(1)コロナ禍における高齢者の健康課題について
(2)コロナ禍における運動不足とクリーン活動について
(3)警察官の死亡に至る労働災害について
(4)高速道路における併発事故防止について
(5)その他

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◯議長(菅谷寛志君) 次に、梶原英樹君に発言を許します。梶原英樹君。
〔梶原英樹君登壇〕

◯梶原英樹君
府民クラブ京都府議会議員団の梶原英樹です。さきに通告しております数点につきまして、知事並びに関係理事者に質問いたします。よろしくお願いいたします。
初めに、コロナ禍における高齢者の健康課題についてお尋ねいたします。
3度にわたる緊急事態措置の中で、不要不急の外出、移動の自粛やイベント等の開催自粛、出勤者数の7割減を目指した取組など、感染者数を減らすための取組が実施され、府民は外出する機会が大幅に減りました。緊急事態措置による行動変容によって、「コロナフレイル」と言われる、コロナウイルスとは別の危険が高齢者に影響を及ぼしています。
フレイルは、日本語訳で、加齢とともに心身が衰えて健康な状態から要介護状態へと移行する中間段階を指します。フレイルの基準としては様々なものがありますが、代表的な基準を今から5つ申し上げます。
1、6か月間で意図しない2キロから3キロ以上の体重減少。2、理由のない倦怠感。3、週に一度も運動をしていない。4、握力が男性26キロ未満、女性18キロ未満。5、歩行速度が秒速1メートル未満。
以上申し上げました5項目のうち、1から2項目が当てはまればフレイル予備軍、3項目以上当てはめればフレイルに該当するとされています。
東京都健康長寿医療センターは、全国高齢者パネル調査のデータを用い、日本人高齢者全体のフレイル割合が8.7%であると発表しました。
また、筑波大学大学院の研究グループが調査した結果では、60から90歳代で2020年5月と同年11月を比較したときに、「外出の機会が週に1回以下」と回答した人の割合はどの年代も10ポイント程度増え、物忘れについての調査では、60代以上で「同じことを何度も聞いたり、物忘れが気になったりするようになった」と答えた人の割合は12.6%から27.1%と2倍以上に増えており、大変深刻です。
大阪市の調査では、バランス能力や筋力が減少した高齢者が2020年に大幅に増え、東京都豊島区のフレイルチェックでもフレイルが疑われる高齢者は29.8%まで増加したという報告もあります。

そこでお尋ねいたします。
政府は、昨年4月から、75歳以上の高齢者を対象に、要介護になる手前の状態かどうかを判断するフレイル健診を開始しました。15項目の質問票で要介護予備軍を見つけ、個別指導や医療機関の受診につなげる取組であり、長く健康を保てば、高齢化で膨らむ社会保障費の抑制も期待できるとされています。回答結果は医療や介護履歴などの記録をまとめた国保データベースに登録し、フレイルのおそれがある高齢者に対し、自治体の保健師らが通いの場や自宅訪問等を通じて保健指導や医療機関の受診につなげるのが主な流れとありますが、昨年の8月の発表では、後期高齢者向けの健康診査の受診率は全国平均3割程度にとどまり、フレイル健診や保健指導の促進が課題であります。
政府も本年1月7日にはコロナ基本的対処方針を変更し、外出自粛等の下でフレイル状態にならないよう、健康維持、介護サービスの確保のため適切な支援を行うこととしましたが、長期化するコロナ禍が高齢者の健康状態に与える影響や課題をどのように捉え、フレイル予防も含め、その対策をどのように進められるのか。
そして、府内における後期高齢者向けの健康診査の受診率についての認識と、さらなる受診率の向上に向けた取組についてお考えをお聞かせください。
また、畿央大学健康科学部理学療法学科の高取教授と松本准教授は、後期高齢者の大規模な調査を実施した結果、フレイルから脱却するためには、「高い主観的健康感」や、高齢者サロンでの運動や体操教室への参加など「運動系社会参加活動」が重要な因子であり、「近隣住民との交流が強い」「住んでいる地域への信頼が強い」「社会参加活動を行っている」、すなわち「活動的な地域活動を行うための個人レベルのソーシャルキャピタルの強さ」が重要と発表をされています。こうした調査結果を踏まえ、コロナ禍における高齢者の運動と社会参加をどのように促進されるのか、本府の考えをお聞かせください。

次に、コロナ禍における運動不足とクリーン活動についてお尋ねいたします。
さきに述べましたように、様々に生活様式が変わり、家にいる時間が増え、外出の自粛による慢性的な運動不足やストレスの発散で甘い物を食べるなど、長引くコロナ禍で生活習慣が乱れている方も多くいます。
健康促進の取組を支援している会社「リンクアンドコミュニケーション」は、健康管理アプリを利用している会社員およそ2,800人について体重と体脂肪率の変化を分析した結果、60%近くの人が以前よりも体重が増え、さらに一日の歩数も大幅に減り、厚生労働省が病気の予防として推奨している一日8,000歩に達していない人が79%に上っているとのことでした。
スポーツ庁では、中長期にわたり感染症対策と向き合う中で運動不足から身体的及び精神的な健康を脅かす健康二次被害も懸念され、意識的に運動・スポーツに取り組むことは、健康の保持・増進だけでなく、ストレス解消、自己免疫力を高めてウイルス性感染症を予防することにも役立つと啓発し、安全・安心に運動・スポーツに取り組むポイントや手軽な運動事例などもホームページで紹介しているところです。
しかしながら、私が住んでいる山科区内でも、老若男女問わず楽しみにしている体育振興会主催のグラウンドゴルフ大会、ソフトボール大会、バレーボール大会をはじめ、個人ベースで参加できる、ウオーキングを楽しむ歩こう会なども軒並み中止となり、団体でのスポーツイベントは厳しい状況にあります。

そこでお尋ねいたします。
スマホアプリでインセンティブを付与し、ウオーキングを奨励する「ある古っ都」は、今年度350万円を予算計上し、健康無関心層の方が自身の健康について考えるきっかけづくりとして効果的な手法を活用する市町村を支援する事業として計画されています。昨年度は亀岡市、舞鶴市、綾部市、宇治田原町で展開されましたが、昨年度の実績と、コロナ禍の慢性的な運動不足解消のために今年度はどのような新たな仕掛けをされるのか、御所見をお聞かせください。
また、本府は、ごみの減量リサイクルや、まちの美化を推進するため、クリーン・リサイクル運動を実施していますが、コロナ禍の影響で中止が相次ぎ、活動が自粛され、ボランティアをされる方も減少し、さらには緊急事態宣言下でポイ捨てが目立つようになったということも昨日の京都新聞でも報じられていました。
そうした中、今年の2月には、「淀川水系一斉美化アクション」として、河川レンジャーらの呼びかけで、スマホで撮ったごみの写真や拾った場所を共有するSNSを活用し、ふだん参加できない方も、散歩中など、日常の延長で関われる取組をされました。団体でまとまった活動ができない今だからこそ、一人一人の小さな行動をつなげていく工夫が必要かと思います。
そこで、例えば「ある古っ都」と淀川水系一斉美化アクションのよさを組み合わせ、歩いてポイントがたまり、ごみを拾えばさらにポイントがつき、地元の特産品と交換できるような仕組みなど、健康活動と美化活動を組み合わせたような新たな取組などを検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
まずはここまでの御答弁をよろしくお願いいたします。

◯議長(菅谷寛志君) 
西脇知事。
〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 
梶原議員の御質問にお答えいたします。
コロナ禍における高齢者の健康問題についてでございます。
人生100年時代を迎え、高齢になっても健康で生き生きと暮らせるためには、バランスの取れた食事により低栄養となることを防ぐとともに、適度な運動を続けることにより身体機能の維持・向上を図ることが重要でございます。また、高齢者サロンや体操教室、ボランティアなど、地域の様々な活動に参加することは、人とのつながりを通して高齢者の孤立を防ぎ、心の健康を保つ上でも大切でございます。しかしながら、コロナ禍の影響で地域の活動が縮小や休止を余儀なくされ、外出や活動の機会が減少したことから、高齢者の健康支援や地域の活動の継続に向けた支援が課題となっております。
このため京都府では、京都府独自の「介護予防総合プログラム」をベースに、高齢者が御自宅等でも取り組んでいただける健康体操のDVDやリーフレットを本年2月に作成し、市町村や地域包括支援センターを通じて配布したところでございます。また、高齢者サロンや体操教室等の活動をコロナ禍でも安心して継続いただけるよう、活動の場の運営者に対し、今後、保健師等が感染症対策について指導を行うこととしております。
後期高齢者に対する健康診査は、心身の虚弱、いわゆるフレイルや生活習慣病を早期に発見し、重症化を予防する上で大変重要なものでありますが、令和2年度の府内の受診率は、コロナ禍の影響で一部の市町村の集団健診が中止されるなど、令和元年度の22.5%から、速報値でありますが、20.9%と減少しております。
京都府では、市町村による後期高齢者への受診勧奨を進めるため、これまでから京都府後期高齢者医療広域連合や国民健康保険団体連合会とともに市町村職員を対象とした研修会を実施しております。この中で、地域の通いの場を活用して健康診査の受診状況の把握や受診勧奨などに取り組む先進地の好事例を紹介しており、今後も、健康診査への理解を深めていただくなど、受診率の向上に向けた支援を行ってまいりたいと考えております。
こうした取組によりまして、今後とも高齢者の方が健康で生き生きと暮らせる地域づくりを進めてまいりたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。

◯議長(菅谷寛志君) 
益田府民環境部長。
〔府民環境部長益田結花君登壇〕

◯府民環境部長(益田結花君) 
コロナ禍におけるクリーン活動についてでございます。
クリーン活動は、これまでから市町村や住民団体などにより継続的に実施され、エコウオーカーやスポーツごみ拾いなど工夫した取組も行われており、京都府でも市町村などと連携したクリーン・リサイクル運動を進めております。
一方、コロナ禍においては多くの人が集まっての一斉活動が難しく、昨年度のクリーン・リサイクル運動の実施件数は例年の半分以下であったことから、京都府では個人での活動の活性化とそれぞれの活動の連携を進めているところでございます。具体的には、京と地球(アース)の共生府民会議の中に企業や団体に参画いただいた実行委員会を設置しており、他県での導入事例もあるスマホアプリにより個々の清掃活動を見える化することで、活動の輪を広げていくこととしております。
また、健康増進の観点やポイントの付与につきましては、一部で連携が進んでいるところでございますが、さらなる工夫の余地がないか、実行委員会で検討を進め、時代に即したクリーン活動を推進してまいりたいと考えております。

◯議長(菅谷寛志君) 
長谷川健康福祉部長。
〔健康福祉部長長谷川学君登壇〕

◯健康福祉部長(長谷川学君) 
高齢者の健康問題についてでございます。
高齢者の運動と社会参加につきましては、議員御紹介のとおり、地域の交流や社会参加活動などの社会的なつながりが高齢者の健康によい影響を与えることが明らかとなっております。このため京都府では、高齢者サロンや体操教室等への支援に加え、今年度新たに京都SKY(スカイ)センターにおいて「シニアICTアドバイザー」を養成し、コロナ禍で外出できない間のリモートサロンの開催やSNSを活用した情報発信、交流等の取組を支援することにより、高齢者が共につながり、生き生きと暮らせる地域づくりを進めてまいります。
次に、「ある古っ都」事業についてでございます。
本事業は、スマホアプリを活用し、参加者の歩数等に応じてインセンティブを付与する仕組みのウオーキング勧奨事業であり、昨年度は一昨年の421名を大きく上回る786名の方に参加いただいたところでございます。参加者からは「歩数を気にするようになり、エレベーターを使わず階段を使用するようになった」などの声もいただいており、参加された多くの方が、身体活動量が増加したり、継続してウオーキングに取り組むなど、健康増進に資する行動変容が起こっております。
健康無関心層と言われる方々をはじめ、運動不足の方々へのアプローチとして有用であると考えておりますので、今年度はコロナ禍でも参加しやすい新たな企画内容を検討しているところでございます。具体的には、町なかのオープンスペースにチェックポイントを設定し、ウオーキングをしてもらうなど、イベント性を高めながら密な状態をつくらない内容とし、さらに参加者の増加を図れるよう、市町村とも協力して事業を実施してまいります。

◯議長(菅谷寛志君) 
梶原英樹君。
〔梶原英樹君登壇〕

◯梶原英樹君 御答弁ありがとうございました。
コロナフレイルについてですけれども、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の影響でカラオケが自粛されて、歌うこと、友達に会う機会や大好きなスナックのママにも会えなくなったという声や、親がゲートボール、グラウンドゴルフができなくなって元気がなくなったという声もたくさん耳にしております。65歳以上のワクチン接種率も高まってきているとはいえ、生活様式をすぐに戻すことは難しいところでございますけれども、コロナフレイル対策をぜひとも進めていただきますよう、お願いを申し上げます。
また、運動不足と美化活動についてですけれども、最近私もあるアプリをダウンロードして、歩数がたまっていけばジュース1本がもらえるというのがあって、妻と一緒にごみを拾いながらウオーキングを始めたのですが、不思議と会話も増えて夫婦間の関係もよくなっており、一石四鳥でございます。コロナでできないではなくて、コロナのときだからこそできることがあると思いますので、部局超えての対策をぜひとも進めていただきますよう要望しまして、次の質問に入らせていただきます。

次に、警察官の死亡に至る労働災害についてお尋ねいたします。
近年、警察官が交通事故に巻き込まれ、命を落とす、あってはならない事象が散見されます。
本年5月2日午後10時15分頃、新潟県湯沢町の関越自動車道下り線で車が中央分離帯付近に止まる単独事故が発生し、現場に到着した高速隊の巡査部長が、事故に対応するため、車線規制などの準備をしようとしていた際に、後続の40代男性が運転する乗用車が対応していた巡査部長をはねる事象がありました。はねられた巡査部長は、残念ながら、出血性ショックが原因で搬送先の病院で死亡されました。現場は見通しのよい直線であったそうですが、雨が降っており、視界も悪い状況だったようです。
また、東京都内では、2012年3月、パトカーで警戒中、無灯火で歩道を走る自転車を見つけ、注意しようと運転席から降りたところ、後方から来た乗用車にはねられ死亡する事象や、4年前の2017年10月には、愛媛県松山市で、交通違反の捜査に当たっていた巡査が宅配会社のワンボックスカーにはねられ死亡する事象がありました。
本府では、2010年12月27日午後2時35分頃、伏見区内の名神高速道路下り線で、走行車線に落下していたダンボールを取り除こうとしていた巡査長が後続車にはねられ、意識不明の重体に陥った事象も過去には発生をしております。

そこでお尋ねいたします。
幾ら体を張って府民の安心と安全を守っていただいている警察官であっても、絶対に命を落とす事象はあってはなりません。事故処理中や交通取締りなどの現場における、死亡に至る労働災害防止のためにどのような対策を実施されているのか、ハードとソフト面の両方からお教えください。
また、さきに述べました警察官の命に関わる重大事象については、都道府県の垣根を越えて速やかに情報を共有し、再発防止対策とリスクの洗い出し、さらには安全に対する風土づくりが必要であると考えますが、御所見をお聞かせください。
次に、高速道路における併発事故防止についてであります。
1977年、全国の高速道路における死亡事故143件について見ると、駐停車中の車両へ追突した事故が38件あり、大惨事につながる高速道路の事故は絶えないこともあってか、翌年、1978年5月、道路交通法の一部改正が行われ、道路交通法第75条の11の規定により、高速道路の本線車道等における故障等の場合の措置として、所定の停止表示器、いわゆる三角表示板の表示が義務づけられました。
時速100キロ近い速度で車が走行している高速道路では、車を停止させるということは非常に危険なことであります。後続車からの追突事故など、重大な事故につながることを避けるため、車が停止していることを後方に伝える必要があり、表示義務を怠った場合、故障車両表示義務違反となり、反則金と違反点数が課せられます。
なお、故障等の場合の故障車両表示義務違反として府内で検挙された件数は、2018年75件、2019年43件、2020年19件、2021年4月末までに20件であります。また、高速道路における重傷以上となった事故件数は、2018年と2019年は8件、2020年は2件で、三角表示板の表示が必要であったと認められる事故件数は毎年1件ずつあったと考えられております。

そこでお尋ねいたします。
2017年8月25日の徳島道での事故はまだ記憶に新しいところですが、路肩に停車していたマイクロバスにトラックが追突し、16人が死傷したこの事故は、マイクロバスの後方に三角表示板が設置されていなかったことが判明しました。
しかしながら、高速道路での停車中の事故を防ぐために重要な三角表示板ですが、車の標準装備ではありません。標準装備となっているのは発煙筒だけです。以前の車には装備されている車も多かったことから標準装備されているのであろうと確認を怠って、三角表示板を装備しないまま高速道路を走行する方も多いのではないかと想像します。万が一、高速道路で事故や故障が発生した際に三角表示板が装備されていないのは非常に危険だと私は思います。
本年5月2日に湯沢町で起きた単独事故において三角表示板が表示されていたかは分かりかねますが、安全をさらに確保するために、さらには駆けつけてくれる警察官の命を守るためにも高速道路を走行する車には三角表示板を標準装備として義務づける必要があると考えますが、いかがでしょうか。
また、新規の免許取得時及び免許更新時には、高速道路における事故や故障発生時のシミュレーション訓練として三角表示板の重要性や発煙筒を実際に使用して学ぶ訓練や安全な場所に避難する訓練などに加え、実際の交通事故事例などを教官からじかに伝えることも併発事故防止対策として有効かと考えますが、いかがでしょうか。御所見をお聞かせください。

最後に、以前、私はJR西日本という会社で安全について対策を講じる専門チームで仕事をしておりました。安全にゴールはないということは身をもって理解をしているつもりでございます。しかし、最も安全に大切なことは、常に安全を追求することだと思っております。個人責任追及をするのではなく、原因追求をする組織、さらには社会の機運醸成にも努めていただきたい、その一心で質問をさせていただきました。そのこともお伝え申し上げ、一般質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)

◯議長(菅谷寛志君) 
上野警察本部長。
〔警察本部長上野正史君登壇〕

◯警察本部長(上野正史君) 
梶原議員の御質問にお答えします。
まず、交通事故処理などの現場における警察官の安全対策についてです。
交通の事故処理や取締りは、現に車両が行き交う道路上で行われることが多く、従事する警察官自身にも一定の危険が伴うことは議員御指摘のとおりです。このため、現場ではヘルメット、夜光チョッキ等の装備資機材を有効活用することはもとより、状況に応じて警察車両を盾にした上で交通規制を行うなど、従事する警察官の安全を確保する対策を講じています。
また、警察署ごとに「受傷事故防止推進リーダー」を指定し、このリーダーが中心となって具体的な事例を題材とした検討会や各種訓練を実施しているほか、現場の形態に応じたマニュアルを策定して事故の未然防止に向けた訓練に取り組んでいるところです。

次に、重大事象の情報共有と、再発防止対策の洗い出しや安全に対する風土づくりについてです。
警察官の殉職等、警察官に係る重大な事象が発生したときは、警察庁から全国に対し、事案の概要や再発防止策が示され、情報が共有されるようになっています。府警察では、この情報に基づいてリスクの分析と具体的な再発防止策を検討するとともに、これらを速やかに警察署にも伝達し、共有に努めています。
 また、現場の警察官はどうしても速やかに事案を処理することに意識が向きがちですが、冒頭述べましたように、現場での事案処理は危険を伴うことが多いのも実情です。まずは自らの安全を十分確認した上で事案の処理に当たる、この意識をしっかりと定着させるべく、今後とも指導してまいります。

次に、高速道路を走行する車両に対する三角表示板の備付けについてです。
議員御指摘のとおり、いわゆる三角表示板は、高速道路上での故障や事故の際に、後続車に故障車等の存在を知らしめるため、車両後方の路上に置くことが道路交通法で定められております。他方で、一般道路上では事故等の際における三角表示板の設置は義務づけられていません。このため、高速道路を走行する車両に限らず、全ての車両を対象とする道路運送車両法では三角表示板は標準装備となっておりません。
とはいえ、三角表示板は高速道路での万が一の事故の際には必要となることから、府警察では、関係機関・団体と連携し、高速道路を通行する際の携行について呼びかけを重ねていきたいと考えています。
最後に、免許取得時等における三角表示板等の使用訓練や実際の事故事例の広報についてです。
三角表示板や発煙筒の正しい使用や、高速道路上で交通事故等に遭った場合の正しい対処方法を周知することは、併発事故の防止対策としても重要と考えております。このため、自動車教習所での講習や更新時講習等ではこれらについて指導を行っているほか、事故の通報を110番等で受けた場合は通報者に対して安全を確保するための行動を具体的に指示するなどの取組を行っています。
また、交通事故に関し実際の事例を挙げて説明することは、府民にとっても迫真性があり分かりやすいことから、更新時講習をはじめ、安全運転管理者等講習、企業講習などで活用しており、引き続き充実させていきたいと考えています。
府警察では、今後とも、府民の安全はもちろん、警察官の安全にも配意して交通の安全と円滑の実現に努めてまいります。