1 人口減少社会における産業振興について
2 就労・奨学金返済一体型支援について
3 人口減少社会における地域公共交通施策について
4 伏見港及び周辺地域における賑わいづくりについて
5 その他

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◯議長(石田宗久君) 日程に入ります。日程第1、代表質問を行います。
 通告により順次発言を許可します。まず、増田大輔議員に発言を許可します。増田大輔議員。
   〔増田大輔君登壇〕(拍手)

◯増田大輔君 府民クラブ京都府議会議員団の増田大輔でございます。会派を代表して質問いたしますので、知事の御答弁をよろしくお願いいたします。
 まず、今定例会に提案されております6月補正予算案につきましては、2025年に開催予定の大阪・関西万博やけいはんな学研都市での「けいはんな万博」に向けた事業をはじめ、府市トップミーティングを受けた周遊観光促進、温室効果ガス排出量の削減に向けた太陽光発電設備の設置支援、道路事業をはじめとする公共事業の加速化など、現下の状況に的確に対応したものとなっており、会派を代表して高く評価いたします。
 それでは、質問に入ります。
 本格的な人口減少社会に突入している昨今において、様々な施策や事業を展開していかなければ、京都府においても人口減少の影響により様々各業界に影響が出てきます。人口減少社会に歯止めをかけなければいけませんが、これもなかなか並大抵のことではいきません。一つ一つ丁寧な政策を進めていくことが大事なことと思います。都道府県や市町村などでは、人口が増えている都市があるという事例もございます。京都府においても人口増加に転ずるために必要な政策を充実させていくことが必要不可欠と思います。
 昨年度も一般質問の機会をいただきました。その際にも取り上げさせていただいた、私自身のライフワークでもある産業振興や地域公共交通政策について、人口減少社会の観点から質問をさせていただきます。
 人口減少社会における産業振興について質問させていただきます。企業誘致の取組についてです。
 先ほどから話していますとおり、京都府は人口減少の課題に直面しており、今後この先もますます人口が減ってくることが予想されます。人口増加にしていくための一つの方策として、府内への企業の新規参入は欠かせないと思います。他の都道府県を見ましても、企業誘致が成功した事例もございます。
 特に今、話題となり非常に注目されておりますのは、半導体企業の誘致です。スマートフォンや家電に車、私たちの身近な暮らしの製品として欠かせないのが半導体です。その半導体の受託生産で世界最大手の台湾企業TSMCが、熊本県菊陽町に日本では初めてとなる巨大な工場を完成させました。存在感の大きさは黒船に例えられるほどで、地元はその経済波及効果に大いに期待されております。
 5月末に府民クラブ京都府議会議員団の会派視察で私も菊陽町に行かせていただき、熊本県庁を訪問し熊本県の方々からその内容をお伺いすることができました。詳しく紹介させていただきますと、この工場への総人員見込みは1,700人でそのうちの400人超は台湾からの駐在員であり、またその御家族の方も含めますと約750人の方が来日され、職場近くに住まれています。さらに、現在はまだ工場は1か所ですが、2024年2月に第2工場の建設も決定して、この第2工場と第1工場を合わせますと雇用の合計者数は3,400人以上と言われています。見込まれる経済波及効果は、10年間で約6.9兆円と言われ、そのほかにも雇用の創出、他分野や他業界も含め新たな企業の進出、地場企業との取引量の増加、技術向上や新産業の創出、定住人口増加や税収の増加、交流人口増加に伴うにぎわいの創出など、まさに衝撃的な波及効果となります。
 熊本県庁内には、知事をリーダーとした全庁横断組織を設置されました。もちろん台湾の企業になりますので、地元の方との共存共栄や多文化共生まちづくりの取組にやらなければいけないことは山積しておりますが、熊本県外国人サポートセンターに台湾相談ホットラインを設置されたり、外国人受入連絡協議会の設置支援をされたり、日本語教室の設置支援、外国人のための生活ガイドブックの改訂、災害時における支援体制の構築と行政機関のみならず企業や民間団体など官民一体となって多文化共生社会の実現を目指す取組をされておられました。
 地元産業や企業へ向けた支援や政策拡充の取組としては、TSMCの進出を契機に、半導体のみならず県内産業のさらなる振興と県全域における経済の成長を実現するため、今後の産業振興施策の方針となる熊本半導体産業推進ビジョンの策定、また地場企業においては、受注拡大のための新たな設備投資や取引先拡大のために半導体産業へ新規参入しようとする動きが活発化しており、県や関係機関において積極的な支援を行うなど、様々な取組をされておられました。
 具体的な数字を言いますと、投資件数は6社11件、投資額230.7億円、雇用人数446人、これは県独自の地場企業立地促進補助金の認定を受けた企業に限るという内容となっています。その効果は教育面にも影響しており、熊本県内の大学では半導体関連の学部が新設されたり、半導体分野における研究推進、社会実装、人材育成や確保などに取り組まれたり、小・中学生向けの出前授業を行ったり、半導体関連企業見学ツアーの実施をされたりと人材育成、さらには雇用を確保する取組と半導体の教育面の充実した取組を聞かせていただきました。この教育課程を修了された皆さんは、自然と地元の半導体関連企業に就職されるでしょう。そうなればもちろん、県内に住んでもらえることになります。
 一方、そんな中、私も気になっていましたのはマイナスの影響はどのようなことがあるのだろうかということです。内容としては、人件費の上昇、地元従業員の人材流出による人手不足、交通渋滞の深刻化、家賃や土地などの不動産価格の高騰、用地不足などが取り上げられました。課題としては、県全体に波及効果をどうつなげていくのかというのも今後議論していかなければならないなどが話題に上がりました。
 駅員さんのいない無人駅に通勤時間帯には多くの利用客で混雑し行列ができるようになり、新たな駅を設置することが決まりました。関連企業も進出して人口増加がさらに加速し、周辺ではマンションなどの建設ラッシュが起こり、急激に人口が増えてくる課題も現場ではあると思いますが、総合的には、会社に勤める社員の皆さんが地域に居住し地元の飲食店で飲食をして、さらには地元で買い物をする、地元の商店街が潤い地域が潤う、まちが活性化する、その地域に住んでいただくことでもちろん税収増加にもつながりますので、京都府としても今後、ぜひ積極的に企業誘致を進めていただきたいと思います。
 さらには、国の方針といたしましても、昨年、半導体企業誘致への規制緩和として半導体や蓄電池など重要物資の工場を建設しやすくするため、土地利用の規制を緩和する方針を明らかにしております。その内容は、土地利用の規制についてプロジェクトが円滑に進むよう柔軟に対応していくということで、具体的には、森林や農地など開発に制限がある市街化調整区域で自治体が工場の立地計画を許可できるようにする、農地の転用手続にかかる期間の短縮も図る。半導体企業をめぐっては大型工業用地の不足が課題となっていますが、工場建設を後押しして市街化調整区域に指定されている農地の場合でも、これまで開発に約1年の期間がかかっていた開発許可の手続などを4か月程度まで短縮できる取組も進んでいます。
 そこで質問いたします。
 現状も踏まえ、京都府では土地利用についてどのように考え、今後の企業立地に取り組む方針なのか、御所見をお伺いします。
 さきに紹介した熊本県における大手半導体企業の誘致の取組では、様々な波及効果を実現しており、京都府においてもこうした大手半導体企業の誘致を進めるべきと考えますが、御所見をお聞かせください。
 次に、スタートアップ支援について要望させていただきます。
 企業誘致のみならず、スタートアップ支援も産業振興における大事な取組の一つです。京都ではこれまでにも、AI企業で京都の大学研究者、エンジニアが創業時に活躍して現在大きく飛躍している企業もございます。例えば福岡県では国家戦略特区を獲得され、近年では企業数は923社、ふるさと納税でスタートアップ企業と連携して支援を推進されていたりと参考になる取組をされています。今後もさらにスタートアップ企業が活躍できる環境を京都府でも整えていただきたいと思いますし、起業のまち・京都を印象づけるため、今後も積極的な支援や取組を深めていただきたいと思います。
 次に、大学を卒業した学生が京都府内の企業へ就職するための支援の取組について、質問させていただきます。
 京都には、全国を見ても有数を誇る大学の数がございます。全国各地から府内の大学に来て学生時代を京都で過ごしていただいた皆さんに、大学を卒業した後もこの京都に住み続けていただきたいと思います。
 そこで、府内の大学を卒業した学生が府内企業に就職した場合に就労・奨学金返済一体型支援、いわゆる奨学金の返済支援を実施しておられますが、労働者福祉中央協議会の調査結果によると、奨学金の平均借入総額310万円をモデルケースとすると支援制度導入企業と京都府で平均借入額の3割程度を補助されています。この取組は京都府独自の取組で、非常にインパクトがあり実効性がございます。府内への就職・定着を促進するため、この就労・奨学金返済一体型支援事業を現在の3割補助からさらに強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 ここまでの御答弁をよろしくお願いいたします。

◯議長(石田宗久君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 増田議員の御質問にお答えいたします。
 増田議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして今回の予算案に対しまして高い評価をいただき、厚く御礼を申し上げます。
 土地利用の考えや企業立地の取組についてでございます。
 日銀が本年4月に発表した全国企業短期経済観測調査では、大企業製造業の令和6年度の設備投資額は前年度比8.5%増とバブル期以来の高い水準を見込むなど、企業の投資意欲は非常に高く、府内に投資を呼び込む好機と認識しております。
 一方で、昨年9月の定例会において議員御指摘のとおり、現在、府域全体で立地可能な産業用地が減少しており、今後の誘致活動に向けては新たな産業用地の確保が大きな課題となっております。日本立地センターの調査でも、全国の分譲可能な産業用地面積はこの20年ほどで約45%減少しているという結果が出ており、全国的にも産業用地の不足が課題となる中、国においては農地転用や開発許可等の土地利用転換手続の迅速化に取り組まれております。
 企業立地に当たりましては、まず、まちづくりの主体である市町村が、その地域の持つポテンシャルや環境、社会的ニーズをしっかり捉えた上でまちづくりに向けたビジョンを描き、土地利用計画を立てることが基本となります。
 京都府といたしましては、広域的な視点で農業用地や森林の保全と産業用地の確保のバランスを最適化する役割を担っておりますことから、市町村の考え方を尊重しつつ新名神高速道路等の都市基盤整備の進展に合わせ、都市計画の見直しによる農地や山林などの産業用地への転換や旧関西電力宮津エネルギー研究所跡地への産業集積に向けた再整備をサポートするため、企業誘致推進協議会を開催するなど、地域の持続的な発展に向けまして様々な取組を進めているところでございます。
 今後とも、市町村や関係機関との連携の下、農業用地等の保全と産業用地確保の最適化を図りながら、企業誘致を通じて京都府域へ企業や人を呼び込み地域経済の活性化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、大手半導体企業誘致の取組についてでございます。
 「産業のコメ」とも言われている半導体は、デジタル社会が進展する中で交通や情報ネットワークなどの社会基盤を支えますとともに、スマホや家電など身近な分野でも活用され重要性が一層高まっております。国におきましても、経済安全保障上極めて重要な物資として位置づけ、令和3年6月に「半導体・デジタル産業戦略」を策定するとともに、その翌年には経済安全保障推進法を成立させ半導体を特定重要物資に指定するなど、国主導で半導体関連企業の国内への誘致促進や次世代半導体の製造技術の研究開発、実証等に取り組んでいるところでございます。
 大規模な半導体工場を立地するには、極めて広大な敷地に加えまして電力や水等の供給インフラに大きな余力がある地域が前提となりますが、熊本県ではこうした条件を満たし、県独自の取組に加えて国の補助制度を最大限に活用することで今回の誘致に至ったと認識をしております。
 一方、京都には、省エネパワー半導体材料でありますシリコンカーバイドの研究を先導された、世界的権威であります京都大学の松波弘之名誉教授をはじめ、大学や研究機関に優れた人材が集積しております。また、先端半導体や関連する電子部品、洗浄装置などを製造する世界的企業と優れた科学技術を有する中小企業とが協業する幅広い産業群が形成されており、新たな価値創造ができる基盤が十分に整っていると考えております。
 京都府におきましては、こうした企業のさらなる拠点の新設や増設を支援いたしますとともに、半導体産業をはじめとする府内外の様々なものづくり企業などによる成長分野へのチャレンジや半導体産業への参入を応援するため、本年3月に「京都半導体産業振興フォーラム」を開催したところでございます。
 今後とも、京都の強みを生かし、半導体産業をはじめとした成長が見込まれる産業分野において多様な企業の立地を推進いたしますとともに、オープンイノベーションの創出を図ることで京都経済の発展につなげてまいりたいと考えております。
 次に、就労・奨学金返済一体型支援事業についてでございます。
 この事業は、奨学金の返済に苦しむ若者の経済的負担の軽減と人手不足に苦しむ中小企業における人材の確保・定着の両面の支援を目的として取り組むものであり、中小企業の人手不足が深刻化する中、本事業のさらなる利用拡大を図ることが重要だと考えております。
 本事業は、最大6年間で平均借入総額の3割程度を制度導入した企業と京都府が負担することにより、入社間もない従業員の奨学金負担を大幅に軽減できることから、従業員からは「就職先を決める要因の一つになった」や「支援制度のおかげで仕事を辞めることを思いとどまった」などのお声をいただいております。また、企業の制度導入を京都府が後押しする仕組みであることから、導入企業からは「新卒を採用できた」や「離職率が下がった」などの評価をいただいており、令和5年度末時点で264社が制度を導入し、1,129人が支援を受けておられるところでございます。
 利用いただいている企業、従業員双方から高い評価をいただく一方で、導入企業はまだまだ少ないことから、まずは制度のメリットを分かりやすく伝え、企業や学生に対する周知を図ることでさらなる利用拡大に努めてまいりたいと考えております。
 具体的には、企業に対しては、制度導入企業を集めた合同企業説明会の開催などによる学生との出会いの場の確保、学生に対しては平均借入総額の3割相当の支援というメリットを示し、双方の希望をかなえる形で制度の普及を図ってまいりたいと考えております。その上で、企業や働いている方の御意見をお聞きしながら、さらに使いやすい制度となるよう検討を進めてまいりたいと考えております。
 今後とも、京都企業人材確保センターを機軸に企業や学生へのアプローチを強化いたしますとともに、社会保険労務士などによる伴走支援も活用いただきながら、職場環境の改善を進める企業の取組を後押しすることで、若者の負担軽減と企業の人材確保に取り組んでまいりたいと考えております。

◯議長(石田宗久君) 増田大輔議員。
   〔増田大輔君登壇〕

◯増田大輔君 御答弁ありがとうございました。
 産業振興について、企業誘致の取組は非常に大事と思います。もちろん、課題も多いかもしれません。企業に京都府を選んでもらえるために、土地利用や交通アクセスなども含めて立地条件をよくする、このようなことが大事と思いますので、積極的な取組を特に半導体企業の誘致の取組、よろしくお願いいたします。
 就労・奨学金返済一体型支援ですが、学生の皆さんにとって奨学金を軽減できるという非常に大事な取組です。今のニーズを捉えた、さらに強化した支援事業にしていただければと思いますし、学生の皆さんにももっとこの事業を知ってもらうために、京都府の発信力が課題にもなってくると思います。府内の大学を卒業した学生がそのまま京都に住み続け就職してもらうためのこの取組こそが、京都府の人口減少対策への重要な要素になってきますので、ぜひ発信の強化もよろしくお願いいたします。
 それでは、次の質問に入ります。人口減少社会における地域公共交通施策についてです。
 言うまでもなく、人口減少社会で人が減るということは、交通総量が減るということになります。都市圏内の地域公共交通は充実しておりますが、京都府においては生活条件を満たしてくれてきた地域公共交通インフラをどのように整備して、生活の移動手段を持続的に維持・確保していくのかということが課題に上がっていると言えると思います。
 交通総量が減り経営難になった地域公共交通の事業者は、非常に苦しい経営を余儀なくされています。運転手などの担い手不足も相まって、サービス水準を落とさざるを得なくなります。具体的には、路線の廃線や本数の減少などです。そうなると、どうしても利用される方は不便になり利用しなくなる、自動車に依存するようになり、地域公共交通の利用者はさらに減り交通事業者の経営が厳しくなっていく、さらには人口減少も相まって人手不足になり働かれている方々にさらに過重労働がのしかかり退職をされる、こうした悪循環が起こっているのが、今日の特に地方都市圏での地域公共交通の姿です。
 こういった中で何かヒントになることはないかということで、アメリカの西海岸に位置するポートランドという市の持続可能な交通まちづくりについて御紹介をしたいと思います。
 ポートランドは、アメリカ合衆国オレゴン州のマルトノマ郡にある都市で、アメリカ北西部ではシアトルに次いで人口が多い都市であり、人口は約65万人ぐらいです。このポートランドというまちは、ライフスタイルを享受したいということで1年間に1万人ぐらいの人たちが移住してくるような人気都市に成長しました。その理由の一つに挙がるのが、車なしでも生活できるということで、すなわち充実した質の高い交通ネットワークがあるということです。
 内容は、バスや鉄道、路面電車がもちろん中心ですが、加えて「リフト」と言われている乗合バスがあります。これは体の不自由な方々がドア・ツー・ドアで利用できるサービスです。予約制になっておりますが、必要な方が低運賃で利用できるサービスです。そのほかにも、中心部から少し離れたところに住んでおられる方が利用できる、朝と夕方の通勤時間帯のみ集中的に走る高速列車も整備されています。ポートランドというまちは、路面電車を中心に交通ネットワークが形成されており、その路面電車網をカバーする形でバス路線があります。さらには、バスも15分に1本以上便がある高頻度路線が全体の約6割と拡充しています。このエリアに住んでいれば、800メートル以内で公共交通にアクセスできるというイメージです。
 とにかくポートランドという都市では、積極的に地域公共交通の充実化を図っているわけです。そのこともあって、今、話題になり議論が行われているライドシェアも、ほとんどといってよいほど利用されておりません。その必要性がないからです。さらには、デジタル面においても、バスが今どこを走っていて、バス停にあと何分で到着できるかスマホで確認できます。ですから、時刻表を見る必要もなく、きめ細やかなサービスが提供されているということです。運賃についても、2時間半乗り放題プランと1日乗り放題プランとがございます。さらに、この運賃はバスであろうが路面電車であろうが同金額で乗り続けられます。もちろん、交通系カードやスマホアプリをタップすればよいので、乗り降りも円滑にできます。このような高品質なサービスの結果、ポートランドは、全米での同規模都市圏での地域公共交通人口1人当たりの年間利用回数で圧倒的にトップに位置しております。
 さらに、興味深いデータとして、自動車の走行量は平均に比べるとポートランドは大幅に下回っています。自動車利用が減ってくるのと、路面電車などの地域公共交通のネットワークが拡張されていく動きは、まさにこの京都府と比べますと逆の動きとなっております。
 そこで質問いたします。
 京都府の地域公共交通の充実に向けて、このポートランドの充実した取組について参考にすべき点も多いと考えますが、いかがでしょうか。
 利用者についても、ほぼ全ての年齢の方がバランスよく利用されています。興味深いのは、ポートランドの地域公共交通を利用している人も利用していない人も、「地域公共交通の充実は地域に便益をもたらす」と回答している人が多いということです。
 車を運転できる人は、地域公共交通を利用しなくても車で移動したらいいじゃないかという話になるかもしれませんが、実は車を運転できても運転に不安がある方もおられますし、また家族であれば送迎などの負担も大きいわけです。地域公共交通が必要だという方は、車の運転が困難になる高齢者の方々だけではなく、子育て世代も同じぐらい、むしろそれ以上に必要だと回答されております。子育てされている家族や家庭は仕事に家事に多忙で、例えば子どもの塾や習い事に行くにしても車でしか移動できないとなると送迎をしないといけませんし、家族であっても送迎を頼むことに心理的負担も小さくないという分析もされています。また、ドライバーの方々も、地域公共交通が充実して利用者が増えると道路混雑が解消するという便益を受けることも分かると思います。
 こうした充実した地域公共交通をどうして支えているのかというのが一番の疑問点となります。結論から申し上げますと、いわゆる交通税を中心に財源の約80%が公的負担で支えられているということです。国の補助金もかなり手厚く、国の補助金でおおよそ2割ほど、そして交通税が大体6割ほどで全体の8割ぐらいが公的に支えられています。付け加えて、国が補助する条件として特に重要視されているのが、住民参加を保証する形で策定された地域交通計画で、これが補助の条件になっています。単に地域公共交通を支えるために支援するのではなく、地域の方々が望む交通ビジョンと整合的な形で計画が策定されていることを要件に補助をします。これが興味深いところであります。
 さらに強調すべきは、先ほど申し上げた交通税という独自の財源があることです。広いサービスエリアから広く薄く徴収しています。このことにより、質の高い地域公共交通サービスという選択肢をつくるということです。自動車に匹敵する質の高い地域公共交通サービスの選択肢をつくっていると考えていただければと思います。収支改善というよりも、社会全体の改善につながり、それを受益する地域社会が税を運営の原資にするという考え方に住民合意がある、交通税にコンセンサスがある背景にはこういうことがあるということです。
 地域公共交通の維持・充実に向けた施策には、国とも連携した財源の確保が重要と考えますが、京都府においては国とどのように連携を進めておられるのかをお聞かせください。
 最後に、伏見港及び周辺地域におけるにぎわいづくりに向けた施設整備について質問させていただきます。
 2025年、大阪・関西万博が開催されます。万博開催を契機として、舟運を核とした淀川沿川地域のにぎわいづくりのため、定期観光船の就航や沿川地域の資源を活用した観光コンテンツの商品化、これを支えるハード面の整備など、万博までに淀川舟運を核とした伏見港を含む沿川地域のにぎわいづくりやまちづくりが加速しています。
 舟運復活の動きと連携し親水護岸の整備、三栖閘門や三栖閘門資料館などのさらなる有効活用を図るとともに、にぎわい拠点の機能整備を行うことで、京都伏見の新たな玄関口のにぎわいエリアの形成を図り、またそこから伏見の市街地へと回遊を促すことで伏見のまち全体の活性化を図っていくこととされています。地元の皆様や地元企業の皆様は、この舟運事業による観光に大変期待されておられます。舟運事業はまさに京都伏見における観光の起爆剤です。
 それに伴い、伏見港公園及び伏見みなと公園広場においては、公園などの整備計画も順調に行われてきております。国と連携していただきながら、伏見に船着き場ができ、舟運を利用される皆様が京阪中書島駅まで安全・安心にアクセスできるよう、園路の改修など着実に工事を滞りなく行っていただきたいと思っています。
 また、この伏見港周辺には宇治川派流が流れており、ここにも十石舟、三十石舟の運航もされており、淀川舟運で降り着いた人たちがこちらの船に乗り換え観光されるという動線にもつなげていただきたいと思います。
 さらに、地元には、中書島の商店街などを抜けて竜馬通り商店街、納屋町商店街、風呂屋町商店街、そして伏見大手筋商店街など伏見を代表する7商店街がある地域でございます。京都の観光拠点としてこれからますます発展していただくために、地元の皆様や民間企業の皆様とも連携をして一体となった取組をお願い申し上げます。
 そこでお伺いします。
 京都府として、伏見港及び周辺地域におけるにぎわいづくりに向けた施設整備についてどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。御答弁をよろしくお願いいたします。

◯議長(石田宗久君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 地域公共交通政策についてでございます。
 鉄道、バスなどの公共交通は、通勤・通学、子育てや通院など地域の生活や経済を支える社会基盤であり、特に車を運転できない方にとっては欠くことができない移動手段でございます。しかしながら、人口減少や自家用車の普及などにより公共交通の利用者は減少傾向にあり、交通事業者の経営環境は非常に厳しさを増しております。
 加えまして、昨今の運転士不足などにより、過疎地域のみならず都市部のバス路線においても減便などが行われているところであり、このような課題への対応も急務となっております。
 議員御紹介のアメリカ・ポートランドの公共交通につきましては、ポートランド市を含む周辺地域を一つの都市圏として、一つの広域行政組織が地域鉄道や路面電車、バスなどで形成される都市圏内の公共交通ネットワークを一元的に整備・運営しているものであります。
 このような運営体制の中で、各交通モード間の乗り継ぎを考慮した運行間隔の設定、路面電車の駅とバスの停留所の一体的設置による乗換え利便性の向上、共通運賃の導入などによるシームレスな公共交通サービスの提供が図られております。さらには、駅や車両のバリアフリー化、ドア・ツー・ドアの乗合バスの運行などにより、高齢者や障害者を含め誰もが利用しやすい公共交通サービスが提供されているものと承知しております。
 京都府における公共交通につきましては交通事業者ごとに運営されており、ポートランドとは運営体制などが異なっております。京都府といたしましては、シームレスで誰もが利用しやすい公共交通サービスの提供など参考にできることがあると考えており、交通事業者同士の連携、国や自治体による交通事業者の支援などを通じまして、質の高い公共交通サービスの実現を目指すこととしております。
 具体的には、各交通事業者において駅での乗り継ぎ利便性を確保するため、鉄道・バス間でのダイヤ調整、連絡定期券の発売などにより公共交通ネットワークの一体性の確保に努めております。さらに、シームレスな移動の確保のため、鉄道とバスとの連携による交通系ICカードシステムの導入や、バスの接近情報などを提供するバスロケーションシステムの導入の拡大に向けた取組に対し、国や市町村と連携して交通事業者への支援を行っております。
 また、高齢者や子育て世代など、府民の誰もが公共交通を使って府域を安全かつ快適に移動できるよう、鉄道駅のバリアフリー化、ノンステップバスの導入などを進めており、その結果、府内の利用者数が3,000人以上の鉄道駅のバリアフリー化率が98%、バリアフリーの基準を満たすバス車両の導入比率が94%に達し、全国的にも高い水準となっております。
 加えまして、鉄道やバスによる移動が困難な交通空白地においては、自家用有償旅客運送の制度を活用し、ドア・ツー・ドアで利用できる乗合交通などが府内の15市町村で提供されております。引き続き、シームレスで誰もが安心かつ快適に移動できる公共交通を目指し、国や市町村、交通事業者と連携し質の高い公共交通サービスの提供に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、国と連携した財源確保についてでございます。
 公共交通を取り巻く経営環境の厳しさが一層増す中、特に地方部におきましては交通事業者の独立採算では維持できない路線が年々増加してきており、国や自治体が財政面も含めて従来よりも積極的に関与していくことが必要となってきております。
 京都府内におきましても、過疎地域などを中心とした交通事業の採算性が低い地域では、交通事業者に対する国や自治体による運行支援や、市町村が主体的に運営するコミュニティバスなどにより、地域の移動手段が確保されているところでございます。
 交通事業者への支援などに必要な財源につきましては、国において、運行経費や施設整備に対する補助金に加えまして、昨年度から社会資本整備総合交付金の活用も可能となるなど、様々な支援制度が措置されております。このため京都府及び市町村におきましては、国の支援制度の有効活用を図りながら、地域公共交通の維持のために必要な施策について検討を行っているところでございます。
 議員御紹介のポートランドでは、交通事業者である広域行政組織が、国の補助金と運賃に加えて特定の税収の一定割合を財源として活用することで公共交通の事業運営を行っており、国からの補助要件として住民参加の機会を保証した地域交通計画の策定が義務づけられております。
 我が国におきましても同様に、国の支援を受ける場合には地域公共交通活性化再生法に基づく地域公共交通計画を策定することと、利用者や住民のほか、まちづくり、観光、福祉、教育などの多様な主体との連携した取組を行うことが求められております。
 このため京都府といたしましては、国と連携をして、市町村に対し自らの地域内における公共交通を確保するための地域公共交通計画の策定を促しますとともに、計画に位置づけられた施策の推進について、法定協議会への参画を通じ、住民との合意形成や多様な主体との連携、まちづくりとの一体的な検討を行うよう広域的な観点から必要な助言を行っているところでございます。
 また、京都丹後鉄道やJR山陰本線、JR関西本線の沿線地域などローカル鉄道を軸とした公共交通ネットワークが形成されている地域においては、市町村単独では効果的な取組が難しいことから京都府が主体となって法定協議会を運営し、多様な主体との連携の下、地域公共交通計画の策定と計画の推進を行うことにより、国からの財政支援を受けて沿線地域の公共交通の確保に努めております。
 加えまして、地域公共交通に関する必要な予算の確保や補助制度のさらなる充実が図られますよう国に対し要望を行っており、先日も、持続可能な地域公共交通の確保などにつきまして国に対し私自ら要望してきたところでございます。
 引き続き、国や市町村と連携しながら国の支援制度を十分に活用し、持続可能な地域公共交通の確保に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、伏見港及び周辺地域におけるにぎわいづくりに向けた施設整備についてでございます。
 伏見港及び商店街をはじめとする周辺地域における新たなにぎわいづくりに向けましては、令和2年に地元関係者とともに設立した「『川のみなとオアシス水のまち京都・伏見』運営・まちづくり協議会」におきまして、令和4年に「伏見の『みなと』を中心としたまちづくりビジョン」としてソフト・ハード両輪での取組方針を定めたところでございます。令和2年から本協議会をはじめ様々な団体が連携し、「ふしみなーとフェスタ」など地場産品の販売や飲食の提供などを行うイベントを開催し、毎回多くの来場者でにぎわいを見せております。
 京都府では、こうしたにぎわいづくりを支えるハード整備について、まちづくりビジョンに基づき進めているところであり、伏見みなと公園広場においてステージの改修やキッチンカーが乗り入れ可能な舗装への改修、橋梁のバリアフリー化など、イベントで活用しやすい広場への再整備を進めているところでございます。
 また、大阪・関西万博を契機とした淀川舟運の復活を見据え、新たな人流を伏見港周辺の地域全体への回遊につなげるため、京阪中書島駅から淀川舟運船着き場への動線となる伏見港公園の園路整備につきまして、今定例会に予算案を提案しているところでございます。
 さらに、昨年8月に協議会と河川管理者である国が共同で作成し、国土交通省により登録された「伏見地区かわまちづくり計画」に基づき、現在、国におきまして、中型船就航に向けた親水護岸の整備などが進められているところでございます。
 今後とも、地元の商店街や企業、関係行政機関などと連携を図り、伏見港及び周辺地域のにぎわいづくりにつながる施設整備を推進してまいりたいと考えております。

◯議長(石田宗久君) 増田大輔議員。
   〔増田大輔君登壇〕

◯増田大輔君 御答弁ありがとうございました。
 地域公共交通施策について御答弁いただきました。人口減少社会により交通総量が減り、公共交通を民間企業として成り立たせることは、やはりこれまで以上に困難な時代になってきます。ポートランドのように地域公共交通を充実させて、人口増加に転ずるというケースもあります。交通系アプリのスマホ決済などデジタル面の強化などよろしくお願いしますし、採算性のみで判断して鉄道やバスの路線廃止を進めるということは、生活条件の危機を招いてしまうということです。民間としてやってきた背景ゆえ、今でも日本は地域公共交通を採算性で評価するという考え方が根強いことが現状です。これからは人口減少社会における発想の転換で、日常生活に必要な人々の交通アクセスを保障するために、欧米諸国で一般化されている地域公共交通を公的負担で支える仕組みが求められるのではないかということですので、引き続き、国との連携も含めて積極的な御支援をよろしくお願い申し上げます。
 伏見港を核とした舟運事業も含めたにぎわいづくりについては、私も本当に楽しみで期待をしております。万博まで時期も近づいていますし、地元伏見もこの舟運事業、そして伏見港の公園整備は非常に楽しみにされておられます。どうぞ、地元の皆様とも連携をして声を聞いて、観光される皆様との共存共栄、そして地域発展を目指し、滞りなく工事を丁寧に進めていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 時間が参りましたので、私の代表質問を終わらせていただきたいと思います。御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)