年先行した取組の実績とノウハウがあります。また、市町村業務を把握し、一体的に取り組んできた都道府県は本府しかございません。これまでの本府と市町村の取組を帳消しにしないよう、全国の牽引役を担っていただきたいと強く思うところでございます。
そこでお伺いいたします。
自治体DX計画による自治体情報化システムの標準化・共通化事業について、本府としてC・これまでの京都府自治体情報化推進協議会の取組について評価と、A・今後の標準化・共通化への方針、そして牽引役として国、全国への働きかけについてお答えください。
以上、ここまで御答弁よろしくお願いいたします。

◯議長(田中英夫君) 

西脇知事。
〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 
山本議員の御質問にお答えいたします。
京都府におけるデジタルトランスフォーメーションの推進についてでございます。
デジタルトランスフォーメーションは、議員からも御紹介のあったとおり、「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でよりよい方向に変化させること」と言われており、持続性が高く、豊かな社会づくりを進めていく上で極めて重要であると考えております。国におきましても、先般、デジタル庁設置法案等のデジタル改革関連6法案が国会に提出されるなど、デジタル社会づくりに向けた取組をさらに強化する方針が示されているところでございます。
京都府では、これまでからデジタル技術を活用した業務改革や府民サービスの向上に積極的に取り組んでまいりましたが、さらにデジタル改革を推進するため、昨年3月に「京都府スマート社会推進計画」を策定し、産学公民が連携して府民の誰もがデジタル化の恩恵を受けられるスマート社会の実現を目指し取組を進めているところでございます。
まず、行政のデジタル化につきましては、電子申請や公共施設予約のオンライン化の推進、公園、スポーツ施設、文化関連施設等における入場料等のキャッシュレス化の推進、新型コロナウイルス感染拡大防止のための営業時間短縮要請への協力事業者に対する協力金のウェブ申請の対応などに取り組んでいるところでございます。
また、社会のスマート化につきましては、大学、企業等が参画する「京都ビッグデータ活用プラットフォーム」において、ビッグデータやデジタル技術の活用による地域課題等の解決に取り組んでおりまして、デジタルサイネージの設置により一人一人のニーズに合わせた観光情報を提供する実証事業や、地域の実情に応じた移動手段の整備と各移動手段をシームレスに接続するMaaSなどの取組を推進しております。
今後、既に着手している押印の見直しやペーパーレス化など、デジタル化を前提とした環境整備に加えまして、今議会で予算案を提案している納税証明書発行等のオンライン化など、行政のデジタル改革をさらに加速させていく必要がございます。
また、社会のスマート化に向けましては、医療や子育て支援など幅広い分野にも産学公民連携の取組の裾野を広げるとともに、スマート社会を支える人材の確保や育成、デジタル技術を使ったサービスの利用が困難な方々に対する支援につきましても、しっかり取り組んでいく必要がございます。このため、こうした取組をさらに推進するための庁内体制を整備するなど、産学公民が連携して京都におけるデジタル改革を進めてまいりたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。

◯議長(田中英夫君) 
平井政策企画部長。
〔政策企画部長平井公彦君登壇〕

◯政策企画部長(平井公彦君) 
自治体の情報システムの標準化・共通化についてでございます。
京都府と府内の市町村は、議員御紹介の京都府自治体情報化推進協議会におきまして、システムの標準化・共通化・クラウド化などに取り組んできたところでございます。具体的には、住民記録、税、福祉といった市町村の基幹系業務システムの共同化のほか、公共施設案内予約システムなどについても共同でシステムを導入・運用しており、業務の効率化や運用コストの削減などの効果を上げてまいりました。ほかにも、京都府と京都市以外の全ての市町村では、税業務を共同で行います京都地方税機構を設立し、機構と構成団体が一体のシステムで業務を行っておりまして、申告書等の提出先や相談先を一元化するなど、納税者の利便性向上を図っております。
こうした中で、国が昨年12月に策定いたしました「自治体デジタルトランスフォーメーション推進計画」において、2025年度までに自治体の基幹となります17の業務システムを国の標準仕様に準拠したシステムへと移行することが方針として示されておりまして、国の第3次補正予算におきましても、移行に必要な準備経費やシステム移行経費に対します支援措置が計上されているところでございます。
各業務システムの標準仕様につきましては、2022年の夏までに順次策定される予定となっておりますが、府内の市町村の現行の基幹系業務システムの改修により対応が可能なのか、あるいは国が示す新たなシステムへの移行が必要となるのか、現時点ではまだ明らかになっておりません。また、仮に新たなシステムへの移行が必要となった場合、市町村におきましては、複雑にデータ連携している基幹系業務システムを一から再構築することになり、システム移行に伴います業務の見直しやデータ移行など膨大な作業が生じてまいります。
京都府では、国に対しまして府内の市町村の基幹業務システムの標準化・共同化などといった、これまで国に先駆けて進めてまいりました先進的な取組への影響が最小限になるよう、また、業務上・財務上の負担が生じることのないよう、これまでから要望しているところであり、また全国知事会を通じましても、地方自治体の多様な実情を踏まえることや、財源面を含めた積極的な支援などについて提言を行っているところでございます。
今後も、国の関連情報の把握に努めますとともに、必要な助言を適切に行うなど、基幹系業務システムの標準化・共通化への対応が円滑に進みますよう、市町村をしっかりと支援してまいります。

◯議長(田中英夫君) 
山本篤志君。
〔山本篤志君登壇〕

◯山本篤志君 
御丁寧な御答弁ありがとうございます。
一言でDXと申しましても、本当に幅広き分野に広がっております。そして、これまでの京都府の自治体に関する取組でございますが、やはり府内をまとめていただく、それは非常に大きな、本当に心強い、力強い取組であったと思っております。しかし、今のワクチン接種、これは混乱している状況があるんですけれども、残念ながらここにはこのシステム、今まで統一を考えていたシステムの対象外であることから、今はまだ市町村のほうではやっぱり混乱している状況であり、それぞれの市町村が模索している状況であるとも聞いております。ぜひとも本府による市町村支援というのもお願いしたいところでございますので、ぜひともよろしくお願いいたします。
では、次の質問に移らせていただきます。

2点目の学校休業に伴う子どもの居場所確保における支援についてお伺いいたします。
昨年2月27日、当時の安倍首相は3月2日から全国の小・中学校と高等学校、特別支援学校等を臨時休校にすることを要請し、京都府内でも臨時休校が実施されることになりました。その後の緊急事態宣言と、その延長の結果、京都府における学校休校は5月31日まで続くこととなりました。その中で、児童、小学生の居場所確保として、放課後児童健全育成事業、放課後児童クラブを活用することも要請されました。
放課後児童クラブとは、「保護者が労働等により昼間家庭にいない、小学校に就学している児童に対し、授業の終了後等に小学校の余裕教室や児童館等を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図るもの」とされており、通常午後1時頃から午後7時まで開所されるケースが多い状況でございます。
この開所時間を見ますと、勤務時間は6時間となり、放課後児童支援員は公立施設では会計年度任用職員、民間施設ではパート職員、いわゆる非正規職員となります。また、土日、長期休業期間等は、朝の午前7時ごろから午後7時までの開所が多くなっております。通常では放課後児童クラブは午後1時ごろからの開所でありましたが、小学校臨時休校により長期休業期間と同様の午前7時からの開所に変更せざるを得なくなりました。通常の長期休業期間では、別途アルバイト支援員の確保をしておりますが、突然の措置で人手が確保できず、通常支援のみで長期間対応しなければならなくなりました。
放課後児童クラブでは給食がなく、児童の昼食はどうするのか、児童1人当たりの確保面積は1.65平方メートル、小学校よりも狭い面積のために感染リスクが高まる、マスク・消毒液が手に入らない、児童を感染させてはならない、支援員自身も同居する高齢の両親にうつしてはいけないなど、コロナ感染の大きな責任を非正規の支援員が一手に引き受ける状態となりました。
当時、支援員の皆さんの精神状態は、もう疲弊そのものでございました。私は、府内全市町村の小学校と府放課後児童クラブの運営体制を調査したところ、4月の緊急事態宣言発令直後で、「放課後児童クラブのみで対応する」が17自治体、「午前中は小学校、午後は放課後児童クラブ」が7自治体、「放課後児童クラブを休業にした」のが2自治体でありました。
ここで問題なのが、放課後児童クラブのみでの対応をした自治体でございます。長期休業期間の運営体制、長時間勤務、交代勤務で対応しても支援員が確保できない、また、いつまで続くか先の見えない状態で支援員の精神状態も限界に達していたことから、小学校教諭に応援を求める、児童の受入人数を制限する、市町村単費の小学校教諭の活用、午前中小学校での預かりを実施するなどの自治体が出てきましたが、中には支援員のみで運営、民間委託運営のため応援が得られない、小学校からの協力が得られない自治体もございました。
文部科学省・厚生労働省からは、放課後児童クラブの人的体制を確保するために、「教員としての身分のまま放課後児童クラブの支援員の要件を満たす」、また「地域事情に応じて放課後児童クラブ等への支援について御検討いただきたい」との通知が出されました。また、京都府教育委員会からも、「新型コロナウイルス感染症防止のための小学校等の臨時休業に関連した放課後児童クラブ等の活用による子どもの居場所確保について」という通知の中でも、同様の内容が記載されておりました。
私は、児童の安心・安全の居場所づくりが最優先として、通常小学校授業時間帯は小学校で、そして給食も提供していただく、そして放課後児童クラブでの感染リスクを軽減するために、国そして京都府、各市町村にも掛け合いましたが、国では「通知を発出している」、京都府でも「通知を発出している」、そして各市町村の教育委員会の管轄、福祉と教育の連携ができていない等から改善を図ることはできませんでした。
学校が再開するまでに児童の感染、支援員の感染、家族の感染等が起こらなかったことは、今振り返りますと奇跡的なことだったと考えられます。園児の登園自粛を求められたことにより、保護者が休職する、退職した結果再就職できないなど、特に女性が窮地に追い込まれる事態が発生したとも言わざるを得ません。今回の緊急事態宣言では、学校休校は要請されませんでしたが、今後のためにも、PDCAのC・評価とA・改善が重要であると考えております。
そこでお伺いいたします。
昨年の学校休校以来、小学校放課後児童クラブの関係、児童の安心・安全について本府の役割、特に教育委員会と健康福祉部の役割、そして本府と市町村との関係について、どのようなC・評価とA・改善を行われましたか、お答えください。
昨年2月定例会の一般質問で、放課後児童クラブ支援員の環境は非常に厳しい、このままでは人材確保が困難になると指摘をさせていただきました。そして、今後の本府と市町村との連携、人材確保について質問をさせていただきました。新型コロナ感染により環境はさらに厳しくなったと考えておりますが、今年度の本府の市町村との連携、人材確保の取組のC・評価、A・改善についてお答えください。

最後に、相楽東部でのMaaSにおけるC・Aについてお伺いいたします。
京都府総合計画のエリア構想の一つである「スマートけいはんな広域連携構想」の中で、相楽東部地域における取組として、「MaaS社会の実装に向けた生活支援モビリティの構築」が掲げられています。そして、令和元年9月補正予算に相楽東部地域公共交通再編事業費を計上し、南山城村で事業がスタート、約1年が経過しました。そして、本府は昨年秋に行った国への要望においても、MaaS導入に向けた新モビリティサービスの推進を求めています。
南山城村、笠置町、和束町では、いずれも人口減少、少子高齢化が進んだ結果、公共交通利用者も減少しています。昨年末にも運行開始から4年を迎えた相楽東部広域バスの利用も低調と報道されて、同地域での公共交通事業維持の難しさを感じたところでございます。
しかし、公共交通を必要としないわけではなく、むしろ高齢化が進む中では、交通手段の確保が生きていくための手段であるとして、住民ニーズにマッチした公共交通が必要であり、その取組として、過疎地型MaaSの早期本格的運用が待ち望まれています。
そこでお伺いいたします。
南山城村で実施した事業について、これまでのC・評価、実施して良かった点、そして明らかとなった課題、A・改善、今後どのように改善・発展をさせていくのか、お答えください。また、笠置町、和束町での展開について、南山城村等、本府での経験を踏まえて、何を目指し、どのように進めていくのか、お答えください。
昨年2月、新型コロナウイルス感染が広がり、「新しい生活様式」、「コロナの前には戻れない」と、日本国中で手探りの取組が繰り返されております。昨年、西脇知事の年頭挨拶で「失敗を恐れずにチャレンジしてほしい。失敗こそ成功につながる」との言葉がございました。昨年はこの言葉どおりチャレンジする1年であったかと思います。中には失敗することもあったかもしれませんが、しかしこのチャレンジはまだまだ続きます。チャレンジを続けていくためにもPDCA、特にC・評価、A・改善が必要になってくると思います。
西脇知事を先頭に、常にチャレンジし続ける京都府職員の皆さんには、府民の皆様の安心・安全、そして未来に向けた取組、コロナ対策も、そして通常業務もしっかりやっていただかなければなりません。その上で、心から皆さんに敬意を表しますとともに、私たちも目標を同じにするチャレンジに全力を挙げて取り組んでいくことをお約束いたしまして、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)

◯議長(田中英夫君) 
糸井健康福祉部長。
〔健康福祉部長糸井利幸君登壇〕

◯健康福祉部長(糸井利幸君) 
学校休業に伴う子どもの居場所の確保における評価と改善についてでございます。
京都府の役割として、健康福祉部は、子どもの安心・安全な成長のため、放課後児童クラブの運営など子育て環境の整備を担い、また教育委員会は、学校が担っている「学習機会と学力の保障」「全人的な発達・成長の保障」「身体的・精神的な健康の保障」という3つの役割を踏まえ、子どもたちの健やかな学びに向けた環境整備を担っております。いずれも、子どもたちに最善の利益をという共通の目的を持ち、こうした役割分担の下、互いに協働し、また市町村とも連携し、必要な施策を推進してきております。
昨春の新型コロナウイルスの感染拡大に伴う小学校等の臨時休業に際しましては、子どもが安心・安全に過ごせる居場所を確保できるよう、京都府では放課後児童クラブにおける感染防止対策を徹底するため、衛生用品等の確保支援や、午前中から開所のために必要となる人材確保のための財政支援を行うとともに、健康福祉部と教育委員会が連携し教職員等による放課後児童クラブへの人的体制の支援を市町村に依頼したところです。
その結果、午前中は学校で見守りできる体制を整備された7市町村に加え、放課後児童クラブに通っていない児童について、学校で受入れを行った市町村が4か所、放課後児童クラブへ学校の教職員が応援に入った市町村が8か所あり、そのほかの市町村でも市町村職員が応援に入るなど、必要な人的体制を整え対応いたしました。小学校等の臨時休業期間中、集団感染を発生させることなく、子どもの居場所を確保することができたと考えております。
今回の対応を踏まえ、今後、関係機関での連携をさらに深めるため、教育委員会と健康福祉部と有識者による協議の場を持ち、コロナ禍における放課後児童クラブ等の現場での課題や今後必要な支援策等を検討しており、現場の業務負担軽減、質の向上につながる改善につなげていきたいと考えております。
次に、放課後児童支援員の人材確保につきましては、その重要性に鑑み、新型コロナウイルスの感染拡大の状況が続く中、感染防止対策を徹底した上で、放課後児童支援員の認定研修を開催し、今年度は新たに約300人の人材を養成いたします。また、放課後児童支援員の処遇改善についても国に対し改善の要望を重ねるとともに、市町村に対し平成29年度から設けられた勤続年数や研修実績等を反映する加算制度の実施を働きかけるなど、人材の確保に努めております。
今年度、現場の放課後児童支援員や有識者等との意見交換を重ねる中で、「学校のICT化の進展に合わせ、放課後児童クラブにおいてもICTを取り入れるべきである」とか「研修をより受講しやすくすべきである」や「子どもへの対応の仕方を専門家が指導すべきである」といった意見が出てまいりました。
今後の取組としては、感染拡大防止や現場の負担軽減が図られるよう、教育委員会と協力しICT活用促進のための研修を実施するとともに、放課後児童支援員等が時間や場所に制約されず研修を柔軟に受講できるよう、研修事業の改善を進めていきたいと考えております。
また、放課後児童支援員等の質の向上を図るため、安全対策などの専門家を市町村に派遣し、助言・指導する取組も新たに行ってまいりたいと考えております。
今後とも、子育て家庭の期待に応え、未来の京都を担う子どもが心身ともに健やかに育つことができるよう市町村等と連携し、子どもの居場所の確保に努めてまいります。

◯議長(田中英夫君) 
富山建設交通部長。
〔建設交通部長富山英範君登壇〕

◯建設交通部長(富山英範君) 
相楽東部におけるMaaSについてでございます。
南山城村では、令和元年度から国の補助事業と民間基金を活用してバス路線の再編に取り組んでおり、定時定路のコミュニティバスに替えてMaaSアプリで予約可能なデマンド交通を導入し、併せて人口が多い月ヶ瀬ニュータウンとJR駅を結ぶ路線を新設されたところでございます。
この事業の評価と成果、課題についてでございますが、まずは、この事業の開始に当たり南山城村に地域公共交通会議が設立されるとともに、村全体で5回の住民懇談会が開催される等、地域の交通について地域の人が考える土壌ができたことは大きな成果であると考えております。
また、利用者数に着目いたしますと、7月から12月の間でデマンド交通も含めたバス利用者全体では、前年度比で約8%の増加、中でも廃止したコミュニティバスと、それを代替する村内デマンド交通との比較では約2.7倍に増加となっており、公共交通の利便性の向上において一定の成果が上がっていると考えております。
一方、MaaSアプリの利用は低調でございまして、予約のほとんどは電話によるものとなっております。改善策として、アプリ操作を支援するアドバイザーの配置、操作を容易にするアプリの改修等を行っております。
いずれにいたしましても、今回の事業はコロナ禍の下で実施されており、総合的な評価や課題の抽出等は難しい状況にありますので、現在の取組を継続しつつ、今後しばらく状況を注視する必要があると考えております。
相楽東部における持続可能な公共交通を目指す上では、広域的な観点からの取組が必要であり、コロナ禍が落ち着いた時点で南山城村での事業の検証を踏まえつつ、笠置町、和束町でのデマンドサービスの展開やMaaSの活用についても、関係町村とともに検討をしてまいりたいと考えております。