1.府民に開かれた府立大学の施設整備について

2.災害時の避難行動や避難所の確保等について

3.学校教育における外部との連携・協働について

4.その他

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◯議長(菅谷寛志君) 休憩前に引き続き会議を行います。
 次に、平井斉己君に発言を許します。平井斉己君。
   〔平井斉己君登壇〕(拍手)

◯平井斉己君 府民クラブ京都府会議員団の平井斉己でございます。それでは、一般質問に入らせていただきます。
 最初に、府民に開かれた府立大学の施設整備についてお伺いいたします。
 京都府立大学の前身は、1895年京都府愛宕(おたぎ)郡大宮村にて京都府簡易農学校として設立され、大徳寺の塔頭をお借りして授業が始まりました。その後、学舎は葛野郡桂に移転して京都府農学校となり、さらに松ヶ崎村に設置された京都府立女子専門学校と統合され、1959年京都府立大学と改称されました。まさに、京都府における農業農林教育、女子教育を牽引してきたと言えます。
 府立大学は120年を超える歴史を有し、京都府における知の拠点として、例えば学長御自身がダチョウ抗体を用いて新型コロナウイルスに対応したマスクなどを開発されるなど、様々な分野で優れた研究成果を収め、また多くの優秀な人材を輩出されるなど、京都府はもとより全国的にも非常に大きな貢献をされてこられました。
 そんな府立大学ですが、現在の大きな課題として施設の老朽化、狭隘化がございます。これまでも、2014年には教養教育共同化施設を新設し、2016年には文学部附属図書館である京都学・歴彩館を設置するなど順次整備が進められてこられましたが、なお施設の大半が建設後40年以上経過し、建替えや改修が必要な状況にあります。中でも体育館は、建物の耐震性能を示す指標であるIs数値が0.07と施設の中でも最も低く、現在、利用が停止されており、早急な対応が必要です。
 このため、京都府総合計画や北山エリア整備基本計画では「共同体育館の整備」が掲げられ、府立医科大学、京都工芸繊維大学と合わせた3大学の共同体育館として、また北山エリアのコンセプト「文化・芸術・学術・スポーツに触れられる魅力的な空間」を創出する、学生スポーツの公式試合や国際試合などの開催が可能な学生スポーツの拠点としてアリーナ機能を備えた体育館の整備を進め、府民の一般利用や文化イベントなどにも活用するとされています。
 大学に、国際大会も使用できる高規格な体育館が新たに整備されることで、そこで日々、授業や部活の練習などを行う環境が得られることは、学生の皆さんにとっても誇りと思えるでしょう。また、全国大会に出場する選手のプレイを間近に見られる機会が増え、同じスポーツを楽しむ学生にはよい刺激になるのではないかとも考えます。
 加えて一般にも開放されれば、スポーツに親しみ、文化に触れられる機会が増し、府民の生活にも潤いをもたらすことでしょう。さらに、スポーツへの興味・関心が高まることで、青少年の健全育成、地域社会の再生、心身健康の保持・増進、社会経済活力の創造など、様々な効果が期待でき、私としても早期な実現を期待しています。
 そこでまず、西脇知事に本整備事業に対する思いについてお伺いいたします。
 今年に入り、愛知県、神戸市、大阪府というふうに1万人を超える規模のアリーナ整備が各地で進められると仄聞しておりますが、こうした近隣府県の整備が進む中、その施設の違いを含め、京都府が今回整備をしようとする共同体育館の基本的な考え方や必要性について、改めて御見解をお尋ねいたします。
 とはいえ、やはり大事なことはこの体育館が大学の施設であるということであります。学生の皆さんのそれぞれの支援をしながら進めなければならないんですけれども、学生の皆さんには大切なことであります授業と、さらには様々な課題を解決し進めていくことの大切さをどういうふうにお考えなのか、改めてお伺いをしたいと思います。
 私が考えるに、この体育館は、一つは、もちろん府民や市民の皆さんをはじめとする大きな企画をすることも大切でありますが、同時に授業の中の施設として、どのような影響があるのか。例えば施設整備が進むことによって国際大会が多く利用することで、学生の部活動であったり課外活動であったりに影響がないのか、このあたりを非常に危惧するところでありますので、その所感についても知事の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
 さらに進めてまいりたいと思いますが、今回の体育館の仕様の一つとして大きな問題としては、やはり防災整備を整えることの大切さがあるかと思います。特に周辺の地域の皆さんにも利用していただけるような防災施設は、府民の皆さんが利用できるものとしても大切でありますし、このあたりについても御見解をお願いしたいと思います。
 京都府においてもこの間、大きな災害が発生しております。例えば2016年の4月でありますけれども、熊本地震の大きな災害のときに熊本学園大学が、障害を持つ方々の避難所としてその施設を開放した事例からも学ぶべきことが多いと思われます。今回の整備に当たっては、このような緊急時、公共空間としての役割を踏まえながら府民にとっても有意義な施設にすべきと考えますが、その点についてもお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 さらに、避難時の避難行動について、その確保についてお伺いをいたします。
 この夏は台風10号、9号と続けて日本に接近、上陸し、また前線の停滞により8月としては異例の長雨に見舞われるなど、京都府をはじめとする全国各地で大きな被害が発生したところであります。被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げますとともに、お亡くなりになられた皆様の御冥福をお祈りいたします。
 さて、まだまだ本格的な台風シーズンが続くことから、災害が起こらないことを望むものですが、万が一発生したとしても被害を最小限に食い止めるため、今からしっかり備えをしておくことが何より重要だと思います。
 今年は災害対策基本法が改正されましたが、この改正は、2019年の東日本台風など近年の大規模な災害において避難情報が分かりにくく、避難が遅れたことで被災された事例などを踏まえ、災害時における円滑かつ迅速な避難の確保、災害対策の実施体制の強化を目的に行われたものであります。
 大きな改正点は避難情報の変更であり、例えばこれまで警戒レベル4の避難情報として、避難勧告、避難指示が混在していたため、この違いが分かりにくいとして避難指示に一本化されました。そして、警戒レベル5の緊急安全確保を待たずに、警戒レベル4までで避難ができることが呼びかけられるとされました。
 京都府におきましても、2018年7月の豪雨災害の際に、避難指示、避難勧告の対象者は約62万人であったのに対し実質避難者は4,000人程度にとどまるなど、避難勧告などの発令が住民の避難行動につながらなかったという事例も起こっております。
 そこでお伺いいたします。
 こうしたことが二度と起こらないようにするためにも、府民に避難情報をしっかり理解してもらい、また、避難行動に結びつけることが重要であると考えますが、今回の避難情報の変更に関し、京都府ではどのように府民に効果的な周知・啓発を行っているのでしょうか。
 また、変更に伴って、府民の避難行動の促進に向けて改めてどのような取組を行っているのでしょうか、お伺いしたいと思います。
 続いて、避難時に住民の命を守る上で最も重要な拠点となる避難所や、今後の危機管理体制についてお伺いいたします。
 今年もコロナ禍の中で出水期を迎えており、昨年よりさらに新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、災害が発生することが懸念されます。昨年の台風第10号の発生時には、九州地方において、コロナ禍の対策として避難所の人数を減らしたために、避難所が足らなくなるという実態が発生いたしました。
 京都府においては、この備えとして避難所をしっかり確保していくことは重要であります。そのような中、危機管理部では昨年度に避難所等緊急実態調査を実施され、今年の2月定例会の常任委員会において調査結果が報告されました。
 その内容は、最大想定避難者数47万6,000人に対し避難所収容人数が38万3,000人で、収容率が71%というものでありました。これは、約3割の府民が避難所に入れないという実態が発生しかねず、私も大きな危機を感じているところであります。
 一方、こうした事態への対応策として、広域避難体制の構築や宿泊施設や駐車場などの避難先確保が示されており、さきの6月臨時会においても、これらを含む補正予算を全会一致で可決いたしました。
 そこでお伺いいたします。
 避難所不足が懸念される中、6月臨時会で議決した補正予算の内容も踏まえ、府民が安心してちゅうちょなく避難できる環境の整備をどのように進めていくのか、具体的にお示しください。
 また、京都府は、2023年稼働に向けて危機管理センターの整備に取り組むなど、災害対応の強化や先進的な危機管理体制の構築を進めようとされていますが、その取組状況についてもお聞かせください。

◯議長(菅谷寛志君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 平井議員の御質問にお答えいたします。
 府民に開かれた府立大学の施設整備についてでございます。
 京都府の大学共同体育館は、府立大学、府立医科大学の学生の授業や課外活動での利用を基本に、京都工芸繊維大学も含めた3大学の共同利用が可能で、地域にも開かれた体育施設として整備を予定しております。
 近隣府県で計画されているアリーナ整備は、世界レベルのスポーツイベントやエンターテイメントなどでの活用を重視したものでありますが、京都府の共同体育館については、学生の利用を核としつつも国際試合などのスポーツイベントや文化イベントも行えるアリーナ機能を備えたものにしたいと考えております。
 北山エリアが、豊かな自然の中で文化、芸術、学術、スポーツに身近に出会い、交流するまちとなるよう、関係の方々の御意見を踏まえながら共同体育館の整備を進めてまいりたいと考えております。
 共同体育館の府立大学や府立医科大学の学生の利用についてでございます。
 これまで府立大学の体育館は、授業で半日程度を週2回、入学式、卒業式等の学校行事で年間10日程度、その他課外活動では平日夕方以降や休日などの時間帯で学生が利用していたところでありますが、新たに整備する共同体育館でも、こうした従来からの学生利用が制限されることのないよう、まずは時間を確保してまいりたいと考えております。
 その上で、学生以外の利用については、大学で利用しない時期、時間などを事前に府民の皆様にお知らせし、スポーツ、健康などの活動に幅広く活用いただけるようにしたいと考えており、学生の利用を最優先に考えながら、大学等関係者と利活用方法を調整・工夫し、運営してまいりたいと考えております。
 なお、授業等に支障が出ることがないように、新たな共同体育館が整備されるまでの間、仮設体育館を大学グラウンド内に整備することとしており、設計作業を進めております。
 緊急時の公共空間としての役割についてでございますが、共同体育館の多目的利用の一つとして、防災機能を持った施設として整備したいと考えており、大規模災害発生時の周辺住民の避難や災害復旧時の拠点としての活用について基本計画に盛り込んでいるところでございます。
 アリーナの防災機能につきましては、例えば東日本大震災の際、さいたまスーパーアリーナが避難者約2,500人を約半月にわたって受け入れた事例や、議員御紹介のとおり、熊本地震の際、熊本学園大学の体育館が教員や学生ボランティアなどの協力により、多くの障害者の方々を受け入れた事例がございます。
 これらの事例を参考に、例えばエリア全体で再生可能エネルギーや分散型電源の導入による防災性にも優れたエネルギーシステムを構築したり、大規模災害発生時に共同体育館の諸室を高齢者や妊産婦、障害者など配慮を要する方々に提供するなど、災害弱者の方々をはじめ地域住民の安心・安全の支えになる施設となるよう、今後、整備内容の詳細を詰めてまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。

◯議長(菅谷寛志君) 壺内危機管理部長。
   〔危機管理部長壺内賢一君登壇〕

◯危機管理部長(壺内賢一君) 災害時の避難行動や避難所の確保等についてでございます。
 今回の災害対策基本法の改正では、逃げ遅れ防止の観点から、避難勧告と避難指示の一本化など避難情報の簡略化が行われたところでございますが、議員御指摘のとおり、まずは府民の方々に変更内容を知っていただくことが大変重要でございます。
 このため京都府では、「府民だより」6月号に特集を組み、これらの変更内容を解説するとともに、ホームページ、広報ラジオ番組、防災ツイッター等あらゆる媒体を活用して周知を図ってまいりました。
 あわせて、市町村からもホームページや市民新聞、チラシなどにより周知を図っているところであり、今後とも様々な工夫をしながら、逃げ遅れゼロを目指した取組を進めてまいります。
 避難行動の促進に向けた取組については、「災害時声掛け隊」の育成や水害時避難行動タイムラインの作成促進に引き続き取り組むとともに、災害時の避難行動をプッシュ型で通知するアプリの開発について民間企業と連携・協力して進めており、8月末から提供を開始したところでございます。
 今後は、垂直避難等の目安となる居住地の高さ情報なども含めた、きめ細やかな避難関連情報をスマートフォンで確認でき、さらには立ち退き避難の際、危険箇所を避けた安全な避難経路を誘導する情報ツールを構築するため、防災プラットフォームを設置し、民間のノウハウを活用しながら検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、避難先の確保についてであります。
 コロナ禍にあってもちゅうちょなく避難していただくためには、避難先のさらなる確保が必要であり、6月臨時会で御議決いただいた補正予算により、緊急時に車中泊避難に係る場所と夜間照明や仮設トイレなどの資機材を確保することとしており、現在、対象地の施設管理者等と具体的な協議を進めているところでございます。
 さらに、災害の規模によっては、同一市町村内での避難先の確保が困難な場合を想定し、市町村を超える広域避難体制を構築するための避難情報の収集や分析なども併せて進めております。
 次に、今後の危機管理体制確保の取組についてであります。
 現在、危機管理体制の中心となる危機管理センターの整備に取り組んでおり、昨年度までに設置場所や必要機能・規模等の検討を終え、現在、具体的な設備の配置や執務室のレイアウトなどについて基本設計を行っているところでございます。
 この危機管理センターは、新しい総合防災情報システムにより、気象情報や災害情報などを一元的に集約させ、事態に応じた的確な意思決定を行えるようにするほか、京都大学と開発を進める水位・氾濫予測システムの活用により、きめ細やかな避難情報の提供につなげるなど、市町村も含めた危機管理体制の強化を図ってまいりたいと考えております。

◯議長(菅谷寛志君) 平井斉己君。
   〔平井斉己君登壇〕

◯平井斉己君 御答弁いただきました。
 特に府立大学の体育館ですけれども、3大学の共同利用は非常にすばらしいことですし、高規格なものもすばらしいことです。御報告いただきましたように、一定これまでの学生の使用が支障にならないように、そこは十分調整をいただきたいと思います。
 同時に、府民に開かれる施設にもなるということと同時に、もし災害が起きた場合の体制についても十分御検討いただきたいと思います。何が起こるか分かりません。原稿も1枚飛ぶようなこともあり得るかも分かりませんので、今後ともしっかり体制を整えていきたいと思います。
 それでは最後に、学校教育における外部との連携・協働についてお伺いいたします。
 社会の変化がこれまでよりますます大きくなる中、将来を担う子どもたちを取り巻く環境も大きく変化をしています。子どもたちに求められる資質・能力は、単に多くの知識・技能を持っているというだけではなく、予測困難な将来を見据え、思考力、表現力、学習に向かう力、さらには人間性といったものを併せ持つ必要があり、各学校においては、子どもたちのこうした資質・能力を育むため、日々努力されているところです。
 また、学校が抱える課題もこればかりではなく、いじめや不登校、児童虐待といった学校だけでは解決が困難なものも見受けられるとともに、さらに新型コロナウイルス感染症の感染拡大も学校現場に大きな影響を与えています。2学期が始まって1か月近くがたち、部活動の制限や文化祭、体育祭などの学校行事の縮小・延期など、様々な感染対策が行われております。
 昨年の春に全国で実施された学校の一斉臨時休業措置を通して私たちが再認識したのは、学校の役割とは、子どもたちへの学習機会の提供と学力保障だけではないということです。子どもたちの全人的な発達、成長を保障し、身体的・精神的な健康の保障、安心・安全につながる居場所、セーフティネットを提供するということも、学校の大切な役割だということです。当たり前のように存在した学校に通えない状況が長く続き、学校がどれだけ大きな存在であったかを改めて認識することとなりました。
 その一方で、昨今の状況から見ますと、本来であれば家庭や地域でなすべきことの多くは学校に委ねられ、学校や教職員が担うことが大きくなっているという現実があります。この間、教職員の過大な負担や業務過多が社会問題となり、働き方改革の推進が叫ばれるようになりましたが、昨年来コロナ禍において、学校現場では学びを止めることなく、感染対策をしっかり徹底することで、子どもたちが安心・安全に学校生活を送ることができるよう努力されております。この間の特殊な状況の下では、働き方改革の成果はなかなか見えないかも分かりませんが、とはいえ、コロナの収束後は、教職員の働き方改革がより実効性のある形で進められることを望みます。
 ところで、昨年の決算特別委員会総括質疑において我が会派の小原議員は、家庭、地域、学校、行政がそれぞれ役割分担し連携を強化していくことが、教育環境の向上につながるのではないかと質問し、教育長からは、1、予測困難な社会となる中、将来求められる資質・能力の育成に向けた他者との協働的な学びの実現のほか、いじめや不登校、児童虐待など、学校だけでは困難な課題がある。2、教職員の働き方改革が進む中、学校と地域の連携を一層深めることが求められるなど、子どもや学校の現状を目指す姿を地域、NPOなど関係機関と共有し一体となって取り組むことが重要であるとの答弁がございました。
 学校が様々な課題に対応しながら働き方改革を進めるためには、従来のように学校が持つ資源だけで対処するには限界があります。子どもたちの教育は、学校だけが担うものではなく、家庭や地域、NPO法人など多様な主体が関わり相互に連携・協働することで、学校の負担を軽減するだけではなく、子どもたちに予測困難な将来に堂々と渡り合える力を育むことも含め、様々な教育効果が期待できるものと考えます。
 そこでお伺いいたします。
 この間、府内の学校では学校と地域、NPOなど学校外で活動されている団体との協働教育が行われていると思います。具体的にどのような分野でどのような活動をしているかを把握されているのか、お答えください。
 こうした学校外で活動されている団体と協働した取組は、一部の学校にとどまるのではなく多くの学校で進めていくことが重要です。
 府教育委員会では、今年度中に全ての府立学校でコミュニティ・スクールを導入する取組を進められていると伺っております。大いに評価するものですが、学校外で活動されている団体と協働した教育活動をさらに推進するためには、併せて、地域やNPOなどがこうした活動に容易に参画できるための環境づくりが必要です。
 併せてお伺いいたします。
 こうした環境づくりを学校が行うためには、府教育委員会が率先して、多くの地域やNPOなどが様々な教育活動に参画できる仕組みづくりを行うとともに、教育活動を行うNPOなどの主体の育成、そして活動への支援が必要です。そのために、今年度当初予算におきましては、「地域交響プロジェクト交付金」の重点課題対応プログラムに、新たに協働教育の分野が追加されていますが、その進捗状況、そしてどのようなNPOなどを支援されようとしているのか、御所見をお伺いいたします。

◯議長(菅谷寛志君) 橋本教育長。
   〔教育長橋本幸三君登壇〕

◯教育長(橋本幸三君) 平井議員の御質問にお答えいたします。
 学校教育における外部との連携・協働についてでございます。
 議員御指摘のように、子どもたちの教育は学校だけが担うものではなく、予測困難な社会となる中で家庭や地域、NPO等と連携・協働し、未来のつくり手となるために必要な資質・能力の育成に向けて一体となって子どもたちの成長を支えていくことが必要であります。
 そのため、学校運営協議会を設置し、保護者や地域の皆さんの声を学校運営に生かしていくコミュニティ・スクールの導入を促進しており、京都府内の小・中学校における設置校数は、この4年間で約3倍となる見込みです。
 こうした取組が進んでいる地域では、地域住民等が教育活動や地域づくりに資する活動に積極的に参画しており、学校での教育活動や地域での体験活動等が盛んに行われているところです。例えば学習の分野では、地域の方が講師となって地元の風習や昔の遊びを知る郷土学習、また英語検定を受検する生徒への放課後における学習支援などが行われております。
 さらに、体験活動の分野では、地元企業における職業体験や農業体験等が実施されており、借りた畑で収穫した作物を子どもたちが地域の方に振る舞ったり、地域の祭りに子どもたちが参加するなどの活動が行われております。このほか、地域の方と子どもたちとが協働して行われる避難訓練や校内の花壇の整備、PTAと連携した学校及び通学路の清掃活動等が行われ、学校行事を地域の方が見に来られる機会が増えてきており、相互の交流が深まっております。
 今後とも、子どもたちが地域の中で育まれる環境づくりを推進するため、こうした取組をコミュニティ・スクールの手引や研修会を通じて発信するなど、各学校でのさらなる取組の充実につなげてまいります。
 次に「地域交響プロジェクト」についてでございますが、地域団体が地域住民等と協働して教育の課題を地域の力で解決するため、今年度から新たに重点課題対応プログラムに「協働教育」を設けたところでございます。
 この協働教育は、地域で様々な学習活動や体験活動等を実施しているNPOやスポーツ団体等に対して直接支援することとしており、問合せのあった団体には職員が直接出向いて事業内容を説明するなど、丁寧な対応に努めてまいりました。
 ICTを活用したプログラミング学習を計画したNPO、バドミントンや卓球バレー等のスポーツ活動を主体に黒大豆の農業体験も取り入れた活動を計画したスポーツ団体、学校や区長会、民生児童委員などと連携して山登りや餅つき、しめ縄づくり等の体験活動を計画した団体など26団体から申請があり、学識経験者等で構成する意見聴取会での意見も参考にし、全ての団体に交付決定をしたところでございます。
 さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により事業規模を縮小して実施している団体を支援するため、対象経費の下限額を緩和し、10月1日から11月1日まで追加募集をすることとしております。
 こうした活動は、地域創生にもつながるものと考えており、府教育委員会といたしましては、引き続き、学校や家庭、地域、NPO等との連携を強化しながら、子どもたちが次代の社会の担い手となれるよう取組を一層推進してまいります。

◯議長(菅谷寛志君) 平井斉己君。
   〔平井斉己君登壇〕

◯平井斉己君 特に私が注目したいと思っている協働教育の分野でありますけれども、もちろん本来は学校がしっかり子どもたちを支えていく、そしてそれを育むということが大切であります。ただ、昨今の地域を支えるということは、地域の皆さんも、あるいはその周辺の皆さんも何か関わりたい、子どもたちを自分たちと同じような形で育てていきたいという思いもあるので、ここの連携を学校が伝えていく。一方で地域活動ですから学校は侵してはならないんですけれども、ただ、やはり学校としても求める思いも伝えていくことも重要かと思います。
 このあたりはこの「地域交響プロジェクト交付金」というのは重要なことだと思いますので、活用していただいて、お互いが成長しあうような仕組みづくりをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)