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◯秋田委員長 休憩前に引き続き、総括質疑を行います。
 次に、岡本副委員長に発言を許可いたします。岡本副委員長。

◯岡本副委員長 
府民クラブ京都府議会議員団の岡本和徳です。会派を代表して、総括質疑をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
まず、委員長のお許しをいただき、一言申し上げさせていただきます。新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、治療中の皆様の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。
次に、令和3年度当初予算案については、長引く新型コロナウイルス感染症の危機を克服し、POSTコロナ社会において夢や希望が持てる新しい京都府の実現に向けた予算編成となっており、総額は過去最大の1兆350億円となっております。府民の皆様の命と健康を守ることを最優先に、ワクチン接種体制やPCR検査体制の確保に万全を期すなど、感染拡大防止対策を徹底し、この危機を何としても乗り越えるという西脇知事の覚悟が見受けられる予算となっていると感じております。
また、コロナ禍の中、厳しい状況にある方々の生活・雇用を守り抜くため、独り親家庭への支援や子どもたちの見守り、離職者への就労支援などを実施されるとともに、西脇知事が1丁目1番地に掲げる「子育て環境日本一」の実現に向けた取組も強化されるなど、コロナ禍で疲弊する府民に寄り添った、またPOSTコロナ社会も見据えた目の行き届いた予算編成となっており、これを高く評価するものでございます。
では、質問に入らせていただきます。
今定例議会予算委員会では、コロナ禍をいかに克服するかといった議論が多くなされてまいりました。また、その方法としてデジタルトランスフォーメーションを進めるというお言葉を知事からよく発信されたように思っております。本日は、そのデジタルトランスフォーメーション、DXをどのように進めていくのかについて、お伺いさせていただきたく思っております。
DXは、医療、子育て、インフラ整備、働き方などあらゆる分野において、これまでにはなかった仕組みや概念を生み出し、私たちの生活に大きな変革をもたらしてくれることは間違いないと感じているところです。農山漁村に住みながら最先端技術関連の業務を行うことや、世界最先端の教育を受けることも可能となってくることでしょう。
まず、このDXの導入について、知事の本会議での御発言では、力を入れてもらえそうな内容が多くなっているようですが、単なるデジタライゼーション的なペーパーレス、電子申請、予約のオンライン化などだけではなく、医療・介護、教育、交通などの社会課題を解決し、私たちの生活を大きく改善するためには、それを実施する強いリーダーシップが必要かと思います。そして、子育てなら子育て環境日本一、スポーツならスポーツ王国を目指すというようなキャッチフレーズのような言葉もありますが、言葉の問題ではありませんけれども、来年度だけではなく、今後、このDXにどの程度力を入れて進めていくおつもりなのか、DX推進計画をつくるのかなど、知事のお考えをお聞かせください。
まずはここまでお願いします。

◯秋田委員長 西脇知事。

◯西脇知事 
岡本副委員長の御質問にお答えいたします。
岡本副委員長におかれましては、ただいまは会派を代表されまして、今回の予算案に対しまして高い評価をいただき、厚く御礼を申し上げます。
デジタルトランスフォーメーションの推進についてでございます。
副委員長御指摘のとおり、デジタルトランスフォーメーションを推進していく上で、デジタル技術を単に業務の効率化や生産性向上の手段としてだけでなく、これを様々な社会課題の解決に活用していくことが極めて重要だと考えております。
京都府では既に、いわゆるデジタルトランスフォーメーション推進計画に相当する「京都府スマート社会推進計画」を昨年3月に策定しております。この計画の下で、電子申請や公共施設予約のオンライン化といった行政のデジタル化の推進はもとより、防災、スマート農林水産業、モビリティなど6つの分野において、産学公民が連携して社会のスマート化に取り組んでいるところであり、今後、医療・介護の充実や子育て環境の向上など、幅広い分野にも取組を広げてまいりたいと考えております。
また、事業の推進に当たっては、行政が解決すべき社会課題を明らかにした上で、企業や大学等の先端技術やノウハウを活用し、NPOをはじめとする様々な主体と連携するなど産学公民それぞれが持つ知恵や強みを結集していく必要があると考えております。
加えまして、個人情報の保護やデジタル技術を使ったサービスの利用が困難な方々への対応などにも十分な配慮を行ってまいります。
今後とも、京都府がリーダーシップを発揮し、企業や大学、NPO等の協力を得ながら、京都のデジタルトランスフォーメーションを積極的に推進してまいりたいと考えております。

◯秋田委員長 岡本副委員長。

◯岡本副委員長 
ありがとうございます。
知事のほうから積極的に推進をしていただけるということですので、しっかりとこの後進めていただきたいと思いますが、まずは次の質問に移らせていただきます。
次に、DXを進めるといたしましても、組織体制の整備、人材の確保、情報の収集、情報のオープン化などが重要になってくると考えております。体制の整備と人材確保については、しっかりと進めると一般質問等で御答弁をいただいておりますので、その先のお話をさせていただきたいと思います。
まず、DXを進める上で大切になるのが、膨大なデータの収集も重要なポイントになってくるのではないかと思っております。そして、その集められた膨大なデータを基に現状を把握し、社会の課題を抽出し、政策の立案、実施をすることになってまいります。ビッグデータに新たなビジネスチャンスがあり、産業そのものに変革をもたらす可能性が大きくあるのだと思っております。また、社会のスマート化を図っていく上で、ビッグデータ等を地域課題の解決に生かしていく必要がありますけれども、京都ビッグデータ活用プラットフォームにおいて、今は地域課題の洗い出しが十分にできていないというふうに聞いております。
そこでお伺いしてまいります。
本府においてDXを強く推し進めるためにも、ビッグデータ、情報の収集を京都府独自で強く進める必要があるのではないでしょうか。商工のビッグデータ活用プラットフォームだけではなく、例えば政策企画部がDX推進の中核となって、全庁的に各部局のデータを収集し、データを基にした課題の抽出を部局との連携で行い、京都府の社会課題を明確にしていただく必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。お考えをお聞かせください。
そして、行政によって明確にされた統計や業務データなどの客観的な証拠に基づいて抽出された社会課題と膨大なデータをオープンにしていくことで、社会課題解決型のビジネスチャンスも生まれ、民間の力を集めることができ、スタートアップ企業にはコロナ禍におけるチャンスともなり、産業に変革をもたらす可能性が高くなります。
さらには、ビッグデータもリアルタイムの情報をAPI化して公開するなど、企業などが実装しやすい形にしてできる限り多くのデータをオープンにする取組を強化する必要があるかと思いますが、いかがでしょうか。お考えをお聞かせください。

◯秋田委員長 西脇知事。

◯西脇知事 
官民連携によるデータを活用した社会課題の解決についてでございます。
副委員長より御指摘のありました「京都ビッグデータ活用プラットフォーム」につきましては、ビッグデータやAIを活用し社会課題の解決を行うとともに、新たなビジネス創出を目指して設置された産学公民の連携組織であり、大学研究機関、企業、市町村等の約100団体に参画をいただいております。
これまで、観光客の周遊促進やMaaS(マース)等を活用した交通に関するワーキングを立ち上げ、例えば観光客の周遊促進では、デジタルサイネージから取得した人流データの分析・活用などに取り組んできたところであり、今後も幅広い分野を対象に活動の裾野を広げていく必要があると考えております。
また、こうした活動に必要となるデータにつきましては、まずは京都府が保有するものを一元的に収集し、社会課題がより明確になるよう、その背景や要因などについて幅広く分析するとともに、必要に応じて京都府の独自調査によるデータ収集についても検討してまいりたいと考えております。
次に、データのオープン化による産業のイノベーション創出についてでありますが、京都府では、平成29年度から京都の行政機関のオープンデータを公開するサイトである「京都データストア」を開設し、AEDの設置箇所や救急医療機関の位置情報など約760種類のデータを公開しているところでございます。
一方、データを活用した産学公連携の取組としては、例えば平成28年度から府民の健康・栄養調査等のデータを集計・分析した「京の健康」を府内の事業者向けに公開した結果、スタートアップ企業が無線レーダーの技術を活用して、室内に設置するだけで睡眠状態をモニタリングし評価するシステムの開発に成功するなど、データのオープン化を契機とした新たなビジネスも生まれております。
今後とも、京都ビッグデータ活用プラットフォームを活用し、こうした成功事例をさらに増やし、様々な社会課題の解決や京都産業の活性化に向けてデータのオープン化と活用の促進に努めてまいりたいと考えております。

◯秋田委員長 岡本副委員長。

◯岡本副委員長 
ありがとうございます。
データストアに確かにたくさんのデータはあります。いい事例も出ているということで御説明をいただきましたが、例えば健康福祉部でしたら、非常に多くの府民のあらゆる健康データ等も持っているかと思います。先ほど知事の御答弁の中には個人情報には気をつけながらやっていかないといけないというようなお話もありましたけれども、例えば健康福祉部が持っている府民の健康情報というものをビッグデータとして活用することができれば、未病に役立てることもできますし、知事もおっしゃっていただように民間企業が新しいシステム、アプリを開発するなどして起業のチャンスもあるというふうに思いますので、こういった支援もしっかりと進めていっていただきたいというふうに思っております。
また、社会課題の抽出に関しましては、海外では既によく行われているということですけれども、行政が社会の課題をしっかりと明示をすることによって、スタートアップ企業などがその情報を使ってその地域の社会課題を解決していくわけです。そして、その際にスタートアップ企業というのは行政とのやり取りの経験もあまりないわけですけれども、そこで行政とのやり取りをさせていただくというだけで、スタートアップ企業に対しては実績を積ませてあげるというか、行政と一緒にやるやり方が学べるということになってまいります。そして、例えば無償提供されるような、民間がつくったようなアプリを京都府が例えば使うということになれば、それは大きな民間に対してスタートアップへの実績というふうになりますので、なかなか難しいところではありますけれども、ビッグデータを公開して社会課題を解決していく、そしてその際にスタートアップ企業なんかが力を出してくれて府民のためにもなる。行政の予算の削減にもつながったりとか。スタートアップにとっては経験を積むというような形にもなっていくと思いますので、そのあたりの取組も進めていただきたいというふうに思っております。

では、次の質問に移らせていただきます。
次に、ここまでコロナをどのようにビジネスチャンスに変えたのかについて、お伺いいたします。
本府ではこれまでに多くのコロナ対策のための経済対策事業を実施していただいており、事業再出発支援補助金、無利子・無担保・無保証料の融資制度などは、多くの方々に活用していただいているとお伺いしておりますし、本府の支援のおかげで助かったという多くの声も聞いております。
これらの支援のほか、コロナ感染拡大防止のため技術開発、製品開発、販路開拓などを支援する取組は重要です。本府にはすばらしい技術を持った企業が多くありますが、それら中小企業の技術を集めて、コロナ禍を打開するための取組に対する支援は成果を出しているのでしょうか。
高度な技術を持っている京都の中小企業ではありますが、製品の販路開拓が困難であるということや医療機器などの開発には多くの資金が必要とされていることから、コロナ感染症をチャンスに変えようとしても困難が伴うことが多くあるかと思いますので、これらの取組に対する支援の成果をお聞かせください。また、実績も出てきたと思いますが、今後の課題についても併せてお聞かせください。

◯秋田委員長 西脇知事。

◯西脇知事 
コロナ禍をビジネスチャンスに変える取組についてでございます。
京都府では、オープンイノベーションの担い手となる社会課題解決型の企業育成を目指して、スマートシティエキスポの開催や京都ビッグデータ活用プラットフォームの構築に取り組んでまいりました。
また、今回のコロナ禍における医療現場の逼迫の軽減、ビッグデータ分析による人流の解析などの緊急課題に対しても、京都府のホームページを活用して解決に名乗りを上げる企業を募るとともに、補助制度により開発費を支援した結果、医療現場で大量に必要となった医療用ガウンや高速PCR検査装置、店舗で安心して買い物をするための買い物かご自動除菌装置などの新製品が短期間で次々と開発され、京都の高い技術力や連携の力を改めて認識したところでございます。
危機克服会議では、POSTコロナ社会も想定し、こうした取組をさらに強化するための課題として、社会課題を迅速に把握するための機会の充実、その解決に必要な企業連携、産学連携を生み出す仕組みの強化、開発資金の確保などが挙げられており、まず社会課題を把握するための基盤となる京都ビッグデータ活用プラットフォームの部局連携をさらに強化してまいりたいと考えております。
さらに、企業連携によるビジネスプランの策定を支援する「知恵の共有推進事業」をはじめ、企業連携により技術開発を加速させる「企業連携型ビジネス構築事業」や、産学公連携による新製品の開発等を支援する「産学公の森」推進事業など、今議会に予算案を提案している施策も駆使しながら、京都の優れた中小企業の技術を結集させ、次代の京都経済を支える社会課題解決型企業の創出につなげてまいりたいと考えております。

◯秋田委員長 岡本副委員長。

◯岡本副委員長 
御答弁ありがとうございます。
この間、ガウンとか高速PCR検査装置とかこういったものがどんどんと民間のほうから出てきたということで、こういう困ったときだからこそ自分たちで力を出したいと思っている方々、企業さんも多くいらっしゃると思います。早い段階から、そういった企業さんが出てきたことは本当にうれしく思いますし、また京都府でそういう企業さんをサポートしていただいていることには大変心強く思っております。
一つ紹介をさせていただきますと、和装産業で大変皆さん困っている、コロナの前から結構困っておられる業界の方が、業界を何とかしたい、このコロナで困っておられる方を何とかしたいということで、着物関係の生地を買ってそれをマスクにして販売したところ非常によく売れるようになって、着物のノウハウもそこに入れながら展開をしたところ、今まで過去最大の売上げを記録されたというようなこともあったということで聞いております。その方がおっしゃっておられましたのは、やっぱりこういう時代だから発想の転換が必要であって、その発想の転換をしっかりと支援していただけるような取組というのが行政に求められているんじゃないかというようなことをおっしゃっておられました。今日は、御答弁いただきましたように、技術開発、製品開発の成果も出てきているということですので、これは引き続き続けていただきたいなというふうに思っております。
もう少しだけ時間がありますので。先ほどのビッグデータのお話もありますが、ここに関しても知事から、ビッグデータの活用を進めていきたいというお話ですとか企業連携も進めていきたいと。また、社会課題を解決していくためのビッグデータの活用も、ここの部分でも御答弁をいただきましたけれども、今、申してまいりましたとおり、発想の転換というのがこれからどんどんと進んでまいりますので、この段階で挑戦してくる企業に対するサポートというのは強くやっていただきたいと思います。デジタルトランスフォーメーションがこれからどのようになっていくのかというのは、まだ未知なところはありますけれども、知事がしっかりと強いリーダーシップを発揮していただくことで私たちの生活も大きく変わっていくほうに持っていっていただけるだろうというふうに期待はさせていただいております。
これからの取組ということですし、ビッグデータも部局間で連携しながら集めていただけるということですので、これからの取組に期待をさせていただきたいというふうに思っております。以上で終わります。