(1)地域創生の取組について
(2)府立高校入学時の保護者負担の軽減について
(3)GIGAスクール構想によるICT機器等の運用及び更新について
(4)その他

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◯秋田委員長 
次に、山本委員に発言を許可いたします。山本委員。

◯山本委員 
府民クラブ京都府議会議員団の山本篤志です。
早速質問に移らせていただきます。よろしくお願いいたします。
初めに、地域創生の取組についてお伺いいたします。
私は京都府議会議員になってから、府内それぞれの地域の均衡ある発展を目指して取り組んでまいりましたが、本府においては、平成28年度に施行した「京都府移住の促進のための空家及び耕作放棄地等活用条例」の改定の検討作業に着手されており、本定例会にも条例の失効期限を延長する改正案を提出されているところであります。
新たな条例に関しましては、これまでの本会議の中でも西脇知事は、「地域振興やまちづくりを進める重要な施策として抜本的に見直したい」でありますとか、「移住政策がまさに地域創生を牽引していくような条例になるよう検討を進めてまいりたい」など御答弁され、令和3年度当初予算の中でも、DMOによるまちづくり支援や、DMOと地元金融機関が連携して支援するファンドの活用など、様々な施策を盛り込んでいただき、コロナ禍の中にありながらも着実に地域創生を展開する姿勢に大変期待しておるところでございます。
このように、地域創生の取組が進められる上で、私が理事者の皆様に強くお願いしたいことが「地域の均衡ある発展」という点であります。地域創生の取組を進めるに当たり、頑張れる地域もあれば、財源や人材に課題を抱え、頑張りたくても頑張ることのできない地域もあると思いますので、どうか、そうした地域を本府としてしっかり支えていただき、二人三脚で取組を進めていただければと思います。
そこでお伺いいたします。
府内26市町村には、それぞれ異なる課題があります。その課題の違いにより、地域創生の取組の進捗にも差が生じてくると考えますが、知事はどのようにして、府内全域での地域創生に取り組んでいかれますか、お答えください。
また、9月定例会の本会議でも質問させていただきましたが、地域創生を推進するに当たり、取組の大きな鍵を握るのは人材であると考えております。しかしながら、規模の小さな市町村、あるいは過疎・高齢化の進む市町村ほどこうした人材が不足しているというのが私の実感であり、財源もさることながら人材の確保が急務と考えております。
そのような中、昨年10月に人材派遣型の企業版ふるさと納税の仕組みが固まり、制度概要などが公表されました。令和2年度での税制改正で企業版ふるさと納税が大幅に拡充されましたが、これに加えて、様々な企業での専門的な知識を有する人材、すなわち、なかなか小さな市町村では確保が難しい人材を受け入れることができる、またとないチャンスとなるわけでございます。
そこでお伺いいたします。
人材派遣型の企業版ふるさと納税は制度がスタートしたばかりであり、検討や人材の受入れ等、まだまだこれからだと思いますが、京都府として、また府内市町村に制度の活用を促す立場として、この地域創生に結びつく新たな制度をどのように活用していくお考えなのか、御所見をお願いいたします。まずはここまで御答弁をお願いいたします。

◯秋田委員長 西脇知事。

◯西脇知事 
山本委員の御質問にお答えいたします。
地域創生の推進についてでございます。
京都府の地域創生を推進していく上で、府域の均衡ある発展を図っていくことは最も重要なテーマであり、地域発展の基盤となるインフラ整備を進めるとともに、府内各地域の資源や特性を生かした地域づくりを進めるため、「もうひとつの京都」事業などを推進しているところであります。
また、国においても、地方創生が大きな課題となったことを踏まえ、市町村の地方創生総合戦略の策定やその実現に向けて、京都府として積極的な伴走支援を行ってまいりました。その結果、1市町村当たり全国トップレベルの地方創生推進交付金を確保してきたところでございます。
こうした中、今般のコロナ禍において、リモートワークなど場所を選ばない働き方が広がるなど、社会構造が大きく変化する兆しが出ており、こうした動きをさらに地域創生に生かしていく必要があると考えております。
このため、移住政策を農業や農村地域の振興から、より幅広い地域振興へと拡充するとともに、DMOの機能を観光中心とした産業振興だけでなく、まちづくり支援へと高めるなど、施策の充実・強化を進めているところでございます。
京都府といたしましては、引き続き市町村の目指す地域創生の取組をしっかりとサポートし、府域の均衡ある発展を推進してまいりたいと考えております。

次に、人材派遣型企業版ふるさと納税の活用についてでございます。
地域社会を担う個性豊かで多様な人材を外部から確保し、育成することは、地域創生を進める上で重要な取組でございます。
京都府ではこれまで、過疎・高齢化集落で地域づくり活動を実践する「里の公共員」や、国の制度である、国家公務員や民間人材を市町村の幹部職員として派遣する「地方創生人材支援制度」などを活用しながら、市町村で活躍する人材の確保に努めてまいりました。
委員御指摘の「人材派遣型企業版ふるさと納税」については、企業にとりましては企業ノウハウを活用した地域貢献につながるとともに、人材育成の機会となること、また地域にとりましては有為な人材を地域づくりに生かすことにとどまらず、企業とのつながりができることから、産業活性化や関係人口の増加など裾野の広い交流が期待でき、地域創生の可能性を広げるものと期待をしております。
 新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の停滞もあり、寄附を頂くことが難しい状況ではありますが、企業に対して、地域の魅力を発信するだけではなく、企業を引きつけるような貢献内容を市町村と協力して提案するなど、地域創生の推進にこの制度を積極的に活用してまいりたいと考えております。

◯秋田委員長 山本委員。

◯山本委員 
御答弁ありがとうございます。
それぞれの地域には様々な課題というのがありますけれども、それも個性であり、その個性というものを生かすことも大切であると考えております。
そして、地域創生は人というのが非常に重要なことであります。そのときに、この人材派遣型の企業版ふるさと納税、まさに地域創生の牽引役としても期待できる制度であると思いますので、京都府としてもしっかりとした取組をよろしくお願いいたします。
では、次の質問に移ります。

府立高校入学時の保護者負担の軽減についてお伺いいたします。
今定例会には、ICTを活用した学習活動を充実させ、新しい時代に必要とされる資質を身につけるためとして、府立高校で生徒1人1台のBYODによるタブレット端末の導入方針が示され、これに係る関係予算が提案されています。
ICT、タブレットによる教育の有効性については、私たちが論じるよりも子どもたち自身が既に実感しているものだと考えており、導入するという方向性については大いに賛同するものではありますが、その一方で、タブレット端末の購入は、どこの御家庭においても大きな負担となる点を懸念しております。
さきの本会議でも、「3年間の諸費の見直しで費用を抑えたい」と教育長に御答弁いただいておりましたが、入学時の初期費用で見ますと、従来の入学に係る経費に加え、端末代金6万円から7万円程度の増加が想定されています。
これに関しては、令和3年度当初予算案として、住民税非課税世帯への奨学のための給付金増額も今議会に提案されていますが、その支給は11月頃で入学時には間に合いません。
住民税非課税世帯の収入額は、地域により若干金額は異なりますが、独り親で子どもが1人の場合、給与収入で約200万円程度とされています。さらに、令和2年中の給与は昨年よりも5.5%減少すると予測されていますので、年収200万円であれば約11万円も下がっていることとなります。また、併願で私立を受験されている御家庭も多いでしょう。この時期での負担増は非常に厳しいと思われます。また、住民税非課税世帯でなくこれを上回る世帯でも、同様に厳しい状態であると考えられます。
そこでお伺いいたします。
コロナ禍において、多くの世帯が経済的にも非常に厳しい状態である中、府立高校の全ての生徒がタブレットを活用した教育を受けられるよう対策を講じる必要があると思います。例えば、タブレット端末を府が一括して調達する、支援制度を前倒しする、早期の貸付金等の案内等も必要であるかと考えますが、教育長の御所見をお願いいたします。

最後の質問になりますが、GIGAスクール構想によるICT機器等の運用及び更新についてお伺いいたします。
国の進めるGIGAスクール構想に基づき、府内においても校内通信ネットワークの整備、児童1人1台端末の整備を2023年度までに行うものとされてきましたが、コロナ感染の拡大により、学校の臨時休業等の緊急時においても、ICTの活用により全ての子どもたちの学びを保障できる環境を早急に実現するとのことで、令和2年度補正予算において2022年度内に前倒しで実現されることとなりました。
このことにより、多くの情報通信機器、ネットワーク等、いわゆるICT機器が今年度導入整備されたわけですが、ICT機器やシステムを継続して安定稼働させるには、定期的な点検、故障や障害時の早急な対応、またOS等のバージョンアップ作業や動作確認等が必要であり、またセキュリティー対策も講じる必要がございます。また、ICT機器は、一般的には5年ごとに更新するのが必要であり、その更新時には新しい技術を取り入れるタイミングでもあることから、大きな見直しも必要となります。つまり、ICT機器を運用していくには、毎年保守・運用経費、5年ごとの更新経費が必要となります。
そこでお伺いいたします。
令和3年度におけるGIGAスクール構想におけるICT機器等の保守・運用経費と、当面の5年間の保守・運用経費の見込みや経費の負担、今後の機器更新の考え方について、教育長の御所見をお答えください。よろしくお願いいたします。

◯秋田委員長 橋本教育長。

◯橋本教育長 
山本委員の御質問にお答えいたします。
府立高校における1人1台端末の整備についてでございますが、高校生になると、授業中だけではなく、家庭での自学自習など様々な場面で主体的に活用できる環境が望ましいことから、保護者が購入する、いわゆるBYODの手法での導入を予定しており、費用面においては新たな御負担をおかけすることとなります。
そうした中、購入に対する支援として、一つは京都府の修学資金の無利子貸付制度や利子補給制度を御利用いただきたいと考えており、4月に申込みをいただき、端末代金の支払いに間に合うようできるだけ早く手続を進めてまいります。また、経済的な事情により購入が困難な御家庭等に対しましては、京都府が公費で端末を購入し、条件を満たした希望者に貸し出すことといたします。
府教育委員会といたしましては、各学校から端末の貸出制度をしっかり周知するとともに、京都府や社会福祉協議会の貸付制度、コロナ禍における新入生に対する奨学のための給付金の一部早期給付制度など、保護者の収入等に応じて端末の購入資金に活用していただける各種制度を入学前の段階から積極的に案内し、不安のないように努めてまいりたいと考えております。

次に、GIGAスクール構想によるICT機器の運用等についてでございます。
今年度、各自治体において、児童生徒用の端末機器の整備を進めており、来年度、京都府においても附属中学校や特別支援学校小中学部の端末機器の保守・運用経費として、約7,000万円の予算案を今議会に提案しております。
また、府立高校の生徒への貸出用端末等の整備を来年度、約4億7,000万円で計画をしており、それに伴って保守・運用経費が一旦増えた後、令和4年度以降には平準化するものと見込んでおりますが、今後、必要に応じて保守管理内容を見直すなど、所要額を精査してまいりたいと考えております。
こうした中、保守・運用経費や通信料などが各自治体の負担となっており、市町から、こうした経費に加え次回の機器更新費用について財源措置を求める声を聞いておりますことから、京都府といたしましても、重大な課題であると認識をし、国に対して継続的な財政措置を行うよう求めているところでございます。
今後とも、市町教育委員会と連携し、子どもたちの学びが一層充実するよう、安定したICT環境の実現に取り組んでまいります。

◯秋田委員長 山本委員。

◯山本委員 
御答弁ありがとうございます。
まず、最初のタブレットの端末の購入でございますけれども、基本はやはり、教育長からも御答弁がありましたように、できる限り1人1台持っていただいたほうが、生徒さんに差がつかなくていけると思いますので、様々な支援制度、貸付制度などを御案内いただいて、何とか購入に間に合うように御努力をお願いしたいと思います。
そして、GIGAスクール構想をはじめタブレット導入も含めて、やはり未来への投資だと考えております。未来を支える子どもたちに今の大人からの投資として、ぜひとも取組をお願いしたいと考えております。よろしくお願いいたします。
そして、運用経費等につきましてですけれども、今回は大きな取組でありますGIGAスクール構想に着目して質問させていただきましたが、ICT機器の運用は多額の運用経費を必要とするものでございます。これはできれば、やはり京都府としても全体としてしっかりとした見通し、費用対効果、そしてまた運用の工夫などを考えていただきながら、確実に、今、DXという言葉も広がっておりますので、やはりこの辺は裏返しにはならないように、しっかりと見通しを立てて、考えて進めていっていただけたらなと思います。
時間はございますけれども、これで終わらせていただきます。ありがとうございます。