1 子育て環境日本一の取組について
2 持続可能性の指標(包括的な富)について
3 空家対策について
4 その他

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◯議長(石田宗久君) 休憩前に引き続き会議を行います。
 次に、田中健志議員に発言を許可します。田中健志議員。
   〔田中健志君登壇〕(拍手)

◯田中健志君 府民クラブの田中健志でございます。
 質問に入る前に、私からもこのたびの能登半島豪雨災害に関しまして、被災された皆様にお悔やみとお見舞いを申し上げ、また一日も早い復興をお祈り申し上げます。
 それでは、質問に入ります。
 まず、「子育て環境日本一」の取組についてお伺いいたします。
 厚生労働省は、2023年の人口動態統計を公表し、京都府は合計特殊出生率1.11、出生数は1万3,882人、これは前年比1,186人の減少でありました。「子育て環境日本一」を目指す本府として、歯止めがかからない少子化の現実をどのように受け止め、今後の対策を進めていくのかに関し、以下数点について質問をいたします。
 1つ目、出生率の目標設定についてです。
 政府は、「少子化社会対策大綱~新しい令和の時代にふさわしい少子化対策へ~」の中で、「一人でも多くの若い世代の結婚や出産の希望をかなえる『希望出生率1.8』の実現に向け、令和の時代にふさわしい環境を整備」としており、本府は2023年に改定した京都府総合計画にて、「合計特殊出生率を2040年に『全国平均並み』を目指して着実に推進」としています。厚労省発表によりますと、2023年の全国平均も1.20と低下しており、全国平均並みを本府が目標設定としていることに関連して、想定以上に少子化が進展している現状においても、「子育て環境日本一」の実現に向けた取組を粘り強く着実に進めていくとともに、現状に即した目標設定への見直しを検討する必要があるとも思えますが、いかがでしょうか。
 2つ目に、ジェンダー・ギャップについてです。
 全国各地の男女平等の度合いを可視化する「都道府県版ジェンダー・ギャップ指教」を算出・公表し、地域から日本のジェンダー平等を底上げすることを目指して2022年に立ち上げた研究者らのグループ「地域からジェンダー平等研究会」の京都府のジェンダー・ギャップ指教によりますと、本府は、「都道府県庁の大卒程度採用の男女比」や「4年制大学進学率の男女差」など、全国平均を上回っている項目が多いですが、一方で、「フルタイムの仕事に従事する割合の男女比」や「共働き家庭の家事・育児などに使用する時間の男女格差」で全国平均を下回っています。これらに対する評価と今後の対策はいかがでしょうか。
 3つ目に、男性の育児休業についてです。
 男性の育児参画に向け、男性の育児休業取得率は年々上昇しており、令和5年度雇用均等基本調査によりますと、男性の育児休業取得率は30.1%となり、前年度の17.13%から13ポイント上昇しています。しかし、女性の84.1%と比べるとまだまだ低く、取得期間も短い傾向が続いています。このように依然として女性の育児休業取得率との差が大きいため、男性が育児休業を取得しやすい職場環境の整備が依然として課題であると認識しています。そんな中で、京都府庁の知事部局におかれましては、男性職員の育児休業取得率が2020年度に18.3%だったものが2022年度には49.0%となり、2023年度は73.3%へ上昇するなど、男性職員の育児休業を当然のこととする職員の意識や職場風土の改革が図られつつあると存じますが、このような京都府庁の取組は本府全体に広がっているのでしょうか。本府全体の男性の育児休業の取得状況についてお伺いいたします。
 4つ目に、ドナルド・マクドナルド・ハウス京都についてです。
 ドナルド・マクドナルド・ハウス京都は、重い病気と向き合う子どもに付き添う御家族が、安心して休息できる滞在施設であり、京都府立医科大学附属病院と京都大学医学部附属病院に入院する子どもの家族等が利用する施設として、令和8年秋、賀茂大橋西詰での開設を目指しており、その建設資金をオール京都で応援していこうとするものと存じます。整備に向けた寄附の目標額4億円に対して、開設募金委員会のホームページによりますと、趣旨に賛同された多数の個人の皆様や奉仕団体、医療法人などの各種団体、商店街等多くの皆様に御支援いただいていますが、現時点では1億円程度の達成状況となっています。今後のさらなる取組や寄附の見込みはいかがでしょうか。
 次に、持続可能性の指標、包括的な富についてお伺いいたします。
 地球規模での環境の保全に多大な貢献をした方の功績を長く後世にわたって称えるものとして、第15回「KYOTO地球環境の殿堂」入りに、イギリスの経済学者、パーサ・ダスグプタ博士が選ばれました。そのニュースを聞いたとき、私はちょうどダスグプタ博士の研究報告書である「生物多様性の経済学:ダスグプタ・レビュー」という報告書を読んでいましたので、本当にうれしく思いました。
 この研究報告書の中でダスグプタ博士は、包括的な富(Inclusive Wealth)という考え方を紹介しています。これは、国の豊かさや富というものは、これまではGDPのように、例えば道路や建築物など目に見える資本や金融資産のように測定できるものを中心に考えられてきましたが、人の教育水準や健康状態、自然環境も含めて資本としてはかり、それがどのように変化しているのかを見ることで、包括的に富や豊かさを考えようというのが、ダスグプタ博士が提唱した包括的な富の基本的な考え方となっています。GDPではかれば、自然の破壊や健康の悪化などはマイナスと算定されないので、それらがGDPをプラスにしても、むしろ生活の質は低下してしまいます。そこで、ダスグプタ博士は、生活の質の決定要因である「人工資本」、これは道路や建築物など、そして「人的資本」、教育・健康など、そして「自然資本」、資源ストックという3つの資本と、イネーブリング資産と言われる制度や知識などにより構成されるIWI(Inclusive Wealth Index)を包括的な豊かさの指標として提唱されています。
 このIWIの考え方によりますと、これまで私たちは、道路や建築物などの「人工資本」及び教育や健康などの「人的資本」について、それらを蓄積している間に、限りある自然を過剰利用し、環境を劣化させてきたのではないか。それでGDPが高い伸びだったとしても、同じ期間に「自然資本」が減少していれば、包括的な富は減っているかもしれない。したがって、「人工資本」や「人的資本」だけでなく、「自然資本」を合計した包括的な富を算出する必要があり、GDPをはじめとする従来の指標の欠点を補うものであるということを強調しています。
 また、この包括的な富に関連して、持続可能な発展とは何かを改めて考えてみますと、それは私たちが前の世代から受け継いだ資本と少なくとも同等のものを次の世代に引き継いでいく、未来に残すということであるとすると、持続可能な発展を目指すには、現在世代である私たちが、前の世代から引き継いだ包括的な富を将来世代に減らすことなく残せているのか、そしてその富が将来世代にまで維持されるのかということを認識する必要があると考えます。この持続可能性に関しては、SDGsが2030年までに持続可能な未来を築くため、貧困や不平等、気候変動、環境劣化、繁栄、平和と公正など、諸課題の解決を目指す17の持続可能な開発目標となっていますが、それらはあくまで目標であり、SDGsにはそれら目標の実現に向けた政策の体系が必ずしも示されておらず、あらゆる取組によって社会が持続可能になったかを判断する基準が明確に定められていないのではないかとの研究者の指摘も存在しています。
 この指摘に関連し、九州大学の研究グループが、従来のGDPでははかれない、健康・教育・自然といった資産全体を計測し、総合的に評価する新国富指標を国連報告書「Inclusive Wealth Report2018 (包括的な豊かさに関する報告書)」として発表されました。
 この研究グループは、インフラなど「人工資本」、教育を受けた人が生み出す価値を表す「教育資本」、健康な人が生む価値を示した「健康資本」、石油や木材など市場で取引される価値に森林による水源の涵養など見えにくい価値を足した「自然資本」を合計し、気候変動による被害や技術の進歩などを反映し、様々な要素で調整して、新たな指標である「新国富指標」を算出されました。この「新国富指標」がSDGs達成に向けた重要な要素となり、開発政策を立案する際に活用できるとし、公開されている統計データを利用して算出した全国の地域の豊かさを都道府県と市区町村単位でグラフ化しています。
 この調査によりますと、京都府は一人当たりのIW(Inclusive Wealth)の値が2,000万円ちょっとで、2010年から2015年の5年間で若干プラスになっていることが示されています。
 このようにダスグプタ博士が提唱する包括的な富の考えや九州大学の研究グループの京都府のデータを踏まえ、今後どのように本府の環境行政等を進めていくのかお伺いしたいと存じます。
 まずはここまで御答弁をお願いいたします。

◯議長(石田宗久君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 田中健志議員の御質問にお答えいたします。
 合計特殊出生率の目標設定についてでございます。
 少子化が進展する中で、子育て環境日本一・京都の実現に向けた取組を着実に進めていくため、令和元年に策定した総合計画において、出生数に比べて出産適齢期の女性人口の増減に左右されにくい、合計特殊出生率を2040年に全国平均並みとすることを目標といたしました。全国平均並みを掲げた背景といたしましては、目標を定めた年の前年の府の合計特殊出生率が全国45位であったことから、まずは全国平均並みを目指して取組を進めるべく設定したものであり、令和4年に改定した総合計画にも引き継いでおります。
 現時点で目標の見直しは考えておりませんが、目標としている全国平均の数値が下がっているということは、我が国全体の少子化が厳しさを増しているということであり、京都府におきましても子育て環境日本一・京都の実現に向けた取組を進化させる必要があると考えております。そのため、昨年12月に子育て環境日本一推進戦略を改定し、例えば「京都版ミニ・ミュンヘン」や、「親子誰でも通園制度」などの取組を今年度から実施しているところでございます。
 「子育て環境日本一」は一朝一夕で実現できるものではございませんが、府民の皆様や企業、地域などと同じ目標に向けて、手を取り合って一丸となり、国も動かしながら取組を進めてまいりたいと考えております。
 ジェンダー・ギャップについてです。議員御指摘の都道府県版のジェンダー・ギャップ指数も施策参考の一つになると思いますけれども、そもそも世界経済フォーラムによるジェンダー・ギャップ指数では、我が国は146か国中118位となっており、その解消に向けては、我が国全体での取組が必要であり、男女が共に仕事と家庭生活を両立するための環境づくりが重要だと考えております。このため、昨年改定した子育て環境日本一推進戦略においては、「ジェンダー・ギャップの解消なくして少子化問題の解決なし」との考えの下、「ジェンダー・ギャップゼロ」を重点プロジェクトとして位置づけ、取組を進めているところでございます。
 具体的には、柔軟かつ多様な働き方の導入などを促進する、働く人の希望が実現できる職場づくりを推進いたしますとともに、マザーズジョブカフェにおける仕事と家庭生活の両立を目指した就業支援を実施することにより、様々な女性のニーズに応じた就業支援などに継続的に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、あらゆる場面において、性別にかかわらず誰もが活躍できるよう、引き続き粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。

◯議長(石田宗久君) 益田文化生活部長。
   〔文化生活部長益田結花君登壇〕

◯文化生活部長(益田結花君) 男性の育児休業取得に関する取組についてでございます。
 京都府内全体における男性の育児休業取得率は、昨年度の調査で36.0%にとどまるなど、国と同様の傾向となっており、取得率の向上に向け取り組む必要があると認識しているところでございます。
 京都府庁におきましては、子どもが生まれる職員に対する部局長からの声かけや、所属長とのヒアリングを通じた休業・休暇制度の周知に加え、子育て計画表を活用した取得促進など、育児休業を取得することが当たり前となる職場風土を醸成する中で、男性育休の取得率向上についても一定の効果を上げているところでございます。男性の積極的な育児参画をより進めていくため、セミナーの開催や中小企業のニーズに応じた伴走支援を通じて、京都府庁を含めた様々な企業等の取組事例を横展開し、引き続き男性の育児休業取得の促進に取り組んでまいりたいと考えております。

◯議長(石田宗久君) 角田文化施設政策監。
   〔文化施設政策監角田幸総君登壇〕

◯文化施設政策監(角田幸総君) ドナルド・マクドナルド・ハウス京都についてでございます。
 病気に向き合う子どもと御家族の負担軽減を図るハウスの開設に向け、京都府立医科大学と京都大学医学部の両附属病院長がオール京都の募金委員会を設立され、京都府もその一員となり、募金活動に取り組んでいるところでございます。
 今後さらに、両大学、両病院が行う、企業などへのトップセールスの強化、多くの人が集まる各種学会やふるさと納税制度のメリットを享受できる他府県でのPR強化、ハンバーガーの割引券つきチラシ配布など、一層取組を強化してまいりたいと考えております。
 現在、多くの皆様から1億円を超える温かい御支援をいただいているところですが、引き続き、目標額の達成を目指し、取り組んでまいりたいと考えております。

◯議長(石田宗久君) 岡本総合政策環境部長。
   〔総合政策環境部長岡本孝樹君登壇〕

◯総合政策環境部長(岡本孝樹君) 持続可能性の指標、包括的な富についてでございます。
 議員御紹介のダスグプタ氏は、富や豊かさを道路や建築物など「人工資本」だけでなく、教育や健康などの「人的資本」、そして森林・水・動植物などの「自然資本」を含めて評価する、いわゆる包括的な富について、報告書「生物多様性の経済学」の中で提唱されました。同報告書は、2021年6月に英国で開催されましたG7サミットにおける生物多様性の損失と気候変動といった課題にG7諸国が協力して取り組み、自然再興を目標とする「2030年自然協約」の中でも評価されるなど、国際的な政治・経済に大きな影響を与えました。こうした功績を踏まえまして、地球環境の保全に多大な貢献をした方をたたえ、その大切さを広く発信するために実施している「KYOTO地球環境の殿堂」におきまして、本年4月に殿堂入りされたところでございます。
 また、ダスグプタ氏が開発し、九州大学研究グループが報告書で用いた「新国富指標」の「自然資本」と「人的資本」を重視する考え方は、国においても、本年5月に策定されました第6次環境基本計画にその観点が取り入れられ、経済的な価値だけにとらわれない「将来にわたってウェルビーイング・高い生活の質をもたらす新たな成長」が目標として位置づけられたところでございます。
 京都府といたしましても、「自然資本」とそれを支える教育をはじめとした「人的資本」は重要であると考えており、昨年4月に設立いたしました「きょうと生物多様性センター」による生物多様性に係る理解促進や担い手育成、地域や企業の保全活動の支援や、未来の環境人材を育成するため、小学生が家族と身近な脱炭素行動を実践する「CO2ゼロチャレンジ」や、高校生が地球温暖化の課題解決を考える「気候変動学習プログラム」などを実施してきたところでございます。
 また、来年、京都議定書発行20周年というタイミングで開催されます、大阪・関西万博に合わせまして、「きょうと生物多様センター」を通じて、幅広い地域・年齢層への普及啓発を図るため、文化の観点からの生物多様性の発信をすることや、「KYOTO地球環境の殿堂」での高校生などによる地球環境保全について探求するワークショップの実施を検討するなど、自然環境の保全に向けた取組や環境教育と啓発活動を強化していくこととしております。
 さらに、来年度に予定しております京都府環境基本計画の見直しにおきましても、国と同様に「ウェルビーイング・高い生活の質」の観点を取り入れることを検討しており、今後とも、環境先進地・京都の名にふさわしい、環境・暮らし・経済の好循環を目指した共生による社会づくりを進めてまいりたいと考えております。

◯議長(石田宗久君) 田中健志議員。
   〔田中健志君登壇〕

◯田中健志君 知事の御答弁のとおり、少子化の状況、あるいはジェンダー・ギャップというのは京都府だけのことではないと。本当に日本、我が国全体で考えることだというのは、そのとおりだと思います。その中で、これだけ少子化が進んでいる中で言うと、全国で何位だとか、ジェンダー・ギャップが140か国で110というのは、ちょっとさすがに恥ずかしいですけれども、日本の中で何位・何位というのを、そういうのを指標として見るという、そういうレベルではないのかなと、私は最近特に感じております。
 ですので、本府の少子化対策の目標設定を見直してください、変えてくださいというのではなくて、そういった根本的なところ、前提から含めて、議論を進めていただくことが必要なんではないかということを改めて問題提起をさせていただきたいと思います。
 男性の育休について、これも本府の中で「まず隗より」ということで進めていただいているというのはよく分かりましたし、それをぜひ京都府内全域に、全体に広げていただきたいと。男性の育休が当たり前なんだという、そういう風土をぜひ京都府全体としてつくっていただきたいと思います。
 先日、府民クラブの会派で、宇治田原町にある、ある金属塗装の会社を現地視察させていただきまして、従業員40人ぐらいの会社なんですけれども、その会社は、以前は男性従業員の方の育休が取得ゼロだったんですが、今では対象者100%ですということで胸を張っておられました。福利厚生の一環としては当然なんですけれども、福利厚生だけではなくて、その会社としての人材確保であったり、あるいは企業戦略として、「男性育休100%というのをやっています」と、「うちはそういう会社なんです」ということをおっしゃっていましたし、まさにそういうような企業を増やしていく、あるいは風土をつくっていくということが必要なんだなということを痛感しておりますので、ぜひ広げていただきたいと思います。
 ドナルド・マクドナルド・ハウスについては、まずはなかなか府民の皆さんにまだまだ認知が広がっていないのかなという感じがしていまして、御答弁のとおりなんですが、私の地元のある商店街の会議の中で、商店街創生センターの方がこのマクドナルド・ハウスの御案内をしていただいたんですね。そしたら、個人の方なんですけれども、それは必要なことだ、いいことだということで、割とまとまった金額をぽんと協力をいただいた。その方もつい最近まで御入院されていて、重い病気を抱える御家族が本当に大変だなというのを身にしみてというか、身近で見てきた、だからこういう施設が本当に必要だなということで、すぐに行動に移していただいたんですね。だから、まずは府民の皆さんに広く周知をしていただくと、あらゆる機会を通じての広報をお願いしておきたいと思いますし、私もできる限り協力をさせていただきたいと思います。
 包括的な富については、様々なお取組に活用していこうということだと思いますけれども、いわゆるGDPとか経済成長を否定するんじゃなくて、それだけじゃなくて、もっとトータルで見ていきましょうということなんですね。もちろん、マイナスの面もあるし、そのマイナスの面をどのように数値化するのかと。で、プラス・マイナスどうなっているのかという、そういう資本として、それを我々の後の世代、先の世代に引き継いでいきましょうと。
 持続可能性、持続可能ということはあっちこっちで、今、聞くんですけれども、それが具体的にどうなのかということを、ぜひ研究して京都府政に生かしていただきたいと思います。
 ダスグプタ博士については、地球環境の殿堂の表彰式が来月あると御案内をいただきまして、ダスグプタ博士からはビデオメッセージということのようですけれども、私たち京都府民にどのようなメッセージをいただけるのかというのを楽しみに出席をさせていただきたいと思っております。
 それでは、3つ目の質問に移りたいと思います。空き家対策についてお伺いいたします。
 国においては、使用目的のない空き家が、1998年に全国で約182万戸だったものが、2018年には約349万戸と、この2O年間で約1.9倍に増加し、今後さらに増加する見込みを示しており、「空家等対策の推進に関する特別措置法」を2014年に制定し、特定空家、これは周囲に著しい悪影響を及ぼす空き家への対応を中心に対策を進めていました。しかし、特定空家になってからの対応では限界があるとの理由から、放置すれば特定空家となるおそれのある空き家を管理不全空家とし、市区町村が指導・勧告できる等の一部法改正が2023年、昨年12月に施行されました。
 私は、この空き家対策については、法に規定されている責務に照らしても、住民に一番近い基礎自治体が一義的には実施すべきと考えていますが、まず、府内市町村における特定空家及び管理不全空家への取組はどのような状況かをお伺いしたいと存じます。
 また、特定空家等でなくても、建物の老朽化が著しく、周辺への悪影響があるなど、今後、指定の対象となり得るような物件は多数存在していると私は認識しています。各自治体の担当者は所有者宅を訪問するなど鋭意対応されていますが、案件によっては改善が見られず、苦慮されているケースが多いと聞いています。
 空家等対策の推進に関する特別措置法によりますと、地方公共団体の責務として、市町村は「空家等対策計画の作成、空家等に関する対策の実施その他の空家等に関して必要な措置を適切に講ずるよう努めなければならない」とされており、都道府県は「市町村が講ずる措置について、当該市町村に対する情報の提供及び技術的な助言、市町村相互間の連絡調整その他必要な援助を行うよう努めなければならない」とされています。そこで、京都府として、法にのっとり府内市町村をどのように支援しておられるのか、お伺いしたいと存じます。例えば、市町村にとって相互の情報共有なども有効と考えますが、本府ではどのような取組をされているのでしょうか。
 私は、府内の空き家の状況を把握するため、物件の現場を幾つか拝見し、当該自治体の担当者の方から現場の実態をお聞かせいただく機会をいただきました。その中で、空き家を含む不動産物件は個人の財産であり、法改正があっても実際に行政が積極的に介入できない部分があり、対策の推進を阻害する要因となっている可能性を認識いたしました。したがって、空き家等の所有者に対して、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさず、空き家等が適切に管理されるよう所有者の責務を明確に伝えるメッセージを発信することや、後押しとなる行政の支援がさらに必要ではないかと考えます。そういった観点での本府の取組や市町村の取組へのさらなる支援について、本府のお考えを伺いたいと存じます。
 御答弁をお願いいたします。

◯議長(石田宗久君) 石井建設交通部長。
   〔建設交通部長石井宏明君登壇〕

◯建設交通部長(石井宏明君) 空き屋対策についてでございます。
 国において、平成26年に空家対策特別措置法が制定され、市町村は空家等対策計画を策定するとともに周囲に悪影響を及ぼす特定空家の除却等の措置を取ること、都道府県は市町村に対し技術的な援助等を行うこと、所有者は空き家の適切な管理に努めることなどが規定されました。法施行後も、全国的に空き家は増加しており、特定空家になってからの対応では限界があることから、昨年6月に法改正され、特定空家の除却等のさらなる促進に加え、そのまま放置すれば、特定空家になるおそれのある管理不全空家等の適切な管理、空き家の活用・拡大に向け、所有者等のサポートを行う、「空家等管理活用支援法人」制度の創設など、対策が拡充されたところです。
 京都府内におきましても、使用目的のない空き家が現在8万5,000戸と、この20年間で1.5倍に増えており、京都府といたしましても、空き家対策の実施主体である市町村と連携して取組を強化していく必要があると考えております。
 府内市町村の空き家対策への取組状況につきましては、21市町が空家等対策計画を作成し、相談窓口の設置などの対策を進めており、うち9市町では特定空家の所有者に対し適切な管理を求める指導・勧告が行われ、さらに早急に除却が必要な空き家の代執行についても18件実施されております。
 また、昨年の法改正への対応として、京都市や福知山市において、管理不全空家等の判断基準が作成・公表されるなど、取組が始められているところでございます。
 次に、府の支援についてでございます。
 市町村では、空き家対策に関する専門知識を持つ職員が少ないこともあるため、職員向けの研修の実施、先進的な取組などを共有する連絡会議の開催、取組内容に応じた補助制度の活用に対する支援などに力を入れ、情報提供や技術的助言を行ってきたところです。引き続き、法改正を踏まえた取組の促進のため、市町村に対し、新たな制度の説明や好事例の紹介などを積極的に行ってまいります。
 また、京都府では、いわゆる移住促進条例に基づき、空き家改修や家財整理等に対する補助を市町村と連携して行っており、移住施策と連動した空き家活用も引き続き推進してまいりたいと考えております。
 次に、空き家の所有者への啓発についてでございます。
 個人の財産である空き家の活用に向けては、所有者の理解が重要と考えており、所有者に情報を提供し、専門的な相談に応じる支援法人の活用を市町村に促すとともに、市町村と連携し、空き家放置による税制上の不利益や、空き家活用に対する支援制度を所有者に周知することなどの啓発により、所有者の自発的な取組につなげてまいりたいと考えております。
 今後とも、市町村に対する技術的助言や情報提供等の支援に力を入れるとともに、市町村と連携して、所有者自らの管理・活用を促すことなどを通して、空き家対策を推進してまいります。

◯議長(石田宗久君) 田中健志議員。
   〔田中健志君登壇〕

◯田中健志君 空き家対策は本当に難しいというのは、現場を拝見させていただいてよく分かりました。今、御答弁のあったあらゆる方法を本当に進めていただきたいと思います。現場を見て、本当にその担当者から事情を聞いて、所有者が他府県におられるとか、いろんなのを聞いて、仕方ないなと思うんですけれども、何か月かたってまた見に行って、同じような状態、全然変わっていないというのを見ると、これは本当に放っておけないし、今、8万数千戸の京都府内の状況というのを御答弁いただきましたけれども、これはまた増えると思うんです。ぜひ、所有者の責任があるんですよということを強くメッセージとして発信していただいて、あらゆる対策の推進をさらにお願いいたしまして、私の質問としたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)