1 不登校について
2 気候変動による漁業、農業への影響と舞鶴市の高潮対策について

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◯議長(石田宗久君) 休憩前に引き続き会議を行います。
 次に、小原舞議員に発言を許可します。小原舞議員。
   〔小原舞君登壇〕(拍手)

◯小原舞君 府民クラブ京都府議会議員団の小原舞です。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、不登校についてお伺いいたします。
 令和5年度の文部科学省による「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の調査結果によると、京都府内で不登校と判断される小学生・中学生は6,210人で、前年度比583人増となり過去最多、かつ平成24年度以降12年連続で増加傾向にあります。1,000人当たりの不登校児童生徒は33.7人で、全国平均の37.2人に比べると少ないものの、令和4年度から3.7ポイント増加し、40人学級で約1.3人に相当します。また、不登校割合としては、全国的にも小学校で約47人に1人、中学校で約15人に1人が不登校となっており、学年が上がるにつれて不登校人数は増加傾向にあり、小学6年生から中学1年生の間で不登校児童生徒数が約1.6倍に上がる「中1ギャップ」の存在も指摘されております。
 また、日本財団が平成30年に実施した中学生を対象とした実態調査によると、年間欠席数が30日未満のため不登校にカウントされないが、保健室等の別室登校等を含む不登校傾向を示す中学生は推計約33万人で、文部科学省の調査の約3倍になるとしています。その比率は調査対象の中学生の10.2%となり、中学生の10人に1人も不登校傾向を示していることになっており、子どもたちを取り巻く環境が変化する中、不安や悩みの早期把握ときめ細やかな支援が求められます。
 私が今回不登校について取り上げたのは、不登校の子どもを抱えて悩む保護者の方や、当事者である学校に行けなくて悩んでいる児童生徒、自身の不登校の経験を基に講演活動を行っている大学生、地域の子どもたちのために熱心に支援に取り組んでいる地域の方などから相談を受け、それぞれのお立場からの御意見を伺う機会があり、不登校児童生徒数という数字だけでなく、不登校の悩みを抱える子どもたちや保護者が増えてきていることを実感しているからです。
 また、令和2年11月の定例会代表質問において取り上げさせていただきましたが、不登校を経験した青年からの「一度学校に行けなくなると心と体調との闘いになり、持久力がどんどんとなくなっていく。再起の大変さを考えると、初動の大切さを感じる。人の一生を決めかねないから」という言葉が心に強く残っております。質問では、各市町が設置する教育支援センターを不登校児童生徒支援の中核的な拠点に位置づけ、その機能の充実を図るために令和元年度からスクールカウンセラー等を配置する取組を開始したことと、その成果について御答弁いただきました。
 令和6年の文部科学省の委託調査では、不登校のきっかけ要因について、教師と児童生徒の回答の比較では、「いじめ被害」については教師が4.2%に対して生徒は26.2%、「教職員への反抗・反発」については教師が3.5%に対して生徒は35.9%と大きな隔たりがあることが明らかになっています。教師対象調査において、不登校の要因として「無気力・不安」が半数を占めていますが、不登校の解消を目指すには、その「無気力・不安」のもとになる要因がどこにあるのか、子どもの気持ちに寄り添った対策が必要になってきます。
 また、令和2年に作成された京都府版の「不登校児童生徒支援ハンドブック」に、不登校児童生徒のうち、年間90日以上欠席している長期欠席者は全体の半数を占めるなど、「一旦不登校となれば長期化する傾向が見られ、こうした状況の中での不登校児童生徒支援は喫緊の課題である」と述べられているように、不登校になる前の未然防止の取組と同時に不登校児童生徒への初動の働きかけが重要だと思われます。
 そこで、不登校の未然防止のための取組と不登校児童生徒に対する初期対応について、課題と今後の展望についてお伺いいたします。
 不登校の増加の背景として、平成28年に成立した、児童生徒の休養の必要性を明示した教育機会確保法の趣旨の浸透等による、保護者の学校に対する意識の変化が挙げられています。その基本指針では、「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が主体的に自らの進路を捉えて社会的に自立することを目指す必要があるとされており、こうした中で「無理して行かなくていいよ」という認識が社会に広がり、以前のように学校にどうしても行けない児童生徒に対して無理にでも登校させるような風潮はなくなっています。さらに、コロナ禍以降、学校を休むことへの抵抗感が薄れたことも背景として挙げられています。
 不登校がなぜ増えているのかについては様々な要因が複雑に関わっていて一概には言えないものですが、文部科学省が令和2年に実施した不登校経験のある児童生徒への調査にて、「もっと登校すればよかったと思っている」と、長期に学校を休んだことを後悔している児童生徒が小学6年生で25.2%、中学2年生で30.3%となっており、不登校を後悔している者の比率が不登校を肯定している者の比率の2から3倍となっています。また、文部科学省が平成26年に実施した不登校生徒の追跡調査では、不登校経験のある方の8割以上が高校に進学し、さらに大学、短大、高専に進学した者も2割以上となっており、このデータからも分かるように、学校の果たす役割はますます重要になっており、一方でどうしても学校に行けない子どものために学校以外の場における教育の機会の確保も求められます。
 様々な働きかけの結果、毎年相当数の不登校児童生徒が学校に復帰しながら、それ以上に新規の不登校児童生徒が増加し、結果として不登校児童生徒が増加している状況と言われており、教育現場の苦悩が伝わってまいります。不登校が長期化すると、ひきこもりに至る傾向も危惧されており、子どもたちにとって成長過程の大切な時期において不登校児童生徒への支援は喫緊の課題でありますが、今後の不登校支援についての教育長の御見解をお伺いいたします。
 まずはここまで御答弁よろしくお願いいたします。

◯議長(石田宗久君) 前川教育長。
   〔教育長前川明範君登壇〕

◯教育長(前川明範君) 小原議員の御質問にお答えいたします。
 不登校についてでございます。
 学校は、様々な人と交流し、多くの体験を重ね、多様な考えや価値観に触れることを通じて、学力のみならず、人を思いやり尊重する心などを育む場であり、その果たす役割は極めて大きいと考えております。
 こうした中、府内の小中学校における不登校児童生徒数は12年連続で増加しており、各学校におけるスクールカウンセラーへの相談件数を見ましても不登校に関する相談は増加傾向にあり、多くの児童生徒や保護者が悩みを抱えていることがうかがえます。さらに、昨年度の府内の不登校児童生徒のうち、約6割が年間90日以上欠席しているなど、一旦不登校となれば長期化する傾向が見られることから、未然防止や初期対応の取組が特に重要であると考えております。
 このため府教育委員会では、不登校の未然防止から不登校児童生徒への対応まで、行うべき取組を分かりやすく示した「不登校児童生徒支援ハンドブック」を府内全教職員に配布し、校内研修等での活用を促しているところでございます。このハンドブックの中では、未然防止のために、学校生活のあらゆる場面で一人一人に活躍の場や役割を設けたり、「分かる授業」を工夫したりするなど、全ての児童生徒が学校に来ることを楽しいと感じられる「魅力ある学校づくり」の重要性を強調しております。
 また、初期対応の観点からは、児童生徒が連続して3日欠席したり、月のうち3日欠席した場合、担任のみならず、管理職や生徒指導担当教員に加え、外部の専門家であるスクールカウンセラー等を交えた校内ケース会議を速やかに立ち上げるなど、学校として組織的な対応を早期に行うよう示しているところでございます。
 府内の小中学校においては、こうした方針も踏まえて取組が進められておりますが、不登校児童生徒数は依然、増加傾向が続いていることから、児童生徒がなぜそのような状態に至ったのか、その背景や要因を丁寧に分析するとともに、児童生徒の気持ちに寄り添った新たな取組が必要でございます。
 このため府教育委員会では、「不登校児童生徒支援システム構築事業」を実施し、学校内に「教育支援センター」を設け、不登校の要因を早期から分析し、小中学校で切れ目のない支援につなげるモデルづくりを行っており、今後、その成果を府内に波及させてまいりたいと考えております。
 また、今月からは、登校渋りや不登校の兆候を早期に発見するための手段の一つとして、1人1台端末を活用した児童生徒の「心の健康観察」の実証を府内の小中学校で進めてまいります。従来の教職員による観察にデータによる観察を加えることで、児童生徒の心理状況をより細やかに把握することが可能となり、不登校の未然防止や早期発見がより一層進むことを期待しております。
 次に、今後の不登校児童生徒への支援についてでございますが、児童生徒によっては、不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある一方で、不登校が継続し、結果として十分な支援を受けられない状態が続くことは、学業の遅れや進路選択上の不利益、自己有用感の低下を招く場合があると考えております。
 このため、先ほど申し上げました未然防止・初期対応に向けた取組のほか、不登校児童生徒やその保護者を支える教育相談体制の充実に努めるとともに、校内の別室で学習支援や教育相談などを行う「心の居場所サポーター」の配置、市町の不登校児童生徒支援の拠点となる教育支援センターの機能の拡充など、様々な居場所、学びの機会づくりを進めてまいりました。
 また、「子どもの教育のための総合交付金」により、各市町村が独自に実施するきめ細やかな取組を支援しているところであり、3Dメタバースを活用した学習空間の提供や学校内外の居場所づくりなど、不登校児童生徒に対する様々な取組を支援しているところでございます。
 今後、これらの取組の成果を府内に波及するとともに、学校における児童生徒の居場所づくりや人間関係づくりの取組など、不登校の未然防止につながる、魅力ある学校づくりの具体的実践につきましてさらに研究を進めてまいります。
 府教育委員会といたしましては、不登校でつらい思いをされている児童生徒や保護者に丁寧に寄り添いながら、不登校対策の一層の充実に努め、子どもたちを誰一人取り残すことなく、個性や能力を最大限伸ばす教育を推進してまいります。

◯議長(石田宗久君) 小原舞議員。
   〔小原舞君登壇〕

◯小原舞君 御答弁ありがとうございました。
 教育長に御答弁いただきましたとおり、校内ケース会議等をはじめ、様々なお取組をしていただいております。どうしても学校に行けない子をしっかりサポートするという受皿づくりを強化していくことを大前提として、不登校がこのように年々増えていることはもはや社会問題と言えます。メディア等でも発信されている「学校に無理して行かなくていいよ」というメッセージが安易に伝わって、我が子に対してどのように対応すればよいのか悩んでおられる親御さんもいらっしゃいます。子どもたちが社会に出ていくに当たって必要な機会や学び、そして人とのつながりが失われないように、学校、行政、地域、家庭等が一体となって子どもたちの成長過程を全力で支えるため、引き続きのお取組をよろしくお願いいたします。
 では次に、気候変動による影響についてお伺いいたします。
 まずは、漁業についてお伺いいたします。
 今年10月の水深ゼロから50メートルにおける京都府沖合域における表層平均水温は平年よりも1.0度高い23.6度で、依然として例年より高水温で推移しています。また、8月の表層平均水温は25.6度で、1964年の観測開始以来、最高値を記録しております。
 舞鶴湾においても高温の影響によって養殖のトリガイが約3から5割ほど死滅したところが出てきており、11月に解禁されたズワイガニへの影響も危惧されていましたが、海洋センターの分布調査によると、過去5年の平均値と比較して雄の捕獲数は5割増、雌は8割増となり、昨年並みの水揚げが期待できるとのことです。
 海水温の上昇によって回遊性の魚種の漁場が北上し、サワラは1999年以降に増加して生産量日本一をこれまで5回記録していますが、東シナ海における産卵期の水温が上昇したため、産卵場所が北へ移動し、対馬海峡を通って日本海へ流入する量が増加したことが一因と考えられています。
 また、9月の定置網漁業は、シイラが平年の2.7倍、サバ類が1.9倍と好調であった一方、サワラが平年の5割弱、ブリが平年の2割ほどになるなど、低調になっております。ブリに関しては12月に入って大漁ということでございましたが、このような変化がございます。
 25度から30度の温かい海水を好む南方の魚であるシイラの昨年の漁獲量は前年比2.9倍の561トンとなり、過去最高を記録していますが、冷たい海を好むハタハタが激減、サケやサンマも減っている状況です。また、南方系海藻の分布が徐々に広がっていて、海藻に生育する生物や周辺環境に与える影響も指摘されており、エチゼンクラゲの大量出現も漁業に大きな影響を与えています。海水温上昇による漁業への影響と今後どのように対策を講じられるのか、御見解をお伺いいたします。
 次に、漁港整備についてお伺いいたします。
 京都府沿岸で水揚げされた魚介類の約8割が集荷される舞鶴地方卸売市場の現地視察をさせていただきました。京都府内最大の産地卸売市場であり、沿岸の漁獲物の多くが集荷され、季節になれば、小型底引き網漁船によりズワイガニ、カレイ類や、境港から大中まき網漁船が水揚げに寄港するなど、旬の魚が並ぶ中、買受人、仲買人による威勢のよい声が響き、活気がありました。
 一方で、施設については建物の老朽化が進み、開放型の建物のため、網を張って鳥などの侵入防止を図っているものの、カラス等が網をかいくぐってきている状態で、今後、輸出促進を目指す中で、HACCP(ハサップ)に対応できるよう、市場施設を閉鎖型にするなどのハード対策と衛生管理の各基準を満たすためのソフト対策、ICTの活用等による市場機能の強化など、総合的な整備、機能強化が求められます。令和5年6月定例会での質問では、「ハード・ソフトの両面から支援し、漁業者の所得向上につなげていきたい」との御答弁をいただきましたが、改めて高度衛生管理の向上に向けた今後の取組についてお伺いいたします。
 次に、農業についてお伺いいたします。
 昨年の猛暑による高温障害で23年産の流通量が逼迫したことによる米不足は「令和の米騒動」と言われ、今夏に価格高騰を招きました。
 コシヒカリの一等米比率は、令和4年は全国が75.5%、京都府は65.3%、令和5年は全国が50.5%、京都府が59.1%となっており、減少幅が大きく、高温被害による影響と考えられます。また、丹後コシヒカリは、米の食味ランキングで「特A」を西日本最多の12回獲得してきましたが、平成26年以降は一度も獲得できておらず、温暖化がその要因の一つに挙げられています。
 その状況を鑑み、9月に会派で丹後農業研究所にて温暖化の影響による米作物の状況についての調査を行い、夏季の高温によって米粒が白濁化し、白未熟粒は外観が悪く、等級が落ち、価格が下がるだけでなく、おいしくなく、ひいては農家の収入が減ることなどの現状を伺い、研究内容を調査させていただきました。
 京都府における水稲に関する試験では、平成25年から27年において、気候変動に対応した、消費者に魅力のある、おいしい京都米栽培技術の開発や、平成29年に高温でも品質を保てる水稲の開発に着手し、オリジナル品種「京式部」を令和2年に品種登録出願し、翌年から栽培・販売開始されています。温暖化に対応した品種として「京式部」は白未熟粒などが少なく、コシヒカリより整粒率が高く、高温登熟性に優れ、高温耐性があり、20年先まで対応できる品種として期待されます。
 令和6年は約130ヘクタールを作付け、440トンの収穫見込みとなっています。京都産のブランド米として、「京式部」は、食味や品質を確保するため、府内統一の栽培・出荷基準を設定し、栽培方法や出荷調整方法にもこだわる一方で、地元の営農者から、丁寧な乾燥、特に出荷調整基準の丁寧な乾燥や、色彩選別機による被害粒除去等の基準が厳しく、「挑戦したいが、難しい」という声を伺います。
 そこで、「京式部」のブランド米としての品質を堅持しつつ、生産者や消費者への普及に向けてのお取組についてお伺いいたします。
 また、温暖化による高温被害についての課題と今後の展望についてお伺いいたします。
 最後に、舞鶴市の高潮対策についてお伺いいたします。
 世界気象機関(WMO)の報告書によると、地球温暖化による海面上昇により海の水位が2014年から23年に毎年8ミリ上昇し、水温が上がると海面が上昇し、高潮や高波により沿岸部での浸水が頻発しています。
 地元舞鶴市の平均的な海面の高さは40年前から約20センチも上昇しており、今まで浸水の影響のなかった地区にまで高潮による側溝の逆流被害が拡大しつつあります。東市街地と吉原地区等においては、これまでも慢性的な高潮被害を受けていましたが、現場に伺ったときはいつもより浸水の深さが上がっていることに驚き、道路の冠水時に車両が通行することによって波が起こり、道路沿い家屋への浸水等の被害が生じている状況です。
 また、平成27年に改正された水防法により、現行の河川洪水に係る浸水想定区域について想定し得る最大規模の降雨を前提とした区域に拡充するとともに、新たに内水及び高潮に係る浸水想定区域制度を設けることなどが規定されました。これまでも舞鶴市と連携しながら宅地や道路のかさ上げ、護岸整備等のハード対策を行ってこられましたが、気候変動による影響から、今後も高潮・高波による浸水被害の発生が懸念されている中、ソフト・ハードともにさらに充実した対策が必要かと思われますが、御見解をお伺いいたします。
 よろしくお願いいたします。

◯議長(石田宗久君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 小原議員の御質問にお答えいたします。
 海水温上昇の漁業への影響と対策についてでございます。
 海水温の上昇による影響は、京都府の基幹漁業である定置網漁業において、主要魚種の分布域や漁獲量、漁期などに大きな変化をもたらしておりますことから、操業の効率化と水産物の高付加価値化により収益性の向上を図ることが必要だと考えております。
 操業の効率化に向けましては、日本海沿岸の研究機関や大学等との共同研究に参画し、ICT技術を活用した潮流や水温などの観測データから漁場環境を予測するシステムの開発を進めており、今後、現場実装に向け取り組んでまいりたいと考えております。
 水産物の高付加価値化に向けましては、府の主要魚種であるサワラやブリなどのブランド力をさらに高めるため、高鮮度出荷に必要な活締(かつじ)め技術の普及・拡大を図りますとともに、旬の時期に左右されない加工品の開発を促進してまいりたいと考えております。
 また、トリガイなど二枚貝の高水温対策も喫緊の課題となっていることから、府が導入を進める自動監視装置による水質のリアルタイムモニタリングにより、養殖籠を最適な水深に調整する養殖技術の普及に努め、生残率の向上につなげてまいりたいと考えております。
 京都府では、府内産水産物の安定的な供給を図るため、先月8日、アメリカを拠点に海洋環境の改善に取り組む国際団体「セイラーズフォーザシー」日本支局と包括連携協定を締結したところでございます。今後は、本協定に基づき、海洋環境の保全や水産資源の持続的利用などの課題について、フードテック分野における共同研究や、教育や観光と連携した普及啓発など、幅広い視点から取組を進め、府内水産業の活性化につなげてまいりたいと考えております。
 舞鶴地方卸売市場についてでございます。
 舞鶴地方卸売市場の整備につきましては、安心・安全で新鮮な水産物を求める消費者ニーズに対応するため、流通のスマート化や衛生管理の向上を図ることを目標に、京都府漁協や地元市町との協議を重ねてきたところでございます。
 流通のスマート化につきましては、本年4月から開始した電子入札システムの導入を支援し、現場での煩雑な入札作業の省力化と入札時間の短縮により、高鮮度出荷が実現したところでございます。
 衛生管理の向上に向けては、HACCPに対応した閉鎖型の高度衛生管理施設へ改修するため、現在、府が計画する岸壁の耐震化工事と一体的に機能する施設として、国の事業採択を受け、関係者とともに年度内の計画策定に向けて取り組んでいるところでございます。
 今後とも、舞鶴地方卸売市場の機能強化に向けた支援を強化し、府内の水産業の振興・発展に努めてまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。

◯議長(石田宗久君) 小瀬農林水産部長。
   〔農林水産部長小瀬康行君登壇〕

◯農林水産部長(小瀬康行君) 水稲の高温対策についてでございます。
 京都府のオリジナル米「京式部」は、京都の老舗料亭とともに開発した、高温に強く食味がよい品種として令和3年から本格的に生産を開始し、全国トップクラスの品質を強みに、ブランド化に取り組んでいるところでございます。
 「京式部」の普及に当たりましては、高価格戦略を確立するため、化学肥料・農薬の半減や2段階乾燥など、環境と品質にこだわった栽培・出荷基準を設け、限定的に生産・販売しており、今後さらに「京式部」の栽培を希望する生産者とともにその価値を高めてまいりたいと考えております。
 京都府では、来年度、JA等の関係機関と組織する協議会を主体に、「京式部」の栽培者の拡大を目的とする新たな栽培部会を立ち上げることとしており、栽培技術の研さんと出荷基準を満たすための機械整備などを支援してまいりたいと考えております。
 引き続き、生産者や関係機関と一体となって、おいしさを追求した「京式部」のブランド価値を消費者に共感いただけるようPRに努めてまいります。
 また、高温による米の品質低下に対しましては、今年度、府内7か所の農業改良普及センターごとに技術実証圃を設置し、生育状況に応じた栽培指導に取り組んでおり、今後は実証で効果の認められた出穂前の追肥や出穂後の水管理の徹底などをまとめた技術をマニュアル化し、普及を図ってまいります。
 今後とも、産地や関係機関と一体となって、京都産米の高品質・安定生産に向けた取組を進めてまいります。

◯議長(石田宗久君) 石井建設交通部長。
   〔建設交通部長石井宏明君登壇〕

◯建設交通部長(石井宏明君) 舞鶴市における高潮などによる浸水対策についてでございます。
 舞鶴市の市街地は地盤が低いことから、これまでから、豪雨や高潮など複合的な要因により浸水被害が発生しており、河川や港湾施設などを管理する京都府と内水対策を担う舞鶴市が連携し、総合的な対策として取り組むことが重要だと考えております。
 例えば西市街地の高野川流域では、府市で構成する「高野川流域治水対策協議会」において平成29年に「総合的な治水対策」を策定し、堤防を洪水や高潮が越えることによる外水氾濫に対しては、京都府が高野川の流下能力の向上を図るため、堤防のかさ上げ、河道掘削、護岸整備などを実施し、雨水が排水できないことによる内水氾濫に対しては、舞鶴市が内水排除ポンプの設置や貯留施設の整備を行うなど、府と市で連携し、ハード対策に取り組んでいるところでございます。
 また、ソフト対策といたしましては、高潮の浸水に対して住民の早期の避難行動につながるよう、現在、水防法に基づき、京都府の日本海沿岸の各地域を対象に高潮浸水想定区域の検討を進めているところでございます。
 京都府といたしましては、引き続き、国土強靱化の予算も活用し、国や市町村と連携しながら浸水被害対策をハード・ソフトの両輪で進めてまいりたいと考えております。

◯議長(石田宗久君) 小原舞議員。
   〔小原舞君登壇〕

◯小原舞君 御答弁ありがとうございました。
 漁業も農業も高温対策を引き続きお取組のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
 農業についてなんですが、ちょっと要望させていただきたいのが、米の価格が非常に上昇しておって、昨年は5キロ2,000円台だったものが3,000円というようなケースも珍しくなくなってきております。一時期の品薄状態は解消されつつありますけれども、価格が高騰することによって消費者の米離れが懸念されるのと、町のお米屋さんからも、仕入れに苦慮されて、もう続けられないという声も上がってきております。猛暑による高温障害、また生産コストの上昇、インバウンド需要の増加等が要因として挙げられておりますけれども、日本人の主食である米、そして農業を守るために引き続きのお取組をよろしくお願い申し上げます。
 高潮でございますけれども、今年1月に「気候変動に伴う海面上昇が京都府の海岸保全に与える影響を考える技術検討会」の初会合が開かれて、21世紀末までに海面が平均32センチ上昇するとの想定で高潮や高波、津波の試算を行う方針が確認されまして、災害が激甚化・頻発化する中でこのような安心・安全の確保のために京都府が海岸保全の整備について気候変動を視野に入れた見直しをされることは時宜にかなっており、ありがたく思っております。
 慢性的に高潮被害が出ている地域や、何度も浸水している高野川流域においても台風や豪雨と高潮が重なった場合は甚大な被害が生じることが危惧されており、地域と連携しながら総合的なソフト・ハードともの対策を引き続き講じていただきますよう要望いたしまして、私の質問を終了させていただきます。
 御清聴いただきまして、誠にありがとうございました。(拍手)