1 今後の府政運営について
 (1) 中小企業や小規模事業者への支援
 (2) 子育て環境日本一の取組
 (3) 今後の財政運営

2 生涯の学びと働き続けられる環境づくり及び女性の働き方支援について

3 京都の強みを生かした農業対策と新規就農者支援について

4 文化財の保護及び持続可能な地域づくりについて
 (1) 保存継承が困難な寺社仏閣への支援
 (2) 京都地域未来創造センターの地域貢献活動の成果と今後の取組

5 チーム担任制について

6 特殊詐欺の被害撲滅について

7 その他

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○北岡千はる君 府民クラブ京都府議会議員団の北岡千はるでございます。私は、会派を代表いたしまして、数点にわたり、西脇知事並びに関係理事者に質問いたします。よろしくお願いいたします。
 質問に入ります前に、新型コロナウイルス感染症で無念にもお亡くなりになりました方々の御冥福を衷心よりお祈り申し上げますとともに、療養中の皆様方には一日も早い御回復をお祈り申し上げます。そして、医療・福祉関係者の皆様をはじめ、この長きにわたり、昼夜分かたず御尽力いただいている全ての皆様に心から感謝を申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症につきましては、冬を迎えるに当たり、新規陽性者数が緩やかな増加傾向にある中、季節性インフルエンザの発生状況についても定点観測医療機関当たりの報告数は全国平均を上回っており、警戒を強めていく必要があります。
 そのような中、今定例会に提案されております補正予算案は、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行による発熱患者の増加への備えとして、休日に発熱患者の診療・検査を行う医療機関への支援や季節性インフルエンザとの同時検査キットの配布など、医療体制や相談体制の拡充により府民の安心・安全を守るための内容となっており、会派を代表いたしまして高く評価するものでございます。
 それでは、質問に入ります。
 まず初めに、コロナ禍、物価高騰等への対応や、改定される総合計画に基づく未来の京都づくりに向けた今後の府政運営についてお伺いいたします。
 今年度は、コロナ禍の長期化に加え、ロシアによるウクライナ侵略を背景とした国際的な原材料価格の上昇や円安の影響などで国内では日常生活に密接なエネルギー、食料品等の価格上昇が続き、また世界的にも景気後退への懸念が高まるなど、日本経済を取り巻く環境は厳しさを増しております。
 本府におきましても、5月臨時会での緊急対策をはじめ、6月定例会、9月定例会においても、累次にわたり補正予算を編成し、府民生活や中小企業をはじめとする事業者の皆様への支援を時期を逸せず迅速に行ってこられました。一方、府民生活や事業活動への原油価格・物価高騰等の深刻な影響が長引き、現在においても終わりが見えないことへの不安は大きくなっております。
 政府は、物価高や円安を克服し、経済再生を実現するために家庭や企業の電気料金の負担緩和策などを盛り込んだ「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を10月28日に閣議決定し、この経済対策を踏まえた令和4年度第2次補正予算案が12月2日に成立いたしました。
 これまで京都府においては切れ目のない支援を実施してこられたところですが、コロナ禍、物価高騰等の長期による府民や府内企業を取り巻く現状を踏まえれば、引き続き寄り添った支援が必要であると考えます。
 そこでお伺いいたします。
 国の動向も踏まえ、本府として今後どのような対応を行っていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 府内経済を支える多くの中小企業や小規模事業者の方が、原材料やエネルギー価格の上昇により、収益が圧迫され、厳しい経営環境に置かれております。京都府においても、小規模事業者等が行う省エネ機器やシステム導入等などの省エネ対策や、中小企業診断士等の専門家による経営相談等の経営効率化の取組を支援する原油価格・物価高騰等小規模事業緊急支援事業費を6月補正で11億円計上されました。9月補正ではさらに30億円を増額することで厳しい状況にある中小企業や小規模事業者の取組を強力に後押しする取組を実施し、当初の想定をはるかに超える申請があったと聞いております。
 また、下請企業がコストの増加分を元請企業に対して適切に転嫁していく必要がありますが、中小企業や小規模事業者は元請企業との価格交渉ができない場合が多い中、京都府としても、毎年11月の下請取引適正化推進月間に合わせて、京都府知事と京都市長の連名で府内の主要な発注企業に取引の適正化を働きかけております。
 国においても、転嫁円滑化施策パッケージや取引適正化に向けた5つの取組、その推進を進めるとともに、9月には価格交渉促進月間の周知を徹底し、発注側に対してコスト上昇分の適切な価格転嫁を促す取組を展開しています。
 そこでお伺いいたします。
 中小企業や小規模事業者を取り巻く現状と、これまで実施してきた支援策の効果についてどのように認識されておられますか。知事の御所見をお伺いします。
 京都府が抱える課題は、長期化するコロナ禍や物価高騰等への対応は最優先事項であることは言わずもがなでございますが、少子高齢化や人口減少の進展などの課題にもしっかりと対応していく必要があります。今定例会において改定する京都府総合計画の最終案が提出されておりますが、総合計画に掲げる「一人ひとりの夢や希望が全ての地域で実現できる京都府」を目指した取組を今後着実に進めていかなければなりません。
 知事は、西脇府政の一丁目一番地としてこれまでから「子育て環境日本一」の実現に向けた取組を進めてこられました。就任直後には、全庁横断で総合的な取組を進めるため、知事自らが本部長を務める子育て環境日本一推進本部を設置するとともに、令和元年度には京都府子育て環境日本一推進戦略を策定し、2040年に全国平均並みの合計特殊出生率を目指すことを目標に、出会い・結婚、妊娠・出産、保育・教育及び就労に至るまで切れ目のない支援を行うとともに、風土づくり、まちづくり、職場づくりにより総合的な施策を展開してこられております。
 特に子育てにやさしい風土づくりでは、令和3年に、子供や子育て世代を地域や企業を含め社会全体で温かく見守り支え合うため、オール京都で推進する京都府子育て環境日本一推進会議を立ち上げられ、WEラブ赤ちゃんプロジェクトの取組を推進してこられました。町なかでも「泣いてもかましまへん!」ステッカーなどもよく見かけるようになりましたし、旅券事務所や運転免許更新センター、また郵便局に子育て世代を優先するレーンを設置するなどにも取り組んでこられました。
 様々な取組を進めてこられた中、特に知事が掲げる「あたたかい京都づくり」を実現するためには、私は何よりもまず子供と子育て世代に寛容な風土をつくっていく必要があるのではないかと考えております。改定する京都府総合計画でも、子育て世代が子育て本来の喜びや楽しさを実感するとともに、「子育てにやさしい社会は全ての人にやさしい社会」であることを社会全体で肯定的に捉えていくことができる社会づくりが必要であるとされております。
 そこでお伺いします。
 子供と子育て世代に寛容で、子育てが社会全体で肯定的に捉えられるような社会の実現を前提とした場合、知事はこれまで取り組んでこられた子育てにやさしい風土づくりをどのように評価されておられますか。また、子育てにやさしい風土づくりの取組をさらに多くの府民の皆様に知っていただき、共感してもらいながら新たな行動へ移していただくため、どのように進めていかれるのか、御所見をお伺いします。
 コロナの長期化や物価高騰等の緊急対策に全力で対応しながら京都府総合計画に掲げられた施策を着実に推進していくためには大変難しいかじ取りが求められ、しっかりとした財政運営を講じていく必要があると思います。
 京都府の財政は決してよいとは言えないのが現状です。地方公共団体の財政状況を客観的に表し、財政の早期健全化や再生の必要性を判断する財政指標、いわゆる財政健全化指標を見ますと、令和3年度決算において公債費負担の大きさを表す実質公債費比率は15.9ポイントで全国44位、将来の債務負担等の大きさを表す将来負担比率は270.8ポイントで全国45位となっており、全国的に見ても京都府の財政はかなり厳しい状況だと思います。これらの数字はまだ国が定める早期健全基準や財政再建基準までは至ってはおりませんので直ちに再建団体に陥るといったような状況ではありませんが、悪化が続かないようにしなければなりません。
 また、京都府においては財政調整基金の残高もほとんどなく、緊急的な対応が必要となる際には非常に難しい財政運営のかじ取りをしないといけないのが現状です。
 ただ、だからといって京都府が綱渡り的に財政運営をされているのではなく、これまでから行財政改革の取組を行うとともに、今般のコロナ禍や物価高騰等の有事においても国の財源等を最大限に活用した時宜にかなった予算編成など、ビジョンを持った財政運営をされているところです。
 今後も長期化が懸念される中、物価高騰等への対応や改定される京都府総合計画の着実な推進と、強固な財政基盤を確立し、安定的な財政運営の実施の両立を図っていくことが必要と考えます。そのためにはしっかりと財源を確保することが重要であり、国に対し、地域のニーズに合った自由度の高い財源確保について求めていくとともに、京都府としても自らも財源確保に努める必要があると考えます。国庫補助金であっても、省庁の枠を超えて一括交付金のような仕組みで、地域の実情に合わせ、地域の判断で必要な事業を執行できるような形が理想とも言えます。
 そこでお伺いします。
 現下のコロナ・物価高騰への対応、未来の京都をつくるため、改定後の京都府総合計画に記載された内容の事業化を行うことに加え、財政健全化指標の改善等による安定的な財政運営を行っていくためには何より安定した財源の確保が必要と考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、また国に対しても地域の使い勝手のよい財源の確保を求めるべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 まずはここまでの御答弁をよろしくお願いいたします。

◯議長(菅谷寛志君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 北岡議員の御質問にお答えいたします。
 北岡議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして今回の補正予算案に高い評価をいただき、厚く御礼を申し上げます。
 国の総合経済対策を含めた今後の対応についてでございます。
 議員御指摘のとおり、我が国の経済は、エネルギー、食料品等の価格上昇が国民生活や事業活動に大きな影響を及ぼしていることから、国においては「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を踏まえた令和4年度第2次補正予算が12月2日に成立をいたしました。
 京都府といたしましても、累次にわたり補正予算を編成し、議会の御議決をいただきながら、原油価格や原材料費の高騰等により影響を受ける府内中小企業や農業・畜産業者への支援や、幼稚園等における給食費の保護者負担の軽減など、府民生活や府内事業者に寄り添った対策を講じてまいりました。11月2日の9月定例会の閉会日においても、原油価格・物価高騰等の影響が長引く現状を踏まえ、医療機関や社会福祉施設等の光熱費負担の軽減や、年末に向けた府民生活支援として子供の居場所等を通じた食料品・生活必需品の配布に加え、就労環境の変化や生活不安などに係る相談体制の確保などを盛り込んだ補正予算を提案し、御議決いただいたところでございます。
 長期化するコロナ禍や原油価格・物価高騰等の影響については、いまだ予断を許さない状況が続いております。引き続き、感染状況や経済情勢を注視し、時期を逸することなく、府民の皆様、事業者の皆様に寄り添った、きめ細やかな対策について、国の経済対策を最大限に活用しながら講じてまいりたいと考えております。
 次に、中小企業を取り巻く現状と支援策の効果についてでございます。
 日銀京都支店の11月の経済概況によりますと、個人消費や観光は「感染症による下押し圧力が和らぐ下で持ち直している」。生産は「基調としては緩やかに増加しているものの、一部に弱い動きが見られている」とされております。また、京都府中小企業団体中央会の10月の報告によりますと、小売業やサービス業で「多くの観光客が来られ、需要は大きく伸びた」といった声がある一方で、製造業を中心に「円安による輸入価格の高騰が経営を圧迫している」「電力・エネルギーの高騰により、採算性は後退しつつある」といった声も上がっております。
 中小企業を取り巻く環境は、個人消費や観光を中心に持ち直しているものの、原油価格・物価高騰の影響は引き続き予断を許さない状況が続いているものと認識しております。
 この間、京都府では、無利子・無担保・無保証料の融資に加え、製造業、伝統産業、商店街など、業種別の実情を把握し、販路開拓や経営の効率化を図り、利益を確保できるよう、きめ細かく支援してきた結果、厳しい状況の中でも、新商品開発や新たなビジネスモデルの構築など前向きな動きも出てきております。
 また、物価高騰の影響が小規模事業者により大きく出ていることから、議員御紹介の原油価格・物価高騰等小規模事業緊急支援事業では、業種の枠を外し、補助率も高い制度設計としたことが評価をされ、当初の想定を大幅に超える約1万4,000件もの申請をいただいたところでございます。事業者からは「年間消費電力量が大幅に削減できた」といった声を伺っており、長期的なコスト低減により経営体制の強化につながっているものと考えております。
 今後とも、中小企業の経営を守るため、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、子育てにやさしい風土づくりについてでございます。
 京都府では、子供が社会の宝として地域の中で温かく見守られ、健やかに育ち、子供の生き生きとした姿と明るい声が響き渡る社会をつくるための取組の一つとして、子育てにやさしい風土づくりに取り組んでまいりました。具体的には、子育て環境日本一サミットにおいてWEラブ赤ちゃんプロジェクトの賛同宣言を行い、「泣いてもかましまへん!」の言葉の下、様々な企業・団体と連携し、普及啓発事業を展開したことで、スマートフォン等へのステッカー貼付、ラッピングバスの運行、商店街の協力を得たフラッグ掲出など、様々な方に子育てにやさしい風土づくりへの御協力をいただけるようになりました。また、このように子育て世代を温かく見守り支える機運が高まるにつれて、京都駅等での可動式ベビーケアルームの設置や商店街でのおむつ回収機の設置など、より多くの方の御協力をいただけるようになっております。
 今定例会で御審議いただくこととしている新たな総合計画においては、「社会で子どもを育てる京都」の実現に向け、子育て環境日本一の取組を進化させることとしているところでございます。これは、私自身、様々な方との対話を重ねる中で、社会全体が子育ての主体であり、責任や負担も分かち合うという将来の到達点として掲げたものでございます。国全体がそのような社会になることも見据え、まずは京都から社会で子供を育てるための仕組みづくりなどを行ってまいりたいと考えております。
 具体的には、WEラブ赤ちゃんプロジェクトを地域のイベントなどあらゆる機会を捉えて府域全体に展開するなど、これまで行ってきた取組を進化させるとともに、飲食店等で塗り絵や離乳食を提供するなど、子育て世代の外出に伴う負担の軽減に資するキッズフレンドリーな取組の展開や、地域の交流拠点等において大学生が子供の面倒を見たり勉強を教えたりするなど、社会で子供を育てる具体的な行動の優良事例の募集と横展開など、社会で子供を育てるための新たな取組を多くの府民の皆様の協力と共感をいただきながら進めてまいりたいと考えております。
 次に、今後の財政運営についてでございます。
 令和3年度決算における財政健全化指標は、実質公債費比率が15.9%、将来負担比率が270.8%となっております。早期健全化基準や財政再建基準といった財政健全化法に定める基準に達する状況ではございませんが、議員御指摘のとおり、全国的に見ても京都府の財政状況は厳しい傾向にございます。加えまして、長引くコロナ禍や原油価格・物価高騰等による京都府財政への影響も先行きが不透明な状況にあると認識をしております。
 一方で、今定例会において提案させていただいております次期総合計画に掲げる将来像の実現に向けましては、人口減少、少子高齢化への対応や京都産業の持続的成長、京都文化の継承と創造など、様々な課題に取り組むための財源をしっかりと確保していくことが重要となります。
 京都府では、行財政改革プランに基づき、人件費の削減や府民ニーズに即した事業の見直し、さらには未利用地の売却等を行い、財源確保に努めているところでございますが、社会保障関係費の累増やデジタル社会の推進、脱炭素社会の実現などの新たな課題への対応等により今後も厳しい財政状況が見込まれることから、国においてもさらなる財源確保が必要だと考えております。このため、国に対して政策提案を行いますとともに、全国知事会等を通じて財源確保について要望してまいりました。その結果、「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」の創設や、総額15兆円規模の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の決定、恒常的な感染症対策に必要な保健師の増員に係る地方交付税措置の創設など、一定の成果につながっているところでございます。
 今後とも、さらなる財源確保に向けてあらゆる機会を通じて国へ働きかけますとともに、行財政改革プランを着実に実施し、持続可能な財政運営に努めてまいりたいと考えております。

◯議長(菅谷寛志君) 北岡千はる議員。
   〔北岡千はる君登壇〕

:◯北岡千はる君 御答弁ありがとうございました。
 まず、中小企業、小規模事業者の取組の支援。もう私が言うまでもなく、大変な状況ということはよく承知されていて、様々な手だてを打っていただいていることを感謝申し上げますし、先ほども「今後とも時期を逸することなく」ということと「きめ細かく寄り添い支援をしていく」と。ここが本当に肝になってくると思いますので、どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
 それと、事業者の皆さんに評価を得ております原油価格・物価高騰等小規模事業緊急支援事業。早くから「これをもっと延長してほしい」というお声もありまして、先々を見た状況の中でもっと先にもこの支援が必要だというお声をたくさん聞いております。後ほど財政のこともあるんですけれども、国にも働きかけていただいて、中小企業、小規模事業者を助けられる、それもスピーディーにその効果があるというようなことにつきましてぜひまた御検討いただきたいと思います。
 それから、子育てにやさしい風土づくり。ステッカーのことも含め、様々にお取組も御紹介いただきました。社会全体で子供を育てる、これは本当にすばらしいことと思いますし、そういう基本的な考え方でもって、子育てにかかる費用とか、そういったことについてもいい状況に国がしっかりと予算立てをしてくるというふうにつながることを信じていきたいと思います。
 また、風土づくりもですけれども、この先、子育て家庭の費用の負担軽減についてもより一層充実することを願いたいと思いますし、期待申し上げたいと思います。
 先ほどの質問の3点目、財政運営。本当に厳しいかじ取りだと思います。厳しい財政状況でありながら、そこへコロナ禍、また物価高騰、原油高ということで大変な状況の中のかじ取り役は大変だと思いますが、安定した財政運営のための安定的財源確保、これに尽きますので、知事の手腕に期待を申し上げたいと思いますし、しっかりと私どもも応援をしていきたいというふうに思いますので、引き続きよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、次の質問に入ります。
 次に、誰もが生涯学び、働き続けることのできる環境づくりと女性の働き方支援について質問いたします。
 京都府では、人生100年時代を見据え、セカンドステージを迎えられる中高年の方々が様々な分野で生涯にわたって活躍し続けることができるよう、昨年の8月、京都府生涯現役クリエイティブセンターを開設し、各種ニーズに対応した幅広いリカレント研修プログラムの実施のほか、キャリア相談や情報収集・発信も随時行ってまいりました。
 研修プログラムは、1)デジタルトランスフォーメーション(DX)等、産業構造の変化に対応した柔軟な人材育成のための在籍企業でスキルアップを目指すコース、2)中小企業の問題解決や起業について学び、新しい環境を目指すコース、3)企業に軸を置きながら、福祉、災害や農業等、地域活動を支える人材など、地域貢献を目指すコースの3つの研修を実施されています。
 私は、さきの2月定例議会にて、この事業を評価するとともに、今後の計画や展開をお聞きいたしました。知事は、御答弁の中で「6か月間で2,200人を超える受講者が研修等に参加され、自らのライフデザイン構築に取り組んでいただき、再就職につながるなど、着実な成果が出ている」との御報告に加え、産業界からは、DXなど時代の変化に対応できる研修内容としてほしい、また若手社員や子育て中の女性も学べる機会を提供してほしいなど、多くの意見が寄せられていることもお聞きいたしました。そして、様々な御意見や御要望を踏まえ、幅広い年齢層の方々を対象に、ライフステージに合わせたスキルアップができる全世代型のセンターへと発展させていきたいとのお考えをお聞かせいただき、大いに期待するものでございます。
 そこでお伺いいたします
 京都府生涯現役クリエイティブセンターを全世代型のセンターへと発展させるための具体化に当たっては、産業界、労働者団体、大学の代表者から成る経営戦略会議を設置して検討を始められ、同会議の基本戦略に基づき、支援や研修、プログラム開発等に取り組まれていると存じますが、その成果及び今後の具体的取組についてお示しください。
 併せて、コロナ下において大きな影響を受けた女性の働き方支援について質問いたします。
 国においては、2020年11月、内閣府の「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」緊急提言がなされました。
 その内容は、「新型コロナウイルス感染症の拡大は、特に女性への影響が深刻であり、『女性不況』の様相が確認される。女性就業者数が多いサービス産業等が受けた打撃は極めて大きく、厳しい状況にある。事実、2020年4月には非正規雇用労働者の女性を中心に就業者数は対前月で約70万人の減少(男性の約2倍)となり、女性の非労働力人口は増加(男性の2倍以上)した。DVや性暴力の増加・深刻化、予期せぬ妊娠の増加が懸念され、10月の女性の自殺者数は速報値で851人と、前年同月と比べ増加率は8割にも上る。シングルマザーからは、収入が減少した、生活が苦しいとの切実な声が上がっている。医療・介護・保育の従事者などのいわゆるエッセンシャルワーカーには女性が多く、処遇面や働く環境面が厳しい状況にある。感染症による差別も報告されている。緊急事態宣言下の休校・休園は生活面、就労面において特に女性に大きな負の影響をもたらした。テレワークについては、その普及と充実に向けて対応すべき課題は少なくない。女性の家事、育児等の負担増に留意するとともに、エッセンシャルワーカーをはじめテレワークの導入が困難な職業に従事する方々の状況をしっかり受け止める必要がある」となっております。
 京都府では、今年4月には京都ウィメンズベースを京都テルサに移転させ、女性支援拠点を集約し、複合的な要因の相談にもワンストップで対応できるよう相談窓口を一元化されるなど、コロナ下において厳しい状況に置かれた方々にも配慮いただいております。女性に深刻な影響が出ている今だからこそ、さらに女性の困難さに向き合い対策を講じることが必要と考えますが、とりわけ次の2点についてお聞かせください。
 コロナ下において京都テルサのワンストップ拠点には、女性の就業相談や家庭内の問題など、様々な相談が寄せられているとお聞きをしておりますが、具体的な相談内容及び京都府としてどのように対応されているのか、お聞かせください。
 さらに、過日の報道によりますと、日本政策金融公庫の2021年度分の新規事業者向け融資のうち、30代以下の若年女性の利用者が前年度比で4割伸びているとありました。不安定な雇用に身を置くより、家庭との両立を念頭に、自分のスキルを生かした起業に活路を見いだす女性の姿が浮かんだと報じられております。
 京都府ではこれまで女性起業家賞を実施してこられ、本年で11回目となるところです。成長が見込まれる有望な女性起業家の発掘や長期的な支援については、経済施策、商工業施策の観点からも重要と考えます。
 京都府総合計画の改定案において「世界に伍するスタートアップ・エコシステムの展開」として様々な方策を掲げておられます。例えば、女性の健康や悩み、課題等をテクノロジーで解決するフェムテック分野等については、女性が自らの経験を生かして参入しやすい分野とも言えます。京都駅等に設置された可動式ベビーケアルーム「mamaro(ママロ)」もスタートアップ企業が開発したと聞き及んでおり、短期間で急成長が求められるスタートアップ企業として、建設やエネルギーなどの大きな規模の産業でなくても、女性の視点を生かして参入できることを実感いたしました。
 しかしながら、去る12月3日に開催された国際女性会議WAW(ワウ)!のコンセプトノートでは「女性による起業の多くは小売やサービス業を中心とする小規模ビジネス」であり、その背景には、「女性が起業することについての理解が社会文化的に理解されず、そのために、人脈が構築しにくく事業機会や業界の情報を入手しづらい等のハードルに直面」しているとなっております。その課題克服のため、地方公共団体も、関心のある方々への起業基礎講座や創業融資相談、マーケティング等の勉強会を開催する等の支援の枠組みが拡充してきていると伝えられておりますが、京都府における現状はいかがでしょうか。また、今後、総合計画を具体化される中でスタートアップ・エコシステムに女性への支援をどのように組み込んでいかれるのでしょうか。知事の御所見をお聞かせください。
 次に、京都の強みを生かした農業対策と京都府の農業を担う人材の育成(新規就農)について質問いたします。
 まず京都府農業の現況でありますが、農業従事者数はこの30年間で約6万8,000人減少し、現在では約3万人まで落ち込み、そのうち60歳以上の占める割合は約70%と高齢化も進展しております。また、農業算出額もこの30年間で、野菜は増加しているものの、全体では約17%減少するなど、京都府農業を取り巻く状況は厳しさを増しております。
 また、中山間地域が7割を占める京都府の地理的要因から小規模な農業経営が多く、京都府としては安定的な経営のために収益性の高い農業を推進してこられました。1つには、府内産農林水産物のブランド化であります。平成元年から、京のブランド産品に認証された京野菜などをフラッグシップに、高級飲食店やデパートを中心とした販路拡大によりブランド力を強化し、その結果、野菜の算出額はこの30年間で約36億円増加したと聞いております。2つには、実需や消費者のニーズに応じた生産を図り、例えば京都の日本酒業界からの求めに応じて昭和50年頃に途絶えた京都独自の酒造好適米「祝(いわい)」を復活させ、生産拡大に取り組み、業界に供給されるなどの成果を上げてこられました。
 そこでお伺いいたします。
 近年のライフスタイルやコロナ禍による消費者ニーズの多様化等により、健康志向や環境に配慮した食、いわゆるエシカル志向の高まりでオーガニック市場の急拡大などが見込まれる中、京都府におかれては、これまでの事業成果を踏まえ、収益性の高い農業の推進に向け、どのように取り組まれていかれるのか、お聞かせください。
 併せて、国際情勢の影響により輸入に依存する肥料価格が高騰し、今年の秋肥は基準銘柄の高度化成肥料が前期に比べて55%の値上げ、来年の春肥はさらに10%値上げと聞いておりますが、京都府農業経営に大きな影響を及ぼす状況への対策についてもお聞かせください。
 続いて、新規就農支援についてお尋ねいたします。
 京都府は、専業農家に加え、定年帰農者、移住者など、農業・農村を支える多様な担い手の確保・育成が急務とされ、様々な対策を講じておられます。
 新規就農支援については、1)農林水産業ジョブカフェでの相談対応、2)就農前の農業法人等によるOJT研修や給付金の支給等、3)就農後のフォロー研修や農業経営の開始に必要な資金の斡旋等、多彩な制度を用意いただいております。
 これら支援のほか、先輩農業者をはじめ、地域の方々との関係づくりも大切で、農業改良普及センター等、府職員の皆様が親身に御対応いただいていることに対して新規就農者の方々から感謝の言葉も聞いております。
 そこで、まず京都府の新規就農者数の動向及び課題についてお聞かせください。
 私は、就農を決断し、日々尽力される方々からこれまでの歩みや現況についてお聞きしてまいりました。亀岡市内のイチゴ農家の方は、農業ビジネスにチャンスを感じ決断され、科学的見地を基に付加価値の高いイチゴ栽培と販売、6次産業としてのジェラート販売等に加えて農業支援会社の設立もされております。また、京都市内の野菜農家は、有機農法を学び、オーガニック市場に参入したいと若手農家と連携し、加工品にも着手されています。また、ある子育て世代の方は、コロナ禍で働き方を見直し、家族との時間を多く取りたいと研修地を探し、貯金を元手に付加価値の高い作物を作り、ネット販売をし、将来は海外への展開もしたいとお聞きしております。各人の動機は様々ですが、共通の思いは、1次産業の大切さや仕事としての農業のすばらしさから新規参入し、また経営次第で大きなチャンスがあるということです。
 併せて、様々な課題についてもお聞きし、改めて、もうかる農業、魅力ある産業としての農業に向けて、より戦略的な対策の必要性を痛感したところです。
 農家になるという難しさの第1は農地の確保であり、地域の農業関係者や行政、ネット検索等、あらゆる手だてで探すこと。第2は、確保した農地に適した作物は何か、日射量や気温など気候との適合性を科学的に判断するとともに、栽培技術の勉強や実地研修を重ねること。第3に、マーケットを読み、高く売れる仕組みづくりを考え、活動すること。第4に、6次産業として加工品を生産し、収益を拡大。第5に、資金確保や税務処理、補助金申請等の事務手続等々であります。
 京都府では、さきに述べましたとおり、相談から就農後のきめ細かな取組をされていますが、より一層もうかる農業、魅力ある産業としての農業を推進し、農業の担い手を増やすためには、さらにタイムリーな情報入手や科学的見地による作物の選定と栽培、マーケットを先読みした戦略的な販売とそのノウハウの伝授等のサポートが必要だと考えます。
 そこで、新規就農者の方々のネットワークの強化並びに戦略的農業経営をサポートでき得る民間との連携づくりについての御所見をお聞かせください。
 ここまでの御答弁をお願い申し上げます。

◯議長(菅谷寛志君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 生涯の学びと働き続けられる環境づくり及び女性の働き方支援についてでございます。
 人生100年時代を見据え、セカンドステージを迎える中高年の方々が生涯学び、生きがいを持って働き続けられる環境づくりに向け、昨年8月、京都府生涯現役クリエイティブセンターを開設いたしました。
 センターには、運営方針や事業戦略を検討するため、産業界、労働者団体、大学代表者による経営戦略会議を設置しており、「幅広い世代への支援が必要」「女性のキャリア形成も重要」などの御意見を頂戴しております。
 御意見を踏まえまして、今年度からはコミュニケーション力を高める若者向け研修やDXの活用を学ぶ女性向け研修を実施いたしますとともに、オンラインでも学ぶことができる環境を整備した結果、開設から本年10月までに9,000人を超える利用がございました。また、研修受講者の84%に満足いただき、約90名の再就職につながるなど、着実に成果が出ているところでございます。
 今後は、さらに30代、40代にも支援の対象を広げることで全世代型センターに発展させていきたいと考えております。そのためには企業や受講者の多様なニーズに応える必要がありますが、当センターだけでは取り組むことは難しく、多くの企業、大学との連携が不可欠となることから、大学等54団体から成る「京都府リカレント教育推進機構」を本年7月に設置いたしました。現在、リカレントプログラムの開発に向けて、5つの部会に分かれ検討を始めており、例えば若手・中核人材養成部会では「座学に現場実習を組み合わせた実践的な研修が必要」、地域・社会貢献部会では「自治会活動の活性化につながるファシリテーション能力の向上が必要」といった御意見をお聞きしております。
 引き続き実践的なプログラムの開発を進め、当センターがより充実したリカレント教育を提供することで府民誰もが生涯にわたって活躍し続けることのできる共生社会づくりを推進してまいりたいと考えております。
 次に、女性活躍を支援するワンストップ拠点での相談対応についてでございます。
 コロナ禍で様々な困難を抱えていることなどにより女性からの相談件数が増加傾向にある中で、京都府としては、議員御紹介のとおり、令和4年度から女性活躍のための支援機能を京都テルサに集結させ、幅広い相談内容に対応できる体制の整備を図っているところでございます。
 京都テルサのワンストップ拠点においては、例えば雇用に係る相談につきましては、京都ジョブパークと連携し、仕事と家庭が両立しやすい企業情報などを案内し、迅速に就業につなげているところでございます。
 また、相談の多くは、家族や周囲の人間関係の問題など、複雑な要因が絡んでいるものであり、こうした相談には粘り強く話をお聞きし、例えば子供の将来に対する不安には、相談者本人の不安を取り除きますとともに、就職のためのキャリアカウンセリングを提案する。また、コロナ禍での生活環境の変化による離婚相談には、弁護士による法律相談のほか、家族関係についてのカウンセリングが受けられる民間の専門相談窓口を紹介するなど、相談内容に応じて様々な資源を活用し、柔軟に対応しております。
 京都府といたしましては、今後とも、ワンストップ拠点の強みを生かし、内容によっては、医療や福祉など、より専門的な窓口とも連携をし、相談者に寄り添ったきめ細かな支援を行い、女性が抱える複合的な課題に適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、京都府における女性の起業支援についてでございます。
 女性の起業は個性と能力を生かした活躍の場であり、共生社会を実現するための社会課題の解決にもつながるなど、地域や経済の活性化を図る上でも極めて重要であると認識しております。
 京都府においては、平成24年から議員御紹介の女性起業家賞を実施しており、女性アントレプレナーサポートチームがビジネスプランの磨き上げから伴走し、500名を超える女性の支援を行ってまいりました。しかし、起業された方の中には一層の飛躍を図るための資金調達や人脈の拡大に課題を抱える方も多いことから、議員御指摘のスタートアップ・エコシステムを活用した支援が求められているものと考えております。
 このため、昨年10月からは京都経済センターのオープンイノベーションカフェ「KOIN(コイン)」に女性コンシェルジュを設置し、多くの女性の相談に対応しております。また、今月23日からは、起業した女性同士の間で課題や悩み、成功した体験や秘訣を共有するコミュニティー「サロン・ド・こまち」を開設することとしております。さらに、このコミュニティーに、投資家やアクセラレーターなど、スタートアップ・エコシステムの支援機関も参画していただき、事業の発展や成長を後押ししてまいりたいと考えております。
 今後とも、女性起業家が自らの意欲と能力を生かして夢や志を実現できるよう、サポート体制を強化し、世界で活躍する女性ユニコーン企業が生まれるようなスタートアップ拠点づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、収益性の高い農業の推進についてでございます。
 京都府は中山間地域が多くを占め、規模拡大が難しいことから、収益性の高い農業を展開するためには京野菜等の高収益作物の導入と京都の知名度を生かしたブランド化の推進が重要でございます。これまでに、九条ねぎや万願寺とうがらしなど、31品目を「京のブランド産品」に認定し、産地育成をするとともに、高級市場をターゲットとした販売戦略を進めてきた結果、京野菜全体の認知度が向上し、生産額を大きく伸ばしてまいりました。
 しかしながら、人口減少による需要の低迷や国内各地との産地間競争の激化、さらにはコロナ禍に伴う需要の減少などを踏まえますと、今後とも農業の収益性を維持していくためには、消費者の求める健康機能性や環境に配慮した取組により、さらなる高付加価値化を図り、ブランド力を高める必要がございます。そのため、高リコペン金時ニンジンなど機能性を付加した新品種の開発、オーガニック野菜や化学肥料・農薬を低減した米のPRなどを通じた消費者理解の促進と販売価格の向上に取り組んでまいりたいと考えております。
 さらに、農業の収益性を高めるには省力・低コスト化と高品質化の両立が必要であり、水管理の自動化やドローンによる農薬肥料の散布などのスマート技術の導入・普及を一層進めてまいりたいと考えております。
 今後とも、中長期的な視点に立ち、社会情勢の変化にも対応できる収益性の高い農業を推進してまいりたいと考えております。
 また、長期化する輸入化学肥料の高騰に対しては、国に先立ち、5月補正予算により、施肥量の適正化や、府内の畜産堆肥など、有機質肥料への転換を図るための京都府独自支援を講じたところでございます。その後、価格高騰分の7割を補填する国の緊急対策が講じられたことを受け、9月補正予算により京都府独自支援の期間延長などの要件緩和を図ったところであり、化学肥料を低減した栽培方法への移行による府内農業者の負担軽減を実現してまいりたいと考えております。
 次に、新規就農に対する支援についてでございます。
 農業者の高齢化と減少が進む中、将来の京都府農業を支える新規就農者を確保することが極めて重要な課題であり、これまでからワンストップ窓口での就農相談や就農準備のためのインターンシップ、農業大学校による人材育成、さらには就農後の定着を図るための支援を実施しているところでございます。
 こうした取組の結果、京都府内の新規就農・就業者は毎年150名を超え、令和3年度においても164名が営農を始めたところでございますが、特に非農家からの新規参入者にとっては安定生産のための栽培技術の向上や所得確保のための販売力強化が課題となっており、きめ細やかな対応が必要であると考えております。このため、就農直後から経営がいち早く軌道に乗るよう、農業改良普及センターによる就農直後のフォローアップ研修や、経験不足をカバーするスマート農業技術の導入支援、販売戦略の策定に向けた専門家派遣などの取組を引き続き充実させてまいりたいと考えております。
 さらに、経営者としてステップアップしていただくために、戦略的な経営手法を習得するための農業経営塾や、経営相談や事業拡大に向けた人脈づくりのための農業法人経営者会議への加入の促進、新たな販路開拓と商品力向上のためのビジネス商談会などの取組を強化してまいりたいと考えております。
 今後とも、新規就農者が定着し、経営発展できるよう、関係機関とともに全力で取り組みますとともに、定年帰農者や移住者などの多様な担い手の確保も併せて進めることで持続可能な京都府農業を展開してまいりたいと考えております。

◯議長(菅谷寛志君) 北岡千はる議員。
   〔北岡千はる君登壇〕

◯北岡千はる君 丁寧な御答弁をいただきました。ありがとうございました。
 京都府生涯現役クリエイティブセンターですけれども、本当にたくさんの方に御利用いただいているということで、それだけ評価が高いというふうにも考えます。また、先ほどおっしゃっておられました全世代型センターに発展するということで、これだけ御利用があるということはここに対して様々な期待とか要望とかリクエストが入ってくるのかなと思いますので、ぜひぜひより一層充実したセンターということで皆様方から欲される、ここに来れば学べて就職につながる、そして自身の人生観もより高いものになっていくというリカレント教育ができる拠点として評価されるように発展することを願っております。
 女性の働き方につきましては、女性の生きづらさのことも先ほどお話しさせていただきましたが、おっしゃるとおり、本当に複合的な課題がありますので、まずは女性の生き方の相談窓口、ワンストップで丁寧に相談に乗っていただいているということで感謝申し上げますし、今後ともよろしくお願いします。
 女性の起業支援でございますが、本当にいろんな制度とか支援もあるんですけれども、よりきめ細かく伴走支援をしていただきたいということ。そして、知事がおっしゃいました女性のユニコーン企業ですね。これが生まれると、大変うれしいなと思います。この京都からぜひ生まれるように支援をしていただきたいということで御期待申し上げます。
 農業の担い手のことですけれども、様々な支援メニューはあるんですが、新規就農者の方が「この情報はどこか、この情報はどこか」というのではなくて──まあ、そういうふうにはなっているんでしょうけれども、より分かりやすく、一元的にサポートできるような体制整備・充実に工夫を凝らしていただきたいと思いますし、民間の様々なノウハウもぜひ活用いただきたいと思います。
 それから、この農業につきまして1点要望させていただきます。
 担い手育成については2つありまして、京都府立農業大学校。ここは指導者もすばらしいですし、来られる生徒さんたちも意欲を持っていらっしゃるんですけれども、何しろ農機具が大変古いということで早くよろしくお願いします。どれがどれとは言いにくいのでこれ以上申し上げられませんけれども、学びたい意欲がそがれるようなものではいけないので、そういう農機具については十分整備をしていただきたい。もちろん施設については老朽化しております。この辺のところについても御検討いただきたいと思います。
 また、老朽化で申し上げますと、教育長に申し上げておきたいんですけれども、京都府立農芸高等学校。ここも先生方が情熱を持って指導に当たっていらっしゃいますし、寮も整備されております。ここは、農機具はすばらしいものがそろっておりますけれども、女子寮がないということで、ここも老朽化の対策、改修をされるときには女子寮の整備もぜひお願いをしておきたいと思います。
 いずれにいたしましても、農業をしたいなという方、農業だけじゃなく1次産業に従事したいなという方の意欲がそがれないような環境、そういった施設の整備等もお願いをしておきたいと思います。
 時間がありませんので、次に進ませていただきます。
 京都の文化を次代に継承・発展し、持続可能な地域づくりを目指す取組について2点質問いたします。
 まず1点目は、京都の文化をつないでいく役割を持つ文化財の保護についてであります。
 長引くコロナ下にあって地域の祭事等が縮小または中止を余儀なくされている中、今年は、コロナ感染防止対策を講じつつ、京都の三大祭や三大奇祭をはじめ、府内各地で様々な行事が催行され、久しぶりに笑顔あふれる地域の活気を感じました。現在はコロナの影響が大きいところですが、そもそも観光振興にも寄与する祭事等の文化財の保護・継承については必要な資金の捻出に大変苦慮されているお話を耳にいたします。
 京都府では、去る11月8日に報道発表された未指定文化財の修理事業等101件に対し6,498万円の交付決定をされ、昭和37年度の制度開始からの累計は延べ7,923件、総額40億2,150万円になると伺っております。また、平成20年からふるさと納税制度を活用した「文化財を守り伝える京都府基金」を設置し、寄附金の全額を京都府内の文化財保護に限定し活用するという全国唯一の特色ある事業を推進され、平成21年度から令和3年度までの13年間において251件、総額2億1,210万円余りを支出し、文化財を所有する方々から感謝のお言葉をいただいていると伺っており、評価するものでございます。
 しかしながら、数多くの寺社仏閣を有する京都ですので支援しなければならない額にはとても及ばない額であり、とりわけ規模の小さな保存・継承が困難な寺社仏閣への支援も待ったなしの状況であります。これまでは個人のふるさと納税のお願いが中心でありましたが、京都のファンである企業等に協力を求め、企業版ふるさと納税を活用し、京都府が積極的に支援していくべきではないかと考えます。そのためには、企業が魅力を感じ、寄附をしようと思っていただけるような事業を京都府が発案し、府外企業にも協力を求めるべきと考えますが、知事のお考えはいかがでしょうか。お尋ねいたします。
 2点目は、京都府立大学京都地域未来創造センターの地域貢献活動の成果と今後の取組についてお尋ねいたします。
 京都地域未来創造センターでは、地域住民の皆様、企業・団体等との連携を深め、地域の文化や産業の振興などに地域社会の発展に貢献する活動を行われています。そして、その象徴である地域貢献型特別研究(ACTR(アクター))は、公募した多様な課題について地域の関係者と協同して調査・研究を行い、共に解決策を考えるという研究を18年間積み重ね、令和3年度も21件の研究成果を報告されております。
 その中で、地域文化財を活用した山間地区コミュニティーの維持方策の研究では、京都市左京区の北部山間地区における独自の祭礼や行事等、伝統行事が地域コミュニティーの核として生活と一体となって執り行われていること及びその継続の困難な実情について9団体への聞き取りやアンケート調査、各地元の方々との座談会形式での議論をし、地域づくりと文化財保存・活用の両輪の重要性について調査・報告されております。その中の一つ、「久多の花笠踊」が無形文化遺産登録との報道は大変喜ばしいことでございました。改めて、地域文化財が地域コミュニティーの形成に大きく影響しているとともに、存続・継承への様々な支援の必要性を再確認した次第です。
 京都地域未来創造センターは、地域の文化・歴史・伝統に基づく「こと」づくりをはじめ、持続可能な地域づくりにつながる活動を通じ、府内各地に多大な貢献をされていることを評価し、今後の取組にも期待するものであります。
 そこでお聞きいたします。
 京都地域未来創造センターにおける地域貢献活動の今後の取組についてお聞かせください。併せて、同センターのミッションとされております「地域に貢献するために必要な人材の育成」に関して今年度からまちづくり人材育成プログラムをスタートされておりますが、その狙いと今後の事業実施についてお聞かせください。
 次に、京都市立岩倉北小学校にて今年4月から導入されておりますチーム担任制について具体的取組方針や内容を御紹介し、教育長に御所見をお伺いいたします。
 まず、当該の校長先生がチーム担任制の導入をされた理由と背景を申し上げます。
 「小学校の強みは学級担任と児童との信頼関係に基づく集団での学び合いであり、学校は、多様な生き方、多様な価値観の下、それらを理解し、認めながら、そして生かしながら教育を進めることが必須となっている。学級担任制では、学級担任1人で学級児童一人一人を多面的に理解し、一人一人の個性に応じた多様な関わりを持つことを求めることとなり、それが教員個人の力量や責任を問うものになっている。しかし、どんなに優れた力量を持つ学級担任であっても、担任1人で多様な子供たちを多面的に理解し、多様な関わりを持つことは難しい。それは、1人の見取りはいかに優れていても一面的の理解になるからである。一方、子供の側から見ても、1人の学級担任との信頼関係は大切だが、それが結べなければ、自分の居場所がない、学びを深めることができないということにもつながる。学級担任と学級児童との信頼関係が最大の強みのはずが、それが教員任せ、児童任せになっているように感じる。学校では、多様な価値観に多様に応え、そして多様な学びを生み出すことが求められている。それを可能にするには、学校の当たり前であるシステムや価値観を見直すことが求められるのではないか」と。
 こうした校長先生の思いから、学年や学級、授業や教育課程といった学校の枠組みやシステムはありますが、その境界をなくすことにより、学びの中心に児童がいて、学校の枠組みやシステムを児童の状況に最適化して、児童が主体的に学ぶことができるというボーダーレススクール構想の考え方の下、学級担任制をやめ、チーム担任制を導入されています。
 このチーム担任制の目的としては、1)全教職員で全校生徒を見つめる仕組みによって複数の目で多面的な理解ができ、複数の手で多様な関わりを可能とする、2)学級の垣根をなくすことで教員の「隣のクラス」という意識を変え、閉鎖的な学級づくりや人間関係の閉塞感をなくすというものであります。したがって、教員が協力・協同して業務を行うシステムにより学校を有機的に機能させ、教科担任や生徒指導、保護者対応等も固定的な学級担任制はなくし、チームで行います。そのメリットとしては、様々な課題や困り事を持つ教員や学級が孤立するのではなく、チームで対応することで教員一人一人のよさを生かし合うシステムと変わり、併せて、教員の持つ力を担任学級の児童だけに活用するのではなく、チームの児童ヘオープンソースとして活用するシステムとなることであります。
 チーム担任制の構成と形態につきましては、低学年、中学年、高学年部の各学年2クラスずつをそれぞれのチームとして構成し、固定的な学級担任を廃止し、2学年の教員がチーム担任となり、各学級についてはチーム担任を学級担当として配置し、育成学級についても所属チームの構成の中でチームの一員となります。
 また、授業形態は、1)チーム内で教科担任を定め、例えば英語はA先生、体育はB先生、図工はC先生、家庭科はD先生というように年間を通じて同じ教科を担任するというもので、2)学年内で教科や単元を交換する学年交換授業や、3)チーム内で教科や単元をチーム担任間で交換するチーム交換授業を取り入れるとともに、4)これら教科授業について学び方に応じたコースを設定し、児童がどのコースで学ぶかを選択するというように展開されております。
 なお、チーム担任制導入に当たっては、児童及び保護者への丁寧な事前の説明をするとともに、導入時、また学期末の児童アンケートの実施と結果を公開され、プラス評価を得ているものの、不安の払拭については寄り添いながらの対応を行うとのことであります。
 以上、岩倉北小学校のチーム担任制の内容について御紹介いたしましたが、私は同校長先生の「チーム担任制は、学校の可能性を広げる主体的かつ積極的な戦略である」という考えに深く共感し、同時に、チーム担任制は児童の多面的な理解と多様な関わりができ、小学校の土台をつくる低学年こそ、その効果が高いとされていること、そして全校児童を全教職員で育てる学校全体の仕組みとして評価するものでございます。
 そこでお聞きいたします。
 学校現場では、児童生徒数の規模や取り巻く環境、教職員の年齢やキャリア等々を考慮し、学校長の下、よりよい学校運営を目指して日々様々な取組に御尽力されておりますが、その一つの方法としてのチーム担任制について教育長の御所見をお伺いいたします。
 次に、特殊詐欺の被害撲滅について警察本部長に質問をいたします。
 特殊詐欺の発生などについては、新聞やテレビなどで頻繁に取り上げられているのにもかかわらず、いまだに被害が後を絶たず、多くの高齢者が被害に遭われているのではないかと強く感じているところでございます。
 令和4年中となりますが、これら特殊詐欺の発生状況について調べてみますと、全国では、9月末で、認知件数は1万2,158件、前年同期比プラス1,401件、被害額は約247億円、前年同期比プラス約41億円となっており、手口別としましては、オレオレ詐欺が認知件数2,831件、被害額は約84億円、架空料金請求詐欺が認知件数1,969件、被害額約68億円、還付金詐欺が認知件数3,261件、被害額約38億円、キャッシュカード詐欺盗が認知件数2,255件、被害額約32億円となっております。
 また、京都府では、10月末で、認知件数は166件、前年同期比プラス26件、被害額は約2億7,000万円、前年同期比プラス約4,000万円となっており、手口別では、オレオレ詐欺が認知件数30件、被害額は約9,700万円、架空料金請求詐欺が認知件数40件、被害額約4,900万円、還付金詐欺が認知件数26件、被害額約1,800万円、キャッシュカード詐欺盗が認知件数54件、被害額8,600万円となっています。
 こうした特殊詐欺の被害を未然に防止するために、犯人を逮捕するといった事件検挙のほかにも、京都府警察では、京都府等とも連携を図り、イベント等における啓発活動など様々な取組を行われており、被害を完全にゼロにすることは大変困難ではありますが、少しでも被害の発生を防止するために効果を発揮しているものだと思います。
 例えば南丹警察署では、広報啓発活動の一つとして「特殊詐欺対策音頭」のプロモーションビデオを作成し、AIZO(あいぞう)さんという方に歌ってもらい、それを各種イベントや地元ケーブルテレビの放送をするなど、被害防止のための工夫を凝らした広報啓発活動も行われております。こうした取組は高齢者にとっても分かりやすく、私自身も聞かせていただきましたが、とても効果的な取組であると感じております。
 しかしながら、今後もさらに新たな手口が出てくることが予想でき、簡単にはなくなっていかない特殊詐欺を撲滅していくためには、警察だけの取組ではなく、警察から各種関係機関により一層働きかけを行い、特殊詐欺撲滅の機運を醸成していくことも非常に重要なことであると考えます。そして、現状の金融機関やコンビニ事業者などの協力による水際防止対策などに加え、新たな画期的な施策を検討・実施していくなど、警察が中心となって関係機関・団体が一体となり、様々な施策・事業に取り組んでいくことが特殊詐欺の撲滅につながっていくと思います。
 そこで警察本部長にお伺いいたします。
 今後もその手口がますます巧妙化していくであろう特殊詐欺に対して警察が中心となってより強力・的確な対策を講じていけば必ず成果が出てくるものだと信じておりますが、現在取り組まれておられる対策の現状、そして被害撲滅に向けた今後の方針、検挙や防犯、対策等について警察本部長のお考えをお聞かせください。
 御答弁お願いいたします。

◯議長(菅谷寛志君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 文化財の保存・継承についてでございます。
 京都は、長い歴史の中で世界に誇る文化が花開き、多くの社寺とともに発展してまいりました。現在では、そうした社寺等が歴史的建造物として地域にとっての貴重な文化財となっており、これらを災害等から守り、良好な状態で保存し、次世代に引き継いでいくことが重要であると考えております。一方で、近年、過疎化、少子高齢化による社寺の氏子・檀家の減少等により、小規模の社寺では文化財を良好に維持していくために必要な資金の確保が困難な状況にございます。
 京都府では、昭和37年に京都府社寺等文化資料保全補助金を全国に先駆けて創設いたしますとともに、平成20年度からは、全国初の試みとして、ふるさと納税を全額文化財保護に限定して活用する「文化財を守り伝える京都府基金」を設置し、文化財の保存・継承を行ってまいりました。しかし、近年、集中豪雨や野生鳥獣による被害などにより修理案件が増加する傾向にあり、補助要望に十分に応えられていない状況が続いております。
 そのため、議員御指摘のとおり、府外企業等からの支援を拡大することが有効であり、これまでから京都府で実施している企業版ふるさと納税を活用し、文化財の保存・継承を図る文化レジリエンス事業の魅力をさらに高めることが必要であると考えております。具体的には、既に一部の社寺等で活用されているように、ユニークメニューとして新製品の発表会や社内のワークショップ、交流会等に社寺等を利用することにより企業イメージの向上や企業PRにつながることをアピールするなど、積極的に府外企業等にも寄附を呼びかけてまいりたいと考えております。
 今後とも、社寺などの文化財の所有者や市町村、文化庁とも連携し、地域の大切な文化財の魅力を次代に継承し、地域の発展につなげていくよう取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、京都地域未来創造センターの地域貢献活動についてでございます。
 府立大学は平成29年に京都地域未来創造センターを設置し、これまで地域貢献型特別研究、通称「ACTR」を行うなど、地域と共同して調査・研究等に取り組み、府内の様々な地域課題の解決に貢献してきたところでございます。
 ACTRにつきましては、地域の文化財や歴史、伝統行事等の文化資源を活用した調査・研究を行い、地域コミュニティーの維持・活性化にも大きな役割を果たしてまいりましたが、過疎化、高齢化に伴う担い手不足から、地域コミュニティーの存続が難しくなってきております。このため、センターでは、今後、人材交流の場づくりなどを通じて地域のまちづくりを担う人材の育成に取り組むこととされております。
 議員御紹介の「まちづくり人材育成プログラム」につきましては、センターがまちの未来を創造したいという地域内外の人たちとともに、対話やフィールドワークなどを通じて地域の個性を再発見しながら地域のまちづくりを進める人材を育成するものでございます。今年度から、まずは南山城村において道の駅を拠点としたなりわいや生きがいの創出のための取組と地域づくりの関係性を議論する「場づくりLabo」を本格的に始めたところであり、府立大学と連携しながら、このような住民が主体となった地域課題の解決に向けた取組を府内一円で展開してまいりたいと考えております。

◯議長(菅谷寛志君) 前川教育長。
   〔教育長前川明範君登壇〕

◯教育長(前川明範君) 北岡議員の御質問にお答えいたします。
 教員のチーム担任制についてでございます。
 議員御指摘のとおり、教育を取り巻く環境は急速かつ大きく変化しており、増加傾向にある不登校やいじめをはじめ、複雑化・多様化する教育課題に対応するためには、教員同士が連携し、幅広い視野から児童を理解し、確かな信頼関係を築いていくことが大変重要であると考えております。加えて、現在の教員の年齢構成を見ますと、大量退職・大量採用の影響から、小学校では若手教員や経験年数が浅い教員の増加が見られ、チームによる組織的対応の必要性を認識しているところでございます。
 こうした状況に対応するためには、議員御紹介のとおり、児童に対して複数の教員が担任として関わるチーム担任制の導入は非常に有効な手法の一つであると考えております。
 このチーム担任制のメリットといたしましては、複数の教員が該当学年の全児童を担任し、常にチームで対応することで、多面的な児童理解や、きめ細やかな生徒指導・保護者対応が可能となるといった教育効果が期待されます。また、若手教員とベテラン教員がチームとなり、お互いにカバーし合うことで、指導体制の強化に加え、若手教員の指導力向上にも効果が見込まれると考えております。
 担任体制につきましては、京都市を除く府内の小学校において、児童の実態や教員定数の状況を踏まえ、各学校や市町教育委員会において決定しておりますが、チーム担任制の導入を検討するに当たりましては、制度の趣旨や教員同士の情報共有、連携の在り方、責任の所在の明確化などについて、児童、保護者、教職員に十分な説明が必要であると考えております。
 現状で学級担任制を実施している学校におきましても、1学級1担任としながらも、学年担任団がワンチームとなり、学年主任を中心に、学年に所属する全ての教員が学年の全児童に関わり、児童の変化を敏感に捉え、チームで情報共有や意見交換を丁寧に行うことで、組織的な教育活動の充実を図っている例もございます。
 これまで京都府の教員体制については、京都式少人数教育により「少人数学級」「少人数指導」「ティームティーチング」の中から市町が実情に応じて選択できるという柔軟な制度が高く評価され、効果を発揮しているところであり、また専科教員の活用や学級担任の交換授業なども組み合わせて教科担任制を推進しているところでございます。
 これらの取組によって、きめ細やかな学びや教員の負担軽減に寄与しているとは考えておりますが、現行制度に甘んじることなく、不断に必要な見直しを実行し、児童が抱える様々な教育課題に適切に対応できるものとなるよう、さらなる教育環境の整備を図っていく必要があると考えております。
 府教育委員会といたしましては、これまでの取組の効果を十分に検証いたしますとともに、全国の先駆けとして取り組んできました京都式少人数教育の制度リニューアルも含め、チーム担任制のような指導体制について新たな選択肢の一つとして研究し、市町教育委員会が教員体制を考えるに当たりましても先進事例の紹介や適切な助言を行い、京都として誇れる、より充実した学びの体制を構築してまいりたいと考えております。

◯議長(菅谷寛志君) 筒井警察本部長。
   〔警察本部長筒井洋樹君登壇〕

◯警察本部長(筒井洋樹君) 北岡議員の御質問にお答えをいたします。
 特殊詐欺被害の撲滅に向けた取組の現状と今後の方針についてでございます。
 特殊詐欺は、お年寄りが被害の大半を占めること、犯行を首謀するグループが若者等を実行役としてリクルートしながら、様々な犯行ツールを用いて、自らは表に出ずに犯行を繰り返すなどの特色がありますことから、警察では、高齢者の被害を念頭に置いた被害防止対策、犯行の手口や傾向の分析の徹底とこれに的確に対応した取締り、少年等を犯行に加担させないための対策、不正利用される預貯金口座、携帯電話等の犯行ツール対策を重点として取組を強力に推進しております。
 具体的には、被害防止対策については、被害者の9割が高齢者で、連絡手段としては固定電話が用いられることが多いため、自治体と連携した防犯機能付電話の導入支援や、お年寄りの家族と親族に対する注意喚起、被害者が利用する金融機関やコンビニエンスストア等と連携した広報啓発、水際阻止対策などに取り組んでおります。
 取締りにつきましては、犯行の予兆電話を認知した場合の現場周辺での不審者に対する職務質問や防犯カメラ捜査等による受け子などの検挙はもとより、グループ中枢を検挙するため、押収資料等からの突き上げ捜査、犯行拠点の摘発等を推進しております。
 また、少年等を犯行に加担させないための対策として、犯行グループがSNSを利用して実行役を募集する実態がありますことから、インターネット上の警告文表示、プロバイダーに対する有害情報の削除依頼等を行っております。
 さらには、犯行ツール対策といたしまして、携帯電話機や預貯金通帳の不正譲渡等の特殊詐欺を助長する犯罪の取締りに努めるとともに、通信事業者と連携し、犯行利用電話の利用制限措置等を行っております。
 特殊詐欺グループは、市民生活の変化や警察の取締手法に応じて犯行形態を変化させ、巧妙化させることから、警察としては、こうした犯行の手口や傾向、組織の実態等に関する情報収集と分析を徹底し、工夫を凝らし、新たな被害防止対策にも取り組むとともに、あらゆる法令を駆使した取締りを強力に推進してまいります。その際には、私ども警察が中心となりまして、府民、自治体、関係団体、民間事業者等との連携・協力を一層強化し、特殊詐欺の撲滅に向け、引き続き組織の総力を挙げて取り組んでまいります。

◯議長(菅谷寛志君) 北岡千はる議員。
   〔北岡千はる君登壇〕

◯北岡千はる君 御答弁いただきまして、ありがとうございました。
 文化財の保護・継承に企業型ふるさと納税を積極的にということでお話しをさせていただきました。京都府内のみならず、京都府外、これは国外もいけるんですかね──本当に京都のファンということで世界中から見ても注目されますので、このふるさと納税をより積極的に活用いただいて文化財の保護・継承に努めていただくことをよろしくお願いいたします。
 それから、府立大学の京都地域未来創造センターの府内各地の発展に寄与する取組ということで、今、人材育成ということで南山城でしていただいていると。私もセンター長の先生からもいろいろお話をお伺いしました。府立大学としても、とにかくこのセンターが知の拠点として府内各地でしっかりと活動していくという力強い、熱い思いをお聞かせいただいておりますし、応援もさせていただきたいというふうに思います。
 教育長さんにも丁寧な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。私の限られた時間内でのチーム担任制の説明でございましたけれども、丁寧な御答弁をいただきました。何よりも、今ある制度はすばらしいですけれども、そこに甘んじることなく、制度をリニューアルしていくと。1年かかって、やはり子供たちの育み、それからよりよい環境づくり、そして学校づくりというものが本当に大事だということが大変伝わってまいりました。このチーム担任制も含めて学校の環境がよりよいものになっていくということを切に願っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 あと、特殊詐欺の被害撲滅につきましては、今も様々な手だてを打っていただいていること、ありがとうございます。より強力にしていただくということで力強く頼りがいがある京都府警だと感じておりますけれども、各交番とか駐在所で本当にきめ細かくこういった特殊詐欺にかからないというようなお便りも回覧板で回していただいております。これも心から感謝を申し上げたいと存じますし、引き続き特殊詐欺の被害撲滅につきまして御尽力賜りますようによろしくお願いを申し上げます。
 質問は以上でございますが、結びに、長引くコロナ禍、物価高騰の中、府民の皆様の生活が一段と厳しさを増している状況下、西脇知事におかれましては、先般私ども議員団が提出いたしました来年度予算要望も尊重いただきまして、必要な支援についてスピーディーに講じていただきますよう、切にお願いを申し上げます。
 私ども府民クラブ京都府議会議員団は、西脇知事とともに府民の皆様の声に寄り添った活動に邁進し、未来に希望の持てる京都府づくり、共生社会の実現に向け、誠心誠意尽力してまいりますことをお誓い申し上げ、会派を代表しての質問を終わります。
 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)