1 救急医療体制について
2 府立高校の魅力化について
3 地域共生社会の実現について
4 地域公共交通について
5 その他
※外部リンクに移動します。
◯小原舞君 府民クラブ京都府議会議員団の小原舞です。会派を代表して質問いたしますので、知事並びに教育長の御答弁をよろしくお願いいたします。
まず、今定例会に提案されました令和7年度当初予算案及び令和6年度2月補正予算案についてですが、これまで我が会派としても現場調査を行い、予算要望等で提言した「子育て環境日本一・京都」の中で全国初の取組として京都市及び宇治市内において試行実施されていた親子誰でも通園支援事業の対象施設の大幅な拡大や、府市トップミーティングを踏まえて、新規に京都次世代半導体産業推進事業費等が計上されています。また、能登半島地震の教訓から、陸路に頼らない空路・海路による支援体制の強化のため、京都舞鶴港第3埠頭に複数の大型ヘリが離着陸可能なヘリポートの整備と、孤立する可能性の高い舞鶴市田井地区や綾部市奥上林地区の2か所にヘリポートを設置するなどの大規模災害への備えや、新たな感染症対策として全国初の京都版CDCの設置、子育て支援の強化など、西脇知事2期目の総仕上げとなる「あたたかい京都づくり実感予算」として予算が編成されております。会派を代表して今回の予算案を高く評価するとともに、予算の詳細につきましては今後の予算特別委員会等において熟議をしてまいります。
それでは、質問に入ります。
まずは、救急医療体制についてお伺いいたします。
保健医療計画に規定している二次医療圏と同じ6区域で設定されている京都府地域包括ケア構想は、目標年次を団塊の世代が75歳以上となる今年2025年としており、今後2040年を見据えた計画について国が検討に入っております。
また、新たな地域医療構想においても、2025年度に国がガイドラインを作成し、2026年度に都道府県が、医療機関からの報告データを踏まえながら地域の医療提供体制全体の方向性や必要病床数の推計等を検討・策定した後、2027年度から順次取組を開始し、円滑な移行を図るとされています。2040年に目指す地域の入院医療提供体制は、急性期拠点機能として急性期を担う病院は集約化し、高齢者救急・地域急性期機能については地域に高齢者救急を担う病院を配置することなどについて論議されています。
京都府においては、構想区域については現行の6つの二次医療圏を踏襲しながら、特に緊急性の高い脳卒中、虚血性心疾患については二次医療圏を越えて柔軟に運用されています。
先月、北部出身の元助産師の方から1通の手紙をいただき、丹後医療圏では、例えば脳卒中の際に急性期を担える病院がなく、舞鶴、豊岡、福知山等の脳外科医がいる病院に一刻も早く搬送できるシステムを構築してほしいとの内容でした。
また、4つの公的病院がある地元舞鶴市では、現在、舞鶴市医療機能最適化検討会議にて急性期機能の集約や救急搬送体制等の検証や議論が行われています。
中山間地の多い京都北部地域は、京都府の救急医療機関への搬送時間が平均よりも長く、京都市内等への広域搬送においても救急車のみの搬送では時間がかかり、また高齢化によって救急搬送困難事案も今後増加することが予想されます。京都府においては、救命効果が高いとされる「30分以内での救急医療提供体制」を提供するために関西広域連合が運航するドクターヘリ3機体制を取っていますが、京都府には独自のドクターヘリと基地病院がなく、大災害時や重複要請等の際にセーフティーネットを構築できないことが危惧されています。このたび京都舞鶴港にヘリポートが整備されますが、今後検討されている基地病院と消防や自衛隊ヘリとの連携等、救急搬送の強化が図られることを望むものです。
そこで、令和4年に設置された「救急搬送体制のあり方検討委員会」で議論されていると思いますが、救急医療体制の構築についての御見解と京都府におけるドクターヘリ導入の検討状況についてお伺いいたします。
次に、府立高校の魅力化についてお伺いいたします。
少子化の影響で府立公立中学校3年生の数は、直近では昭和62年度の4万698人をピークに、令和4年度には1万9,144人と約半減しており、多くの府立高校において、南部地域は1学年が6から8学級規模のところ、北部地域は1学年が5学級以下の規模になっており、さらには2から3学級規模の高校が増えて府立高校の小規模化が進行しています。
また、近年、高校等への進学率が99%以上となる中、令和6年度の全日制公立高校を志望した府内の中学3年生は52%と過去最低となる一方で、私立高校進学者は増加し、その要因として私学助成の拡充により経済的負担が軽減されたことが挙げられています。また、不登校経験がある生徒等の進学先として通信制高校進学者も増加するなど、生徒の学習ニーズや進学先の選択肢も広がり、多様化してきています。
こうした社会情勢の変化に加え、本府は南北に長く、人口分布や交通の利便性等の生活環境が地域によって異なり、学校数の少ない北部地域は南部地域に比べて選択肢が限られ、教育の質と学びの機会に格差があると感じています。英語の授業を例にしても、英文の解釈の仕方の違い一つで生徒の理解度は変わるものだと体験を通じて感じており、教員の力量を問題とするのではなく、ICT等も活用して様々な方法で学べる環境をつくることが大事だと考えております。
先月、会派視察で、全国で初めてNTT西日本のCMでおなじみの「つながる教室」を導入し、世界最先端のICTで全国、世界と遠隔交流を行って全国から注目された宮崎県立飯野高校に伺いました。例えば、ザンビア共和国と英語での交流、卓球日本代表・石川佳純さんや県外の高校生同士の交流など、離れた空間をつなぎ、特別な体験と交流を積極的に行うことによって自分の考えをアウトプットしたり、プレゼンしたりすることで今必要な力を身につけることができ、先進的で非常にすばらしい取組だと思っております。
こうした形でのICT等を活用した学びの地域間格差の解消に京都でも取り組むべきだと考えております。人口減少下においてこそ、様々な生徒のニーズにきめ細やかに応え、経済的に厳しい環境でも通学圏内の公立高校で教育の機会が得られ、夢に向けてチャレンジできるよう、ICT等を最大限に活用して府立高校の強みを発揮した最先端の学びが受けられるよう求めたいと考えております。
そこで伺います。
生徒が地理的制約を超えて質の高い学びを受けられる環境づくりを進め、学びの格差が生じないよう努めていくことが必要だと考えますが、ICT等を活用した学びの地域間格差の解消について教育長の御見解をお伺いいたします。
他府県が産業振興等の観点から職業学科単独高校が多く設置されてきた一方で、京都府の府立高校の特徴として、全国に比べて普通科の生徒数の割合が多く8割を超え、職業学科の割合が低くなっています。また、令和6年度の京都府の大学進学率は過去最高の74%で、過去最高を更新し、全国2位となっており、偏差値で志望校を選択する傾向や画一的な学びの印象を持たれることなどから、令和3年の中央教育審議会答申において提言された普通科改革を踏まえ、各通学圏において既設学科を見直し、「新しい普通科」の設置など、普通教育の魅力化の推進が掲げられています。
先ほど紹介いたしました宮崎県立飯野高校が所在するえびの市は約1万6,000人の人口ですが、施設や設備が大変充実しており、普通科改革事業として探求学習に力を入れ、全国大会での受賞実績も多く、キーワードは「学校とまちづくり」として地域総ぐるみによる高校を拠点とした人材育成を図っておられます。地域を軸にして県外、海外でも学ぶ生徒が急増し、様々なチャレンジや探求活動での経験を基に、例えば「地域医療の課題をグローバルな視点からも考えたい」から「進路先を大分大学医学部医学科に定め、将来は地域社会で活躍する総合診療医を目指す」などという明確な目標を持つ生徒が育っています。生徒たちの取組は地元新聞等でも多く取り上げられ、生徒の一人一人が主人公になれる学校を目指されていました。また、えびの市の支援事業により、校内に無料の公営塾の設置や、全国からの入学生が急増したため、寮の設置やバスの半額補助等の取組など特色化を進めておられ、今後の「新しい普通科」や公立高校の魅力化の在り方について大変参考になりました。
令和9年度から新しい入試制度が導入されることをはじめ、学科・コースの見直しなど、府立高校改革が進められる中、現在通学している高校生や入学生が統廃合の検討のはざまで不利益を被ることがないように府立高校の魅力を高めていくことにも併せて取り組んでいくことが必要だと考えています。そのために、普通科の生徒数が多いといった京都府の特徴を踏まえると、飯野高校のように普通科の特色化を推進し、生徒が通っている学校に誇りを持てるよう、府立高校の再編整備に併せ、普通科改革にも力を入れていただきたいと考えます。まだ検討段階だと伺っておりますが、現時点における普通科改革に対する教育長の御見解をお伺いいたします。
ここまで御答弁をよろしくお願いいたします。
◯議長(石田宗久君) 西脇知事。
〔知事西脇隆俊君登壇〕
◯知事(西脇隆俊君) 小原議員の御質問にお答えいたします。
小原議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして今回の予算案に対しまして高い評価をいただき、厚く御礼を申し上げます。
京都府内における救急医療体制についてでございます。
府内の救急医療につきましては、救急患者の重症度に応じて一次から三次救急までの3段階の体制を整備しているところですが、救急患者の増加への対応など、さらなる体制の強化が必要だと考えております。また、府内の救急搬送につきましては、全国と比較して搬送時間が短い状況ではございますが、搬送時間に地域差があるなどの課題がございます。
これらの課題について、令和4年度に「救急搬送体制のあり方検討委員会」を設置し、救急を専門とする医師などの関係者に意見をお伺いしながら、救命救急センターなどの三次救急医療体制と救急搬送体制の在り方を検討したところでございます。
三次救急医療体制につきましては、「近年における救命救急センターへの救急患者の増加に対応した体制強化が必要」「広範囲に及ぶやけどなどに対応できる高度救命救急センターの設置が必要」といった意見がございました。こうした意見を踏まえ、三次救急医療体制の強化を図るため、昨年4月に府内初の高度救命救急センターを2か所指定いたしますとともに、救命救急センターについても新たに2か所の指定を行ったところでございます。
救急搬送体制につきましては、「二次医療圏を越えた転院搬送において救急車のみの搬送では時間がかかるなど、広域搬送に課題がある」こと、「府内に基地病院を置くドクターヘリの導入は災害などの有事の際にも有効」といった意見がございました。
京都府といたしましては、広域搬送手段の一つであるドクターヘリについて、特に中山間地域など搬送に時間を要する地域における救急患者の初期治療や二次医療圏を越えた広域搬送において利点が大きいと考えております。このため、現在、医師や看護師のマンパワー、医療の質の確保、施設や設備などについて他府県の状況の調査を行いますとともに、関西広域連合において、府域で共同運航中のドクターヘリ3機との関係性も踏まえながら、その有用性や課題など、府内に基地病院を置くドクターヘリの導入可能性について検討を行っているところでございます。
今後とも府域全体での救急医療体制の充実・強化を図ってまいりたいと考えております。
◯議長(石田宗久君) 前川教育長。
〔教育長前川明範君登壇〕
◯教育長(前川明範君) 小原議員の御質問にお答えいたします。
府立高校の魅力化についてでございます。
地理的条件によらず、どの学校においても興味・関心に応じた質の高い学びができる教育環境を整えることは重要であり、その観点からもICTの活用をこれまで以上に進めていく必要があると考えております。
その実現には安定した通信環境が不可欠なため、昨年度から各校の通信回線の増強に取り組み、今年度末には完了する予定ですが、さらなる通信環境の安定化を目指して今後も強化を図る予定です。また、今年度は、国の事業等も活用し、大画面で臨場感のあるオンライン交流ができる機器の導入や設備の充実などにも取り組んでいるところでございます。
このような環境整備を生かして、今年度から同じ興味や関心を持つ生徒が放課後にオンラインでつながる「学びのWEBラボ」事業を試行的に始めました。北部2校、南部4校から25名の生徒が、気象やロボットなどの3つのラボ、すなわち研究室に参加し、京都地方気象台の職員から助言を受けたり、ロボット工学の専門家に指導を受けながら探究的な学びに取り組んでおります。また、各校の特色ある授業や講義を配信する「どこでもスペシャル講座」も試行的に始めており、著名な数学者による数学の魅力についての講義や、企業の経営者による流通や貿易に関する講義など、同時双方向型でオンライン配信し、北部2校、南部6校から100名を超える生徒が受講したところでございます。
令和7年度は、企業や大学等との連携を強化して多様なニーズに応えられるラボを開設したり、洛北、嵯峨野、桃山といったスーパーサイエンスハイスクールの先進的な授業を配信するなど、オンラインを活用した取組を本格化するとともに、ICTの利点を生かした各校の取組の充実を支援することで、地理的条件などによらず、全ての学校で質の高い学びに触れる機会を創出できるよう、取り組んでまいります。
次に、普通科改革についてでございますが、議員御指摘のとおり、府立高校において多くの高校生が在籍している普通科の魅力化・特色化は高校改革の中でも大きなポイントであると考えております。
高校改革を進めるに当たっては、生徒一人一人の興味・関心や「将来なりたい姿」といった夢や希望に応えることを第一に考え、家庭環境や経済状況、地域環境にかかわらず、自ら努力することで自分の可能性を最大限望む方向に広げられる教育環境を整備していく必要があると考えております。
これまでから普通科におきましては、幅広い科目を設定することで総合的に学ぶことができ、柔軟な進路選択が可能となるよさがある一方で、生徒の目的意識が希薄となりがちであったり、各校の特色の違いが分かりにくいという課題がございました。今後は、総合的に学べるという普通科のよさを生かし、例えば複数の教科の学びによって身につけた力を活用し、課題や問いに挑戦するコースの設定や、地域の企業や専門家とともに具体的な地域課題を実際に解消していく取組の実践といったように、各高校の学びを明確化してまいります。具体化に向けては、全ての校長と協議を重ねながら、現在の教育課程や教育内容を点検・検証した上で見直しを図り、その内容を中学生や保護者に正確に分かりやすく届けられるよう工夫をしてまいります。
府教育委員会といたしましては、府立高校が子どもたちの期待にしっかりと応えられるよう、ICTをはじめとした教育環境を整備するとともに、魅力ある教育内容とするため、普通科改革を進めてまいります。
◯議長(石田宗久君) 小原舞議員。
〔小原舞君登壇〕
◯小原舞君 御答弁ありがとうございました。
まさに救急医療体制につきましては命に関わることですので、府民の皆様も大変関心の高い分野でございます。この救急医療体制の推進に併せて、厳しい医師不足対策、また特にコメディカルと言われる看護師・保健師・助産師さん、薬剤師さんなどの不足対策もございますし、これからも、医療と福祉の連携事業の推進など、引き続きよろしくお願い申し上げます。
普通科についての御答弁もいただきました。普通科の課題等々もございますけれども、やはりアンケートの中でも中学生の段階ではまだ将来の進路を描き切れない生徒が多いということもございます。自分は何が向いているのか、天分・天職は何なのか、こういったことは小中学校から始めることがよいと言われておりますし、これから接続で高校での探究学習やキャリア教育につなげていただいて、とにかくどの環境で生まれ育っても魅力ある教育を受ける機会が得られるように引き続き未来ある子どもたちのために御尽力のほど、よろしくお願いいたします。
それでは、地域共生社会の実現についてお伺いをいたします。
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が令和6年に公表した日本の世帯数の将来推計によると、2050年には全5,261万世帯に占める単身世帯の割合が44.3%となり、そのうち65歳以上は1,084万世帯で、全体の20.6%を占めることになります。また、平均世帯人員は、世帯の単独化が一層進むことにより、2033年に初めて2人を割り込んで1.99人になり、未婚者が増え、少子高齢化で一緒に暮らす家族の人数も減るためとされています。
2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、人口全体の18%を占め、私もですが、人口が多い団塊ジュニア世代が75歳以上になる2050年には高齢化率は約37%となり、後期高齢者の割合は約23.3%、全人口の約4人に1人は75歳以上となるため、独り暮らしの高齢者が増えることを鑑み、地域における支え合いや見守りなどの支援の充実と、地域で安心して暮らすことのできる環境整備が必要となってきます。
平成30年12月定例会にて高齢者の独り暮らし対策について質問いたしましたが、少子高齢化社会はもう一度「年長者を敬う」「子どもを地域全体で育む」「近所付き合いをする」などといったこれまで日本が培ってきた大事なことや社会システムを取り戻す機会ではないかと前向きに捉えていきたいと思います。一方で、声かけや訪問活動に応じない方への対応や、貧困や精神疾患なども含めた複合的な課題がある方への対応などの課題を見据えて、多職種の関係者による効果的な連携による見守りが必要とし、絆ネットの構築を市町村と協力して進め、多様な主体による重層的な見守り活動の充実を図ると御答弁いただきました。
近年、80代の親が50代のひきこもりの子を抱えている家庭を指す「8050世帯」や、介護と育児のダブルケア、ヤングケアラーの問題、ごみ屋敷など、地域住民の課題は複雑化・複合化しており、こうした課題に市町村が主体的に対応していけるよう、令和3年4月、社会福祉法の改正により、重層的支援体制整備事業が創設されました。同事業は、社会福祉法等に基づいて、市町村全体の支援機関・地域の関係者が断らず受け止め、つながり続ける支援体制を構築することをコンセプトに、「属性を問わない相談支援」「参加支援」「地域づくりに向けた支援」の3つの支援を一体的に実施することを目的にしており、高齢者、障害者、子どもなど、対象を限定しない新たな地域包括ケアシステムの構築とも言える取組です。府内市町村では、これまでに長岡京市、京都市、亀岡市、精華町が事業を開始され、令和7年度からは舞鶴市、福知山市、京丹後市の3市が事業開始予定と伺っています。
地元舞鶴市の社会福祉協議会にてお話を伺うと、地域社会からの孤立化が問題となっている中、家族との絶縁によって、支援の手を差し伸べたくとも、家族から「放っておいてほしい」と断られるケースや、ごみ屋敷のように本人が支援を断固拒否するなど、対応に困るケースも出てきており、「誰も取り残さない地域づくり」と一言で言っても、現場の大変さやマンパワー不足等も指摘されています。また、事例として、独り親家庭で、子に発達障害があって不登校になっている、母親も精神障害があるなど、関係者間で包括的な支援体制の構築ができていないと支援が届かないことも危惧されます。
そこでお伺いします。
本府では、共生社会の実現に向けて平成26年度から絆ネット事業を市町村で取り組むよう進めてこられましたが、今後、市町村が重層的な支援体制を構築していく上でどのような課題があり、本府としてどのように支援していくのか、御見解をお伺いいたします。
最後に、公共交通についてお伺いいたします。
地元を歩く中で最近多く要望をいただくのが公共交通、地域の足の確保についてであります。京都北部のバス、タクシーなどの業界からも、運転手不足や運転手の高齢化に歯止めがかからず、今後の地域公共交通の維持・確保において影響が出ることが危惧されており、特にタクシー業界では、コロナ禍以降の需要の激減や運転手不足による売上額の減少、原油高における燃料の高騰によってさらに厳しい経営を強いられている現状についてお伺いしました。バス業界においては、比較的収益が見込まれる長距離・観光部門への運転手配置を行うにはバスの路線廃止や減便等を選択せざるを得ない状況になっています。
物価高騰や運転士不足を原因とした路線の廃止や減便等は、京都京阪バス、京阪バス、奈良交通等で相次ぎ、与謝野町に所在する丹海バスでは、該当する3市1町が対応策を講じて、住民による予約型の交通空白地有償運送や自家用車でのライドシェア、他の路線の延伸などに取り組み、住民の代替交通を確保しています。
京都府丹後地方と福知山を結ぶ丹海バス福知山線(与謝-共栄高校前)は、4月にはバス路線が廃止となり、与謝野町からの通学生には京都丹後鉄道の利用を促すことになり、平成29年9月定例会にて京都北部5市2町間の域内交通の利便性向上について質問したところ、「幹線鉄道等の取り組みのみならず、既存バス路線の延伸やデマンド交通の運行といった5市2町のフィーダー路線ネットワーク充実の取り組みが重要」と御答弁いただいており、公共交通を取り巻く環境が厳しさを増す中、今ある資源を有効活用しつつ、多様なモビリティー(移動手段)をシームレスに利用し、過疎地における自宅とバス停や駅を結ぶラストワンマイル移動、ドア・ツー・ドアの移動が公共交通の利便性を向上させ、ひいては公共交通機関の利用促進につながると期待されます。
京都府では、このような状況を受けて、持続可能な地域公共交通の確保に向けて、公共交通事業者の二種免許取得やPR・広報・採用活動等への支援として、公共交通人材の確保対策事業や地域モビリティサービス実証支援事業に取り組んでおられます。
京都府内では、交通空白地有償運送、いわゆる公共ライドシェアとして令和6年度7月時点で16市町村が導入し、日本初の、スマートフォンでUber(ウーバー)アプリを使い即時配車する京丹後市のNPO法人による「ささえ合い交通」や、私の地元舞鶴市では送迎マッチングアプリ「meemo(ミーモ)」及び電話予約により住民同士のマッチングを行い実施し、高野地域協議会の住民がドライバーとなって住民を送迎されており、まさに住民同士の支え合いと地域を思う人材の存在によって成り立っています。
1月に会派で、鹿児島県霧島市において、AI活用型オンデマンド交通「きりしまMワゴン」の運用について会派視察を行ってまいりました。「きりしまMワゴン」は、時刻表や決まった運行路線がない予約型の乗合交通で、バスの運転手不足と高齢化による減便等の課題に対応して中心市街地と中山間地域で運行しており、停留所は歩いていける距離として、ごみステーションや公共施設、スポンサー企業の敷地内などに設置されています。料金は中学生以上300円、未就学児無料など安価であり、市内タクシー業者に運行を委託し、運行時間帯等、タクシーとの差別化に配慮、車両の無償提供やスポンサー制度導入などの民間事業者との協働、補助から委託への転換等による市の財政負担の軽減等の様々な工夫により持続可能な地域公共交通の構築をされていて、大変参考になりました。
公共交通の在り方や課題は地域によって異なるため、地域公共交通会議における合意や、既存の公共交通との競合や採算性等も含めて持続可能性を考慮する必要があります。また、慢性的な人手不足については、令和6年6月に、バスやタクシー、トラック等の担い手確保に向けて、国土交通省と防衛省、業界団体が申合せを締結し、50代半ばで退職する若年定年制自衛官や20から30代半ばで退職する任期制自衛官は職業訓練を通じて年間1,500名程度が大型自動車運転免許等を取得しているため、バスや運送会社等への再就職支援の取組が各地で始まり、即戦力として期待されるなどの動きが出てきております。
このように様々な取組が行われる一方で、中川大京都大学名誉教授・富山大学特別研究教授は、「日本の公共交通政策は、公共交通は交通事業者の営利事業として、目指すのは採算の最大化、つまり経費の最小化で、自治体の関与は小さく、公費で負担するとしても赤字補填であり、結果、便利にならず、利用者減と赤字拡大の負のスパイラルに陥っている。一方で、世界標準では、公共交通は公共サービスとして、公費負担は市民の利便性向上と社会的利益の増進のためであり、結果として日本の公共交通は、他国がサービス水準を大幅に引き上げる中で、大きく遅れた」と述べられており、私も、特に地方や過疎地において企業努力と採算ベースの考え方で今後公共交通が成り立つのか根本的な議論が必要であり、「単なる赤字を補填するのではなく、利便性を向上させて利用者増によって支える。教育・医療・福祉などと同様、公が責任を持つ」という考え方に変えていく必要があると考えます。
地域特性に応じて地域公共交通会議等において議論は深められているとは思いますが、バス等の減便や路線廃止の影響は、まちの活力低下にもつながり、利便性の低下が住民の公共交通離れを加速させる悪循環に陥っており、改めて公共財としての地域公共交通の再生は喫緊の課題と言えます。持続可能な公共交通を目指して先進的な取組を行っている市町村をさらに伴走支援していただきますよう、よろしくお願いいたします。
そこで、持続可能な公共交通の構築に向けて、本府の御見解についてお伺いいたします。
また、過疎地域等の交通空白地におけるデマンド交通の取組について御所見をお聞かせください。
さらに、地域公共交通政策の維持の観点から、若手などの人材確保について、企業や関係機関と連携した支援等について御所見をお伺いいたします。
時間となりましたので、結びに、私たち府民クラブ京都府議会議員団は共生社会の実現に向けて今後も精進してまいりますことをお誓い申し上げ、私の代表質問の結びと代えさせていただきます。
御清聴いただきまして、誠にありがとうございました。(拍手)
◯議長(石田宗久君) 西脇知事。
〔知事西脇隆俊君登壇〕
◯知事(西脇隆俊君) 地域共生社会の実現についてでございます。
少子高齢化や人口減少が進み、単身世帯が増加するとともに、コロナ禍などの影響により人と人とのつながりの希薄化や地域の担い手不足が進んでおり、これまで地域社会が担ってきた支え合いや助け合いなどの機能が徐々に弱まってきていると認識しております。また、近年、8050(ハチマルゴマル)問題、介護と育児のダブルケア、ヤングケアラーや、いわゆるごみ屋敷の問題など、地域住民が抱える課題は複雑化・複合化しており、高齢、障害、子育て、生活困窮といったこれまでの属性別の支援体制では対応が困難となってきております。
このような状況の中、地域住民が抱える様々な課題に対し、市町村が幅広い相談支援機関や民生児童委員、自治会、地域のNPOなどと連携して包括的な支援を行うことができるよう、令和3年4月に社会福祉法が改正され、重層的支援体制整備事業が創設されました。しかしながら、市町村からは、重層的支援体制整備事業の取組に当たって、「地域住民が抱える複合的な課題に対する支援のノウハウが不足しており、対応が難しい」「地域のつながりが希薄化する中で、地域のNPOや住民との連携や協働をどのように進めていけばよいか分からない」などの声を伺っているところでございます。
このため京都府では、平成26年度から開始しました地域の見守り支援ネットワーク「絆ネット」のノウハウを生かし、市町村の取組を支援しているところでございます。具体的には、市町村や支援機関の職員に対する研修会の開催やアドバイザーの派遣などを通しまして、関係支援機関との連携構築や協議の場づくり、住民との協働による地域づくりなどのノウハウを提供することで、市町村が複合的な課題にも円滑に取り組めるよう支援をしております。
また、議員御指摘のとおり、市町村や社会福祉協議会におきましては支援活動に係るマンパワーの不足が課題となっておりますことから、重層的支援体制整備事業の開始に当たりましては、関係機関との調整や地域住民への訪問支援を行う職員などの配置に対し、必要な経費を支援しております。
こうした取組によりまして、京都府内におきましては、現在4市町が同事業を開始しており、令和7年度にはさらに3市が事業開始を予定しているところでございます。
既に事業を開始した市町村におきましては、地域住民の様々な相談に対応する「福祉なんでも相談窓口」の開設、地域の関係者と連携し、住民への寄り添い支援を行う「地域あんしん支援員」の設置、ひきこもり状態や不登校の方を受け入れる居場所の運営など、地域の実情に応じた様々な取組が展開され、複合的な課題を抱える地域住民の支援にもつながっているところでございます。
今後は、事業実施市町村による事例報告会を開催し、様々な取組から得られた成果やノウハウを他の市町村や地域の関係者にも共有するなど、重層的支援の取組を横展開してまいりたいと考えております。
引き続き、市町村や地域の関係者と連携し、共に支え合い、誰もが安心して暮らせる温かい地域共生社会の実現に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、地域公共交通の構築についてでございます。
鉄道やバスなどの公共交通は、通勤・通学、子育てや通院など、地域の生活や経済を支える社会基盤であり、特に車を運転できない方にとりましては欠くことができない移動手段でございます。
公共交通の確保につきましては、市町村において地域公共交通計画が策定され、地域の実情に応じた公共交通ネットワークの構築に取り組まれております。
地域公共交通計画に位置づけられたバスの不採算路線などにつきまして、京都府は、主に複数市町村にまたがって広域を運行する路線に対し支援を行い、地域の移動手段の維持・確保に努めてきたところでございます。
議員御指摘のとおり、人口減少による利用者の減少や運転士不足の深刻化などによりバスの減便や路線廃止が相次ぐなど、地域公共交通を取り巻く環境は厳しく、バス路線の維持に係る経費への支援のみでは地域の公共交通ネットワークを維持していくことが難しくなってきております。
公共交通の持続可能性や利便性を高め、地域の移動手段を確保していくためには、交通事業者のみに頼るのではなく、行政や関係者が連携・協働して、地域の輸送資源を効率的に活用する地域公共交通の「リ・デザイン」を進めていく必要があると考えております。
既に府内の各地域におきましては、廃止予定のバス路線に代わり、福祉施設の送迎バスやスクールバスへの一般客の乗り合わせ、地域による自家用有償旅客運送の導入など、地域の輸送資源や人材を活用することで地域の足を確保する取組が進められているところでございます。
京都府といたしましては、このような地域が主体となった輸送サービスの導入に係る初期費用及び実証運行に要する経費などに対する支援や、路線バスのキャッシュレス化など公共交通の利便性や生産性を高める取組に対する支援のため、今定例会に所要の予算案を提案しているところでございます。
また、国におきましては、昨年7月に国土交通大臣を本部長とする「『交通空白』解消本部」が設けられますとともに、昨年11月に「『交通空白』解消・官民連携プラットフォーム」が発足され、自治体や交通事業者と先進的な技術やサービスを有する民間企業との連携が進められるなど、官民の総力を挙げて交通空白地の解消に向けた取組を推進していくと伺っております。
引き続き、国や市町村と連携し、持続可能な公共交通の確保に取り組む市町村や交通事業者を支援し、地域公共交通の維持・確保に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、デマンド交通についてでございます。
路線やダイヤを定めず、利用者のニーズに応じて柔軟に運行するいわゆるデマンド交通につきましては、過疎地域など、バスやタクシーの利用が難しい交通空白地において利便性の高い公共交通として期待されております。
京都府内では既に17市町村でデマンド交通の導入が進められており、路線バスに代わって導入された福知山市の「鬼(おに)タク」や南山城村の「村(むら)タク」などは、地域住民によって運行が支えられ、地域に欠かせない生活の足として定着しております。このような地域住民が運行するデマンド交通は、運転手と利用者が顔見知りであるなど、高齢者をはじめ、誰もが安心して利用できるといった過疎地域ならではの持ち味が生かされていると伺っております。
こうしたデマンド交通の取組に対し、京都府といたしましても、本格運行までの伴走支援を行いますとともに、地域の足として定着されるよう、市町村への地域生活路線支援補助金について、路線バスから転換したデマンド交通も補助対象とするなど、支援を拡充してきたところでございます。
引き続き、地域の実情に応じた利用しやすい生活交通の確保に取り組む市町村や地域に対しまして必要な助言や支援を行ってまいりたいと考えております。
次に、公共交通の人材確保についてでございます。
議員御指摘のとおり、昨今、バスの運転士不足が公共交通の維持に深刻な影響を及ぼしております。このため京都府といたしましては、昨年度から、交通事業者が行う二種免許取得などの人材確保の取組に対しまして国と協調して支援を行っているほか、若手や女性の運転士確保につなげるため、京都府独自の取組といたしまして、バス事業者が行う営業所のトイレや休憩室などの労働環境改善に資する整備に対しまして支援を行っているところでございます。さらに、運転士の待遇改善や広域での人材確保につなげるため、バス事業者が行う従業員用住戸の整備に対する新たな支援を行うこととし、今定例会に所要の予算案を提案しているところでございます。
議員御紹介の、退職自衛官を対象としたバス事業者などへの再就職支援の取組につきましては、昨年10月に陸上自衛隊大久保駐屯地におきまして、国土交通省京都運輸支局と自衛隊京都地方協力本部との共催により「バス・トラック運転体験会及び運送事業等就職説明会」が行われました。
また、消防職員につきましても、大型自動車免許を保有し、地元の道路事情にも詳しく、バス運転士の即戦力として期待されますことから、京都府では、バス事業者と自治体が連携し、定年を控えた消防職員をバス運転士として活用する取組を広めるため、市町村への助言や情報提供に取り組んでいるところでございます。
引き続き、国や市町村などの関係機関と連携・協働し、バス路線の運行支援、地域公共交通の「リ・デザイン」、運転士不足対策などの取組を総合的に進め、地域公共交通の維持・確保に努めてまいりたいと考えております。