1.新型コロナウイルス感染症対策について
2.令和4年度予算編成における歳入確保と事業見直しについて
3.テレワークの推進と地域創生について
4.文化の力と地域創生について
5.公共交通機関の維持確保について
6.自治体デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進について
7.その他
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◯議長(菅谷寛志君) 休憩前に引き続き会議を行います。
次に、山本篤志君に発言を許します。山本篤志君。
〔山本篤志君登壇〕(拍手)
◯山本篤志君 府民クラブ京都府議会議員団の山本篤志でございます。このたびは歴史と伝統ある京都府府議会におきまして初めての代表質問の機会を与えていただき、心から感謝申し上げます。
それでは、会派を代表いたしまして、先に通告いたしております数点について、知事並びに関係理事者に質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
質問に先立ちまして、議長のお許しをいただき一言申し上げます。
新型コロナウイルス感染症により無念にもお亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、現在治療中の皆様の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。
また、ウイルスとの闘いも1年半を超える長きものとなり、本府においてもいまだ4度目の緊急事態宣言下の真っただ中という非常事態の状況にありますが、この間、府民の皆様の命と健康を守るため最前線で昼夜分かたず御奮闘いただいております医療・介護従事者の皆様、そして今では子どもたちを感染から守るため教育関係者、保育関係者の皆様、保護者の皆様、そして外出自粛や休業・時短要請などに御協力いただいている府民の皆様、事業者の皆様など、御尽力いただいております全ての皆様に心より感謝申し上げます。
次に、今定例会に提出されております9月補正予算案について申し上げます。
今回の補正予算案は、8月20日から4度目の緊急事態措置が実施される中、宿泊事業者や仲卸業者をはじめ、厳しい状況にある事業者への支援や、さきの8月の長雨等により大きな影響を受けた農業者への支援を講じるなど、現下の課題に対応した時宜にかなった対策となっており、会派を代表して高く評価いたします。
西脇知事におかれましては、今回の緊急事態宣言に当たりましても、本補正予算案のみならず、さきの8月臨時議会における対策や、今定例会における冒頭議決による対策など、求められる課題を的確に捉え、時期を逸することなく補正予算案を矢継ぎ早に編成し、これまでと同様に切れ目のない実にきめ細やかな対策を講じていただいております。その手腕を高く評価いたしますとともに、この間の絶え間ない御努力・御尽力に心から感謝申し上げる次第であります。我々府民クラブ京都府議会議員団も、知事とともにこの危機を乗り越えるため、引き続き全力を尽くしていくことをお誓い申し上げまして、質問に入らせていただきます。
まず初めに、新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いいたします。
2019年12月8日中国湖北省武漢市で発生した肺炎の集団発症が最初の新型コロナウイルス感染症だと言われておりますが、その後、新型コロナウイルスの感染は全世界に広がり、厚労省の資料によると9月20日現在で190を超える国・地域で感染が報告、世界の感染者の累計は2億2,850万人を超える皆様、お亡くなりになった方は469.1万人と報道され、日本国内では9月20日現在、感染者の累計は167万6,711人、お亡くなりになられた方は1万7,204人となっております。そして、日本国内での感染が拡大されてから1年と8か月が経過した本年8月には、全国で1日の感染者が2万人を超えるなど最大の感染拡大にさらされ、多くの皆様が苦しみに耐える事態となっております。
プロジェクトを進める上では、まず計画を立てます。計画には、いつまでに、どのような成果を上げるのかを目標設定し、目標達成に必要となる作業は何か、どのような体制で臨むのか、どのようなリスクが予測され、回避するためにはどう対応するのか、確実に遂行する進捗管理のチェックポイントなどを立ててまいります。
そして、プロジェクトを進めていく間、計画段階で予測できなかったこと、想定どおりの結果に至らなかったことが発生した際には、立ち止まって検証し、見直し、改善、軌道修正しながら、再び目標に向かって進めていく。P(計画)、D(実行)、C(チェック)、A(行動)のPDCAサイクルによって確実に目標に向かって進めていくものであります。
そこで、新型コロナウイルス感染症の対策についても、目標は新型コロナウイルスの克服であり、誰もが安心して生活ができる社会にすること、そのためにはどのような対策が必要で、その対策はいつ行うのか、誰を対象に誰が行うのか、予測できない事態には検証して見直し改善を行っていく、一般的なプロジェクトと同様にPDCAが必要だと考えるところであります。プロジェクトの成功は「計画」で決まることからも、しっかりとした「計画」が必要だと考えます。
昨年1年間を振り返りますと、国内で初めて感染が確認された途端に店頭からマスク、消毒液が消え、医療資材の不足でレインコートを防疫服として使用する光景などが報道されました。
感染が報道されれば、ひどい差別が発生することもありました。学校の一斉休業、子どもたちは約3か月間学校に行けず、子どもたちが心配で仕事を休職したり、仕事を辞めざるを得なくなった保護者も見られました。
そして、初めての緊急事態宣言の発出です。「3密回避」「ステイホーム」を合言葉に、「不要不急の外出自粛」「仕事7割をテレワークで」と、鉄道やバスなどの公共交通機関から人が消え、多くの人が集まった繁華街では、まるでゴーストタウンのような光景が見られ、住宅街でも子どもたちが外に出るだけで、「なぜ外に出ているんだ」と罵声を浴びせられることも発生しました。
経済活動の停止により、店舗の休業・廃業、従業員は再就職先が見つからない、国内・インバウンド観光客が来ないことにより宿泊業・観光業が一気に衰退することにもなりました。このほかにも言い切れないほどの多くの人生を狂わす大きな事態が発生したのです。
その後、感染は収束したようにも見えましたが、GoToトラベル、GoToイートといったキャンペーン等で止まっていた経済や人の流れが一気に活発化、感染が再拡大、医療崩壊が叫ばれ、再び緊急事態宣言発出に至ったことを鮮明に記憶しております。
今年に入っては、新型コロナウイルス感染拡大防止に係る協力金の要請から明らかのように、昨年12月21日からの時短要請は本年9月時点でもいまだ続いており、この間、要請がなかったのは3月22日から4月4日の間のみであり、緊急事態措置が3回、まん延防止等重点措置が3回実施されています。
私たちはこれだけの多くの出来事を経験したにもかかわらず、今、これまでで最大の危機に瀕しています。これは、国としてしっかりとした計画を出せなかったこと、国民に知らせることができなかったのが大きな要因ではないかと考えています。学者の先生が感染状況を予測し、感染拡大防止のためにどのような対策を行えば効果的か、ワクチン接種の効果も証明され早期のワクチン接種を進める、また治療薬・改善薬開発も進むなど様々な情報にこれまでの経験を加味し、時系列に並べれば新型コロナウイルス感染症収束までの行程表(ロードマップ)ができるのではないかと考えます。
ロードマップがあれば様々な対策・施策を講じることができる、国民・府民の皆様と情報や行動の共有ができれば誰もが見通しが立つ、不安はあっても行動が取れるのではないかと考えます。本年3月予算特別委員会でロードマップの作成をお願いいたしましたが、先の予測が困難なため作成は難しいとの回答でした。デルタ株による感染拡大、ワクチン供給不足による混乱などは予測できなかったかもしれませんが、収束に向かう取組を行っているのですから、今からでも新型コロナウイルス感染症克服までのロードマップを作成し、国民、府民の皆さんとの共有が必要であると考えます。
一方で、感染が縮小傾向にあるものの、いまだ緊急事態措置が継続され、感染再拡大と医療体制の逼迫を懸念する声も多いと思います。守られない命の危険性があるからです。8月の関西広域連合新型コロナウイルス感染症対策本部会議で西脇知事の「本当の意味で人の流れを止める、現行法制化でもできる措置を全国知事会等を通じて、ぜひとも国にも強く求めていくべきではないかと考えております」との発言は、府民の皆さんの命と生活を守るための最大限のメッセージであったと受け止めております。
そこでお伺いいたします。
感染拡大防止対策と両立させながら新型コロナウイルス感染症を少しでも早く、そして確実に克服させていくためにも、行程表(ロードマップ)の必要性と府民の皆さんと情報共有することの有効性について御所見をお尋ねいたします。
次に、ワクチン接種の見通しについてお伺いいたします。
新型コロナウイルス感染症の感染防止・拡大防止のためにワクチン接種が計画され、医療従事者、御高齢の皆様への接種が進んでまいりました。当初は、各自治体が接種計画の作成、接種のための会場や医療従事者の確保、住民に対する接種案内、接種予約の手配などで忙殺され、いざ接種の予約を開始した際には、電話がつながらない、ネットがつながらない、つながってもすぐに受付が終了するなど大混乱が生じましたが、おおむね7月末までに接種を希望される高齢者の皆様の接種が完了し、その後、感染拡大の第4波、第5波においてもワクチン接種をされた方の死亡率・重症化率が大幅に低下したことはワクチン接種に関わる全ての皆様が御尽力くださった結果であり、心から感謝申し上げるところでございます。
しかし、高齢者の皆さんへの接種以降、かかりつけ医での個別接種、職場での職域接種、自治体での集団接種と接種の機会が広がりましたが、早々に接種が済んだ方もおられる中で、接種を希望してもどこで接種すればいいのか、職域接種がなく集団接種を希望するも土日が仕事で接種に行けない、また接種会場が遠くて行くことができない方も多くおられます。
また、多くの自治体では年齢の高い方から順番に接種対象が拡大されており、若年層にはなかなか順番が回ってこず、自分たちはいつ接種ができるのかと不安に感じる方も多くおられます。
そこでお伺いいたします。
ワクチン接種に関して実施主体は市町村であることは理解しておりますが、京都府としても接種を希望する方が一日でも早く接種が終えられるよう、しっかりと汗を流していく必要があると考えます。京都府として府民の皆さんが早期に接種を完了できるよう、どのように取組を進めていくお考えなのか、御所見をお伺いいたします。
次に、若年層へのワクチン接種についてお尋ねいたします。
若年層がワクチン接種を希望しない割合について、東京都が7月に行った調査では2割弱が接種を希望しないと報道されていました。希望しない方では、SNS等での誤った情報からの判断もあるかと思います。しかし、50年後のことを保障できるのかといった、そのような意見も正しいのではないかと考えます。しかし、ワクチン接種の目的と効果、副反応、接種機会等に関する正しい情報を若年層の皆さん、10代の皆さんには保護者の皆さんにもしっかり伝えて判断いただく必要があると考えます。
そこでお伺いいたします。
本府として若年層に対するワクチン接種の効果をどのように考え、また若者に対する正しいワクチンの情報伝達についてどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。
さらに、接種を希望する若年層のワクチン接種が円滑に進むよう、本府として取組を進めるべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。
次に、令和4年度予算編成における歳入確保と事業見直しについてお伺いいたします。
令和3年度予算は、開会中の9月定例会に現在88億2,000万円の増額補正が提案されており、補正予算が成立した場合には、今定例会の冒頭で議決したものを含めますと1兆3,116億3,600万円にも上り、本府としても歳入歳出ともに過去最大の額となります。
この要因としては、新型コロナウイルス感染症対策のための地方創生臨時交付金や緊急包括支援交付金の収入と、それらを財源とした事業支出が大きく膨らんでいるためと考えるところでございますが、自治体の基礎体力部分である地方税収入は、令和3年度の当初予算ベースでは前年度比で減収になると見込まれており、地方税収入が減収した場合に財源保障の機能を担う普通交付税と臨時財政対策債の合計額は、本年度、京都府で前年度比24.4%の増と報道されておりました。
令和4年度の府税収入の動向を現時点で正確に見通すことはできませんが、度重なる緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置の発出に伴う地域経済への影響から推測いたしますと、引き続き厳しい状況を想定しなければならないと考えているところでございます。
令和4年度がスタートする段階で、新型コロナウイルス感染症拡大防止に引き続き総力を挙げて取り組んでいくのか、それとも感染拡大が抑えられWITHコロナ・POSTコロナの取組に重点を置いているのか現時点では予測できませんが、引き続き感染拡大防止に取り組んでいかなければならず、かつ府民の皆さんの暮らしの復興・回復にもしっかりと取り組んでいかなければならないと考えるところでございます。
そこで、まず令和4年度に向けた歳入確保について御見解をお伺いいたします。
新型コロナウイルスの影響で傷ついた地域経済や住民生活を立て直すことは、従来の行政需要を超える取組であり、国費による確実な措置をはじめとした別枠での財源措置が必要と考えます。本府から国への政策提案の中では、「地方創生臨時交付金について、感染症対策はもとより、雇用・経済対策や地域の実情に応じた独自の対応を実施できるよう」とございます。また、「感染収束後は経済活動の回復と再構築を図りながら、まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき、東京一極集中の是正や少子化対策を強力に推進するため、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金と同様の交付金を創設するとともに、地域経済や住民生活を支援する観点から柔軟な運用を可能としていただきたい」とも要望されております。
また、地方交付税を含む一般財源の総額確保に向けては、保健所機能の強化をはじめとする感染症対策や、POSTコロナ社会を見据えた地方創生に取り組めるよう、令和4年度以降も地方単独事業も含め、必要となる歳出を適切に把握した上で地方財政計画に計上するよう要望されておりますが、このような財源確保の実現に向け、今後どのように国に働きかけていくお考えなのか、知事の御所見をお伺いいたします。
また、国の働きかけのみならず、本府の基幹収入である府政収入の確保に向けた取組も重要となります。先行きが見通せない中ではありますが、府税収入の増収に向け今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、令和4年度以降の事業の見直しについてお伺いいたします。
新型コロナウイルス感染症により、予定した事業を中止せざるを得ないもの、執行できない事業・予算も発生しているかと存じますが、コロナ前には戻れない、内容や目的を変更しなければならない事業も多数存在するのではないかと考えるところです。そして、新しく取り組まなければならない事業も必ず発生いたしますし、府単費ででも実施しなければならない事業も必ず出てくると考えます。また、デジタル庁の発足、自治体DX推進計画の目的の一つである行政の効率化もうたわれておりますので、ゼロベースでの見直しも必要になるのではないかと考えております。
そこでお伺いいたします。
過去10年間の本府の経常収支比率は、おおむね95%で推移しており、経常的な収入と支出の差額は令和元年度で約233億円となっております。平成31年3月に策定された行財政改革プランに基づく取組など、これまでから積極的に行財政改革に取り組んでいただいておりますが、この未曽有の危機を乗り越えるとともに、誰もが安心して暮らせる社会の実現に向け、知事がさらに力強く事業を実施するためには、先ほど申し上げた税収の確保とともに、大胆な事業の見直しにより自由度の高い財源をしっかり確保していくことが重要であると考えます。知事の御所見をお聞かせください。
以上、ここまで知事の御答弁をお願いいたします。
◯議長(菅谷寛志君) 西脇知事。
〔知事西脇隆俊君登壇〕
◯知事(西脇隆俊君) 山本議員の御質問にお答えいたします。
山本議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして今回の補正予算案に対しまして高い評価をいただき、厚く御礼を申し上げます。
新型コロナウイルス感染症を早く確実に克服するためのロードマップについてでございます。
京都府では、新型コロナウイルス発生当初から府民の命と健康を守るため、医師が常駐する入院医療コントロールセンターを府庁内に設置し、保健所や市町村、医療機関とも連携をしながら、陽性が判明した患者の症状や重症化リスク等に応じた入院、宿泊施設療養、自宅療養の調整、感染症の増加に対応した受入病床の確保、宿泊療養施設の整備・拡充、入院待機ステーションの設置、自宅療養者の健康観察の強化や医療機関との連携による訪問診療など、医療提供体制の確保に取り組んでまいりました。
また、京都府保健環境研究所と京都市衛生環境研究所による共同の検査体制を整備したほか、発熱等の相談に対応する、きょうと新型コロナ医療相談センターの設置など、検査・相談体制の充実にも努めてきたところでございます。
医療提供体制の確保とともに重要なことは、感染者の拡大を抑制することであり、この間、感染状況に応じて新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態措置やまん延防止等重点措置、京都府独自の措置を行い、不要不急の外出自粛、施設の休止、営業時間の短縮などを府民・事業者の皆様に要請してきたところでございます。本日時点におきましても、4回目の緊急事態措置を実施しておりますが、昨年12月21日以降、措置の内容に差はあるものの、行動制限などの要請を続けていることから、いわゆる「制限疲れ」といったことも指摘されており、府民の皆様や事業者の皆様はコロナ禍以前の日常生活を早く取り戻したいとの思いを強くお持ちであると感じているところでございます。
こうした中、ワクチン接種や中和抗体薬による治療法の普及などを踏まえ、国におきましては去る9月9日の政府対策本部におきまして、感染対策と日常生活の回復に向けた取組を両立することが可能となる方向性として、「ワクチン接種が進む中における日常生活の回復に向けた考え方」が示されたところでございます。
国がこうした考え方を示したことにより、行動制限への協力がより得やすくなるとともに、ワクチン接種率のさらなる向上も期待できるところではございますが、一方で、感染対策の緩みにつながってはいけないとも考えております。
政府におきましては、どのような形で社会経済活動を回復させていくかなどにつきましてエビデンスを示していただき、国民的な議論を踏まえた上で慎重に検討していただきたいと考えております。
現在、京都府では新規感染者数は減少局面ではありますが、いまだ高い水準にあります。11月の早い段階で希望者全員のワクチン接種を終えれば、徐々に日常生活が戻ることとなると考えておりますが、今後、一般にウイルスの活動が活発化すると言われる冬季を迎え、年末年始は人の流れが増加することも想定されるなど、感染の再拡大も懸念される状況でございます。また、新たな変異株の発生も危惧されるところでございます。
そうした点を考えますと、再び感染拡大の兆しが見えれば、人と人との接触を減らすなど、短期間で効果のある措置をお願いし、感染を収める努力が必要と考えております。今後ワクチン接種が広く国民に行き渡り、経口薬等の治療薬の開発・普及のめどが立つまでにはまだ時間を要すると言われておりまして、引き続き、正しいマスクの着用や手洗いなどの基本的な対策につきまして、府民や事業者の皆様の御協力が不可欠でございます。
京都府では、府民や事業者の皆様にこれら基本的な感染対策から、営業時間短縮等の制約に至る様々な要請を行ってまいりました。こうした制約は、府民・事業者の皆様の御理解の下、効果を発揮するものでございます。府民・事業者の皆様にこうした対策の御理解を得るためにも、感染状況や病床の状況、ワクチンの接種状況などの情報提供に加えまして、最新の治療方法や医薬品の状況なども正確にお伝えすることが大切であると考えております。そして、府民・事業者の皆様と行動制限などの必要性を共有することが感染防止対策を着実に進めていくためには必要だと考えております。今後とも、一日も早く日常生活を回復できるように、感染防止対策と社会経済活動の両立を図るための取組を進めてまいりますので、皆様の御理解と御協力をよろしくお願いしたいと思っております。
次に、ワクチン接種についてでございます。
ワクチンは、新型コロナウイルス感染症の発症や重症化を予防する高い効果があるとされており、11月の早い段階で希望する全ての方々がワクチン接種を受けられるよう接種事業を進めているところでございます。京都府といたしましても、市町村が進めているワクチン接種を支援するため、本定例会開会日に御議決いただいた予算によりまして、京都駅前の接種会場を11月末まで延長するとともに、医療機関の協力を得てモデルナワクチンの接種会場を追加したところでございます。また、希望する住民への接種が完了した市町村の残余ワクチンを必要な市町村に移送するためのワクチン融通拠点を設置し、京都府の調整の下、市町村間のワクチンの融通を行っているところでございます。このような接種機会の創出や効率的な配分により、希望する全ての方々へのワクチン接種が早期に完了できるよう、京都府としても取組を進めてまいりたいと考えております。
若年層へのワクチン接種の促進についてでございます。
今回の第5波において、感染者の半数以上を占める10代から30代までの若年層へのワクチン接種を進めることで、今後の感染拡大の防止につながることが期待されております。このため、今後、延長・追加する京都府のワクチン接種会場では、接種対象を40歳以上から16歳以上に拡大し、若年層の接種機会を拡大することとしております。また、議員御指摘のように、若年層には、他の年齢層に比べ接種を希望しない割合が高いとの調査結果もあることから、大学等を通じて学生に対し新型コロナワクチンの正しい理解を促すとともに、若い世代向けのYouTube広告やSNS等での啓発動画の発信といった様々な広報媒体でワクチンについての正確な情報を発信するなど、受け手に応じた広報戦略の下、ワクチン接種率の向上に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。
次に、今後の財源確保に向けた国への要望についてでございます。
地方公共団体が地域の実情に応じて感染症対策や、POSTコロナを見据えた地方創生を推進していくためには、より一層の国庫補助制度の充実とともに、地方一般財源総額の充実・確保が欠かせないものだと考えております。このため、議員御紹介のとおり京都府といたしましても政策提案等を行いますとともに、全国知事会の緊急提言や関係大臣との度重なる意見交換、関西広域連合の緊急提言を通じて、かねてから財源確保を強く要望してきたところでございます。
これまでの国の対応といたしましては、補正予算により新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金が創設し拡充されますとともに、デジタル化や保健所体制の強化などに必要となる地方一般財源の総額が確保されるなど、一定の成果があったところでございます。また、8月末には各省庁の令和4年度概算要求が示され、国の予算編成に向けた議論が本格化していくところでございます。今後とも、府民の命や暮らしを守るための財源がしっかりと確保されるよう、全国知事会の提言等も含め、あらゆる機会を通じて国に働きかけてまいりたいと考えております。
次に、今後の税収確保に向けた取組についてでございます。
新型コロナウイルス感染症の拡大の状況や、それが内外経済に与える影響が不透明な中、今後の税収を確保するには、まずはこの感染症を一日も早く収束させ、元の経済活動を取り戻すことが重要でございます。そのため危機克服会議の議論を踏まえ、新たな事業に取り組む企業グループ等が実施する新たな販路開拓、生産性向上等の取組を支援しているほか、今議会においても最低賃金の引上げ等により大きな影響を受ける事業者等に対し新たな事業展開を後押しする予算を提案しているところでございます。こうした取組を通じ府内企業の経済活動の活性化を図り、府税収入の回復につなげますとともに、納期内納付の促進や、京都地方税機構と連携した徴収率の向上などを通じて税収確保に努めてまいりたいと考えております。
次に、コロナ禍を踏まえた事業の見直しについてでございます。
新型コロナウイルス感染症への対応をはじめ、新たな行政課題に対する施策や、総合計画に掲げた将来像の実現に向けた施策を力強く推進していくためにも、議員も御指摘のとおり、その裏づけとなる財源の確保は欠かせないものと考えております。
令和3年度当初予算の編成に当たりましても、国庫を最大限活用するとともに行財政改革プランに基づく人件費の削減や府民ニーズに即した事業の見直しなどに加えまして、全ての事業についてWITHコロナ・POSTコロナ社会にふさわしいかを検証し、3密の回避や新しい生活様式の実践が困難と判断した府主催事業等を休止または廃止するなど、思い切った見直しを行い約75億円の行財政改革に取り組んだところでございます。
こうした財源捻出の取組に加えまして、今後の行財政改革に当たりましては、デジタル技術等を活用したさらなる行政サービスの効率化も必要だと考えております。9月1日にはデジタル庁が発足し、国、地方を通じた行政サービスのデジタル化の動きが本格的に始動いたしましたが、京都府といたしましても、これまでの行政サービスの手法を抜本的に見直すなど、府民サービスの向上の観点からも、さらなる事業の見直しに努めてまいりたいと考えております。
今後とも、国庫のさらなる獲得や、不断の事業見直しによる財源確保に努め、感染症対策に万全を期すとともに、POSTコロナ社会を見据えた京都の未来づくりを着実に進めてまいりたいと考えております。
◯議長(菅谷寛志君) 山本篤志君。
〔山本篤志君登壇〕
◯山本篤志君 御答弁ありがとうございます。これまで質問させていただいたこと全てに共通することでございますが、やはり新型コロナウイルス感染症により多くの皆さんが不安、また恐怖に感じたことだと思います。そして、私たちが今やらなければならないことというのは、その不安や恐怖を安心・安全に変えることだと思っております。そのためにも本府の役割というのは非常に大きいわけでございます。無念にも亡くなられた方の思いも込めて、一刻も早く感染が収束するよう、そして社会生活が再び取り戻されるよう、本当に全力をもって取組をお願いするところでございます。では、次の質問に移らせていただきます。
次に、テレワークの推進と地域創生についてお伺いいたします。
「テレワーク」という言葉は、昨年4月、緊急事態宣言が発出された際、「不要不急の外出自粛」「仕事の7割をテレワークで」という旨の呼びかけが行われてから初めてお知りになった方も多いかと思いますが、このテレワークは新型コロナウイルス感染対策のために出てきたものではなく「企業の収益性確保」「生産性の向上」「働き方改革」の視点で検討され、大企業では会社組織の大改革として約3年ほど前から取組が始まっておりました。ちょうどその大改革が完成するのと時を同じくして発生したコロナ感染により、誰もが知る言葉となりました。
組織の大改革、特に出社することなく自宅やサテライトオフィスで仕事ができる、紙の書類を使わず全て電子書類でやりとりする、会議もオンラインで出張もなし、これらは従来の社会慣習から見ても考えられないぐらい大きな改革であり、最大の難関は経営層のみならず、従業員一人一人の理解・納得が得られるかという意識改革で、業務・作業の一つ一つを分解し再構築する作業を行ってこそテレワークが実施できるもので、長い取組が必要であったものなのでございます。
テレワークの大きな目的の一つが働き方改革でありまして、例えば、今まで小さいお子さんをお持ちで、時間に融通が利かず通勤が困難なお母さんや、障害をお持ちで通勤できない方も自宅で仕事ができるようになりました。また、会社に出社する必要がなくなれば、居住場所も仕事を意識することなく自らや家族が住みたいところに住めることになります。
本年9月3日、内閣府が発表された「地域の経済2020-2021」では、2022年卒業予定の大学生・大学院生の57%がテレワークなどが進み働く場所が自由に決められる場合には「地方に住みたい」と回答しており、関東都市圏の20代の約52%、30代の約46%が「移住に関心がある」と回答されておりますので、テレワークが移住、さらには地域創生の大きな力となることが明らかとなりました。
昨年9月には、京都府テレワーク推進センターが開設されましたが、スタート当初、相談件数が数百件と関心の高さが目立ったものの、相談内容はワードの使い方やネットワークの配線が分からないなど、テレワークの本質とは程遠い内容も見受けられて、改めて取組を進める難しさを感じたものでありましたが、1年が過ぎ、京都府テレワーク推進センターのホームページで相談・導入実績を見たところ、本質的なテレワークの実施につながっているのを確認し、私もうれしくなったところです。
特に、本格的なテレワークにはかなりの高額なコンサルタント費用が必要となるため、中小企業では踏み出せないところもありますが、京都府テレワーク推進センターでは相談も無料、テレワークの実施に当たっては補助金申請の支援も併せて受けられることから、本事業は非常に効果的で、さらに拡大すべきであると考えます。
そこでお伺いいたします。
テレワーク推進実現には根気が必要であり、継続した息の長い取組が必要であると考えますが、経済活動の大改革により無限の可能性を秘めた取組だと考えております。テレワーク推進によってもたらされる地域の未来の可能性、とりわけ地域創生の進展に対する御所見をお伺いいたします。
さらに、内閣府の調査結果にもあるように、都市部から地方に住みたいという考えを持つ若者が多く存在することから、テレワークを実施している企業の紹介や地域のアピールを行い、確実にニーズにつなげる必要があります。企業の紹介や地域のアピール、また各地域での受入体制の構築も含めて、今後の地方移住の流れの加速をどのように推進されるのか、今定例会で全面改定される移住条例も踏まえて御所見をお願いいたします。
また、社会におけるテレワークの実現が進めば、従来は検討すらしてこなかった中小・小規模企業も取組を進めることが考えられ、今後も引き続きテレワーク推進事業の存在が必要になると考えますが、現在は国費である地方創生臨時交付金を活用したテレワーク推進センターについて、来年度以降の継続の見通しをどのようにお考えか、御所見をお願いいたします。
次に、文化の力と地方創生についてをお伺いいたします。
まず1つ目、子どもの頃の記憶の大切さでございます。
少し私ごとになりますが、私は現在50歳で、笠置町に生まれて、2歳頃に山城町に移り住んで現在に至りますが、高校では京都市内、仕事は八幡市で勤めていたことから、この京都府議会議員のお話をいただくまでは地元意識というのが湧いていなかったというのも正直なところでございます。
しかし、その前に約30年ぶりに山城町を歩くと、突然子どもの頃の記憶がよみがえってまいりました。子どもの頃遊んだ道や川、公園、小学校、中学校、友達の家、買い物をしたお店、お祭りがあった神社など、子どもの頃には大きいと感じた川が意外と小さかったり、変わらない場所、変わってしまった場所、本当にまるで子どもの頃に戻った感じがしておりました。記憶がよみがえると地元への愛着がふつふつと湧き上がり、この街が大好きな気持ちは誰にも負けないと思ってしまうほどでありました。
私の父は笠置町で生まれて、母は和束町で生まれました。親戚も南山城村、加茂町、木津町、精華町に住むなど、改めてこの地域への愛着があふれ出しております。
小学校の恩師に会ってこのお話をすると、「それがあなたの文化なんだよ」とおっしゃいました。「子どもの頃の記憶は絶対に忘れない。いつか必ず思い出すときが来る。その時には戻りたいという気持ちが湧き上がってくるんです。私たち教師は、子どもたちにどれだけ楽しい思い出や地元の思い出を残せるか、それが仕事なんです」と教えていただいたのでした。
木津川市や相楽郡には和束の茶畑、恭仁宮、椿井大塚山古墳など、歴史的・文化的にも豊かな地域でありますが、本府の各地域には有形・無形の文化財をはじめ、各地域にすばらしい文化が生活の中に根づいています。
そこでお伺いいたします。
人口減少の対策、そして地域創生の視点からも、地元を離れない、たとえ離れてもいつか戻ってきたい、そういう気持ちを育むことが非常に大切と考えます。そのためには、子どもの頃の記憶が重要であり、地域ぐるみの教育、特に小学校、中学校での取組が重要であると考えますが、本府の取組について御所見をお伺いいたします。
また、地元への愛着と自らの将来を見つけるためにも、府立高校の存在が重要であると考えます。府立高校の在り方ビジョンの検討の中でも、地元の特色を生かした府立高校とすることで、地元に住みたい、いつか戻っていきたいとの気持ちが高まるとの御意見があったと伺っております。地元への愛着を高めるための府立高校での取組について御所見をお伺いいたします。
次に、新興地区の文化・歴史再認識と新たな歴史づくりについてでございます。
木津川市、精華町、京田辺市にまたがる地域に関西文化学術研究都市(けいはんな)がありますが、街ができて約30年が経過します。先端技術の研究開発と斬新な風土に憧れて移り住まれた方が多く、当時は隣に誰が住んでいるか知らなくても便利な街なので生きていけると感じておられたそうです。しかし、時間を重ねた今、小さかった子どもたちは家を離れ、働き盛りであった方も退職を迎えて、病気になったとき、災害が発生したときは不安でたまらないと、今ではつながりを求める方がたくさんおられます。
街の開発に関わられた方から、最近、関西文化学術研究都市のまちびらきの頃の記憶がよみがえるとのことで、けいはんなプラザの前に噴水があり、けいはんな記念公園まで流れが続き、日時計はギネスに載るなど自慢の施設で自慢の街であったとお聞きしました。そして、最先端技術と日本人が培ってきた文化の力を融合し、人類社会の幸福を実現するとの学研都市の基本理念から文化的施設ができたものだと伺いました。
現在、噴水は止まり、水も流れず、雑草が生い茂り、日時計も万葉集のプレートもありますが案内もされておらず、けいはんなの歴史が忘れ去られた、我々の生きざままでも忘れ去られて消されてしまったように感じるともおっしゃっておられます。しかし、新しい街にもしっかりとした歴史があり、歴史はつないでいくもの、そして新しい歴史もつくりたいと、新しい文化の取組も検討されております。
そこでお伺いいたします。
関西文化学術研究都市のような新しい街にも、そこに住む人それぞれの生活があり、記憶があり、文化があり、歴史があります。関西文化学術研究都市におけるこれまでの文化や歴史の取組を生かし、今後の地域の力につなげることが非常に重要であると考えますが、本府として今後どのように関西文化学術研究都市の発展に取り組んでいくお考えなのか御所見をお願いいたします。
次に、ここまで地域創生に必要なこととして、新たに移り住む人への取組、そして、そこに生まれて住み続けたいという取組についてお伺いしてまいりましたが、次はその裏づけとして非常に重要な要素となる公共交通機関の維持・確保についてお伺いいたします。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から不要不急の外出自粛、テレワークによる職場出勤の7割削減等が求められ、公共交通機関の利用は大幅に減少し、各社の経営にも大きな影響を与えていることは周知の事実であるところでございます。事業経営の影響は公共交通機関に限らず、また国内外問わず、全ての産業に及んでおり、特に赤字経営となる部門については、規模の縮小や事業の廃止が行われるなど、経営継続のための対策が行われているものと認識しております。
公共交通機関はその言葉のとおり、誰もが自由に安全に妥当な運賃で移動できる手段として、各社はどのような環境に置かれても運行を継続する重要な責務を担っています。近年多発する自然災害の中で甚大な被害を受けた路線でも早期復旧に努め、人々の生活を支え、災害からの復興にも大きく寄与しております。さらに、街や地域の発展に対して大きな役割を担っており、そこに住む人たちの生活を営む上での重要な足であるとともに、観光客を運ぶためにも重要な役割を果たすなど、地域の暮らしやなりわいを支えていると言っても過言ではないと考えます。
事実、今回、新型コロナウイルス感染症に伴う利用者の減少等により、JR西日本などが減便を表明した際には、地域から悲鳴にも近い反応が聞かれたところであり、それだけ地域や住民の方から愛されて、また生活に欠かせない移動手段として認識されていると言えるものではないでしょうか。そのことは、国土交通省で重要な役割を担ってこられた西脇知事が誰よりも御理解くださっているものと信じているところであります。
しかし、利用者の減少、大幅な減収は公共交通機関で働く多くの人たちにとって生活を直撃するものであり、賃金やボーナスのカット、一時帰休、職場転換、他企業への出向など、事業を維持・継続するためとはいえ様々な困難を与えてしまっています。
先月に発表された大手私鉄での収支状況では、ほぼ全ての会社で黒字に転換したと報道されていましたが、これがグループ企業、持ち株企業としてのトータルでの業績であり、運輸部門ではいまだ赤字経営が続いています。
昨年からも本府としてラッピングバス等の運行や、観光需要の回復のために様々な施策を打ち、公共交通機関や地域を下支えすることに御尽力賜りましたが、今年に入ってからの感染状況では、皆様に公共交通機関の利用を促すことが困難な状況であります。さきの国会閉会中審査の中では、「今は平時でないことを御理解いただきたい」と答弁されたことがあります。そうです、現在は平時ではなく未曽有の危機なのであり、危機的な状況であるからこそ、そこに住む人たちと地域創生の基盤となる公共交通機関に対しても何らかの支援が必要であると考えます。
そこでお伺いいたします。
新型コロナウイルスの猛威という未曽有の危機による公共交通機関の在り方や役割についてどのようにお考えでしょうか。また、京都府においては、昨年度から「もうひとつの京都」の魅力発信や観光促進のために公共交通機関を利用した取組を進めるとともに、府内公共交通機関を維持するための支援を行ってまいりましたが、そうした対策によって地域と公共交通機関の双方にどのような効果をもたらしたとお考えなのか、御所見をお願いいたします。
さらに、コロナ禍における公共機関の維持確保という問題は、地方公共団体が個別に対応するのではなく、国策として公共交通機関に対する支援を行う必要があると思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
以上、ここまで御答弁をお願いいたします。
◯議長(菅谷寛志君) 西脇知事。
〔知事西脇隆俊君登壇〕
◯知事(西脇隆俊君) テレワークの推進と地域創生についてでございます。
テレワークの推進は、企業の成長や働き方改革につながることに加え、働く地域が限定されないことから、地域創生のための新たな人材を確保できる可能性が高まるなど、極めて重要な取組だと考えております。京都府では、これまでにも企業でのテレワーク導入を推進してまいりましたが、なかなか進まないのが実情でございました。そうした中でコロナ禍に見舞われ、移動の制限や密の回避のため導入を加速する必要性が高まったことから、昨年9月に京都府テレワーク推進センターを設置するとともに支援施策の充実を図ってまいりました。
その結果、テレワークを導入した企業では、海外への出張ができない中でもオンライン商談等により取引機会の維持・拡大につながった事例や、導入が難しいと言われている製造業でもAIとIoT技術を組み合わせてテレワークを実現し、収益性確保や生産性向上につながるなどの先進事例も生まれてきております。
また、時間や場所にとらわれず柔軟で多様な働き方が可能になり、これまで就業が難しかった子育て中の方や障害のある方などが活躍できるチャンスが広がったことで業務が効率化し、「時間外勤務を縮減できた」「子育て中の社員を採用できた」といった声もお聞きしているところでございます。
次に、テレワークを通じた地方移住の加速化についてでございます。
先日発表された内閣府「地域の経済2020-2021」において、コロナ禍を契機に場所や時間に縛られない柔軟な働き方が広がりを見せ、若者を中心に地方移住への関心が高まっている旨の報告もあり、地方創生に必要な新たな担い手の確保への期待が高まっております。
京都府では既に市町村と協力してサテライトオフィスなどのテレワーク拠点の整備促進に取り組んでいるところでございますが、今議会で提案しております京都府移住の促進のための空き家及び耕作放棄地等活用条例の改正案により、市町村と協力してさらに施策の充実を図ってまいりたいと考えております。
今後とも、府内における人口の減少をはじめとする社会情勢の変化に対応し、地域社会の活力の向上と持続的発展を図るため、テレワークを活用することで二地域居住など多様な移住ニーズに対応していくとともに、いわゆる関係人口と呼ばれる方々にも地域づくりに参画いただき地域創生に取り組んでまいりたいと考えております。
京都府テレワーク推進センターの来年度以降の見通しについてでございます。
推進センターでは、テレワークに適した業務の切り出しやICT環境の整備、労務管理などの相談ができる専門家を配置いたしますとともに、機器等の整備に必要な資金面での支援を行うなどワンストップサービスを展開いたしましたところ、開設から約1年で延べ4,700件以上の相談に対応し、616件のテレワーク導入につなげる実績を上げることができました。
しかしながら、テレワーク導入に不安を抱く中小企業はまだまだ多く、企業自らの力でテレワークやデジタル化に対応していくための人材も不足をしております。また、企業での勤務とテレワークとのベストミックスについても、ノウハウが確立された状況ではございません。こうした課題を踏まえまして、テレワークの推進による地域創生を実現するためには、推進センターの役割が一層大きくなっておりまして、大学や産業支援機関との連携をさらに強化し、機能を高めてまいりたいと考えております。
次に、学研都市における文化・歴史に関する取組についてでございます。
学研都市の創生に携わった先人の方々は、環境問題や食糧問題といった人類共通の課題解決のために、科学技術の力と日本人が培ってきた文化の力を融合し、新たなライフスタイルをつくり出していくことが必要であるとの思いを持たれておりました。このため建設当初から研究施設だけでなく、住宅地も含めた一体的な都市開発を進めるとともに、幅広い方々が交流し、文化を体験できる施設として、けいはんなプラザが整備され、様々な文化交流の取組を行ってまいりました。その結果、けいはんなホールでは地域住民自らがオーケストラを創設して演奏会を開催し、ギャラリースペースでは地元サークルが作品展を実施するとともに文化教室「プチさろん」が開催されるなど、学研都市での文化振興が図られてきたところでございます。
また、けいはんな記念公園は学研都市の理念の一つである自然との調和を象徴する施設として都市の中央に整備をされました。当公園は、里山環境を保全しながら日本の文化や風土を表現した公園となっておりまして、京都芸術大学の学生による野外展や、観月の夕べ、フリーマーケットなどが開催され、住民とともに学研都市にふさわしい新たなにぎわいや文化の創造を図ってきたところでございます。
京都府といたしましては、さらに文化や歴史に関する取組を強化すべきだと考えておりまして、人生100年時代にふさわしいAI等を活用した生活文化とも言えるスマートライフの推進や、高度な文化財修復技術を生かしアジアの文化財を守るための文化財保存修復拠点の創設を国に働きかけてまいりたいと考えております。
今後とも関西文化学術研究都市の名称にふさわしい都市づくりを積極的に進めてまいりたいと考えております。
次に、公共交通機関の維持・確保についてでございます。
交通事業者におかれては、現在、新型コロナウイルス感染症の影響による不要不急の外出自粛やテレワークの拡大、観光客の減少などにより公共交通の利用者が減少し、非常に厳しい経営状況にある中、府民生活に影響を及ぼさないよう公共交通の運行の維持・確保に努めていただいております。
鉄道やバスなどの公共交通は、新型コロナウイルス感染症の影響の有無にかかわらず、通勤・通学、子育てや通院などの地域の生活や経済を支える社会基盤であり、特に車を運転できない方にとっては生活に欠くことができない移動手段であると考えております。このため京都府では、コロナ禍においても公共交通事業者をしっかりと支援していくことが重要と考え、国と協調をし、バス事業者に対して補助路線に対する要件緩和や、車内が密にならないよう便数確保をするための支援等を行い、府民生活への影響を最小限に食い止めてきたところでございます。加えて、昨年度から「もうひとつの京都」周遊パスの発行支援や、魅力発信ラッピング事業を行い、「もうひとつの京都」のPRを行うとともに、JR、京都丹後鉄道、路線バスを活用した観光需要喚起にも取り組んでまいりました。
これらの事業の効果についてでございますが、周遊パスに関しましては、緊急事態宣言の発令などの影響を受けましたが、これまで8,000枚ほどの利用がございました。ラッピング事業に関しましては地域の方から「統一したデザインにより風景によくなじんでおり、季節ごとの運行が楽しみ」といったお声をいただくとともに、交通事業者からは広告収入の増加により運航確保に貢献しているとの評価をいただいているところでございます。
京都府では、コロナ禍を乗り切るため国の地方創生臨時交付金を活用し、運行支援や感染防止対策の強化など公共交通の確保に取り組むとともに、コロナ禍が長期化する中、国の支援が不可欠として、国に対してJRを含めた鉄道やバスなどの公共交通への支援制度の継続・拡充を要請してきたところであり、国の来年度予算の概算要求におきまして地域公共交通の確保に向けた支援について事項要求として計上されているところでございます。
JRの減便問題についても、関西全体の問題として京都府から提案し、関西広域連合からJR西日本へ働きかけ、府民生活に著しい影響が出ないよう協議を続けております。コロナ禍における公共交通の減便が恒久的な減便につながることがないよう、今後とも国に対し鉄道、バスなど公共交通の確保のための支援を求めますとともに、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえつつ、交通事業者の御意見もお伺いし、国、市町村とも連携をして感染防止対策や運行支援、観光需要喚起による利用促進など、時宜を得た支援を行いコロナ禍を乗り切ってまいりたいと考えております。
◯議長(菅谷寛志君) 橋本教育長。
〔教育長橋本幸三君登壇〕
◯教育長(橋本幸三君) 山本議員の御質問にお答えいたします。
地元への愛着を高める取組についてでございますが、子どもの発達段階に応じて地域と関わることで、郷土への愛着や地域に貢献する心を育むことは大変重要であると考えております。府内の小学校では、住んでいる地域の地理的環境や、古くから残る建造物など身近な地域の様子を調べる活動、人々の生活の様子の移り変わりなど地域の人から話を聞く活動、地域の人と協働した防災教育などの取組が行われております。
また、小・中学校では、地元を知り、地域の歴史や地域ならではの課題を取り上げ、その解決に向けた探究的な学習なども進められております。
さらに、府教育委員会では今年度から木津川市立の小学校を含めた府内8校を指定し、「絆の作り手育成プログラム」を開始したところでございます。これは、例えば地域の祭りに若者が参加するにはどうすればよいか、また、観光客を増やすにはどうするかといったことに対して解決策を提案、実施する課題解決型学習を行うものであり、御紹介の恭仁宮についても題材の一つとして取組が進められております。
今後とも、こうした取組を通じて地元の良さを知り、地域や社会との絆を大切にする人材の育成に取り組んでまいります。
次に、府立高校における取組についてでございますが、学校の所在する地域や自分の住む地域など、より広い地域を対象とし、地域貢献や探究的な取組が各府立学校で進められております。例えば、府立木津高校では、創立当初から地域の伝統産業である茶業教育に力を入れているほか、木津川市が策定された全国初の地域連携保全活動計画に基づく里地里山の再生活動への協力も行っております。
また、府立海洋高校では、丹後地域の小・中学校を対象に実習船乗船体験や里海環境学習を行うなど、子どもたちの京都の海への愛情の醸成に資する教育活動も行われております。
府教育委員会といたしましては、府立高校の強みとも言える地域とのつながりを生かし、地域を支える人材の育成や地域社会の活性化への貢献といった府立高校の担う役割を果たせるよう、引き続き府立高校の教育活動をしっかりと支援してまいります。
◯議長(菅谷寛志君) 山本篤志君。
〔山本篤志君登壇〕
◯山本篤志君 御答弁ありがとうございます。私は、今まで地方創生にこだわってこれまでからも質問させていただいてきたんですけれども、地方創生のキーポイントというのはやはり人でありまして、人の生きざまが地域の発展を大きく左右するものだと思っております。そして、人をどのように生かしていくのか、人をどのようにひきつけていくのかも鍵であり、それは地域への愛情であると思っています。
そして、また鉄道に関して公共交通機関にとっても、これも小さな頃の記憶になりますけれども、やはりこれも地域を支える地域の基盤であると考えておりますので、例えばコロナによりまして価値観が変わったとしても、やはりしっかりと地域を支える足ということで、未来への投資も含めて、ぜひとも今後も引き続き取組をお願いいたします。ありがとうございます。
では、続いて最後の質問になりますが、自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進についてをお伺いいたします。
世の中ではトレンドとして「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の言葉であふれかえっておりますが、DXの言葉の定義は、「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でよりよい方向に変化させること」とされています。
では、自治体DX推進計画に記載されている意義、目指すべきデジタル社会とはどのようなものでしょうか。「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現出来る社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」とあります。しかし、これでは分かりづらいと思います。もう一段具体的な言葉にしますと、「行政サービスについてデジタル技術やデータを活用して、住民の利便性を向上させるとともにデジタル技術やAI等の活用により業務効率化を図り、人的資源を行政サービスのさらなる向上につなげていくことが求められる」ということになります。
これで少しイメージすることができるかと思いますが、「住民の利便性が向上する」「行政の業務効率化が図られる」ということが今先ほどの言葉から見えてまいります。
そこでお伺いいたします。
自治体DXが推進されることにより「住民の利便性が向上する」とありますが、府民生活がどのように変化するのか、どれだけ住みやすい世界になるのか、まだまだイメージが難しいと考えます。そこで、京都府においてDXの推進により、どのように住民の利便性が向上するとお考えなのか、その具体的なイメージについて御所見をお伺いいたします。
今から20年後の社会を想像しますと、誰もがデジタル端末を持ち、何でもデジタル端末で処理や操作ができ完結する社会が到来しているかもしれませんが、2021年の今では、例えば昨年のGoToイートの際には食事券をネットでしか購入ができず、また本年のワクチン接種でもネットやLINEで予約可能とされましたが、スマホを持っておらず予約ができない、電話予約では電話がつながらないという御高齢の方には不公平だと言われても仕方がないような事態が発生いたしました。
これらの事例を迅速かつ効率的に行おうとすれば、ネットやLINEを使う方法は理解できるのですが、「デジタルデバイド=恩恵を受けることのできる人とできない人の間に生じる経済格差、情報格差」が生じているのが現実であり、何らかの対策を講じる必要があると考えるところであります。
そこでお伺いいたします。
様々な分野でデジタルデバイドが生じている今、格差是正のための対策が必要であり、例えば各種申請の受付など行政手続に当たっては、デジタル機器の活用を前提とした対応のみとするのではなく、書面や電話での申請受付など従来どおりの対応も並行して行うことなどが考えられますが、京都府として自治体DXを推進する上で、どのようにデジタルデバイド対策を進められるお考えなのか、御所見をお伺いいたします。
自治体DX計画の重点取組として、自治体情報システムの標準化、共通化があり、自治体主要17業務を処理するシステムは目標時期を2025年とし、国の策定する標準仕様に準拠したシステムへ移行されるとされ、本年7月には事務的手順を定めた自治体DX推進手順書も作成したところでございます。
また、自治体の行政手続のオンライン化も示され、2022年度末を目指して原則全地方公共団体でのマイナポータルからマイナンバーカードを用いてオンライン手続を可能にすることとされております。自治体情報システムの標準化・共通化、行政手続のオンライン化の大半が市町村業務ではありますが、これらを市町村が単独で行うことは非常に困難であることから、都道府県による市町村支援も推進計画に明記されています。
以前から述べておりますが、京都府と府内市町村では自治体DX推進計画を先取りする自治体情報システムの共同化を2004年度から始めており、本府は全国の都道府県の中でも唯一、地方自治体情報システムに関して中心的な役割を担っている自治体でもあります。
そこでお伺いいたします。
自治体DX推進計画の大きな目的と効果には「住民の利便性の向上」が掲げられており、自治体情報システムの標準化・共同化、行政手続のオンライン化の恩恵は真っ先に府民の方に受けていただかなければなりません。本府としては市町村の情報システム標準化・共同化、行政手続のオンライン化を先導してきた経過からも全国に先駆け府民の方に恩恵を受けていただく役割と責任があると考えており、本府が市町村の取組を強力に牽引する必要があると考えますが、本府の御所見を伺いいたします。
また、自治体DX推進計画のもう一つの目標と効果に、行政の業務効率化がありますが、こちらも全国に先駆けて2009年度から京都府・市町村業務共同化、京都地方税機構がスタートしております。これまでも税の徴収業務の共同化は全国でも取り組まれておりますが、複数にわたる税目の課税業務を含む税業務を行っているのは全国でも京都地方税機構ただ一つであり、納税者の利便性だけでなく、効果的、効率的な執行体制の整備という点でも業務効率化に大きく寄与しております。まさに本府は自治体DXの最先端で先駆者であるものでございます。
しかし、1点だけ気になる点がございます。それは本府自身の業務改善・効率化につながる取組が進んでいないことにもあります。徴収業務や自動車税業務では、市町村との業務共同化により大きな効果があったことは承知しておりますが、課税業務では市町村業務の共同化が中心で推移しており、府政業務を含めた共同化の議論がなかなか進んではおりません。
一例では、府税である不動産取得税の家屋評価では、基本的に市町村税の固定資産税の価格評価と同様の作業でありますし、課税客体を把握するための不動産登記の異動や価格情報の通知は、市町村の固定資産税システムとのデータ連携により取得することで効率化が図れると提案してまいりましたが、いまだ着手されていない状況です。この取組、京都が全国に発信したものでありますが、現在では他の都道府県が着目し、実現に向けて取組を始めております。決して一番先に取り組むのが目的ではなく、全国の中でも一番実現できる環境であるにもかかわらず取り組めなかったことというのが非常に残念に思うところであり、再度取組をお願いするところでございます。
そこでお伺いいたします。
自治体DX推進計画や手順書が作成され、その目的である行政の業務効率化の取組が必要となる中で、京都地方税機構で府税の課税に関する業務の効率化・共同化を推進することについて、どのようにお考えか本府の御所見をお伺いいたします。
以上で質問を終わりますが、未曽有の危機の中であっても、時には立ち止まり振り返る必要があると考えています。今そんなに立ち止まってゆっくり考えている余裕はないかもしれませんが、人間はしっかりと困難を乗り越え、前に進まなければなりませんので、その辺り、勇気を持って振り返っていただきたいと思っています。そうすれば、必ず未来が見えてくると思うところです。
本日、御答弁いただいた内容を含めて、未来の府民の皆様の安心・安全のために、しっかりと応えていただきますよう要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
◯議長(菅谷寛志君) 西脇知事。
〔知事西脇隆俊君登壇〕
◯知事(西脇隆俊君) 自治体デジタルトランスフォーメーションの推進についてでございます。
京都府では昨年3月に策定した京都府スマート社会推進計画の下でデジタルトランスフォーメーションを推進し、府民誰もがデジタル技術の恩恵を受けられる京都づくりを目指して取組を進めているところでございます。
まず、行政におけるデジタルトランスフォーメーションにつきましては、現在、納税証明書等について、府の窓口に出向くことなく、手数料の支払いまでオンラインで完結できる電子申請システムの導入を進めているところであり、今後、いつでも、どこからでも申請が可能な行政手続の対象を広げ、府民の利便性のさらなる向上を図ってまいりたいと考えております。
また、官民連携の取組といたしましては、例えば学研都市におきまして今月からデマンドバスが病院の診療時間に合わせて送迎することで待ち時間を減らすための実験を開始しているほか、呼吸や心拍を計測する機器を部屋に設置し、健康状態を見守りつつ健康アドバイスを行うといった健康生活支援システムの実用化に向けた取組も検討されております。
今後ともオール京都の力を結集してデジタルトランスフォーメーションを推進することで、より質の高い行政サービスを提供いたしますとともに、誰もが暮らしやすい快適な社会の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
次に、デジタルデバイドの解消についてでございます。
デジタルトランスフォーメーションを推進していく上で、その恩恵を全ての府民に実感していただける環境づくりを進めることは最も重要な課題であると考えております。そのためには、まずデジタル技術を活用した全てのサービスについて、府民誰もが簡単にストレスなく利用することができるよう、高齢者や障害をお持ちの方など多様な利用者を想定し、利用者の立場に立ったシステムを構築してまいりたいと考えております。
また、情報機器の利用に不安を感じる方もおられることから、こうした方へのサポートも必要だと考えており、今年度、13の市町と連携してスマートフォン操作等に関する基礎講座を開催するなどの支援を行うこととしております。
さらに、デジタル機器の利用を望まない方に対しては従来型のサービスを提供することも必要であると考えており、例えば、新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金の支給などにおきましても電子申請だけでなく郵送での受付や、コールセンターの開設等によるきめ細かいサポートを行っているところでございます。
今後ともデジタルトランスフォーメーションの推進においては、きめ細かな対応により、全ての府民に利便性を実感いただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
次に、自治体情報システムの標準化等の取組についてでございます。
京都府では、これまでから府民の利便性向上と市町村の業務効率化の観点から、国に先駆けてシステムの標準化等に努めてまいりました。具体的には、京都府自治体情報化推進協議会において、住民記録、税、福祉といった市町村の基幹業務システムの標準化や、電子申請システムや公共施設予約案内システムの共同運用に取り組みますとともに、京都地方税機構においては、全国で初めて複数にわたる税目の課税事務の共同化を実現してまいりました。
こうした状況の中、議員御紹介のとおり、昨年12月に国が策定した自治体デジタルトランスフォーメーション推進計画において、自治体情報システムの標準化等の目標年次や取組方針が示されたところでございます。
京都府といたしましては、府内の市町村が国の取組方針に適切に対応することにより、急速に進展する人口減少社会においても質の高い行政サービスを提供し、一層の府民の利便性向上につなげられるよう、これまでの先進的な取組を通して共に培ってきたノウハウや知見を生かしつつ、今後とも市町村と連携を図りながら、しっかりと取組を進めてまいりたいと考えております。
次に、自治体デジタルトランスフォーメーションが進む中での京都地方税機構での府税の課税事務の共同化の推進についてでございます。
機構での課税事務の共同化につきましては、府税、市町村税、全ての税目の事務作業を機構で処理していくことを目指し順次共同化を進めてきており、平成24年度に法人関係税、平成28年度・29年度に自動車関係税、そして昨年度に固定資産税の償却資産につきまして申告窓口の一般化等の事務の共同化を実現してきました。
今後の共同化としては、現在、議員御指摘の府税である不動産取得税と市町村税である固定資産税に共通する課税事務のうち、家屋の評価事務等について検討を進めております。これらの事務の共同化につきましては、事務作業の行程や内容がこれまでに共同化してきた他の税目と比べ複雑で広範囲に及ぶことから、検討課題も多くありますが自治体デジタルトランスフォーメーションの取組の一環である税務システムの標準化の進行状況も踏まえつつ、他の構成団体の理解を得ながら丁寧に検討を進めてまいりたいと考えております。
京都府といたしましては、今後とも市町村や機構と連携を密にして、府税の課税も含めた効果的、効率的な税務行政の早期実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。