1 相楽東部の公共交通の確保と地域創生の加速について
2 関西文化学術研究都市における文化について
3 その他
◯山本篤志君 府民クラブ京都府議会議員団の山本篤志です。
通告に従い質問いたします。知事並びに関係理事者の御答弁よろしくお願いいたします。
私は、相楽東部の公共交通の確保と地域創生の取組の加速について、そして2点目、関西文化学術研究都市における文化についての2点についてお伺いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
まず1点目、相楽東部の公共交通の確保と地域創生の取組加速についてお伺いいたします。
本年4月11日に、JR西日本は「ローカル線に関する課題認識と情報開示について」として、一日当たりの輸送密度が2,000人未満の線区を公表いたしました。京都府内では、小浜線が991人、関西本線が1,090人であり、1987年と2019年を比較した場合、小浜線で37%、関西本線で25%まで減少していることが明らかとなりました。
また、7月25日には、国土交通省が「地域の将来と利用者の視点に立ったローカル鉄道の在り方に関する提言」を公表し、特に輸送密度1,000人未満のローカル線区では、「鉄道を運行する公共政策的意義が認められる線区か」「BRTやバス等によって公共政策的意義が実現できる線区か」の評価に基づき、期限を3年として具体的対策を策定することを提言されています。
この提言の基本的な考え方だけを見れば、関西本線は具体的な対策を求められていないとも解釈できますが、利用人数の減少と周辺自治体の人口減少等を勘案すると、提言に準じ今すぐにでも具体的対策を講じていく必要があり、「鉄道を運行する公共政策的意義が認められる線区」として、その前提の下にあらゆる策を講じる必要があると考えます。
そこでお伺いいたします。
本年3月に新たに策定された「JR関西本線(加茂以東)沿線地域公共交通計画」では、鉄道を軸に人口減少や高齢化、新型コロナへの対策、まちづくりの取組と連携し、高齢者や子ども連れにも利用しやすい駅及び周辺環境の整備、それぞれの町・村の交通空白地を解消する取組(南山城村の村タク、笠置町のデマンド交通)に順次着手していただいているところではございますが、提言を機にJRを含めた地域公共交通計画について、さらに加速度をつけて集中的に取り組み、確実に成果を上げていく必要があると考えますが、知事の御所見をお願いいたします。
また、関西本線は京都府と三重県にまたがる線区であります。そして、途中の柘植駅では草津線とも接続しておりますし、和束と信楽も隣接しております。滋賀県も関係する自治体と言ってもいいと思います。2県、3県が一体となって具体的対策を行う必要があるとも考えます。
例えば、「道の駅みなみやましろ村」が西日本を中心に注目を集め、新鮮な野菜やお茶、スイーツ等を求める方でにぎわいを見せておりますが、月ヶ瀬口駅が近いことから関西本線を使って買い物をするとメリットがある取組、沿線自治体の各駅で、例えば朝市や地元の農産品、名産品、目玉となるような商品販売を行うことも考えられるのではないでしょうか。
また、関西本線と言えば長大な客車や貨物を引いたSLが有名で、各所に見どころがございます。本当はSLを走らせたいのですが、ディーゼル機関車で客車やトロッコ列車を牽引して走らせる取組を例えば毎週末実施するなど、観光客、子どもたち、鉄道ファンを集めるための様々なアイデアなどが浮かんでまいります。
そこでお伺いいたします。
京都府、笠置町、南山城村と、三重県、伊賀市、亀山市及び滋賀県など関係自治体との現在の協議の状況と、関西本線の課題やJRも巻き込んだ利用促進など、今後の取組について御所見をお願いいたします。
今回ローカル線に関する提言が出たことから、鉄道・公共交通の利用促進の視点で質問しておりますが、本質的には相楽東部にどれだけの人が関わってくれるのか、誰が仕掛けるのか、どんな役割分担やバックアップが必要かについてしっかり考え、京都府及び関連市町村、DMO、地域を愛する人たちが移住の取組、まちづくりの取組、魅力を発信する取組など、従来以上に活発に、そして加速させる、つまり地域創生の取組の加速が必要であると考えます。
この地域に住む私が言うのもおこがましくありますが、相楽東部の地域創生のアイデアとして、例えば自然と地域との交流による教育移住。わかさぎ温泉の再開と駅前への飲食店の展開、特に夜にはキャンプ場利用者との交流の場とするとともに、マリオットホテル利用者の飲食・温泉の受皿とする。例えば、公共交通(JR)を利用して笠置駅から行ける唯一のボルダリング。笠置町、和束町、南山城村でのイベントや体験、例えば春は花見・夜桜、そして新茶、夏には花火、虫取り、秋はもみじ、冬は鍋祭りなど、景色、自然、歴史、地元の食材を一年中いつ来ても体感できる。笠置町もみじ山公園内のステージで定期的にコンサートを行う、これは人工的なホールよりも数段すばらしい音響がございます、そしてすばらしいロケーションがございます。
様々、私だけでももっともっといろいろ幾らでも思いつく状態です。実現できるか否かではなく、まずは、あんなことがしてみたい、こんなことができないか、いろんな多くのアイデアを提案・検討できる機会が必要であると考えます。
それも、町内、村内だけでなく、三重県、滋賀県、奈良県の自治体を巻き込んでもよく、関西本線が好きな人、キャンプが好きな人、ボルダリングが好きな人、お茶が好きな人、スイーツが好きな人、自然が好きな人、歴史・文化が好きな人、また全く関係ない人がいてもよいと思います。
もちろん、それらを実行する体制、役割分担も必要であります。
現在、宮津市で取り組んでおられる「MIYAZU未来戦略マネージャー」「MIYAZU未来デザインセンター」のような全国から相楽東部を生かす取組も必要かと考えます。
そこでお伺いいたします。
地域創生の取組、「それは人である」と以前から御答弁いただいておりますが、関西本線に対する問題提起のあった今こそ、今まで以上に加速度をつけて真剣に、しかし楽しく夢を持って取り組むことが必要であると考えます。例えば、民間人材なども活用しながら、相楽東部の地域創生に向けたアイデアを具体的に実行していくための体制強化や考え方について、御所見をお願いいたします。
まずは、ここまでの御答弁よろしくお願いいたします。
◯議長(菅谷寛志君) 西脇知事。
〔知事西脇隆俊君登壇〕
◯知事(西脇隆俊君) 山本議員の御質問にお答えいたします。
相楽東部の公共交通の確保についてでございます。
相楽東部地域では、自家用車への依存率が大変高いことに加え、少子高齢化と人口減少の進行により通勤・通学に公共交通を利用する人も減少し、地域の公共交通は大変厳しい状況となっております。
地域公共交通は、通勤・通学、子育てや通院など、地域の生活や経済を支える社会基盤であり、特に車を運転できない方にとっては欠くことができない移動手段であることから、地域住民の日常生活を守るためには、JR関西本線を基軸とした地域公共交通をいかに確保・維持するかが大変重要な課題であると考えております。
このため京都府と沿線町村において、平成29年3月にJR関西本線(加茂以東)沿線地域公共交通網形成計画を策定し、相楽東部広域バスや南山城村の村タクなど、新たな地域公共交通の導入に取り組んできたところでございます。
今後も人口減少が進行する中で、相楽東部の公共交通を将来にわたり確保・維持していくためには、地域住民の利用拡大だけでなく、地域外の利用者を増加させることが必要不可欠であるとの考えから、従来の取組に加え、移住・定住促進や観光など、交流人口の拡大にも積極的に取り組むこととし、本年3月にJR関西本線(加茂以東)沿線地域公共交通計画を策定したところでございます。
京都府といたしましては、引き続き、この計画に基づく取組を着実に進め、相楽東部地域の公共交通の確保・維持に努めてまいりたいと考えております。
JR関西本線につきましては、府内のみならず府県域を越えた利用促進が重要であり、従来より愛知県、三重県、奈良県、京都府及び沿線市町村で構成する関西本線整備・利用促進連盟において利用促進の取組を行ってきたところでございます。
さらに、今般のJR西日本のローカル線に関する発表を受け、加茂-亀山間沿線の市町村、三重県、京都府とJR西日本が協議を行い、本年5月に関係者が連携して利用促進に取り組むことで合意したところでございます。加えて、議員御指摘のとおり、JR関西本線はJR草津線とも接続していることから、滋賀県とも情報共有を行い、今後、連携して取り組むことを確認したところでございます。
JR関西本線及び草津線の沿線には、日本遺産の認定を受けている「忍びの里 伊賀・甲賀」、笠置山自然公園をはじめとする豊かな自然、伊賀牛などの特産品といった多様な地域資源があり、これらを周遊観光していただけるよう三重県や滋賀県、沿線市町村とも連携して取り組んでまいりたいと考えております。また、京都府の取組といたしましては、今後、「お茶の京都」をテーマにしたラッピング列車の運行や、駅周辺にぎわいづくりに取り組むこととしております。
さらに、見直し中の総合計画に盛り込んでいる「グレーターけいはんな広域連携プロジェクト」により、人口の増加が続き都市の魅力も増している関西文化学術研究都市と自然豊かな相楽東部地域の連携を強化することで地域活性化を図り、公共交通の確保に努めてまいりたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。
◯議長(菅谷寛志君) 岡本政策企画部長。
〔政策企画部長岡本孝樹君登壇〕
◯政策企画部長(岡本孝樹君) 相楽東部地域の地域創生についてでございます。
相楽東部地域は、豊かな自然や歴史・文化などの地域資源を有するとともに、けいはんな学研都市をはじめとする都市部に隣接する恵まれた地域であります。しかしながら、過疎、高齢化が進み、単独の町村では地域創生に取り組むことが困難であることから、平成29年に相楽東部3町村と京都府が共同して地域創生に取り組む「相楽東部未来づくりセンター」を設立し、木津川などの自然を生かしたアクティビティーによる関係人口の拡大や、サテライトオフィスへの企業誘致などの取組を進めてまいりました。
また、市町村や未来づくりセンター、「お茶の京都」DMOとが連携して、地域の人づくりに取り組み、お茶などのコンテンツを活用し地域を牽引するリーダー人材や、ジビエなどを活用した新たな取組にチャレンジする若手の事業者などが増えてきているところです。
さらに、令和3年度からは各DMOに、空き家活用や移住・定住促進などの課題に対応する専門人材や、祭りなどの地域文化を継承し観光につなげる文化観光サポーターを配置するなど、民間人材のアイデアやネットワークを地域創生につなげるための体制づくりを行っております。
また、昨年度には、海外のスタートアップ企業が和束町に集まり、お茶農家の課題解決に向けた提案会が開催されるなど、けいはんな学研都市と連携した取組も生まれてきております。
新名神高速道路の全線開通や、犬打峠トンネル(仮称)の完成後は、相楽東部地域へのアクセスは劇的に改善され、中京圏や関西圏からの人や物の流れが活発化することが期待されます。
こうした好機を捉え地元町村や関係機関とも連携し、相楽東部未来づくりセンターや「お茶の京都」DMOの取組をさらに進め、相楽東部の地域創生に取り組んでまいります。
◯議長(菅谷寛志君) 山本篤志議員。
〔山本篤志君登壇〕
◯山本篤志君 御答弁ありがとうございます。
私は、木津川、そして相楽に住む者としては、この関西線、そして人口減少など非常に大きな危機感を感じています。例えば、関西本線が廃線になるのではと、そう受け止められるようなニュース報道がされたりしておりますので、やはり不安に感じておられる方がたくさんおられます。でも、実際にはそうじゃないんだよという、そんなメッセージも発するべきだと思いますし、やはり何よりも見える形で取り組む必要があると思っています。
私もこの関西本線は久しぶりですけれども、全線に乗ってみました。そして、そのまま草津線に乗って、電車でその地域を見てまいりました。そうしますと、本当にいろんなところで魅力いっぱいなところがございます。やはりこの関西本線を中心とした地域創生、それも府県をまたいでいろんな関係するところが一緒になって取り組むということが、私は必要だと思っています。
正直なところ時間はあまりないと思っています。そんなに余裕がないと思います。関西本線沿線に住む人、訪れる人、関係する人たちが笑顔でいられるような取組をぜひともお願いいたします。では、次の質問に移ります。
次は、関西文化学術研究都市における文化についてお伺いいたします。
西脇知事は、「これまで関西文化学術研究都市における『文化』の取組が弱かった。今後は文化に取り組んでいく」と発言されておられます。関西文化学術研究都市、以下は「けいはんな」と呼ばせていただきます。
昨年9月の代表質問で知事は、けいはんなの文化について「生活文化とも言えるスマートライフの推進、文化財保存修復拠点の創設」と答弁されています。
スマートライフの推進とは、今定例会でも提案されているスマートウォッチ等を活用した健康増進・消費促進を図るサービスであるかと存じますが、文化財保存修復拠点は「令和5年度国の施策及び予算に対する政策提案」における「文化財の匠プロジェクト」で示された国立文化財修理センターを速やかに京都に設置するとともに、独立行政法人国立文化財機構の文化財保護に関する総合的な調査研究施設の関西拠点を、大学や企業の研究施設等が集積する関西文化学術研究都市に設置し、産学官連携による最新の研究成果を国内外に発信することなどが該当するものと考えます。
そこでお伺いいたします。
この政策提案の概要と目的、効果、そして、けいはんなに設置する意味と住民への効果についての御所見をお願いいたします。
次に、「文化とは何か」、文化の幅は広く、人それぞれによって価値観が異なりますが、けいはんなに住む皆さんにとっての文化についてお伺いいたします。
けいはんなに住む方々がこんなことをお話しされています。やはり、けいはんなプラザの活用が必要です。けいはんなプラザ、これも長いので「プラザ」と呼ばせていただきます。
けいはんなプラザはけいはんなのシンボルであり、けいはんなに住む皆さんに愛される存在です。まちびらきから30年余り、プラザは自分たちがけいはんなに住んできた証であり、これからも生き続ける私たちの文化であります。
過去には、日時計のレーザー光線が故障した際、復活に向けて住民の皆さんによるプロジェクトチームが結成され、レーザー照射を再開させたことは記憶に新しく、プラザに来られる方を気持ちよく迎えたいとの思いから、年4回程度、プラザ周辺の雑草除去などの清掃活動を行っておりますが、回を重ねるたびに、参加者も増え、周辺企業の方、地域の中学生の子どもたちの参加もございます。
ただ、距離があるため記念公園までの実施には至っておりませんが、清掃活動を行う皆様の、自分たちの家の前の掃除だけにとどまらず、シンボルであるけいはんなプラザをきれいにしたいとの思いには、私たちの文化、生きてきた証を守り続けていきたいとの思いが込められているものでございます。
けいはんなに住む皆さんの今の思いとは、プラザの活性化──住民が交流・参加できるスペースにしたい、プラザ前の噴水公園の広場を再開したい、プラザから記念公園までの水路の清掃を行いたい、大阪・関西万博に向けた文化の取組を行いたい。
まず、プラザの活性化につきましては、記念公園や近隣商業施設には多くの人が訪れているものの、肝心のけいはんなプラザには人が集まらない。企業に働く人たちも素通りで、交流スペースとはなっていない。株式会社けいはんなも様々なイベント等を企画され努力しておられますが、やはり、けいはんなに関係する多くの人たちの交流スペースには至っていないところでございます。
そして、人の交流には「食」が不可欠であり、プラザのレストランやキッチンカーの導入により、イベントの際には「食」とセットする。野外でのイベントでは、住民や精華町、木津川市のサークルなどの誰もが出演可能にして、毎週土日祝日には何かイベントが行われるようにする。
そして、2番目の噴水でございますが、プラザ前の歩道には噴水がございます。整備されてから数年で使用停止となっています。何とか再開したい。特に、夏場の子どもたちの水遊びには適しており、噴水周辺もきれいに清掃されていますので、日時計と同様に思いが強いのが噴水でございます。
3点目のプラザから記念公園までの清掃につきましては、やはり記念公園までやりたいというのが皆さんの思いではございますが、距離があり、現在のメンバーだけでは難しいとのことです。記念公園からプラザへ歩く人や自転車の往来も多いのですが、特に秋口には草が生え、歩道の通行に支障が出るなど、道路管理者と住民の皆さんとの協働で維持する必要がございます。
そして、4点目の大阪・関西万博につきましては、会場とけいはんなをつないで、万博会場から遠隔操作によりアバターレースを行う「アバターチャレンジ」の取組が住民の皆様と一体となりスタートしようとしております。住民の皆さんの間では、大阪・関西万博に合わせて文化の取組ができないかとの声も上がり、例えば、噴水を整備して日時計広場、プラザの建物等を生かした光のアートイベントを開催する。特に光のイベントについては、歴史的景観や建築物等を使用して実施されていますが、歴史の浅い地域では文化イベントが実施されていないため、大阪・関西万博を機に「新しい都市における科学とアートの融合」として実施できればすばらしいとも思います。
長々と述べましたが、けいはんなにおける今後の文化の取組として、けいはんなに集まる人との交流が求められていると考えておるところです。
新興地域における文化は注目されておりませんが、住民の文化とは「人の生きざま」であり、けいはんなに暮らす住民と関係する人の交流こそが関西文化学術研究都市の文化ではないか。けいはんなの誇りであり、そこで育った子どもたちにつないでいくのが文化ではないかと考えます。
そこでお伺いいたします。
けいはんなに集まる人との交流による文化に対する御所見と、大阪・関西万博をターゲットに合わせた取組についての御所見をお願いいたします。
◯議長(菅谷寛志君) 上林商工労働観光部長。
〔商工労働観光部長上林秀行君登壇〕
◯商工労働観光部長(上林秀行君) 関西文化学術研究都市における文化についてでございます。
まず、国立の文化財修理センター(仮称)等に係る政策提案でございます。
平成27年8月に文化庁及び文化関係独立行政法人の京都移転を国に提案しており、文化庁の京都移転に続き、国立の文化財修理センター(仮称)を京都に設置し、京都国立博物館の機能強化を図るため調査・研究が行われております。今年度の国への提案では、文化財修理センター(仮称)の速やかな設置を求めているところです。
さらに、けいはんな学研都市は災害に強い地域であり、既にけいはんなオープンイノベーションセンター(KICK)で文化財が収蔵されていることに加え、京都、奈良には高度な文化財修復技術を持った方も多く、文化財に応用できる最先端技術が集積していることから、「文化財保護に関する総合的な調査研究施設の関西拠点」の設置を提案しております。
この施設には、画像解析や復元シミュレーションなど新たな文化財修復・保存技術の研究開発の拠点、大学や各種研究所と連携し日本の高度な文化財修復・保存技術を世界中の人が学ぶことができる場、子どもが文化財に関心を持ち、その価値を学ぶことができる施設、VRの映像コンテンツなどデジタル技術を活用した文化財の魅力発信及びアーカイブ化のセンター、文化財に触れることで、その魅力を体感できるクローン文化財の開発・普及の拠点といった機能を持たせた施設となるよう提案をしているところです。
これによって、文化財の修理・保存、活用に係る研究により、世界をリードするだけでなく、最先端技術によるイノベーションの創出など、幅広い経済効果も期待できると考えております。
続いて、けいはんな学研都市に集まる人との交流による文化についてでございます。
けいはんな学研都市における、まちづくりの基本的な理念は「最先端の技術と日本人が培ってきた文化の力を融合し、人類社会の幸福を実現すること」であり、「文化」という視点は大変重要であります。このため、建設当初から研究施設だけでなく住宅地も含めた一体的な都市開発を進めるとともに、幅広い方々が交流する拠点となるけいはんなプラザや、自然との調和を象徴する施設であるけいはんな記念公園を整備してまいりました。
けいはんな学研都市に集まる人同士、また住民の方々との交流から文化が生まれることを目指しまして、これまでからプラザ内のけいはんなホールでは、地域住民自らが創設したオーケストラによる演奏会や古典芸能の公演などを、けいはんな記念公園では「観月の夕べ」やフリーマーケットなどを開催し、住民とともに学研都市にふさわしい新たなにぎわいや文化の創造に取り組んでまいりました。
また、住民や研究者らが芸術・文化等を語り合う「けいはんな哲学カフェ」や、地元中学・高校生と研究機関との交流イベントなどにも取り組んできたところであり、これらの交流を定着させ、さらに発展させることにより、けいはんな学園都市の文化の創出につなげてまいりたいと考えております。
最後に、大阪・関西万博をターゲットとした取組についてでございます。
2025年に開催される大阪・関西万博は、「知と文化の創造」をその役割とするけいはんな学研都市にとりましても、成長・発展の大きなチャンスになると考えております。現在、関西文化学術研究都市推進機構が中心となって、けいはんな万博(仮称)開催に向けた準備が進んでいるところであり、今後、地域住民にも参加していただく様々なイベントを2025年の本番まで、順次企画・実施していくこととしております。
また、関西広域連合の事業として「動くイルミネーション(仮称)」と題する新たなアートイベントが、けいはんな記念公園での今年度中の開催に向けて準備が進められているところであり、アーティストと企業との共創による文化創造を多くの人に体験いただく機会にしたいと考えております。
今後とも、関西文化学術研究都市の名称にふさわしく、人々の交流を深め、新たな文化が生み出される都市づくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
◯議長(菅谷寛志君) 山本篤志議員。
〔山本篤志君登壇〕
◯山本篤志君 御答弁ありがとうございます。
最初の新しい先端技術を使った文化財の修復、それがまたけいはんなの存在価値を高めていく、そして、それがまた住民の皆さんにとって返っていく、そのような取組をぜひとも実現していただきたいと思います。それもまた新たな文化になっていくと思っています。
そして、けいはんなにお住まいの皆さん、けいはんなプラザに対する思いに私は正直感動いたしました。どうしてこれだけ愛する気持ちが持てるのか、その答えというのは関西文化学術研究都市だからです。先ほども御答弁ございましたが、やはり文化と学術研究が融合する街だからなんです。その理念というのが地域にしっかりと根づいているからだと私は思っています。
その中で、やはり皆さんが次の世代に確実につないでいきたいと思われている、これが本当の文化かなと私も思います。文化といいましても本当に様々な視点がございますが、今議会、特に本日も質問されましたけれども、やっぱり「文化の力を活用して」という質問等が今回多くございました。
私は、人の心を豊かにする、それができるのが文化の力だと思っております。このけいはんなも含めて、京都府全体で人の心が豊かになるような文化の取組にしっかりお取組いただきますよう要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
※外部リンクに移動します。