(1)有害鳥獣対策について
(2)キャッシュレス時代に対応した本府の取組について
(3)ICTを利用した教育について
(4)その他 

質疑全文を表示

◯議長(田中英夫君) 
次に、北川剛司君に発言を許します。北川剛司君。
〔北川剛司君登壇〕(拍手)

◯北川剛司君 
府民クラブ京都府議会議員団の北川剛司です。私は今回、京都府に関する3つの課題について質問させていただきます。その課題とは、有害鳥獣対策、本府のキャッシュレス化の取組、ICT教育に関するものであり、これらについて、知事並びに関係理事者にお伺いいたします。
まず初めに、有害鳥獣対策について質問いたします。
昨年12月に地元・京田辺市の農家の方々から、イノシシに関する被害の相談を受けました。京田辺市でも年々イノシシによる農業被害の範囲が拡大しており、農家さんが丹精込めて作られた作物を収穫しようという間際になって根こそぎ食べてしまうとのことです。イノシシも賢い、一番いい収穫時期を知っているのですから。また、苗を植えたら一夜にして食べられてしまう。おまけに、土手を整備しても荒らされるなど、被害が増えているそうです。有害鳥獣被害が増えることにより、農家の方々の耕作意欲を減退させ、そして耕作放棄地の拡大にもつながる大きな問題だと、相談を受けて再認識いたしました。
府議会の本会議においても、毎回のように有害鳥獣被害対策に関する質問が行われておりますが、どちらかといえば府の北中部地域の問題として捉えられ質問されているように感じます。しかし、私の地元・京田辺市でも、特に打田、高船、水取地域、そして井手町、宇治田原町は、緑豊かな農山村地域であり、他と同様に有害鳥獣被害に悩まされています。
有害鳥獣被害の相談を受けていると、「野菜を植えてもイノシシに食べられてしまって困っている」、特に宇治田原町においては「多くのシカ、イノシシ、そしてサルが出るので、畑の野菜が荒らされる」など、切実な悩みを聞かされます。また、昨年の12月、宇治市と宇治田原町を結ぶ林道で夜にシカと接触し、車が大破する事故に出会わしたこともあります。
このため、各市町村においては、有害鳥獣対策関連事業として防護柵や電柵の設置などに取り組まれており、ただ、有害鳥獣対策は一気に解決するものではなく、大変難しい取組だと思っています。
そして、府の対策としては、猟期期間を延長するなど有害鳥獣捕獲や防除施設の設置などの対策に加え、狩猟者の確保に向けた狩猟免許試験の回数増、効果的・効率的な捕獲を進める広域捕獲体制づくりなど、一歩ずつ着実に取組を強化・拡充に努めてきておられ、大いに期待しているところです。
また、京都府では、これまでから、鳥獣保護管理法に基づく第二種特定鳥獣管理計画などを策定し、市町村においては、鳥獣被害防止特措法に基づく被害防止計画を作成した上で、有害鳥獣対策に取り組まれておられますが、有害鳥獣の活動範囲は行政界による境界はありません。各市町村単独の対策に加え、被害地域の市町村が連携することでより効果的な対策が図られるのではと考えますが、今後、どのようなお考えで有害鳥獣対策を実施されようとしているのか。
また、特に山城地域でも有害鳥獣被害が増大する中で、今後、積極的な対策の推進を願いますが、この山城地域での有害鳥獣被害対策をどのように展開されるのか、併せてお聞かせいただきたいと思います。
また、有害鳥獣被害対策の一環である、狩猟者の増強に関してお伺いします。
第一種銃猟免許保有者は約1,400名で、免許を取って狩猟登録をする方が、そのうち約1,000名、あとの400名余りは登録されておらず、狩猟等に行っておられないのが現状です。私もその中の一人ですが、これからは有害鳥獣駆除に参加し、被害の軽減に取り組まなければならないと思っています。
他府県では、狩猟者の第一種銃猟免許の取得率を増やし、狩猟を行ってもらうことを目的として、初心者の方々に対して狩猟方法を教える狩猟者育成センターを設置するなどの努力をされています。例えば兵庫県では、狩猟マイスター育成スクールで10日間ほどかけ狩猟のやり方や捕獲後のさばき方などを若者に伝授されています。
京都府でも、初心者の狩猟者に対してわなに関する育成などは行われていますが、特に第一種銃猟免許取得者に対して、どういう考え方で研修等を実施し、実際に狩猟を行ってもらう狩猟者を増やそうと考えておられるのか、お伺いします。
また、狩猟者を志す人を増やす必要があると思います。京都府においては、狩猟免許試験回数も増やし対策を講じられていることは理解するのですが、若い人を増やすためにはさらなる工夫をしなければならないと思います。全国的に、女性の狩猟者も増えていると聞いています。京都府でも、今後、若者の第一種銃猟免許取得率をどのように増やそうとされているのか、併せてお伺いします。
まずは、ここまで答弁をお願いします。

◯議長(田中英夫君) 
西脇知事。
〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 
北川議員の御質問にお答えいたします。
有害鳥獣対策についてでございます。
鳥獣被害は、農家の方の営農意欲の減退に加え人身被害も発生するなど、府民の安心・安全にも関わる重要な問題であると考えております。
このため京都府では、庁内関係部局に加え市長会、町村会で構成する「野生鳥獣等被害対策推進本部」を設置して、総合的な被害対策を検討し、捕獲活動経費の支援や防護柵設置の補助などを実施してまいりました。こうした取組の結果、平成20年度には約7億4,000万円であった被害額が平成29年度には約2億7,000万円と約4割まで減少したところでございます。
しかしながら、近年は横ばいで推移をしておりまして、被害額の約7割を占めるシカとイノシシについて効果的な捕獲対策を新たに実施する必要がございます。
シカにつきましては、市町村境などの奥山で多くの生息状況が確認されていることから、ドローンにより生息地域をリアルタイムで把握し、京都府と関係市町村が連携した広域捕獲を府内全域で展開したいと考えており、シカの生息数の半減に向け取り組んでまいりたいと考えております。
イノシシにつきましては、農地周辺でのわなによる捕獲が効果的なことから、見回りの手間が軽減でき、確実な捕獲につながるICT技術を活用した遠隔監視や遠隔操作が可能な捕獲おりなどの機材の導入を支援してまいります。
また、サルにつきましては、山城地域に府内最大の群れが存在するなど、特に高い密度で生息しており、府内のサルによる農作物被害の約半分を占めております。このため、山城地域では特にサルを対象に、農業改良普及センターと市町村や関係団体で構成する被害対策チームが、電気と金網の複合防護柵の設置や、GPSによる出没情報を活用した効果的な追い払い方法などにつきまして地域住民に指導し、農作物被害の半減を目指して活動してまいります。
今後とも、農山村地域の皆様が安心して営農や生活ができる環境の実現に向け、市町村との一層の連携により有害鳥獣被害対策を推進してまいりたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。

◯議長(田中英夫君) 
沼田農林水産部長。
〔農林水産部長沼田行博君登壇〕

◯農林水産部長(沼田行博君) 
狩猟者の確保・育成についてでございます。
京都府では、多くの狩猟者を確保するため、これまでから府内各地で狩猟セミナーを開催し、狩猟の魅力や役割を理解していただくよう取組を進めてまいりました。この結果、わなと銃の狩猟免許交付件数は、10年前に比べて約1,000件増加し、令和元年度には特定鳥獣管理計画の目標として掲げている4,500件に達したところでございます。
しかしながら、議員御指摘のとおり、銃の狩猟免許交付件数は約1,400件で、ほぼ横ばいで推移しております。また、銃の狩猟免許は取得したものの、狩猟のノウハウがないことや猟具購入の費用負担が大きいことから、狩猟活動の経験がない方が約3割おられるのが実態でございます。
このため、狩猟経験のない銃の免許所持者に対しまして、狩猟への不安や疑問に先輩狩猟者が答える交流会の開催や猟具の購入補助制度のPRも行い、狩猟へ向かう環境づくりに新たに取り組みますとともに、ベテラン狩猟者が2年間にわたり射撃技術や狩猟マナーなど実技講習を行い、これまでに129名の狩猟者を育成してまいりましたインターンマイスター制度につなげることで、実践で活躍できる狩猟者の一層の増加に努めてまいります。
次に、若者の銃の狩猟免許取得についてでございます。
近年、狩猟やジビエに興味を持つ若者などが増え、手軽なわなの狩猟免許の取得者が増加する一方で、銃の狩猟免許はその特殊性から慎重な扱いが必要なため、取得者が少ないのが実態であります。
しかし、わな猟に比べまして銃による捕獲は、山中での機動性や即応性が高く、発砲により人への警戒心を高めることも期待できますことから、銃の免許所持者の増加が必要と考えております。
このため、わな猟の実践研修会におきまして、銃の安全な扱い方や猟場の魅力を感じてもらうカリキュラムも組み込んだ研修を来年度から新たに実施したいと考えております。
こうした取組を通じまして、若者の銃の免許所持者の確保につなげてまいります。

◯議長(田中英夫君) 
北川剛司君。
〔北川剛司君登壇〕

◯北川剛司君 
これから、府は積極的に有害鳥獣対策を行っていただきたいと思います。鳥獣には、行政界という境はありません。だから、市町村と連携しながら府が主導的に有害鳥獣対策を取っていただくことによって、市町村の境にかかる有害鳥獣が撲滅されると思いますので、よろしくお願い申し上げます。
次に、キャッシュレス時代に対応した本府の取組について、お伺いします。
2014年にキャッシュレス化に向けた方策を関係省庁が発表されました。その後、様々な法整備や環境整備を進め、2018年には経済産業省から「キャッシュレス・ビジョン」が発表され、産官学からなるキャッシュレス推進協議会が設立されました。消費全体に対するキャッシュレス化の比率は、2016年時点で19.9%、これを2025年までに40%程度、さらに将来的には世界でもトップクラスとなる80%を目標にキャッシュレスを推進することとされています。ただし、19.9%の数値は年間決済金額から算出されたものです。
そこで、調査会社による利用シーンでのアンケート調査では、現在のキャッシュレス利用者による決済割合は、現金が41.9%、クレジットカードが31.9%、ICカード(交通系・流通系電子マネー)が11.2%、スマホ決済のQRコード・ポストペイが9.4%、デビットカードが2.9%、プリペイドカードが2.8%となっています。現金以外は皆、キャッシュレス決済ですから、現金41.9%に対してキャッシュレス決済は58.2%、決済の約6割近くがキャッシュレス決済になっていると述べています。
こう考えると、私も最近、常にキャッシュレスで決済をしています。決済方法に関して、私も知らなかったんですが、今はとても便利になっていて、先日通販で商品を購入したら、コンビニ、銀行、郵便局での支払い用紙が入っていました。今までは、通販代金の支払いの際、自宅に郵送されてきた振込票をコンビニに持参して支払いをするのが通常でした。コンビニの決済は、銀行、郵便局の窓口で支払うより簡単に支払える便利な決済方法で、多くの方が利用していると思います。しかし、コンビニに行くことが面倒なときがあり、また高額の代金支払いの場合は、コンビニで支払うのも少し抵抗があったりします。
今回、初めて知ったのですが、そういったときに家にいながら代金を支払うことができる便利な決済方法として、スマホで振込用のバーコードを読み取り決済する方法があります。便利になりました。ここまでキャッシュレスが進んでいるとは知りませんでした。
そこでお伺いします。
現在の新型コロナウイルス感染拡大状況に鑑みると、現金決済からキャッシュレス決済の移行を推進し、非接触型の社会へと移行していくことが重要であり、民間でのサービスと同様に官公庁もキャッシュレス決済を進めていく必要があると考えますが、本府の取組状況はどうでしょうか。
また、WITHコロナを見据えて国を中心に行政手続のオンライン化、押印廃止が進められ行政手続の利便性の向上を図る取組が進められております。本府も同様に取り組んでいると承知していますが、多くの申請手続には手数料として証紙の貼付けが必要であり、行政手続を真に便利にするものへと変革していくためには、証紙制度の見直しが必要でないかと考えています。
数日前、私も許可書の申請に役場に行きましたが、証紙を窓口で購入し、証紙を申請書に貼り付け、そして貼り付けた証紙に押印してから申請するなど、非常に手間暇がかかり、デジタル化が進む中で行政手続の効率化を考える必要があると痛感いたしました。
先ほども述べましたが、支払いもスマホで決済票のバーコードを読み取り決済する時代です。本府においても、積極的に行政手続の効率化を考える必要があると思います。
そこで、先般の決算特別委員会で書面審査において、現在、証紙制度の見直しをしている旨の答弁がありましたが、本府の現在の取組状況、そして今後の見通しはいかがでしょうか、お伺いいたします。
最後に、教育長にお伺いします。
ICTを利用した教育とは、児童生徒に思考スキルを身につけさせるため、筋道を立てて物事を考え、そして構築し表現する力、いわゆる論理的思考力とその力を活用して自分の考え、そして他の人の考えを協働してさらに発展させ、考えをよい考えへと再構築していく力の両方を育む学習を効率的に行うことができる教育方法だと私は思っています。
そう考えると、今回、コロナ禍の中で京都府教育委員会が提示した「京都府教育委員会からの挑戦状」は、有意義なコンテンツだと私は思っています。
また、大阪府枚方市のホームページでも、「京都府教育委員会からの挑戦状」のサイトを紹介しています。記載されている文章を紹介しますと、「学習した知識を駆使し、課題(分からない事)を探求しながら、自分の考えをまとめることを通して学びを深めていく課題がたくさん載っています。例えば歴史の問題では『大正時代の日本の大衆の政治的自覚が高まった時代であるが、なぜこの時期にそうなったのでしょうか?』、少し難しいですが、非常によい課題です。21世紀を生きる君たちにとって必要な真の学力がついていくと思います。ぜひともチャレンジしてみてください。学校でこんな課題を皆さんで知恵を出し合って解決していける日を楽しみにしています。自主学習の課題としても面白いのでは??」などと紹介されています。
また、つくば市のICTを活用した授業の事例において、京都府教育委員会が提示しているコンテンツと同じ考えで、ICTをうまく活用した教育が行われています。まず先生が黒板を使って復習を行います。なぜアナログ的な黒板を使うのか、理由は掲示した文字が残るからだそうです。次いで、電子黒板に流された小芝居の映像が流れ、「複雑な図形の面積を求めろ」という先輩からの挑戦状が明らかになります。もちろん、これまでに習った図形の面積の公式を活用しています。そこで子どもたちは、タブレット1人1台を効果的に活用した協働授業を行うのです。
これを鑑みると、京都府教育委員会が提示した「京都府教育委員会からの挑戦状」のコンテンツは、ICTを活用した授業の在り方としてよい教材だと私は思っています。ただ、コンテンツの画面が少し洗練されたら申し分なかったと思っております。今後の改良を期待しています。
9月定例会でも質問しましたが、指導者のICTを活用した指導能力の向上も必要だと思います。また、今までの教育スタイルからの脱却、そしてICTの利点を活用した教材等のコンテンツが非常に重要だと考えており、ICT教材のコンテンツ次第で学習の理解度、応用力などが左右されると質問させていただきました。
そこで、教育長にお伺いします。
今回の「京都府教育委員会からの挑戦状」は、長期の学校臨時休校中の児童生徒に取り組んでほしい課題として作成され、認知能力、非認知能力を一体的に育む教育の推進に重点を置き、知識をただ覚える作業になるのではなく、学びが将来どのように使えるかを意識し、課題を作成されたと聞いています。
そこで、この取組の成果をどのように捉え、そして今後、どのようにブラッシュアップしていかれるのでしょうか。また、この教材をICTを活用した教育スタイルとして、将来を見据えた指導用コンテンツの充実をどのようにされようとしているのか、また得られた成果をどのように府域で展開されるお考えなのか、併せてお伺いいたします。
次に、ICT教育は、生徒にとっても教員にとっても多大なメリットがある一方、デメリットもあると考えています。例えば、メリットに関しては、ICT機器を使うので、テレビ会議機能を使って他校の生徒や教員の顔を見ながら議論を交わすなど、やりとりを行うことなどができます。授業内容に幅があり、また生徒にとっては、タブレットを使うこと自体が楽しいものです。そして、生徒も教員も、テキストによる文字情報だけでは伝えづらいことを画像や動画などを使って、視覚・聴覚に訴える情報によって伝えることができるので、楽しみながら効果的な学習を進めることができます。体育の授業でタブレットの録画機能を使い動きを確認することにより、指導の幅が広くなるなど多くのメリットがあります。
ただ、デメリットも多く考えられます。例えば教員がICT機器はあくまでもツールであることを理解せず、ICT機器を使うことが目的になってしまい、授業効率が悪くなることもあります。また、ICT機器を使うことで、生徒はインターネットを使って何でもすぐに調べてしまうことができるようになるので、生徒の想像力の低下、調べる能力の低下につながることが懸念されます。
前に述べました「京都府教育委員会からの挑戦状」のようなよいコンテンツをせっかく構築しても、ICT教育のメリット、デメリットを認識し教育を実施しなければ、効果的な教育が実施されないのみならず、子どもたちにとってマイナスになりかねない。世の中の流れに鑑みて、ICT教育が進むことを止めることはできません。そのため、メリットを生かし、デメリットをうまく解消するために、教育環境、指導方法などを整えなければならないと思っています。
そこでお伺いしますが、京都府教育委員会では、ICT教育のメリット、デメリットをどのように認識され、教育環境の整備並びに教員の指導力の向上を行おうと考えておられるのか、お伺いいたします。
以上で、私の質問を終わらせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手)

◯議長(田中英夫君) 
平井会計管理者。
〔会計管理者平井裕子君登壇〕

◯会計管理者(平井裕子君) 
キャッシュレスの取組状況についてでございます。
京都府におきましては、デジタル社会にふさわしい府民サービスの向上を図るために、行財政改革プラン、京都府スマート社会推進計画を策定し、府税や府民利用施設の使用料についてキャッシュレス化の取組を進めてきたところでございます。
府税については、令和元年5月からキャッシュレス納税を導入し、令和元年度の利用実績は年間約1万5,000件、納付額が約6億円。令和2年度の利用実績は、12月末時点で約2万件、約9億円の納付があり、件数、納付額ともに前年度より増加しており、自宅にいながら納税手続を行いたい方などのニーズに対応することができていると考えております。
また、府民利用施設については、今年度、公園や文化施設など全ての施設に電子マネー、スマホ決済などのキャッシュレス決済を導入いたしました。1月末の時点で、約4,500件の利用実績があり、初年度から多くの利用をいただいていると考えているところでございます。今後も、利用拡大に向けて普及啓発を行うなど、キャッシュレス化の推進に取り組んでまいります。
次に、収入証紙についてでございます。
収入証紙は、昭和38年度に京都府証紙条例が制定され、長らく手数料の納付手段としてきたところでございますが、申請窓口での現金のやりとりが不要というメリットがある一方、証紙の販売窓口が限られている、申請窓口と販売窓口とが近接していないこともあるなど不便な点もあり、昨年度の府議会における御意見も踏まえ、全庁の申請手続の実態調査や証紙を廃止している府県の状況も調査した結果、証紙制度を見直すことといたしました。
来年度は、証紙の廃止に向けた第一歩といたしまして、窓口での手続が不要な試験手数料について、全国の金融機関の窓口で納付し、領収書を添付して申請できるよう、財務会計システムの改修を行いたいと考えております。また、納税証明書の発行について、電子システムにキャッシュレス決済機能を追加して、オンライ化したいと考えており、これらに必要な予算案を今議会に提案しているところでございます。
全ての手数料について、証紙に代わる新しい収納方法の構築に向けて、引き続き取組を進めてまいります。

◯議長(田中英夫君) 
橋本教育長。
〔教育長橋本幸三君登壇〕

◯教育長(橋本幸三君) 
北川議員の御質問にお答えいたします。
「京都府教育委員会からの挑戦状」についてでございますが、昨年4月の一斉臨時休業の中、子どもたちの学びを止めることなく、身につけてほしい力が育めるよう作成し、更新してまいりました。
家庭での学習が知識や技能に偏ってしまいがちな中、「挑戦状」は難易度別に作成し、教科の学習と現在や将来の生活との関わりを感じられる課題解決型学習を取り入れ、正解が1つではない課題も提示するなど、知識・技能だけではなく、思考力、判断力、表現力や学びに向かう力も育めるよう工夫しております。
この取組を通じて、一斉臨時休業中の家庭学習での活用だけではなく、各小中学校の教員がその理念や狙いを理解し、学校再開後も「挑戦状」を参考に、学校独自の課題やそれまで作成していない教科の課題を作成するなどの創意工夫が見られたことが大きな成果であると考えております。
また、GIGAスクール構想により1人1台端末の配備が進む中、「挑戦状」に取り組む際には、例えばインターネットで情報収集し、その情報をアプリケーションで図や表にして考えを整理し、プレゼンテーションソフトで表現するなど、ICTを効果的に活用することで子どもたちの発想や思考をより豊かにできると考えております。
こうしたことにより、個々の学習環境やスピードに合わせた個別最適な学びと、グループで意見を交換し自分の考えを構築する協働的な学びが実現できると考えており、「挑戦状」の内容だけではなく、ICTを活用した教育スタイルへの転換の観点からもブラッシュアップを進めてまいりたいと考えております。
今後、指導用コンテンツの充実に向けては、「挑戦状」を活用した各学校の優れた実践を共有するとともに、そこから得たノウハウを広く府全域に普及しながら、各学校の教員によるICTを活用した様々な教材作成が進むよう支援し、子どもたちが学びの価値や意義を感じられるよう取り組んでまいります。
次に、ICT教育の有効性についてでございますが、環境整備に要する継続的な費用負担といった課題のほか、機器の長時間の使用による健康への影響等のデメリットもある一方で、その特性を生かすことにより、黒板への板書時間の削減や画像や動画を用いた効率的で分かりやすい授業に加え、遠隔でのオンライン授業が可能となり、また繰り返し視聴できるなどメリットも大きいものと認識しております。
御指摘のように、ICTはツールであり、教員や子どもたちがどう活用していくかが重要であるため、ハード面の整備だけではなく、例えば「挑戦状」のような指導用コンテンツを教員が授業で実践的に活用し指導できるよう、ソフト面や指導力の向上を一体的に進める必要があります。
そのため、現在策定中の第2期京都府教育振興プランにおいても、あらゆる施策展開に当たり、積極的にICTを活用していくことを掲げており、例えば学力診断テストについて、タブレット端末を用いる実証研究を行うための予算案を今議会に提案しているところでございます。
また、先進事例の紹介に加えて、積極的にICTを使ってクリエイティブな授業を実践できる先駆的なリーダーを育成する研修や、ICT教育を組織的に進めるための意識改革研修、総合教育センターによる研修動画の提供等に取り組むとともに、教員が探求心を持って学び続け、時代の変化にも対応した資質・能力を身につけられるよう、教員間のネットワークづくりを進めてまいります。
府教育委員会といたしましては、ICTのメリットやデメリットを踏まえた上で、授業や教育活動での実践を積み重ね広く発信するとともに、ICTを効果的に活用した協働的な学びへの転換とそのための教員の利活用能力の向上に引き続き取り組んでまいります。