1.山城地域の発展と道路整備について
2.けいはんな学研都市の発展について
3.ICTを用いた教育の在り方とネットいじめ対策について
4.その他

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◯議長(菅谷寛志君) 次に、北川剛司君に発言を許します。北川剛司君。
   〔北川剛司君登壇〕(拍手)

◯北川剛司君 府民クラブ京都府議会議員団の北川剛司です。通告に基づき、大きく3点について質問させていただきます。つきましては、明確に、そして御丁寧な答弁をお願いいたします。
 まずは、京都府山城地域の発展と道路整備について質問させていただきます。
 経済的観点から山城地域の道路環境を見てみると、京都府では地域づくり構想として京都府南部を対象エリアとする「お茶の京都」を推進されてきました。
 今回、新名神高速道路が令和5年度に開通する方向で工事が進んでいます。新名神高速道路が開通することで山城地域の環境は大きく変化し、発展が期待されます。しかし、新名神高速道路が開通しても、それだけでは背骨ができただけで、枝葉が整備されていません。経済的効果が山城地域全体に及ぶにはまだまだ多くの課題が山積しています。特に木津川右岸地域は、地形が厳しく、交通基盤の整備が遅れ、自然災害に対しても非常に脆弱であり、道路改良においても未整備区間が多く、日常生活にも深刻な影響を及ぼしています。
 そうした中、京田辺市、城陽市から宇治田原町へのアクセス道路である307号市辺-奈島区間のバイパス整備事業に着手していただき、また宇治田原町山手線に関しては町役場までの区間の整備に着手していただいています。そして、宇治田原町と和束町を結ぶ宇治木屋線は、平成元年度より和束町でバイパス整備事業に着手していただき、次いで平成29年度より犬打峠トンネル化事業を着手していただいているところです。犬打峠トンネル化においては、現地で事業の推進が見えるようになってきました。西脇知事が就任されて以来、指数関数的に山城地域の環境整備が推進していることを地域の方々は心から感謝されています。
 今後の事業推進により、木津川右岸地域と国道163号及び国道307号、さらには国土軸である新名神高速道路とのアクセス機能が大きく改善され、大阪府や滋賀県との結びつきが形成されるなど、木津川右岸地域の飛躍的な発展につながることは言うまでもありません。また、山城中部及び南部地域が「宇治茶の文化的景観」の代表的資産群としてさらに強固な地域連携を発揮することは、新たな経済圏の形成、宇治茶の主産地としての発展にも大きく寄与するものだと思っています。そして、生活活動における利便性が向上し、地域間の連携が図られます。また、新名神高速道路など高規格道路へ、木津川市、笠置町、南山城村からのもう一つのアクセス手段として、山を隔てて交流が発展しなかった宇治田原町と相楽郡地域への交流の活性化が図られます。
 次に、観光という観点から山城地域を俯瞰すると、木津川右岸地域は豊かな自然に培われた長い歴史と文化が共存する地域で、また全国的に知名度の高い宇治茶の主産地でもあります。平成27年4月には、山城地域で育まれた宇治茶の歴史や文化が「日本茶800年の歴史散歩」として日本遺産に指定されています。また、宇治茶と日本茶の文化をめぐっては、京都府を筆頭に、各市町村が「宇治茶の文化的景観」としてユネスコ世界文化遺産登録を目指しているほか、茶文化を生かした観光振興と交流を図ろうと、平成29年度から「お茶の京都」プロジェクトを推進されてきました。木津川市、南山城村、笠置町、和束町、宇治田原町、宇治市を結ぶことで宇治茶の産地形成を図る産業道路として、また観光としての発展として一体的な発展が図られると思われます。
 しかし、山城地域を観光するためには、道路環境に多くの問題を抱えていると認識しています。例えば山城地域を観光するに当たっては、自動車か観光バスを使い移動することがメインになりますが、現状の道路網では観光バスでの移動や観光が非常に難しいルートがあります。例えば、私のイメージでは、京滋バイパス宇治東インターチェンジで降り、宇治市から宇治田原町へ、または新名神高速道路(仮称)宇治田原インターから宇治田原町を経由して和束町、そして木津川市へ向かい、そして京田辺市を回る観光ルートが考えられます。宇治市内から宇治田原町に向かうには、自動車でなら通れる道路がありますが、観光バスでは少し困難が伴うかもしれません。また、宇治田原町から和束町に行く道路は、観光バス等の移動は、離合など難しい状況です。今後、数年にわたり「お茶の京都」を発展させるためには、また地区の経済的発展のためにも、宇治市、宇治田原町、和束町の道路環境の整備が大きなキーポイントとなると思っています。
 さらに、災害時における観点から山城地域での道路環境整備を鑑みると、通行車両の安全確保とスムーズな離合を確保するとともに、災害時における混乱回避及び緊急避難道路としての機能を整備することで、宇治田原町、和束町、笠置町、南山城村において孤立という不安を解消し、暮らしの安心・安全が向上します。
 平成27年9月定例会の一般質問でも質問させていただきました。質問時から約6年がたとうとしています。そこで、私がイメージする宇治、宇治田原、和束を結ぶ宇治茶ラインの道路環境整備に関して質問させていただきます。
 宇治田原町においては、銘城台地域から宇治田原工業団地を結ぶ宇治田原山手線の未整備区間約3.2キロの整備に関しては、町役場までの間を工事着手していただいています。和束町においては、宇治市と和束町を結ぶ府道宇治木屋線の犬打峠未整備区間約3.6キロの整備に関してもトンネル工事に着手していただいています。この2つの道路をさらに整備することにより、「お茶の京都」観光としての効果、お茶の出荷、工業団地などの経済的効果、災害時における防災対策の効果が十分に見込める路線です。
 観光効果としては、令和5年度に開通予定である新名神高速道路に設置される(仮称)宇治田原インターチェンジを利用する他府県からの観光客の増大が予想されます。
 そこでお伺いします。
 令和5年度に新名神高速道路が開通の方向で工事が進んでいます。また、令和7年度には大阪・関西万博が開催される予定です。新名神高速道路の開通、大阪万博の開催を見据えて、山城地域の経済、観光、お茶、農業をどのように発展させようと考えておられるのか、お伺いします。
 また、新名神高速道路が開通すると、同時期に宇治田原山手線の宇治田原町役場までの開通、宇治木屋線のトンネル整備が整うことで新名神高速道路開通効果がさらに発揮されると思います。新名神高速道路開通と同時期の完成を目指していただきたいと考えていますが、現在の整備状況はどのようになっているのか。また、完成見込みをどのように捉えているのか、御所見をお伺いします。
 次に、新名神高速道路が開通することで山城地域の発展が見込めると思っています。そこで、新名神高速道路開通効果をさらに高めるためにも、京滋バイパスと新名神や国道24号線城陽井手木津川バイパスをつなぐ道路整備が必要だと考えています。京滋バイパスと新名神や城陽井手木津川バイパスをつなぐことで、例えば京滋バイパスを利用し、宇治市内を観光した後、山城南への観光もスムーズに行け、また、新名神高速道路を利用し、宇治田原町、和束町などを観光した後、宇治市内を観光して、京滋バイパスを利用して帰るといった観光ルートが生まれると考えます。京滋バイパス宇治東インターと新名神高速道路や国道24号城陽井手木津川バイパスをつなぐ道路整備をすることで、山城地域での新名神高速道路の整備効果が相乗的に向上すると思いますが、府としての認識をお伺いします。
 次に、けいはんな学研都市の発展について質問させていただきます。
 学研都市建設促進法に基づき、国家プロジェクトとして整備が進められているけいはんな学研都市も建設から34年が経過しようとしております。この間、バブル崩壊期を挟みながらも立地施設や人口は着実に増加し、研究開発においても多くの成果を生み出しております。
 最初のまち開き以降、これまで、およそ10年ごとに目指す姿を示しながら、まちづくりを進めてこられました。まず、昭和53年の関西学術研究都市調査懇談会の発足・提言から昭和62年の建設促進法施行までの提言・構想期を経て、ファーストステージの10年間は「構想実現期」でありました。次に、平成8年から10年間のセカンドステージは「都市の建設段階」でありました。そして、平成18年からサードステージの「高度な都市運営の段階」を経て、現在、第4のステージとして、平成28年に「新たな都市創造プラン」が策定され、これに基づき、都市の整備・運営が進められております。
 また、「新たな都市創造プラン」の策定と同時期に、国際高等研究所が中心となって、学研都市のさらなる未来を見据え、「けいはんな学研都市の30年後に向けて」を取りまとめられました。これは山下副知事も参加されていた「けいはんな未来」懇談会が平成27年度の活動成果をまとめられたレポートであり、このレポートの作成から5年が経過し、さらにけいはんな学研都市も大きく発展してまいりました。
 例えば、けいはんな学研都市では、国土交通省が主催するスマートシティモデル事業の先行プロジェクトである「スマートけいはんなプロジェクト」に取り組み、ICT等のスマート技術やビッグデータを活用しながら新たなサービスやアライアンスの創出を支援するとともに、スマート社会の推進を目指し、今年度も地域住民や学研都市立地施設関係者の皆様を対象に実証実験が行われるなど、未来を展望しながら一歩一歩着実に歩みを進めてきたところであります。
 そこでお伺いします。
 スマートけいはんなプロジェクトが令和元年に採択されて今年で3年目となり、折り返しの年になりますが、これまでの取組状況とその成果についてお伺いします。
 また、令和7年に開催される予定の大阪・関西万博を機に、さらなる発展が期待されるところです。そこで、平成28年3月31日に「けいはんな学研都市の30年後に向けて」が発行され、5年が経過したことを踏まえて、今後に向けて、PDCAサイクルにおける、特にDo(実行)、Check(評価)、Action(改善)をどう捉えて、今後どのようにけいはんな学研都市を発展させていこうと考えているのか、お伺いします。
 まずは、ここまでの答弁をお願いします。

◯議長(菅谷寛志君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 北川議員の御質問にお答えいたします。
 山城地域の発展についてでございます。
 新名神高速道路の全線開通や大阪・関西万博の開催がもたらす波及効果をしっかりと捉え、京都の未来づくりにつなげていくことは府政を推進していく上で極めて重要な課題でございます。これまで京都府では、府域の均衡ある発展に向けて成長・交流の基盤となるインフラ整備を進め、多彩な先端技術を有する企業群などを生かした京都産業の成長・発展につなげますとともに、「お茶の京都」や「竹の里・乙訓」などの「もうひとつの京都」の取組を推進するなど、地域の特性や資源を生かした地域づくりを進めてまいりました。新名神高速道路の全線開通などが間近に迫りつつある中で、国家プロジェクトの効果を府全域に行き渡らせ、さらに地域の新たな価値を創出し、その魅力を高めて地域の活力の向上を図っていかなければならないと考えております。
 山城地域については、これまで、山城地域振興計画の下、学研地域などエリア特性に応じた地域づくりを推進いたしますとともに、AI・IoTを生かした次世代産業の創出や、観光・農業など、地域の未来を支える産業の振興などに取り組んでまいりました。そうした中で、新名神高速道路の全線開通効果をはじめ、万博で見込まれる世界の英知の結集や豊かな日本文化の発信、国内外からの投資拡大といった効果を山城地域の発展につなげていくためには、これまで以上に取組のレベルを上げていく必要があると考えております。
 具体的には、国土交通省から候補地の一つとして選ばれた城陽エリアにおける高度な物流拠点づくり、食関連の研究機関や企業の集積による新たな食産業エリアの創出、世界にも類を見ないオープンイノベーションの拠点となるアート&テクノロジー・ヴィレッジの整備など、府域への波及効果にも期待できるプロジェクトを推進してまいりたいと考えております。また、地域産業の振興を図っていく取組として、「お茶の京都」のさらなる推進による世界市場における宇治茶のブランド価値の向上、九条ねぎの6次産業化のノウハウを生かした「京やましろ新鮮野菜」のさらなる市場の開拓、相楽東部エリアの豊かな自然とカヌー、ボルタリングなどのアクティビティーを結びつけたアドベンチャーツーリズムの展開による観光誘客の拡大などに取り組んでまいりたいと考えております。
 今後、こうした取組を速やかに実行に移し、山城地域のさらなる発展につなげ、ひいてはその効果を京都の未来の成長へとつなげてまいりたいと考えております。
 また、宇治田原山手線、宇治木屋線の整備状況と完成見込みについてでございますが、宇治田原町内の国道307号は、災害時の脆弱性を有するだけではなく、平常時にも著しい渋滞が発生し、沿線企業からも交通の円滑化を強く求められているところでございます。
 国道307号のバイパスとして機能する宇治田原山手線につきましては、東西の通過交通の円滑化を図るとともに、災害時のリダンダンシー機能確保を目的として、供用済みの宇治木屋線南バイパスから宇治田原町役場までの1.4キロメートルの区間におきまして町事業と一体となった整備を進めており、現在、全ての用地買収が完了し、橋梁等の工事を計画的に実施しているところでございます。
 また、和束町と新名神高速道路宇治田原インターチェンジを直結する宇治木屋線につきましては、現在、宇治田原町側から進めている犬打峠のトンネル掘削が順調に進捗しているほか、和束町側につきましても、アプローチ部の整備が進み、年内にもトンネル入り口部の工事に着手できる予定でございます。
 宇治田原山手線及び宇治木屋線は、新名神高速道路のアクセス道路として、またリダンダンシー確保も含めた強靱な道路ネットワークとして重要な役割を担いますことから、新名神高速道路の開通に合わせて供用できるよう、引き続き一日も早い工事の完成を目指してまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。

◯議長(菅谷寛志君) 鈴木企画理事兼商工労働観光部長。
   〔企画理事兼商工労働観光部長鈴木一弥君登壇〕

◯企画理事兼商工労働観光部長(鈴木一弥君) スマートけいはんなプロジェクトについてでございます。
 国土交通省のモデル事業「スマートけいはんなプロジェクト」では、ラストワンマイル対策等による高齢者の社会参画の促進や脱炭素社会の実現など、安心・安全に暮らせる持続可能な都市づくりを目指しております。
 具体的には、「GPS搭載シェアサイクル」や「電柱吊りオープン型宅配ボックス」の設置によりCO2削減と生活利便性の向上を図るとともに、オンデマンドバスの実証実験により住民の多様な移動手段の確保に取り組んだところです。
 その結果、例えばGPS搭載シェアサイクルでは、想定以上の利用があった一方で、下り坂である駅への片道利用が約6割を占め、車両の電動化が必要と指摘されております。また、オンデマンドバスでは、採算性の課題があるものの、高齢者の利用も多く、外出機会の確保につながることが見込まれるなど、一定の成果や課題が見えてきたところです。
 今後は、実証実験で明らかになった採算性向上などの課題解決を図りながら、実装に向けた取組を加速化してまいります。
 けいはんな学研都市の発展についてでございます。
 学研都市のまちづくりは、学研都市建設促進法に基づき、まちづくりの進捗状況や社会情勢の変化等を踏まえ、10年ごとに長期ビジョンを策定し、計画的に取組を進めております。
 第4ステージに当たる「新たな都市創造プラン」が令和2年度末で前半5年を経過したことから、有識者や関係機関で構成する「新たな都市創造会議」において、中間評価と今後の展開方向について本年6月に取りまとめられました。中間評価では、海外のイノベーション拠点との連携や実証フィールドの構築、グローバルなスタートアップ支援などが持続的なイノベーションの推進の観点から評価された一方で、産業化に向けた産学官住の連携支援機能の強化や交通利便性の向上等が課題とされたところです。
 これらを踏まえ、後半5年間は、実証実験から事業化までを担う連携ハブ機能の拡充や、国内外の拠点都市との連携によるスタートアップ支援等により研究成果の産業化を図るとともに、ラストワンマイルモビリティの実装化等により交通ネットワークを強化することで「世界の知と産業を牽引する都市」を目指してまいります。

◯議長(菅谷寛志君) 濱田建設交通部長。
   〔建設交通部長濱田禎君登壇〕

◯建設交通部長(濱田禎君) 京滋バイパス宇治東インターチェンジと新名神高速道路や国道24号城陽井手木津川バイパスをつなぐ道路整備についてでございます。
 現在、新名神高速道路の沿線では、令和5年度の供用開始に合わせた開業が予定されているアウトレットモールの建設工事が進められるなど、既にまちづくりが始まっており、地域の活性化に対する地元の期待は非常に大きくなっております。京都府といたしましても、新名神高速道路の開通効果を木津川右岸地域全体へ波及させるため、国直轄事業の国道24号城陽井手木津川バイパスの整備促進とともに、国道307号や宇治田原山手線、宇治木屋線の整備を推進しているところでございます。
 議員御指摘の京滋バイパス宇治東インターチェンジと新名神高速道路や国道24号城陽井手木津川バイパスを結ぶ道路整備につきましては、宇治市内の人流・物流を活性化させるというプラス面がある一方、平等院などの観光名所付近の道路混雑をさらに助長するなどのマイナス面が想定されることもあり、整備構想はあるものの、いまだ具体化しておりません。京都府といたしましては、新名神高速道路の沿線開発や今後の交通量の推移を見ながら地元の御意見を伺ってまいりたいと考えております。

◯議長(菅谷寛志君) 北川剛司君。
   〔北川剛司君登壇〕

◯北川剛司君 御答弁ありがとうございます。
 山城地域はこれからも発展する地域だと、私は思っています。そこで、先ほど私が言いましたように、京滋バイパス宇治東インターから全体、あと木津までの区間というのは非常に大事な道路であり、これからも整備を一歩一歩進めていっていただきたいと思っています。
 あと、けいはんな学研都市もこれからますます需要が伸びて拡大していく予定の地域でありますので、そこも重ねて着実に開発をよろしくお願い申し上げます。
 時間がありませんので、次の質問に移らせていただきます。
 次に、京都府におけるICTを用いた教育の在り方について教育長にお伺いします。
 令和2年度から小中高と逐次実施されている新学習指導要領は、情報活用能力の育成と、学校内のICT環境整備やICTを活用した学習活動が大きな柱となっています。小中学校でのプログラミング教育の必修や、高校で履修が必須の「情報I」が新たな科目となっています。
 しかし、ICT教育に必要な環境整備の充実も大事ですが、指導者側のICTを活用した指導能力も充実してもらわなければならないと思っています。
 「令和2年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」によると、全体的にまだ十分とは言えないのではないかと思っています。例えば「令和2年度中にICT活用に関して研修を受けたか」については、全国で24位で、61.6%でありました。しかし、「教材研究・指導の準備・評価・校務などにICTを活用する能力」という項目は、全国で36位。それに伴い、「授業にICTを活用して指導する能力」に関しては、36位との調査結果が出ています。このことを鑑みても、全体的にやや劣っているのではないかと懸念しています。
 来年度の高校新入生は、中学で既にICTを利用した教育を受けています。ICTネーティブと言っても過言ではないと思っています。
 ちなみに、小学校5年の子どもがいるのですが、少し前に学校のiPadを家に持ち帰り、接続テストをしていました。そこで、学校でどのようにiPadを利用しているのかと聞いてみると、「ロイロノート」というアプリを使用して、各科目ごとにアプリを使用してマインドマップ的に発表内容や授業内容を整理していると。これを鑑みましても、使いこなしていると私は思っています。そこで思ったことは、特に高校の教師のICTを活用した指導能力を向上させないと、指導できないのではないかと思ったぐらいです。
 そこで教育長にお伺いします。
 これからのICTを活用した教育スタイルの在り方をどのように考えておられるのでしょうか。また、4月に、ICTネーティブとまではいきませんが、それに近い生徒が高校生として入学してきます。教師の方々がICT知識に関して劣る可能性もあります。生徒のほうがよく知っているかもしれません。4月までに文科省の調査項目である「教師の授業にICTを活用して指導する能力」の向上をどのように行おうとしておられるのか、お伺いします。4月まであと4か月です。
 次に、ネットいじめに関して質問させていただきます。
 文部科学省が10月13日に公表した令和2年度の問題行動・不登校調査では、パソコンやスマートフォンを通した誹謗・中傷といったネットいじめの認知件数が1万8,870件と、過去最多を更新されたと報告されています。
 昨年11月に報道されたネットいじめでは、東京都町田市立小学校に通っていた6年生の女児が自殺した問題をめぐり、文科省が進めるGIGAスクール構想で児童に1人1台配備されたタブレット端末のチャット機能を悪用したいじめが行われた可能性があると指摘されています。
 ネットいじめの認知件数は、平成27年度が9,187件。この5年で倍増しています。また、ネットいじめは、年齢が進むにつれて割合が増加傾向にあるとされています。
 そこでお伺いしますが、小中学校に配備の学習端末、アプリを使ったいじめや中傷のトラブルが多く発生するのではないかと危惧していますが、府教育委員会としてICTを利用した教育を進める上で、どのように認識し、小学校、中学校、高校において予防対策をどのように考えておられるのか、お伺いします。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

◯議長(菅谷寛志君) 橋本教育長。
   〔教育長橋本幸三君登壇〕

◯教育長(橋本幸三君) 北川議員の御質問にお答えいたします。
 ICTを活用した今後の教育についてでございますが、これまで実施してきた対面式授業のよさを生かしつつ、ICTを効果的に活用することにより、個別最適で協働的な学びの実現など、質の高い教育を目指す必要があると考えております。そのためには教員の指導力の向上を図ることが重要であり、これまでから総合教育センターを中心とした研修や先進事例の紹介などを行ってきたところです。また、今年度から1人1台端末を活用した授業が行われている小中学校では、各校での日々の実践や校内研修を通じて教員個々のICT活用指導力が向上しており、その指導の下で授業等での積極的な利活用が図られております。
 しかし、今後、より効果的な利活用を図っていくためには、ICT教育を組織的に進めるための意識改革や、個別最適な学びと協働的な学びの実現に向けた授業改善の取組が不可欠であり、府教育委員会では、こうした改革のリーダーとなる教員の人材育成に向け、小中学校と併せて、府立高校教員も対象に取組を進めているところでございます。
 さらに、生徒用端末の本格導入を来年度に控える府立高校においては、小中学校での端末の活用実態を理解するため、高校教員による小中学校の授業視察のほか、オンラインアプリを活用して学校の垣根を越えた日常的な情報交流や実践事例、トラブル対応などの情報共有ができる教員のコミュニティーづくりも実施をしており、こうした取組を通じて引き続き教員のICT活用指導力の向上を図ってまいります。
 次にネットいじめについてでございますが、まずはネット以外のいじめと同様に「いじめは決して許されないものである」と徹底することが重要であり、これまでから人権学習資料集を活用した学習や情報モラルの研修を各学校で実施するほか、保護者向けの啓発リーフレットを配布しているところでございます。
 一方で、ネットいじめは潜在化しやすい、拡散しやすいなどの特性があり、様々な事案が府内外で発生していることを踏まえ、関係機関と連携し、取組を強化すべきと認識しております。
 こうしたことから、警察や企業等が参加する会議において、ネットトラブル等に関する課題を共有し、今後の対応を協議したところでございます。この会議を踏まえた当面の対応として、推測しやすいパスワードでのトラブル対策等について、京都府警等による講座の活用を各教育委員会や府立学校に通知するとともに、今後は各学校で発生したトラブルや効果的な取組を共有するなど、対策の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
 府教育委員会といたしましては、ICTを活用した多様な学習を実現できるよう、学校現場の状況を踏まえながら、地域や企業、家庭等とも連携し、教員のICT活用指導力の向上やネットいじめ対策にしっかりと取り組んでまいります。