1 新型コロナウイルスワクチンの接種について 
2 子育て環境日本一に向けた不妊治療と不育症に対する支援について
3 次世代に胸を張って引き継げる温暖化対策について
4 省エネルギー政策と住宅断熱について
5 新たなニーズに応える京都観光について
6 時代に応じた校則について
7 持続可能な公共交通体系の構築について
8 その他

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◯議長(菅谷寛志君) 休憩前に引き続き会議を行います。
 次に、梶原英樹君に発言を許します。梶原英樹君。
   〔梶原英樹君登壇〕(拍手)

◯梶原英樹君 府民クラブ京都府議会議員団の梶原英樹です。初となる代表質問の機会をいただきましたことに先輩方の御厚情にも心から感謝申し上げ、会派を代表して質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、議長のお許しをいただき一言申し上げます。
 本府における新型コロナウイルス感染症との闘いも、約2年と長きものとなりました。この間、度重なる緊急事態措置やまん延防止等重点措置の実施など、総力を挙げて感染防止対策に取り組んでいただいておりましたが、無念にも多くの方々がお亡くなりになられました。改めて、お亡くなりになられた方々に対して、心から御冥福をお祈り申し上げるとともに、現在治療中の皆様の一日も早い回復をお祈り申し上げます。
 また、感染者数は少し落ち着きがある状況でございますけれども、感染対策に御協力いただいている府民の皆様、そして医療・介護の従事者の皆様、エッセンシャルワーカーの皆様に心から感謝を申し上げます。
 次に、今定例会に提出されております11月補正予算案について申し上げます。
 今回の補正予算案は、年末年始の安心・安全対策として、コロナ患者の診療受入体制を確保するとともに、厳しい状況にある伝統産業事業者への事業継続対策や、障害者雇用の促進対策を講じるなど、開会日に議決いたしました対策と併せまして、これから迎える冬季に備えた、切れ目のないきめ細やかな対策となっており、まさに時宜にかなった対策であると会派を代表して高く評価いたします。
 それでは、質問に入ります。まず、新型コロナワクチンの接種についてお尋ねいたします。
 新型コロナのワクチン接種が進む一方で、2回目の接種を終えて2週間以上たってから感染が確認される、いわゆるブレイクスルー感染という事象が各地で発生しています。例えば、福井県内での9月22日の新規陽性者数41人のうち32人が、介護施設でのブレイクスルー感染。山口県内で8月1日から9月16日の間に感染した2,172人のうち8.8%にあたる192人が、ブレイクスルー感染という報告がされています。
 また、山口県議会環境福祉委員会では、ブレイクスルー感染が確認された192人のうち189人は軽症か無症状で中等症は3人と、厚労省も発表しているように、ワクチンには発症を一定程度防ぎ、重症化を回避する効果があると説明をされています。
 こうした中、日本をはじめ世界各国でワクチンの効果を高めようと3回目の追加接種、いわゆるブースター接種の動きが出てきています。ブースター接種については、各国の動きを見てみると、16歳以上の8割以上が2回目のワクチン接種を終えているイスラエルでは、一時は1日の新規感染者数が1桁台にまで減りましたけれども、デルタ株の拡大に伴って再び感染者が増えたため、8月から3回目の接種を始めました。
 また、イギリスではワクチンの効果を保つためとして3回目の追加接種を9月に始め、ドイツでは、60歳以上の人や高齢者施設の入居者、免疫不全がある人、感染者と定期的に接触する医療従事者や救急隊員などが対象となり、アメリカでは、FDAが新型コロナワクチンの3回目の接種の必要性についてファイザー社のワクチンを対象に検討を行い、65歳以上の人や重症化リスクの高い人を対象とする案を全会一致で承認し、順次3回目の接種が開始をされています。
 一方、日本では、厚労省が11月11日に、国内で使用を認めているワクチンでは初めてファイザー社のワクチンを3回目の接種に使うことを承認し、今月から医療従事者を対象に接種が開始され、来月からは高齢者の接種も始まります。そして、11月15日の厚労省の厚生科学審議会予防接種ワクチン分科会で、接種の対象を18歳以上とすることが決まり、同月17日には職域接種でも行われる方針が決まり、2022年3月をめどに始める方向とお聞きをしております。
 そこで、3回目接種に関する今後の計画、準備などについてお尋ねいたします。
 これまで、ワクチン接種については、医療機関は日常診療を維持しながら接種に尽力され、本府も各自治体と連携を図りながら進めてきたところですが、しかしながら、6月25日には全国で1日134万回の接種を実現したものの、7月に入ってから、国からのワクチンの供給不足のため予約の停止やキャンセルをする自治体が続出し、予約については数分で満員となるなど、様々な時期、場面で混乱が生じました。
 初めて経験することが多く、工夫を重ねる中で、本府についても大変な苦労があったかと心中察するに余りありますが、府民が混乱なく予約接種を迎えるに当たり注力したこと、課題に感じていること、それを3回目の接種でどのように生かしていくのか、今後の計画や準備状況を含めて御所見をお聞かせください。
 そして、3回目の接種を迎えるに当たり、副反応を気にされている方や効果について疑問を持たれている方も多いのではないかと推測いたします。
 京都大学iPS細胞研究所所長の山中教授は、3回目のワクチン接種について「感染抑制効果が11倍、重症化抑制効果が19.5倍も増大した」と発表され、多くの専門家が、感染者数と死亡者数を減少するために3回目の接種は有効な手段と評価をされています。
 しかしながら、特に2回目の接種時に副反応で37.5度以上の熱が出た方の割合は80%と、一部の報道でもあったように、副反応に対する恐怖から3回目の接種に強い抵抗を感じている方も多いと思います。ワクチンの有効性、安全性を初回のときよりも丁寧かつ広く周知すべきかと考えますが、どのようにお考えでしょうか。
 また、さきに述べました山中教授の話の中で、ワクチン接種をさきに行っていたイスラエルの事例を紹介しながら、3回目のワクチン接種を行っても感染爆発が起きる可能性があると指摘され、3回目接種の効果については慎重に見極める必要があり、3回目接種の議論も大切だが、まだ1回も接種していない国民にいかに接種を推奨するかも重要な課題と考えられると述べられていました。
 本府のワクチン接種率は、11月30日現在で、2回目接種完了者は対象者の82.3%と全国43位の状況であります。今後の感染予防対策を進める上でも、1回目を接種しない府民に対して、どのように推奨していくのか、本府のお考えをお聞かせください。
 次に、子育て環境日本一に向けた不妊治療と不育症に対する支援についてお尋ねいたします。
 2020年5月に閣議決定した少子化社会対策大綱において「不妊治療に保険適用を検討」と記載され、2020年12月に全世代型社会保障改革の方針で2022年度からの保険適用を明言し、今年1月から中央社会保険医療協議会でも議論が始まり、不妊治療の保険適用の内容についても、年内にも結論を出す予定とのことであります。
 不妊治療をめぐっては、6年前、2015年の時点で5.5組に1組の夫婦が「経験がある」としていて、体外受精などで生まれた子どもは、2018年でおよそ5万7,000人に上っています。一方で、治療を受ける人の経済的な負担が課題の一つとなり、厚労省が今年発表した調査結果によると、1回当たりの治療の平均費用は、精液を採取して良好な精子を取り出し妊娠しやすい時期に子宮内に注入する「人工授精」が3万円余り、卵子を採取して受精させた後、体内に戻す「体外受精」が50万円余りとなっています。
 医療費の総額で見ると、治療を受けたことのある5分の1を超える人が「100万円以上かかった」としていて、経済的な支援を求める声が高まり、政府は保険適用までの経過措置として、2021年1月から不妊治療の助成額や対象を拡充し、所得制限の撤廃、助成額を1回30万円に倍増、助成回数の制限を通算から1子ごとに変更いたしました。
 本府も「子どもを持ちたい」という府民の皆様の願いに寄り添い、助成回数の国の制度への上乗せや通院交通費の助成など全国トップレベルの経済的支援を行い、西脇知事の子育て環境日本一にかける思いは府民に伝わっていると私は感じております。しかし、不妊治療の保険適用に期待が寄せられる一方で、不妊治療の経験者からは、具体的な議論の中身が見えない現状への不安を指摘する声もあります。
 一般に、保険が適用されれば患者の自己負担額が減り、経済的負担の軽減にもつながりますけれども、保険では疾病ごとの医療行為に診療報酬が決められているため、適用範囲をどう拡大するかが大きな課題となります。
 日本の不妊治療は、国内未承認の海外の最先端の治療技術や薬を導入するなど、自由診療を中心として発展したこともあり、治療方法が標準化していない不妊治療で、診療報酬を一律に設定することの課題を指摘する専門家もおられます。
 そこでお尋ねいたしますが、さきに述べたように、日本の不妊治療では自由診療を軸に夫婦に合った治療が行われてきておりましたが、保険適用が拡大されることで、支援の対象となる治療が限られることになれば、逆に、できない治療が増え、妊娠が遠のいてしまう恐れがあります。
 年齢的にも時間がないという人や、体への負担から流産を避けるための治療を行いたいという人のためにも、治療の自由度は高くしてほしいという声もある中で、本府は今後どのような支援を行っていくのか、御所見をお聞かせください。
 加えて、不妊治療を受ける夫婦の負担は、経済的なものだけではありません。仕事との両立ができず、仕事や不妊治療をやめたり雇用形態を変更した人の割合は、34.7%というデータもあります。
 自身が不妊治療をやっていることを会社に知られたくないという気持ちもあって、「何で休むの」「何で早退するの」と言われて退職し不妊治療だけに専念していくと、それしかなくなって追い詰められているケースにもつながっていると耳にしております。
 不妊治療に関する助成制度や相談窓口といった情報だけでなく、当事者が抱える悩みや職場など周囲の理解が重要であり、啓発の必要性があると考えますが、この点についても、本府の取組や思いも併せてお聞かせください。
 次に、不育症の支援についてお尋ねいたします。
 妊娠後に2回以上の流産や死産を繰り返す不育症の方への支援を不妊治療と同様に、政府は2021年度から拡充し、検査費用を助成、心のケアの相談体制の強化を図っています。流産、死産した胎児などの染色体検査は保険適用外のため、4万円から10万円かかり、こちらも検査費用は高額です。
 不育症検査の助成事業は、保険外の胎児の染色体検査に1回当たり5万円を上限に支給し、原因の特定と患者が妊娠に向きやすくなる効果が期待されているとされています。厚労省の研究班は、2回以上連続して流産する患者を年間約3万1,000人と推計しており、妊娠を望むカップルの約5%が不育症というデータもあるそうです。
 厚労省の調査では、過去5年間に流産や死産を経験した女性のうち、鬱や不安障害が疑われた割合は75%を超えたとされ、各都道府県などの不妊専門相談センターには、流産や死産の悲しみに寄り添うカウンセラーを配置し、対応を行っています。そして、不育症学会は、新たに認定医制度を導入し、約100人の医師が講座で専門知識を学び、認定医が誕生しているとのことであります。
 そこでお尋ねいたします。
 日本不育症学会理事長、名古屋大学の杉浦教授は、「原因が判明し、適切な検査や管理ができれば85%が出産に至り、出産率の改善が示されていない検査や治療を高額な自由診療で行っているケースもある。認定医が症例を共有できる仕組みをつくりたい」。また、「日本では不育症の定義でさえ間違った情報が流れ混乱し、さらに原因不明の場合でも平均的な年齢であれば、薬剤投与をしなくても一定の確率で出産できるが、研究的な治療が説明・同意が不十分なまま自由診療として実施されている」と訴えておられます。
 子育て環境日本一を目指す本府が進めてきた不育症対策の取組実績や相談センターに寄せられた声などについてお聞かせください。
 また、不妊症に比べ、社会的な認知度が低いと感じますけれども、今後どのように周知されるのかも併せてお聞かせください。
 まずは、ここまでの御答弁をお願いいたします。

◯議長(菅谷寛志君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 
梶原議員の御質問にお答えいたします。
 梶原議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして、今回の補正予算案に高い評価をいただき、厚く御礼申し上げます。
 ワクチン接種についてでございます。
 重症化や発症の予防に効果があるとされるワクチン接種については、京都府といたしましても、ワクチンの配分調整や市町村への支援など、希望される府民の皆様の早期接種に向け、取組を進めてきたところでございます。
 この中で、接種を開始した3月、4月や、高齢者から一般府民の皆様への接種に移行した7月において、ワクチンの供給量が減り接種が滞る事態が発生したことから、ワクチンの安定的な供給が円滑に接種を進める上で大変重要であると考えております。
 このため、国に対し、供給スケジュールの明示とワクチンの安定供給について繰り返し要望し、必要なワクチンの確保に努めてきたところでございます。
 今後、3回目接種を進めていくに当たり、3月までの供給量は示されているものの、1・2回目接種の9割以上を占めていたファイザー社製ワクチンの割合が減る見通しであり、国が示すように、2回目接種完了から8か月後に3回目接種を実施するためには、モデルナ社ワクチンとの交互接種を進めていく必要がございます。そのため、国に対し、十分なワクチンの供給や、モデルナ社ワクチンの副反応等についての丁寧な広報を求めるとともに、交互接種を前提とした接種体制を構築していくため、市町村や医師会等と使用するワクチンや接種会場等について調整を行ってまいりたいと考えております。
 また、ワクチン接種の開始当初に、市町村において予約が集中する事態が起こったことから、京都府といたしましても、接種会場を設置し、その数を順次増やすことで、接種機会を拡大してまいりました。
 また、京都府の接種会場における予約方法も、高齢者接種では140回線のコールセンターとウェブ予約を併用するほか、一般接種ではウェブ予約を週ごとに受け付けるなど、ニーズに合わせて対応してきたところでございます。
 3回目接種におきましても、市町村の接種を補完するため、京都府として接種会場を設置しますとともに、職域接種の実施に向けた企業や大学等への働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 今後、3回目接種は12月から医療従事者、1月から高齢者、その後一般府民の皆様への接種へと進んでまいりますが、1回目、2回目接種の課題を市町村や医師会など関係団体と共有し、接種計画の調整を行うことで、接種が円滑に進むよう取組を進めてまいりたいと考えております。
 次に、3回目接種の情報発信についてでございます。
 第5波においては、クラスター発生件数に占める医療機関や高齢者福祉施設の割合が減少するとともに、新規陽性者や重症者についても、ワクチン接種が進む高齢者の割合が減少していることが、国のアドバイザリーボードで示されております。
 このようにワクチン接種の効果は高いことから、3回目接種においても、府民の皆様の不安を取り除くために、正しい情報を伝えていく必要があると考えております。このため、ワクチンの有効性・安全性について科学的知見を踏まえた丁寧な広報を国に求めますとともに、京都府といたしましても、府民だよりや新聞広告、ホームページなどあらゆる広報媒体を通して、正しく、分かりやすい情報発信を行い、3回目接種についての御理解を得てまいりたいと考えております。
 次に、1回目・2回目のワクチンを接種されていない方への対応についてでございます。
 議員から御指摘がありました、京都府のワクチン接種率が全国と比べて低い主な理由として、10代の接種率が低いことが挙げられます。このため、若い世代向けにメッセージ動画の配信や、教育委員会を通じた府内中学・高校へのデジタルチラシの配布などを通じて、ワクチン接種に関する情報をしっかりお伝えしてきたところでございます。
 また、京都府のワクチン接種会場として、モデルナ社ワクチンの接種を実施した府内5病院において12月以降も継続して接種を実施し、まだワクチンを接種されていない方の接種機会を提供することとしております。
 今後とも、府民の皆様にワクチンについての正しい情報を提供することで、ワクチン接種を選択していただけるよう取組を進めてまいりたいと考えております。
 次に、不妊治療費の助成についてでございます。
 不妊治療につきましては、子どもを持ちたいという府民の皆様の願いに寄り添い、助成回数の国制度への上乗せや通院交通費の助成など、全国トップレベルの経済的支援を行っており、昨年度は9,000件もの申請があったところでございます。
 現在、国において不妊治療への保険適用について検討されておりますが、国に対しましては、保険適用に伴ってかえって患者の自己負担が増えたり、新たな負担が生じたりすることがないように、経過措置の適用や、保険適用対象外となる治療についての新たな支援制度を設けることを強く要望してきたところでございます。
 今後、京都府といたしましては、国の動きをしっかりと見据えながら対応していきますとともに、引き続き、全国トップレベルの支援制度となるよう検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、仕事と不妊治療の両立についてでございます。
 働きながら不妊治療を受ける皆様方に対しては、その気持ちに寄り添い、1人でも多くの方の希望をかなえるため、個々の状況に応じた支援を充実することが必要だと考えております。
 このため京都府では、きょうと子育てピアサポートセンターに平成30年度から「仕事と不妊治療の両立支援コール」として産業カウンセラーによる相談窓口を設け、悩み事の御相談などにワンストップで対応しているところでありまして、企業の従業員の方からの、不妊治療中であることを職場に伝えておられず休みが取りにくいという悩みや、企業の人事担当者からの休暇制度の創設にあたっての留意事項などの相談があるところでございます。
 また、本年3月に京都労働局と連携して、不妊治療に関する企業の従業員に対する支援制度や就労環境の整備状況を確認するため、府内の企業に対してアンケートを実施いたしました。その中で、不妊治療を受けている従業員数を把握している企業は少数にとどまるなど、まだまだ職場で気軽に不妊治療についての相談ができる状況ではないという課題が明らかになったところであり、企業からは、先進事例の紹介や、他社との取組状況の情報交換を求める御意見もあったところでございます。
 このため、京都労働局の「両立支援等助成金」や京都府の「多様な働き方推進事業費補助金」の周知、子育て企業サポートチームなどによる伴走支援を行いますとともに、労働局と連携して、企業向けの研修会等において休暇制度の創設や職場での普及方法などについて講習を行うなど、不妊治療に対する啓発を促進してまいりたいと考えております。
 次に、不育症の方への支援についてでございます。
 不育症とは、妊娠はするが流産や死産を繰り返して結果的に子どもを持てない状態であり、全国で毎年約3万1,000人の方がこうした状態にあると推定をされております。このため京都府では、平成26年度から全国に先駆けて独自の助成制度を創設し、不育症の治療に要する自己負担の軽減に取り組んできたところであり、令和2年度には100件の利用がございました。また、「妊娠出産・不妊ほっとコール」として助産師などの専門職による相談窓口を設け、精神的な苦痛や治療方法に関する相談などに対応しており、「流産して気持ちが落ち込んでいる」「次に妊娠したときにまた同じことが起こるのではないかと心配」などの相談が寄せられているところでございます。
 不育症を来す要因のうち約65%は原因不明となっていることから、今年度、先進医療である流産検体を用いた染色体検査の検査料に対する助成制度を創設いたしました。
 京都府医師会などの関係団体や産科医療機関等を通じた情報提供など、制度の周知に取り組んでいるところでございますが、議員御指摘のとおり、不育症そのものに対する認知度が低く、どのような検査を受けることができるのか等もあまり知られていない状況でございます。
 そのため、不育症の検査・治療に取り組む産科医療機関にヒアリングを行い、制度の利用が進まない実態を把握いたしますとともに、きょうと子育てピアサポートセンターのホームページ上で最新の情報を正確に伝えるなど、今後も一層の情報提供に努め、悩みを抱えておられる方がお一人で抱え込むことのないよう、不育症に係る周知・啓発や相談支援体制の充実に取り組んでまいりたいと考えております。

◯議長(菅谷寛志君) 梶原英樹君。
   〔梶原英樹君登壇〕

◯梶原英樹君 
御答弁ありがとうございました。
 ワクチンについてでありますけれども、1回目・2回目接種のときに、予約方法が分からないとか、さらには目まぐるしく世の中が変わることもあって不安になる方も多かったのではないかなと思います。分かりやすい情報発信に努めていただくとともに、今こそ地域の絆や家族の絆を大切にした、社会全体で困っている方を助け合える、支え合える仕組みをつくっていただきますようお願いいたします。
 また、ワクチンの安全性についてでございますけれども、私も2回目接種のときに体温が39度まで上がったんですけれども、3回目接種はどれだけつらいのかなとか、交差接種をしても大丈夫なのかなとか、そういった声もいろいろと寄せられるところでございます。11月30日に開催された全国知事会でも国に対して要望されているところでございますけれども、ワクチンの安全性についても丁寧に説明する機会を多くつくっていただきますよう要望いたします。
 そして、不妊治療と不育症についてでございますけれども、大変心強い御答弁いただきました。本府として様々に支援を実施しているところでございますけれども、「年齢的に体力的にも限界が近づいているけれども、子どもを授かるためにできることの全てをやっていきたい」とおっしゃる方が多いと耳にしております。保険適用が拡大されることは大変いいことかと思いますけれども、その方にベストな治療が受けられる仕組み、そして不育症についてもさらに改善を図っていただきますようお願い申し上げ、次の質問に移らせていただきます。
 次に、次世代に胸を張って引き継げる温暖化対策についてお尋ねいたします。
 今年8月、西日本を中心に記録的な大雨が降り、私が住む山科区でも川の氾濫、道路の冠水、土砂災害等の大変な被害が発生いたしました。
 この事象について、気候に関する専門家などでつくる気象庁の検討会は9月に会合を開き、観測された総雨量が3年前の西日本豪雨を超えるなど異常気象と言えると指摘し、地球温暖化による気温の長期的な上昇で、大気中の水蒸気の量が増え、降水量が増えた可能性を示す分析結果も得られたとされています。
 そのような中、気候変動対策を話し合う国連の会議「COP26」がイギリス北部のグラスゴーで開催され、開幕式で国連の気候変動枠組条約のエスピノサ事務局長は、「私たちは今、歴史の重要な局面にいる。地球温暖化を1.5度に抑えるという目標を維持するため、迅速かつ大規模な排出削減を達成するか、荒涼とした地球で将来人類が過ごすことを受け入れるかだ。私たちはグラスゴーで前進しなければならない」と述べておられました。
 2020年10月、政府は2050年温室効果ガス排出実質ゼロとする目標を宣言し、西脇知事も2020年2月に行われた「KYOTO地球環境の殿堂」の御挨拶の中で、2050年までの温室効果ガス排出量を実質ゼロを目指すといち早く宣言をされ、本府は環境省のゼロカーボンシティにも登録をされました。
 2050年CO2排出実質ゼロ宣言は、本府では、京都市をはじめ与謝野町、宮津市、大山崎町、京丹後市、京田辺市、亀岡市、福知山市、綾部市が表明をされ、2021年10月29日時点で全国479の自治体に拡大をしています。さらに今年10月には、宮津市と与謝野町で、気候非常事態宣言をされ、各自治体や議会にも広がっているところであります。
 そこでお尋ねいたします。
 2021年4月に政府は、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減する目標を決定し、本府は政府よりも先駆けて目標を設定し、温室効果ガスの削減に向け取組を重ねているところです。しかしながら、本府の2019年度温室効果ガス排出量について見ると、2020年度には1990年度比で25%削減しなければならないところ、2019年度はマイナス15.1%と目標達成には厳しいことがうかがえます。
 本府における温室効果ガス排出量の削減が、なぜ苦戦を強いられているのか、現状の課題と達成できなかった排出量をどのようにリカバリーをしていくのか、御所見をお聞かせください。
 次に、省エネルギー政策と住宅断熱についてお尋ねいたします。
 地域における省エネルギー政策の中で、住宅断熱は重要であると最近よく耳にします。その中で、本府は省エネ住宅等の促進のため、住まいの脱炭素化大作戦事業に取り組まれているところですが、この大作戦の取組と成果に対してどのように分析されているのか、御所見をお聞かせください。
 内閣府は、2050年カーボンニュートラル社会の実現のためには、再生可能エネルギーの主力電源化及び最大限の導入が非常に大きな鍵を握り、必要な規制の見直しや迅速化を促すことが不可欠と発表しています。こうした規制改革に対してスピード感を持って実現するために、2020年12月、再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォースが設置され、会議では、住宅断熱が大きなテーマとなり、有識者は「期限を決めて猛スピードで今すぐ実行」と指摘がありました。
 2021年4月、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」の改正で、省エネ住宅性能についての説明義務制度が発足したこともあり、ZEH(ゼッチ)が注目をされています。ZEHとは、住宅性能や高効率設備機器により住まいの省エネ性を高めて使うエネルギーを減らし、使うエネルギーを太陽光発電などで自家発電し、家庭で必要なエネルギーを自給自足でできる住まいのことであります。
 ZEHについては、福知山市では建築費用を一律20万円補助する制度があります。住宅断熱の取組をさらに一層推進していく流れの中で、本府における住宅断熱支援としては、融資制度があるのみです。さきに述べた地球温暖化対策のためにも、住宅断熱、ZEHをはじめ、省エネ住宅の普及に次世代を担う子どもたちのためにも一層の力を注ぐべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 また、環境省は、家庭などの温室効果ガス排出を2030年度までに実質ゼロにする脱炭素先行地域の第一弾を来春に選ぶと発表し、来月の1月以降に公募を始めるとのことであります。全国で少なくとも100か所を選定し、政府が目標とする50年に先立って脱炭素化を進める計画で、農山漁村や市街地などが対象で、太陽光など再生可能エネルギーと省エネを組み合わせ、家庭やビルの電力消費に伴う温室効果ガスの排出ゼロを目指し、先行地域に選定されると、来年度の新設に向けて、環境省が200億円を概算要求している交付金の重点配分対象となるとのことであります。
 歴史上初めて、温室効果ガス削減の国際的数値目標を定めた京都議定書が採択をされて24年がたちます。当時私は14歳でありましたけれども、この京都をとても誇りに思ったことをきのうのことのように覚えております。選ばれる、選ばれないは別にして、次世代を担う子どもたちのためにも、脱炭素先行地域に名のりを上げていただきたい。本府としての責務でもあるかと考えますが、いかがお考えでしょうか。お考えをお聞かせください。
 次に、新たなニーズに応える京都観光についてお尋ねいたします。
 2020年は、訪日外国人旅行者数消費額が約85%減、国内宿泊旅行の延べ人数が約48%減といずれも前年比で減少となりました。観光業は、旅行業、交通産業、宿泊業、飲食産業等、幅広い分野を含んだ産業であり、我が国の経済に与えている影響は非常に大きく、地域経済を支える産業としても重要であり、観光都市京都としても存続基盤であります。
 この間、本府の支援として、国内観光の需要を喚起するため、提供サービスの経費に対して1人1泊につき2,500円を限度額に補助する「京都のお宿で魅力再発見キャンペーン」、修学旅行先での3密を解消するために追加で必要となる経費等を支援する「京の修学旅行3密防止対策等支援事業費」など、様々に工夫を凝らしながら寄り添って支援を重ねてきたところでありますが、今もなお苦しい状況であります。
 そこで、これからの京都観光についてお尋ねいたします。
 国は今年4月から、感染が落ち着いていることを条件に居住する都道府県内の旅行に限り、1人1泊当たり最大7,000円分の費用を都道府県を通じて補助する制度を創設し、本府としてもこれを活用し「きょうと魅力再発見旅プロジェクト」として、10月22日以降の宿泊分から補助を開始しています。
 また、政府は11月19日、停止中のGoToトラベルを再開するまでの代替え措置として、都道府県が行う住民向けの旅行割引への補助を拡充する方針を固め、対象となる旅行を居住する都道府県内限定から、隣県などを含む地方ブロックにまで広げるとのことであります。今後、隣県割について本府はどのように進めていくのでしょうか。隣県だけでなく、関西各府県との連携も大きなポイントになるかと考えますが、現時点で本府のお考えをお聞かせください。
 また、観光で行きたい市町村ランキングで常にトップを走り、多くの観光客の入り口であり、スタート地点となる京都市との連携は欠かせません。昨年11月補正予算で議決した府市協調の観光事業者等緊急応援事業費、そして府内周遊の旅行商品造成に対する補助を活用し、地域の発展につながる好循環を生み出すことが重要であり、新たな観光ニーズへの対応や、地域や他産業とも連携した多様なコンテンツ開発につながる仕組みが今こそ必要であると考えますが、いかがお考えでしょうか。
 また、新型コロナウイルス感染症危機克服会議「観光産業」の提言において取り上げられた、観光におけるDXの推進化についても質問いたします。
 本府では今年度、地域の魅力を生かした観光振興事業として3つの事業、京都観光データ収集・分析事業、観光人材育成事業、京都観光チャレンジ事業を展開し、京都の観光分野におけるDXの推進に取り組まれています。
 京都観光チャレンジ事業としては、ビッグデータの収集・分析やデータに基づくマーケティング、新たな観光スタイルの提案など、観光分野におけるDXに関わるアイデアを民間事業者から広く募集し、優れた企画提案6件が採択されるとともに、夕日ヶ浦温泉では、京都観光データ収集・分析事業として、GPSによる人流データやSNS上で観光地等に対する興味、関心の傾向を調査、季節ごとの分析、消費額を上げる方策を検討するなど、データ収集・分析などが行われています。
 コロナ禍を通じてデジタルが進んだ分、京都の歴史とロマンあふれる「本物の魅力」に触れたいという需要がさらに高まると考えられることから、観光が本来持つ多面的な価値や魅力を再認識する仕組みと、学びや体験を通じてその魅力に触れる機会の創出が重要であり、新たなターゲット層を導き出すために、10年後、20年後を見据えて、この分野については来年度もさらに力を注ぐべきだと考えますが、いかがでしょうか。本府が考える将来像も含めて、観光におけるDXの推進にかける思いをお聞かせください。
 ここまでの答弁をお願いいたします。

◯議長(菅谷寛志君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 地球温暖化対策についてでございます。
 京都府におきましては、京都議定書誕生の地にふさわしい先導的な役割を果たすため、京都府地球温暖化対策推進計画に基づき、産業、運輸、家庭、業務の4つの部門別に温室効果ガスの削減目標や対策を定め、様々な施策を展開してまいりました。この結果、府内の2019年度の温室効果ガス排出量は1990年度比15%減となりました。
 改定前の推進計画において当面の目標としておりました2020年度の排出量は、来年8月頃に判明いたしますが、議員御指摘のとおり、25%の目標達成は厳しい状況になると考えております。
 部門別に見ますと、産業と運輸は削減目標を達成しているのに対し、世帯数や世帯当たりの家電製品が増加している家庭部門や、大規模店舗数が増加している業務部門で削減が進んでいない状況にあります。また、再生可能エネルギーの伸び悩みなども、達成が厳しい原因であると認識しているところでございます。
 現在は、昨年に宣言した「2050年温室効果ガス排出量実質ゼロ」という大きな目標の実現に向け、まずは国の計画に基づき、2030年度に2013年度比で46%削減することを目指し、省エネの加速化や荒廃農地や駐車場などを利用した再エネの導入などに、より一層取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、住まいの脱炭素化大作戦事業についてでございます。
 府内の温室効果ガス排出量の2割を家庭部門が占めており、その削減には、家電と住宅の省エネ化が重要と考え、2018年度に「省エネ家電の導入促進に関する研究会」と「住まいの高断熱・高気密化に関する研究会」を設置いたしました。省エネ家電研究会では、省エネ家電への買換えによる経済的メリットと、それを消費者に理解いただくための効果的な周知方法などについて議論をいただきました。
 その結果を踏まえ、省エネ家電に関して、身近にアドバイスができる大手家電流通協会などと連携いたしまして、今年度は、省エネ性能の高いエアコンへの買換えなどを促すキャンペーンを実施したところ、目標を上回る応募があったところでございます。
 また、省エネ住宅につきましては、一度建築されれば長期にわたって温室効果ガス排出量の削減に寄与することから、議員御案内のZEHや住宅断熱などによる省エネ住宅を普及していくことは非常に重要であると考えております。
 住まいの研究会からは、省エネ住宅は通常の住宅と比べて建設コストがかかるものの、省エネ化によりCO2排出量が削減されるだけではなく、健康や快適性といった暮らしの質の向上にもつながることを分かりやすく府民に説明することが必要だとの提案もいただきました。こうした省エネ住宅のメリットを正しく理解いただけるように、「住宅の断熱・気密まるわかりBOOK」を作成したほか、府民向けセミナーを開催し、多数の方に参加いただいたところでございます。
 また、一部の大手ハウスメーカーでは省エネ住宅が一般的となっておりますけれども、さらなる普及には中小工務店の協力が不可欠であると考えており、より多くの中小工務店の方などに省エネに関する知識を習得いただくためのセミナーを開催することとしております。
 今後も引き続きこれらの取組を進めますとともに、新築住宅に対する国のZEH化補助金や、既設住宅の二重窓への変更などの省エネ改修に対する支援制度なども活用し、省エネ住宅の普及を進めてまいりたいと考えております。
 次に、国が選定する脱炭素先行地域につきましては、CO2排出量実質ゼロを目指すとともに、地域課題を解決し住民の暮らしの質の向上を実現することも求められておりますことから、応募主体は原則基礎自治体と考えており、府内では、ゼロカーボン宣言市町を中心に応募に向けて検討がなされております。
 先行地域の具体的な要件や選考基準は今後明らかになりますが、学研地域では、スマートグリッドの実証実験に取り組んだ実績もあり、市町村をまたぐエリアでは広域自治体による応募も想定されていますことから、京都府といたしましても積極的に応募を検討してまいりたいと考えております。
 こうした脱炭素先行地域を核に京都府内全域への波及を図り、脱炭素社会の具体的な姿を示すことで、次世代を担う子どもたちが明るい未来を描けるよう、脱炭素で持続可能な社会の実現を目指してまいりたいと考えております。
 次に、新たなニーズに応える京都観光についてでございます。
 旅行で学びや体験を求めるなど、新たなニーズが生まれてきている中、京都には優れた文化財やお祭り、食など、長い歴史の中で育まれた本物の魅力があり、新たなニーズにも応えることができる強みを持っていると考えております。
 昨年度、コロナ禍において移動が制限されたこともあり、近隣観光から段階的に再開いたしましたところ、府民の皆様に、地域に根差した食や歴史・文化など多様な京都の魅力を再発見いただき、地域の郷土料理づくりや御城印めぐりなどの新しいコンテンツの掘り起こしにつながりました。
 今年度も、府民の皆様に京都府内を観光していただく「きょうと魅力再発見旅プロジェクト」を実施しており、多くの府民の皆様に活用していただいております。
 次に、隣接府県割につきましては、ワクチンの接種履歴やPCR検査等の結果を的確に確認できる体制を整えるとともに、隣接する6府県や、今後ブロック単位で拡充する際に対象となります和歌山県とも協議を行い、早期に実施してまいりたいと考えております。
 次に、多様なコンテンツ開発についてでございます。
 多様化する観光客ニーズに対応し、再訪や滞在時間の増加につなげるためには、地域や様々な産業との連携により府域の資源をブラッシュアップし磨き上げますとともに、点在しているコンテンツを周遊していただくストーリー性のある提案が求められます。
 例えば、文化財を見るだけではなく、文化財修復現場の見学など新たな視点を取り入れたツアーをはじめ、地域の伝統行事への参画や伝統工芸の工房体験など、多様な資源を観光に活用する取組も強化してまいりたいと考えております。
 また、周遊性を高めるため、観光の大きな要素である食体験に着目し、府内各地の旬の食材を味わえる「食の京都TABLE」の整備を進めますとともに、地元の食に関する魅力や、優れた料理を提供している料理人等に関するストーリーを掘り起こして発信する「食の京都」を展開しております。
 今後とも、京都府観光連盟や各DMO、様々な産業等と連携し、観光客のニーズに対応した既存の観光資源の充実や新たな観光資源の開発など、多様なコンテンツづくりを進めてまいります。
 また、議員御紹介の観光事業者等緊急応援事業も活用いたしまして、多様なコンテンツを活用した観光商品の造成を進め、より多くの観光客の来訪を促して、観光を入り口とした地域振興を図ってまいりたいと考えております。
 さらに、食や文化などの観光コンテンツを活用して、効果的に府内各地の周遊や再訪を促すためには、デジタル技術の進歩により収集・分析が容易になった行動履歴や、SNSへの書き込みなどのビッグデータを観光ニーズの把握や誘客に活用することが必要であると考えております。そこで、今年度はモデル事業として京丹後市夕日ヶ浦を対象に、ビッグデータを分析し、訪れた旅行者像とニーズを把握した上で、個々の旅行者に適した情報発信を行う実証実験を京都府観光連盟の中心として行っているところでございます。
 今後、DX時代を迎える中で、観光事業者が過去の経験に頼った経営からデータに基づく戦略的な経営へ変革する必要があることから、データの分析結果を事業者に提供するとともに、データを活用できる人材の育成など総合的なサポートができるよう、観光連盟の体制を強化したいと考えております。
 今年度の実証実験で得た成果を踏まえ、来年度以降は、府内の他の地域へ同様に取組を広げますとともに、多様なデータの利活用やマーケティング力の強化によりDXを推進し、京都観光の振興を進めてまいりたいと考えております。

◯議長(菅谷寛志君) 梶原英樹君。
   〔梶原英樹君登壇〕

◯梶原英樹君 御答弁ありがとうございました。
 温暖化対策、省エネ政策についてでございますけれども、この問題というのはまだ生まれてきていませんけど、我々の子孫からずっと見られているような感覚であります。前向きな御答弁いただきましたけれども、基本的方向性を示すことも大事ですし、さらにはそれにとどまることなく、今まで達成できなかったことも含めてリカバリーをしていただきますよう、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 そして、京都観光についても様々に前向きな御答弁いただきましたけれども、「住んでよし、訪れてよし」の実現に向けて目標と成果指標を設定して、観光の貢献度を可視化して伝えることも重要であると思います。地域内での経済循環のチェック、質から量への転換も欠かせないと思います。温暖化もそうですし京都観光もそうですけれども、知事がまさしくいつも掲げていらっしゃる「安心・いきいき・京都力」、これでどんどん進めていただきたいなと思います。よろしくお願いいたします。
 次の質問に移らせていただきます。時代に応じた校則についてお尋ねいたします。
 2017年、大阪府立の高校に通う女子生徒が、生まれつき茶色い髪を黒く染めるよう教諭らから何度も指導され、精神的な苦痛を受けたとして、大阪府に約220万円の賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こしました。
 訴状によると、生徒の母親は2015年4月の入学時、生徒の髪が生まれつき茶色いことを学校側に説明をしていましたが、教諭らは染色や脱色を禁じる生徒心得を理由に黒く染めるよう指導しました。元々が金髪の外国人留学生でも、規則では黒染めをさせることになるとも述べられたとされています。
 生徒は黒染めに応じていましたが、色が戻るたびに染め直すよう指示され、2年時には黒染めが不十分だとして授業への出席を禁じられ、翌10月の修学旅行への参加も認められず、不登校に追い込まれたとされています。
 その後、大阪地裁は、生徒の席を置かなかったり、学級名簿から削除した学校の行為は違法と認定し、府側に33万円の賠償を命じ、一方で、染色や脱色を禁じる校則や教諭らの頭髪指導については、適法と判断されました。
 これがきっかけとなり、有識者からは「社会の変化に合わせて柔軟に見直されるべきものだ」という声が上がり、佐賀県弁護士会は「中学校の校則の見直しに関する提言書」を策定し、合理性の観点から校則を見直し、校則の中で子どもの権利を明らかにすることや、校則の策定・変更に生徒を関与させるべきと佐賀県教育委員会に提出するなどの動きが全国各地で見られます。
 こうした中、文部科学省は「社会や時代の変化に合わせて校則を見直すよう求める通知」を2021年6月に都道府県教育委員会などに出し、最終的に校則を決める権限は各校の校長にあり、学校ごとに教育方針が異なることを踏まえ統一的な基準は設けませんでしたけれども、各校の校則を実態調査して改定を促した教育委員会の具体例を示し、積極的な対応を要請したところです。
 今年の4月には三重県で地毛証明書の廃止、沖縄県でも今年度中に廃止する方向で検討されています。
 そこで、お尋ねいたします。
 今回の文科省から出された「社会や時代の変化に合わせて校則を見直すよう求める通知」については、京都府教育委員会においても各学校に通知したとお聞きをしておりますが、その後、各学校でどのように対応され、教育委員会に対してどのような報告が上がってきたのか、特筆すべき点などがあればお教えください。
 また、子ども中心のルールづくりに取り組む動きも一方であります。東京都世田谷区の桜岡中学校では2010年以降、「生徒に考える力、判断力を養ってほしい」と校則や定期テスト、チャイムもなくしていきました。熊本市教育委員会は、小学1年生から3年生を除く児童や生徒、保護者、教職員を対象に校則についてアンケートを行い、約5万人の回答を得て、必要のない校則について、「靴下の長さ」「髪を結ぶ高さ」「日焼け止めの禁止」などが上がり、「児童・生徒が校則をつくったり考えたりする場が必要だ」という回答は、子どもも教職員も8割を超えたそうです。
 市教育委員を務める熊本大の苫野准教授は、「学校のシステムは多くが『みんな同じが美徳で効率的』となっていて、多様化への対応が追いついていない」と話し、子どもが声を出せる環境を整える必要があると指摘をされています。
 一方で、私事で大変恐縮ではありますけれども、恩師から、校則とは生徒を守る・育てる・鍛えるものと教わりました。時代は変化していく中でも、社会に出て生きていく力をつけるためにも、自分を律するためにも校則というのは重要なことであると思います。
 文科省の生徒指導提要にもあるように、校則の見直しを児童や生徒の主体性を培う機会になるようにするには何が必要なのか、教育長の御所見をお聞かせください。
 また、さきに述べたように、学校を取り巻く環境や状況は変化するため、校則の内容は絶えず見直す必要があると考えます。校則と学校の指導が一貫するように、教育委員会としてどのようにマネジメントしていくのか、また教員がいたずらに校則にとらわれ、校則を守らせることのみの指導となっていないか注意を払うためにも配慮が必要で、何かしらの対策が必要かと考えますが、いかがお考えでしょうか、御所見をお聞かせください。
 次に、持続可能な公共交通体系の構築についてお伺いをいたします。
 新型コロナウイルス感染症によって、公共交通事業者は大きな打撃を受けており、未曾有の難局に立たされています。とりわけ、これまでも大規模な自然災害や経済危機を乗り越えてきましたが、今回のコロナ禍は一過性の災いではなく、人々の生活や生命のみならず、社会全体あるいは従来の価値観といったものに対して大きな変容をもたらしています。
 現下においては、移動自粛等により公共交通を構築する多くの業種・業態に深刻な影響を及ぼしていますが、一方で、産業の変革に向けた重大な転換点とも捉えなければなりません。
 超少子高齢化社会の進行や大都市一極集中、地方過疎化といった我が国、そして公共交通事業者が直面する社会構造上の課題でもあり、鉄道・バス路線の維持・存続は、地域の活性化、地域住民の移動手段の確保という観点から重要な課題ですが、沿線人口の減少、過疎化及び高齢化の進行など、取り巻く環境は今後ますます厳しくなることが想定されます。
 加えて、地方ローカル線は地上設備や車両の近代化が遅れ、速達性や利便性も相対的に低く、鉄道の特性を十分に発揮できていません。また、鉄道はメンテナンス等の費用が高く、設備の老朽化はコスト増にもつながっています。さらに防災対策が不十分なため、徐行運転や運転見合わせが多発するなどの問題もあります。しかし、民間企業として内部補助には限界があり、不採算路線に多額の設備投資を行うことは困難であることから、鉄道の特性を発揮し難い状況にますます拍車がかかっています。
 こうした状況下では、マイカー依存型の社会経済が進展し、公共交通の衰退とともに交通弱者が急増してしまうような状況にもなりかねません。また、そのような悪循環に陥れば、交通空白地域の拡大につながることは明らかであります。
 そこでお尋ねいたします。
 各自治体や事業者、そして地域住民をはじめとする利用者などの全ての関係者が集い、地域の実情に即した真に必要とされる交通体系の構築を目指す「チーム公共交通」を組織し、責任を持った話合いを通じて、共に考え、つくり、支えることが何よりも必要であるかと考えますが、いかがでしょうか。
 その具体的な場として、地域公共交通会議などといった会議体の積極的な活用が図られなければなりません。本府には、そこに集う全ての関係者の調整と連携を図りつつ、主体的な交通政策を展開することが求められています。
 一方で、各地域においては、人口減少や過疎化の進展度合いの差のほか、さきに述べたような取組の中核となるべき人材、余力の不足なども要因となっていて、具体的かつ危機意識を持った交通政策には至っていない箇所も散見されます。
 本府は地域の将来を展望し、あるいは強い危機意識を持って、可能な限り早い段階から関係者が集い、議論を重ねる必要があると考えます。そのためにも、本府がリーダーシップを取り、地域公共交通会議などの会議体のさらなる活性化、利活用、全ての関係者の積極的参加及び利害関係の調整が促進されるよう、仕組みの強化、ルールの整備を図ることも必要であると考えますが、いかがでしょうか。これまでの取組と今後の公共交通への支援、未来の展望をお聞かせください。
 次に、事業者間及び官民のパートナーシップを促進する取組についてお尋ねいたします。
 日本の公共交通事業者は、あくまで民間企業として、事業者の自助努力による独立採算を主として、他事業者との競争の中で力を蓄えてきた経緯があります。その結果として、安全性の向上、速達性といったサービスレベルを向上させてきたのも事実であります。
 今後も適度な競争関係の中で技術の錬磨を図ることは大切ですが、人口増加局面の中で事業体を拡張してきたこれまでの時代と人口減少局面である今後は、様相が異なります。国が、公共交通の在り方に対するスタンスとして、公共交通事業者の独立採算を前提とした交通行政を継続するのであれば、今後は、各事業者が必要な部分に必要な資源を投下する選択と集中による筋肉質な事業体へと再構築していかざるを得ません。
 一方で、公共交通事業者においては、こうした経済性原則のみに基づく経営と、限られたパイの奪い合いといった競合・競争関係が継続した場合、必然的に、さきの質問で触れた悪循環や交通空白地域が多く発生することにつながると考えます。そのような事態を安易に生み出さないための重要な対処法が、まさしく「チーム公共交通」の形成なる概念であり、交通モードを超えた事業者同士の連携と自治体とのさらなる関与が必要であります。
 真に必要とされる持続可能な交通体系を構築するに当たっては、公共交通全体が一体的なシステムとして機能することが求められ、特に高齢化及び人口減少の著しい地域・エリアにおいては、喫緊の課題と言えます。
 そのためには、事業者間のパートナーシップが必要不可欠であり、ソフト面では、乗り継ぎの際の接続や運賃・料金の設定、利用ルールの簡素化などといった工夫や、事業者が競合エリアでも連携したり、広域連携を強化したりすることで利用者の利便性を高め、パイを増やす工夫を創出することも必要です。
 そこでお尋ねをいたします。
 MaaS(マース)の取組も、都市部、地方都市、地方部観光エリアなどで展開されており、一層連携の輪を広げ、さらには人流・物流を一体的に扱う貨客混載輸送などの共同事業も、限られた経営資源を有効活用する優位な手法と言えますが、現状として、同業あるいは異業種間で連携の事例は依然として数少ないのも実情であります。そして、鉄道やバスの路線廃止は近年相次いでおり、私の地元である山科区小金塚でも、循環バスの実証運行の終了が検討されています。いわゆる待ったなしの状況に陥っており、スピード感を持って対処することが必要です。
 採算性が悪くても、地域において鉄道やバスを存続することを選択するのであれば、鉄道については上下分離をはじめとする公有民営方式の経営手法についても踏み込んで検討する必要もあるかと考えますが、いかがでしょうか。
 最後に、クロスセクターベネフィットについてお尋ねいたします。
 クロスセクターベネフィットとは、ある部門で取り組んだことが他分野で利益をもたらすという意味で、公共交通に当てはめると、例えば高齢者や障害者をはじめ誰もが利用しやすい公共交通を整備することにより、ふだん外出できなかった人が外出をして、自分で病院に行くことができたり、就労の機会を得られるなどの変化が生じ、医療費や社会保障の減少につながるなど、社会全体の費用を削減している可能性があります。
 公共交通については、これまで利用者数や収支などで評価することが多かったのですが、本来は赤字の地域公共交通を補助金などの公的資金で支える意味を定量的に評価するために開発されたクロスセクターベネフィットの視点において、公共交通が医療や教育、観光などの多様な行政活動に及ぼす便益を算定し、真の公共交通の価値を把握した上で、必要性等の評価を行うべきかと考えますが、いかがでしょうか。本府のお考えをお聞かせください。
 ここまでの答弁、よろしくお願いいたします。

◯議長(菅谷寛志君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

:◯知事(西脇隆俊君) 持続可能な公共交通体系の構築についてでございます。
 鉄道・バスなどの公共交通は、通勤・通学、子育てや通院などの地域の生活や経済を支える社会基盤であり、特に車を運転できない方にとっては欠くことができない移動手段でございます。
 しかしながら、今日の公共交通を取り巻く環境は、高齢化や人口減少、自家用車の普及、さらには新型コロナウイルス感染症の影響により、独立採算では維持することが困難な路線や事業者が増加し、特に過疎地域では深刻な問題となっております。
 そのような中、令和2年に「地域が自らデザインする地域の交通」を目指して地域公共交通活性化再生法が改正され、市町村が地域公共交通計画を策定することが努力義務となりました。同計画では、鉄道やバスなどの従来の公共交通サービスに加え、地域の多様な輸送資源を総動員して持続可能な旅客運送サービスの提供を確保することとされたところであり、関係者が協議を十分に行うことが重要でございます。
 この地域公共交通計画の策定及び実施に当たりましては、必要な協議を行うための場として、交通事業者や地域住民などの地域の移動に関する関係者を集めた法定協議会を組織することができるとされ、この法定協議会において、議員も御指摘のとおり、全ての関係者が責任を持った話合いを行うことで、公共交通を共に考え、つくり、支える体制を整えてまいりたいと考えております。
 これまでの公共交通の取組と今後の支援についてでございます。
 京都府におきましては、これまで、広域的な公共交通でありますJR奈良線などの鉄道網の整備促進、複数市町村にまたがるバス路線の運行支援などを行ってきたところでございます。また、京都丹後鉄道、山陰本線、関西本線沿線地域において、市町村と共同で法定協議会を設置の上、地域公共交通網形成計画を策定し、京都丹後鉄道の上下分離、相楽東部広域バスの運行など、公共交通の維持・確保に取り組んできたところでございます。
 議員御指摘の地域公共交通会議は、元来、利害調整機能や道路運送法の手続の円滑化を目的としたものでありますが、既存の地域公共交通会議の構成員を充実させ、先ほどの法定協議会としても位置づけることで、地域の公共交通の課題を総括的に協議する場としても機能する仕組みであると考えております。
 この法定協議会の構成員には決定事項の尊重義務があるため、各構成員の主体的、積極的な議論を通じて、各地域の真に必要な具体的施策を地域公共交通計画に盛り込み、それを様々な主体が共有することで、地域の実情に応じた公共交通確保の実現可能性が高まるものと考えております。
 京都府といたしましては、府内市町村の法定協議会に参画をし、計画策定議論の中で広域的な見地からの助言や支援を行っているところであり、いまだ設置されていない市町村に対しましては、地域の実情に応じた公共交通が確保されるよう、地域公共交通計画の策定と法定協議会の設置を働きかけてまいりたいと考えております。
 鉄道の上下分離など、公有民営方式の経営手法についてでございます。
 鉄道の上下分離につきましては、京都府と沿線市町村と連携し、北近畿タンゴ鉄道の安定的な経営体制確保のため、平成27年に鉄道施設を第三セクター会社が保有し、列車の運行を民営化する上下分離方式を導入しているところでございます。
 このほか、府域で不採算路線を運行しているのはJR西日本でございますが、同社はコロナ禍による一時的な収入減少はあるものの、完全民営化以降、純利益を計上してきているところであり、JR在来線については、ネットワーク全体として同社が維持すべきものと考えております。
 また、バス事業者につきましては、市町村が車両を保有し、民間バス事業者や貨物運輸事業者へ運行を委託するなど、官民連携による取組をされており、地域の実情に応じた移動手段が確保できるよう、市町村と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
 クロスセクターベネフィットについてでございます。
 クロスセクターベネフィットは、公共交通の運行に係る直接的な公的支援とその公共交通がなくなることで必要となる代替費用を比較し、公共交通を公的資金で支える意義を定量的に評価する手法の一つであり、市町村などのコミュニティーバス存続を検討するときに有効な評価手法でございます。
 地域の公共交通の維持・確保においては、市町村が地域の移動に関する関係者と連携をして、医療、教育など公共交通の有する多面的な効果を勘案し、バス路線のみならず、デマンド交通や自家用有償運送も含めた幅広い公共交通サービスを検討することとなります。
 京都府といたしましては、人口減少、運転手をはじめとする担い手不足など多くの課題がありますが、このような検討が各法定協議会でしっかりと行われるよう地域公共交通計画の策定段階から参画し、計画に位置づけられた施策に対する支援や助言などを行うとともに、PDCAサイクルによりまして、地域における公共交通が持続可能なものとなるよう市町村と連携し取り組んでまいりたいと考えております。

◯議長(菅谷寛志君) 橋本教育長。
   〔教育長橋本幸三君登壇〕

◯教育長(橋本幸三君) 梶原議員の御質問にお答えいたします。
 時代に応じた校則についてでございますが、校則は、児童生徒が健全な学校生活を営み、よりよく成長していくために遵守すべき規律であり、学習上、生活上の行動の指針となるものであります。
 一方で、社会の常識や時代の変化に対応していない校則は、児童生徒の実情、保護者の考え方、地域の状況などを踏まえ、柔軟に見直すべきであり、特に人権等の観点から不適切な校則は許されるものではないと考えております。
 府教育委員会におきましては、令和元年度に、明らかに時代にそぐわない校則については指導を行い、令和2年4月には全府立高校の調査を行うとともに、校長会や生徒指導に関する協議会において不断の見直しをお願いするなど、取組を進めてまいりました。
 また今年6月、議員御紹介の文部科学省からの通知を受け、学校の実情に応じて見直しを行うよう改めて通知するとともに、その参考となる他府県事例についても紹介したところでございます。その結果、全ての教材を毎日持ち帰らせる校則や、靴下や防寒具の色などを定める校則の見直しに取り組んでいるなどの報告を受けております。
 次に、児童生徒の主体性を培う機会としての校則の見直しについてでございますが、校則の制定権限は校長にあるものの、自分たちが学校生活を送る上でのルールづくりに児童生徒の参画の機会を設けることは、教育において重要な主体性を培う上で大変有効であります。とりわけ高校生においては、成年年齢の引下げにより、今後、在学中に成人となることを踏まえて、校則を与えられたものではなく自分たちのものとして捉え、自主的に守るように指導を行っていくことが重要となってまいります。
 その方法として、生徒会でアンケートを実施することや、それを基に生徒同士で議論する機会を持つことなどが考えられますが、実際に校内でのスマートフォンの利用について、生徒会で話合いが重ねられている高校もあると聞いております。
 併せて、生徒同士の議論の過程において、広い視点から物事を考えさせるため、PTAや教員の意見や考え方を投げかけることも重要であり、時間をかけて生徒が主体的に検討する中で、関係者の共通理解が得られるような校則を目指していくべきだと考えております。
 府教育委員会といたしましては、こうした方向性を学校に示すとともに、各校の校則に社会の常識や時代の変化に対応していないものや、人権等の観点から不適切なものがないか、絶えず見直し状況の把握に努め、指導してまいります。
 また、校則と学校の指導が一貫するためには、各校の教育目標と校則の内容や必要性について教職員が共通に理解することが重要であり、さらに校則を機械的に守らせるといった指導に陥らないようにするためには、背景となる個々の事情に十分留意をし、児童生徒自身に内省を促す指導が求められます。
 これらに関しましても、校長会等に重ねて呼びかけを行い、校則に対する教職員の意識の高揚を図ることにより、校則が各学校の教育目的の実現に寄与し、併せて児童生徒の主体的、自律的な行動を促すものとなるよう努めてまいります。

◯議長(菅谷寛志君) 梶原英樹君。
   〔梶原英樹君登壇〕

◯梶原英樹君 御答弁ありがとうございました。
 交通政策についてでありますけれども、知事も御理解いただいていると思いますけれども、先ほど述べましたように、待ったなしの状況が続いているところでございます。クロスセクターベネフィットについてお話をさせていただきましたけれども、今後もそういった視点で、公共交通の評価を乗車率とか収益だけで評価するのではなくて、やっぱり公共交通が医療や教育、観光など様々なところで行政活動に及ぼしている便益も算定されて、よりよきものになることを御期待申し上げたいと思います。
 そして最後、校則についてでございますけれども、他県の事例ではありますけれども、下駄が禁止とかそういったことがまだ書かれていることもあるそうでございますので、やはりこれは教育委員会がグリップをしていただいて、様々にチェックをマネジメントしていただきたいと思います。
 何が正解なのかとか的確なのかは大変難しいことだと思いますけれども、生徒たちも考えることによって学校生活の期間で一度あってもいいのかなと。そして、これから社会に出たときにいろいろと羽ばたいていく中で、校則について考えることも、何か生かされるのではないかなと思います。
 学校については、教育委員会、関係団体と連携したお取組をさらに押し進めていただきますようよろしくお願い申し上げ、代表質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)